屁世滑稽新聞(屁世27年2月28日)

皇居を核最終処分場にする話……の巻

 

犬腰犬介アナ 「こんばんワ! イヌエッチケー“ニュースセンター9”。キャスターの犬腰犬介(いぬこし・けんすけ)です。」
犬飢ゆうひアナ 「同じくキャスターの犬飢ゆうひ(いぬうえ・ゆうひ)です。」
犬腰犬介アナ 「まずお約束の、いつものシュプレヒコールから始めましょう。……アベッチサン!万歳(マンセー)!」
犬飢ゆうひアナ 「アベッチサン!マンセー!」


犬腰犬介アナ 「では最初のニュースです。」
犬飢ゆうひアナ 「ちょっとその前に……」
犬腰犬介アナ 「なんですか? 台本にないですけど?」
犬飢ゆうひアナ 「あんたの手が邪魔です。」
犬腰犬介アナ 「ケンチャナヨ! 将軍さまからの御指示でないから無視します。……さて最初のニュースです。いぬうえキャスター、お願いします。」
犬飢ゆうひアナ 「……ハイ、特報です! 偉大なるアベッチさまのご指示で経務省に発足した、総理大臣さまの私的諮問機関《核廃棄物最終処分場検討会》の初会合が開かれ、皇居の地下ふかくに最終処分場を設置する案が、全会一致で決まりました。」
犬腰犬介アナ 「それはアッパレ! さすが偉大なるアベッチさまですね。ではこの喜ばしきニュースを、経務省担当の長谷川記者から伝えてもらいます。長谷川さん、おねがいします。」

つねに国民の幸福を願って善政をおこなう
われら「キノコぐも栽培強国」の偉大な政治指導者アベッチさま

★          ★          ★

長谷川記者 「はい、昨年まで経営委員だった経務省担当の長谷川無知子記者で~す。同僚だった八百田嘘記(やおた・うそき)さんも、いま経務所でがんばっておりますよ~。……さて経務省からの特報ですよ~。総理大臣様の私的諮問機関《核廃棄物最終処分場検討会》の初会合が開かれ、皇居の地下ふかくに最終処分場を設置する案が、全会一致で決まりました~。」
犬腰犬介アナ 「それ、さっき私がいったママじゃん……」
長谷川記者 「アベッチ将軍さまからそれ以上のご指示を頂いてないので、残念ですが私個人がレポートすることはできないのよ。そんなことをすれば秘密保護法違反になってしまいますもん……。だもんで、ここは《検討会》の議事録を棒読みするのみでお許しい下さいナ。」
犬腰犬介アナ 「アベッチ将軍さまのご意向なら……ケンチャナヨ!」
長谷川記者 「ではこれから《検討会》議事録の棒読みにて、現場レポートに代(か)えさせて頂きます。……なおこの議事録は、下記でダウンロードできるようにしておきましたので、インターネットをご利用のかたは各自でお読みください。

(議事録入手先: http://www.rokusaisha.com/pdf/核廃棄物最終処分場検討会第1回会合議事録.pdf

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核廃棄物最終処分場検討会
第1回会合・議事録
(屁生27年2月吉日)

経務省エネルギー局長 「本日は皆さん、ご多忙のところをご出席いただき、ありがとうございます。《核廃棄物最終処分場検討会》の第1回を開催いたします。開催に先立ちまして、偉大なる総理大臣アベッチ将軍さまを讃(たた)えて、皆さまとともに万歳三唱を行ないます。皆さまご起立ください。」
(全員その場で起立)
経務省エネルギー局長 「偉大なるアベッチ将軍さまの威徳を讃えて! マンセー! マンセー! マンセー!」
(全員その場でマンセー三唱)
経務省エネルギー局長 「では議事に入ります。本日は初回から核心に入りますが、高レベル核廃棄物の最終処分地をどこに設置するか、本省にて長年の調査検討をしてまいりました結果、東京都千代田区千代田1の1の1、郵便番号で申せば“100の8111”、すなわち皇居の地下に設置するのが最も適切だな~、という結論に至りましたので、ご報告申し上げる次第であります。

かような結論に至りました理由を、関連省庁および各界有識者のかたがたからご報告いただき、この構想を煮つめていきたいな~、と……このように考えておる次第です。ではまず文部科学省からご報告ねがいます。」

文部科学省・学術振興局長 「モンカ省といたしましては、高レベル核廃棄物の永久保管施設の設置にさいして最も懸念しておりますのは、たとえば原子力発電の結果生じる半減期の長い『長寿命核種』のネプツニウムや、アメリシウムや、キュリウムのように、半減期が数万年に及ぶものもございますし、原子力発電にともなう代表的な放射性核種といたしましてはプルトニウム239の場合はおよそ2万4000年、ウラン238の場合はおよそ44億6800万年の半減期を有しておるわけでございます。ウラン235は半減期が7億380万年ほどでございますが、これは原子爆弾に転用できるので、廃棄物としての保管はまったく必要ない、むしろこっそり使ってしまえ、というのが政府の共通認識でございます。……で、核廃棄物の扱いについてでございますが、かように人類の想像をはるかに超えた長期間にわたって保管するとなりますと、はたして現在の日本語で『立ち入り禁止』と表示しても、未来の日本人にそれが理解できるか、はなはだ不安なのでございます。」
神社本庁・宗務局長 「しかし、日本人のこころは万葉集の時代から不変でありますし、言霊(ことだま)は時代によってたやすく変わるわけじゃないですから、モンカ省の指摘は杞憂(きゆう)じゃございませんか? 考えすぎ、心配しすぎですよ! 日本国民の魂を信用しなさい!」
文科省・学術振興局長いとはかなうものし給(たま)ふこそ、あはれにうしろめたけれ……
神社本庁・宗務局長 「おいモンカ省の高級官僚! いくらオマエが東大出身で、オレが蝗学館大学しか出てないとしても、こっちの業界じゃ蝗学館こそが神官養成のトップエリート大学なんだから、テメエの受験知識をひけらかしても意味ねえんだよ、イケズ野郎! そんな高校古文をここで出してくるなよ! 意味がわからねえことを言って、人を煙に巻くんじゃねえよ、木っ端役人がっ!」
文科省・学術振興局長 「あのぉ……、いま申し上げたセリフは、『源氏物語』の『若紫』に出てくる、あまりにも有名な一節なんすけどネェ……。《いとはかなうものし給(たま)ふこそ、あはれにうしろめたけれ》って、『とても幼なくていらっしゃるのが、どうしようもなく悲しく先が気がかりです』っていう意味で、『源氏物語』ってちょうど1000年まえに書かれたものなんすけどネェ……。たった1000年ですよ。なのに《日本人のコトダマ》とかおっしゃっている神社本庁の局長さんが、これを理解できない……。これってアンタのことを言った文章なんだけどねえ……。まあ、そういうことですわ。」
神社本庁・宗務局長 「インチキ万能細胞で小便くさいおネエちゃんにコロリとだまされたモンカ省の白痴はすっこんでろ! 高校古文を引き合いに出すなよ! 高校時代のオレはワルガキで、神社の賽銭(さいせん)をかっぱらってゲーセンで遊んでたんだから、古文なんてわかるわけネエだろ! 受験知識を出すのは反則だぞこの野郎! 日本人のコトダマは永久に不滅なんだよ! たとえ古文がわからなくてもなっ!」
文科省・学術振興局長 「……というわけで、鳥居のダンナが思わぬ暴発事故を起こしたわけですが、マァ、これは無視するとして、たった1000年まえの日本語さえ通用しない現実において、10万年後の日本人に『高レベル放射性廃棄物の保管地域!立ち入り禁止!』と標識を示しても、その時代からすれば“太古の昔”である屁世現代の日本語なんかわかるわけないですから、さ~てどうすりゃイイのかとアレコレ思案いたしたわけでございます。このあたりの事情につきまして、日本を代表する国語学者の金玉一腫彦センセイから、補足説明をしていただきます。
国語学者・金玉一腫彦 「国語学者の金玉一でございます。いま局長さんからご説明いただきましたように、千年とか万年のオーダーで、未来の日本人に理解できるメッセージを記す方法は、まず無いといってよいのでございます。」
神社本庁・宗務局長 「だ~けど~、日本民族の言霊は永遠不滅なのだから、10万年後の日本国民に、現代の国語を理解させる方法はあるはずです。それを考えるのが国語学者のあんたの仕事じゃないですか!」
金玉一腫彦 「唯一あるとすれば、日本国民が用いている現時点の国語を、古典ラテン語のように、ここで無理矢理ホルマリン漬けにしてしまうことでしょうね。」
神社本庁・宗務局長 「ラテン語といえばカトリックの総本山バチカンが今でも使っていますね。現代日本語をラテン語みたいにできれば素晴らしい! 未来永劫(えいごう)にいまの日本語が、歴史と地域をこえて普遍的に使われるようになるんですね! それは名案だ! ……で、どうすれば実現できますか?」
金玉一腫彦 「日本も、古代ローマ帝国と同じことになれば、現代日本語を、ローマ帝国の言語だった古典ラテン語のような境遇に置くことができるんじゃないでしょうか。」
経務省エネルギー局長 「つまり古代ローマ帝国のように贅沢(せいたく)をしたあげくに滅亡すればいいんですね……。そりゃ簡単ですわ。」
神社本庁・宗務局長 「いや。あんたみたいな高給取りは、いまの日本が経済の絶頂にあるみたいな錯覚もしてるでしょうけど、もはや日本経済は最盛期をすぎて思秋期ですからねえ。経務省の高給取りは知らんだろうけど、最近じゃ日本の神社で大盤振る舞いしてるのは中国人の観光客ですぜ。賽銭箱を開ければ中国のお札ばかりなんだから! もう『贅沢(ぜいたく)をしたあげく』ってのは望んでも手に入らぬ昔の話……、いま可能なのは、貧乏なままどん底まで落ちて滅亡するのみ……」
経務省エネルギー局長 「あんた、そんなことアベノミックスの黒魔術で日本経済復活を企てているアベッチサンの耳に入ったら、家族が住んでるマンションごと“倒壊事故”が起きて呪い殺されますよ。」
神社本庁・宗務局長 「ヤバイっ! いまの私の発言は議事録からカットしておいてね。」
金玉一腫彦 「……マアとにかく、あれこれ検討はしたんですが、言語的手段であれ、イラストを用いたサインであれ、数万年後の人類に『危険!立ち入り禁止!』というメッセージを伝える手段はあらへんことがわかったんですワ。」
経務省エネルギー局長 「金玉一センセイ、数万年後に人類が生存してる可能性なんてほとんどないんですから、そんな面倒なこと、考えるだけヤボですよ。あんた政府にこづかいもらってお使いしてるだけなんだから、テキトーなことを答弁してりゃイイんです。まじめに仕事するだけムダなんすから。(笑)」
金玉一腫彦 「経務省トップのお役人からそう言われちゃ、あれこれ考えて損した感じがしますが……マァとにかく思案のすえに出たベストの結論は、超危険物質の永久保管場ならば、皇居に併設するほかない……ということです。なぜなら、ここが日本であるかぎり、日本という国が続くかぎりは、天皇陛下が千代に八千代に、サザレ~石が~、巨岩(いわお)にな~りて~、コケが生(む)すまで、ずぅ~っと皇居にお住まいになられるはずだからであります。どんなに世の中が変わってしまったとしても、天皇陛下がいらっしゃるかぎりは、少なくとも天皇陛下だけは、まともな日本語をお使いになられることでしょう。ですから、たとえば3000世代先の未来に人類が生存していたとして、日本という国がまだ存在していたとするなら、そこには依然として、その時代の天皇が御座(おわ)しまして、大昔の、つまり屁世の現代の日本語なども理解できる状態が維持されていると考えてよいでしょう。その時代には日本国の一般庶民は遺伝的に劣化してサル以下の畜獣になっているかもしれません。栄養失調や放射能汚染で脳みそがピーナッツなみに萎縮しているなんてことも、じゅうぶんにありえます。そういうことを考えたら、たとえば東北とか北海道とかの僻地に核のゴミの永久処分場なんて作るのは大変に危険です。無知なケダモノ人間が墓あばきをする危険性はたぶんにあります。だからこそ、もっとも高貴で安全な天皇陛下のお住まいに、そうした保管施設を併設せねばならないのです。……これが最も理にかなった処置なのです。」
経務省エネルギー局長 「日本を代表する国語学者、金玉一センセイの、大変にわかりやすいご説明、ありがとうございました。ところで高レベル核廃棄物の永久保管場をつくるとすれば、地震対策は必須となるわけでございます。そこで、つぎは気象庁から、永久処分場を皇居に併設するメリットを説明していただきます。」

★          ★          ★

気象庁・地震局長 「ご指名をいただきました、気象庁の地震局でございます。究極の危険物質であるプルトニウムその他の高レベル放射性廃棄物の永久保管場を、東京都千代田区の皇居の地下に設置するという構想につきましては、関東ローム層である東京の地下にそうしたものを置くことについて懸念を抱くかたもいらっしゃるかと思いますので、むしろ非常に有意義であるということを、本庁の地震対策会議の議長であられる地震学者の田所雄介博士からご説明いただきます。」
地震学者・田所雄介 「田所でございます。じつは私、先日来、日本が沈没しつつあることを示す地球物理学的な兆候を観測しておりまして、その分析を大至急せにゃならんのに、こういう馬鹿げた会合に引っぱりだされて大変に迷惑しております。……おい君たち! ニッポン列島が沈没したら、核廃棄物の処理なんて意味ないんだぞっ!」
経務省エネルギー局長 「先生っ! それ初耳ですけど、ホントなんですか?」
田所雄介 「……あっ! いっけねえ! うっかりしゃべっちゃった。……皆さん、今のはわたしの寝言です。忘れてください。(笑)」
経務省エネルギー局長 「田所センセイは物騒な夢を見てたんですね(笑)。お願いしてあった最終処分場の件を説明してくださいよ。」
田所雄介 「ご存じのように東京23区のほぼ南半分は、近世まで海岸であり、埋め立てで作られた地域であります。皇居がある千代田区も、そこから遠くない場所に存在しています。つまり東京自体が、すでに地質学的にみれば地震の物理的ダメージを非常に受けやすい地盤構造の上に作られた都市なのであります。江戸時代だけでなく、時代がうつって大正の関東大震災の頃になってからも、東京周辺で多発する地震の原因として“なまず”を想定する民間信仰がありましたが、これは地質学的な脆弱性を考えればそれ相応の合理性を有した民間信仰だったのであります。

江戸時代から日本では「地面に下に潜んでいる
大ナマズが暴れて地震が起きる」と信じられてきた。


もちろん現在では、地震の原因はナマズでないことは誰もがご存じでありましょう。ところで民間伝承においては、ナマズが地震を起こすと考えられていたわけですが、それと正反対の“土地を安定させる地震除け”だと考えられていたのが要石(かなめいし)なのであります。

茨城県・鹿島神宮と、千葉県・香取神宮にある「要石」は
それぞれ大ナマズの頭と尾をおさえこんで、地震を抑止
していると信じられてきた。

現代に生きる我々は、地震の原因がナマズでないことも、要石が地震を抑止しているわけでないことも、もはや周知の事実でありますが、しかしたとえば、不安定な東京都心の地盤に、大量に超高比重の重金属を埋設すれば、たとえ大地震が起きても液状化を抑止できるであろうことは容易に予測できるのであります。いま現在の予測では、千代田区内の皇居から東の地域は、大地震が起きれば大部分が液状化すると考えられているわけですが、皇居の地下に広範囲にわたって大規模に核廃棄物の重金属を、すなわちウランやプルトニウムを世界じゅうから引き取って保管すれば、それは巨大な“要石”の役目を果たすでしょうから、大地震でこの地域がいたずらに大揺れしたり液状化で地盤構造がめちゃくちゃになることを抑止できるでしょう。そうした理由で、もしこれからも東京を日本の首都にしておきたいのなら、そして首都東京を大地震の衝撃から守りたいのなら、皇居の地下深くに大量の劣化ウランやプルトニウムを敷きつめるしか、首都の防衛策はないのであります。」
経務省エネルギー局長 「大変に説得力のあるお話しをいただき、ありがとうござました。田所先生、これであなたのお仕事は片付きましたから、日本沈没の研究にお戻りくださいませ。」
田所雄介 「さっきも言ったけど、もし遠からず日本列島が沈没することになったら、あんたらの構想は海の藻屑(もくず)になって終わるぞ。……マァその時は、俺も海中で骸骨(がいこつ)になってるだろうけどな、ガッハッハ!」(田所博士、そう言い残して退席。)

★          ★          ★

経務省エネルギー局長 「田所先生が急用でお帰りになられたので、つぎは大蔵省財務政策局からご意見をいただきます。」
大蔵省・財務政策局長 「大蔵省といたしましては、皇室が核廃棄物永久保管場の経営を担うことによる財政健全化のメリットを、なによりも強調したいと思います。これにつきましては今世紀の初めから自罠党政府の財政担当大臣などをお務めになられてきた竹下屁臓センセイにご説明いただきます。」
大蔵省顧問・竹下屁臓 「テレビ南京の『ワールドビジネスサテライト』でおなじみの竹下屁臓でございます。わたしが小舅政権の大蔵大臣時代に全身全霊をかけて取り組んだのは、財政から無駄なぜい肉をそぎ落とす作業でした。国家存続にとって必要のない国民福祉を削減し、生涯雇用で社畜を丸抱えして、まるで社会福祉施設のようになっていた日本の労働市場を、派遣労働者が中心のパート雇用制度へと大改造して、人材派遣ビジネスを活性化してきたわけであります。おかげさまで私が経営してる人足手配会社も大繁盛ですわ、エッヘッヘ。……とはいえ、まだまだニッポンは財政的な無駄をたくさん抱えています。これから必要なのは、中央政府および地方自治体政府をすべて民間企業に委託し、警察・消防および軍隊も民間企業に委託することです。日本の青年がフランスの外人部隊やイスラム国の戦闘部隊に入隊して世界で活躍していますが、それは自衛隊の民営移管を視野に入れて考えると、とても素晴らしい快挙でありますネ。こうして海外のお雇い軍隊で経験をつんだ青年たちこそが、これからの民営化時代の日本軍を担っていくのでありますから……。」
経務省エネルギー局長 「竹下屁臓センセイ……。それと今回の話がどうつながるんですか?」
竹下屁臓 「……オッと忘れるとこだった。……さて、私が大蔵大臣などを務めて政府にご奉公していたときは、政府の無駄なぜい肉をかなり削ることができたと思いますが、最後の聖域にはついに手をつけることができませんでした。経務省局長さん、それって何だと思いますか?」
経務省エネルギー局長 「大奥のことでしょ? 永田町にある酒池肉林の……。あたしは話に聞いただけで、いまだご相伴にあずかったことはネエですが……」
竹下屁臓 「少女買春の地下組織につきましては警視庁の所轄ですから私の知ったことではありません。大奥ではなく、最大の無駄は、国家財源で飼っている“国民の象徴”であります。」
経務省エネルギー局長 「竹下センセイ、それはタブーだっ! 言っちゃいけねえ!」
竹下屁臓 「聞きたくないなら耳栓をしておればよい。」
経務省エネルギー局長 「ヘイっ! おい次長、タンポンもってこい! ……ハイ、先生。耳栓つめました。あとはご勝手に。」
竹下屁臓 「では話を続けます。……現行憲法で『日本国家および国民の象徴』と定められた、ヤンゴトなきお方とそのご一族には、莫大な国家財源が投入されております。もっともこれは、ご皇族の存在意義とご公務を考えれば、正当な負担であろうと思うのですが、それにしてもこの財源を大ナタで切り落としたい、と私はつねづね考えておりました。」
大蔵省・財務政策局長 「先生! それは大蔵省でもタブーですよ。皇族予算については黙っていて下さい。それ以上語ると我々がヤバイ!」
竹下屁臓 「だったら耳栓してなさい。」
大蔵省・財務政策局長 「 おい次長、アンネタンポンもってこい! ……ハイ、先生。耳栓つめました。あとはご勝手に。」
竹下屁臓 「私の提案はしごく単純です。皇族の運営も民営化すればよい。つまり皇族もビジネスを行なって、独自に稼げば、政府が維持費を負担する必要はなくなる。」
大蔵省・財務政策局長 「どんなビジネスですか? 天皇陛下とかのキャラクターまんじゅうを作って売るとか?」
竹下屁臓 「なんだアンタ、聞いてたのかよ(笑)。キャラクター商品よりも付加価値が高いものがいい。米国CIAがマネーローンダリングのために行なってきた秘密ビジネスなんかが参考になります。たとえばコカインや大麻の栽培と精製とか……」
大蔵省・財務政策局長 「竹下先生、そりゃマズイわ。麻薬規制はうちの仕事ですぜ。あんた我々が天皇にワッパをかけることを望んでるの?」
竹下屁臓 「いやいや、現状では日本で大麻やコカインのビジネスをするのは無理ですからなあ。……あと付加価値が高いビジネスとしてはカジノとか売春なんてのもあるけど。」
大蔵省・財務政策局長 「あんた、どういう境遇で育ってきたの? 犯罪の百貨店みたいなところで育ったの?」
竹下屁臓 「うるせえよ! どんな境遇で生まれ育っても憲法じゃ“法の下の平等”って決まってんだろ! 憲法を守れよ木っ端(こっぱ)役人が!」
経務省エネルギー局長 「あのね、竹下センセイ……。それと今回の話がどうつながるの?」
竹下屁臓 「……オッと、ま~た忘れるとこだった。……つまり結論から申せば、皇族の皆さまにおかれましては、皇居に全世界から核廃棄物を受け入れるという一種の廃品回収業を行なっていただき、それで得られるはずの莫大な収益で、国庫からの財源注入を必要としない皇室財政の自立に努めていただきたい。」
大蔵省・財務政策局長 「なるほど……。皇族の皆さまに、究極の廃品回収業で頑張っていただき、経済的自立を成し遂げてもらうというわけですね。それは素晴らしい! もうすぐ2700年に達せんとする皇族の歴史において、ビジネスで経済的自立を実現するというのは初めてのことです。まさに画期的! 素晴らしい! さすが世界に冠たる経済学者の竹下先生ですね! ……だけど本当に、核のゴミの引き受けだけで皇族の経済的自立は果たされるのでしょうか?」
竹下屁臓 「私の試算では、全世界から核のゴミを引き受ければ皇室は経済的自立をはるかに上回る利益を得られるはずです。こうして得た収益の一部は、日本政府に貸してもよいし、外国に融資してもよいでしょう。皇室が経済的に富裕になるわけですから、バチカン市国のように日本国内で独立国家となることだって可能でしょう。」
大蔵省・財務政策局長 「それは素晴らしいアイデアだ! 三島由紀夫も天国で感涙にむせんでいるに違いありません。」
経務省エネルギー局長「皇室が核のゴミで廃品回収ビジネスをするというのなら、私にもアイデアがあります。恩寵タバコで国民に愛されている天皇のご紋章、すなわち菊花紋章を、『放射能危険』のハザードマークにアレンジしてみてはどうでしょうか。菊花紋章がついた廃棄物ドラムカンは、もうそれだけで格段に付加価値がつきますから、世界じゅうのマニアの連中に高く売りつけることができるはずです。」

核廃棄物をつめたドラム缶に表示される「放射能危険」の
ハザードマークを天皇陛下の菊花のご紋章にアレンジすれば、
このドラム缶はプレミア付きで世界のマニアたちに売れるはず……?

警視庁・警備局長 「ビジネスの話なら、われわれ警察も興味がありますよ。皇居に高レベル核廃棄物の永久保管施設をつくるとなれば、当然、警備も厳重にせねばなりません。過去の『2.26事件』や、天皇の終戦詔勅(しょうちょく)の前夜、すなわち昭和20年8月14日に起きた『皇居クーデタ未遂事件』で周知のように、皇居の警備を軍隊にまかせるわけには行きません。軍の連中はアタマに血がのぼると何をしでかすか、わかったもんじゃない! 全く信用できません。」
防衛省・企画調整局長 「オイ警棒野郎! きさま、オマワリの分際でわが国軍を侮辱するのか? つぎに有事があったら、きさまなんぞ真っ先に重営倉にぶちこんでやるからな! そもそも、な~にが『皇居クーデタ未遂事件』だよ! 昭和23年の6月末日まで、陛下のお住まい処は『宮城』と呼ばれておったのだ。同年のナナ月イッピからであるぞ、『皇居』と呼び習わすようになったのは。……これだから地方警察の下級公務員はダメなんだよ!」
警視庁・警備局長 「バカモノ!忍者部隊月光は富士山の裾野で忍者ゴッコでもやってろ! おまえら六本木族の出る幕はないわ。宮城の警察業務はミヤギ県警がちゃんとやっておるワイ! われら大東京の警視庁は、東北の警察業務なんて所轄外なんだよ、この用なし国家公務員野郎が! ……まあとにかく、われら警視庁としては、皇居に核廃棄保管施設をつくることになれば、多量の武装警察官を張りつけて核物質泥棒などを徹底的に抑止しするのでアリマス!」
経務省エネルギー局長 「皇居の内外にビッシリと警官を張りつける必要がありますな。」
警視庁・警備局長 「そのとおり。概算では皇居内だけでも5000人ほど、武装警官を配置します。」
経務省エネルギー局長 「いくらなんでも多すぎやしませんか?」
警視庁・警備局長 「いやいや。人件費は皇室に負担してもらえばよい。なにせ核物質の預かり賃をガッポリ稼いでくれるんですから。我々としては“自宅警備員”の連中、つまり職業技能をもたぬ“ひきこもり”のような青年たちを大量に雇い入れて、皇居の警備に張りつけます。これは雇用対策にもなるし、ニッポン警察の凄さを世界に宣伝することで、世界じゅうに我らが警官隊を売りつけることも視野に入れております。」
大蔵省顧問・竹下屁臓 「なるほど、警察業務も民営移管するという世界的動向を、ちゃんと視野にいれてのビジネスプランですね。あっぱれな構想ですね。」

皇居に核廃棄物の永久保管所を作れば、皇居内は数千人の
警官隊で守られることになる。写真は皇居・東御苑の大手門
付近を警備する武装警官隊。

★          ★          ★

経務省エネルギー局長 「最後にもう一点。皇居に核廃棄物の永久保管施設を設置すると、よそでは期待できないスピリチュアルな利点があります。これにつきまして、精神世界にお詳しい粗野綾子センセイにご説明いただきます。」
粗野綾子委員 「みなさま、粗野綾子でございます。みなさまご存じのように、わたしはカトリック巨魁に所属している迷える子羊でありますが、中学校で教わる二次方程式なんてぜんぜんわかんないし、そんなもん教えられても人生でなんの役にも立たないから学校で教えるのをやめさせろ、と夫の三裏邪宗門に言いつけて、文科省の教育課程審議会で“二次方程式の解の公式”をブッつぶした武勇伝をもっておりまして……」
神社本庁・宗務局長 「なんだオイ! 伴天連のバアさんが自分の馬鹿ぶりを自慢したり、偉いダンナを動かして日本の教育を破壊して白痴化の推進に成功しましたなんてドヤ顔で吹聴してやがるぜ。おい経務省のエラい人! こんな痴呆老人に発言させるんじゃねえよ! こんな婆さんにだって日当払ってんだろ。いつから経務省は痴呆老人の介護施設になったんだよ。」
経務省エネルギー局長 「そ…、粗野センセイ! いくら文学者でも、ワケのわからないシュールな自己紹介はかんべん願います。日本の学童を白痴化したとか、そういうテロ自慢のお話しが、今回の皇居への核廃棄物保管場の設置構想と、どう関係するんですか? ひょっとしてアンタ、なんでもブチ壊して喜んでるだけのテロリストなんじゃないの? 警視庁さん、この人アヤシイから監視してくださいね。」
粗野綾子委員 「あんたら! わたしに失礼を働いたら天罰が下るわよ。キリストは言いました。『右頬をぶたれたらピストルでそいつを撃て』と……。これが皆さんご存じの、新約聖書のハイライトでもある“戦場の垂訓”なのですよ! わたしにとって、神のことばは絶対です。わたしを脅かすなら、ピストルで天罰を喰らわしますから、そのおつもりでいらっしゃいませ!」
警視庁・警備局長 「現認しました。テロリストとして監視しなきゃなりませんな……」
経務省エネルギー局長 「粗野センセイ、恫喝(どうかつ)はもうそれくらいで、よろしいでしょ? あなたはこの会合で何を発表したかったんですか? あなたが常々、自己主張しておられたカトリック信者だというお立場から、皇居への核廃棄物永久処分場の併設をなぜ絶賛しうるのか、それを説明していただけませんか?」
粗野綾子委員 「わたしは80歳をすぎて、ますます精神世界に近づいております。今はそうねえ……一日の22時間くらいは俗世を離れて夢うつつの神様世界で遊んでおりますわよオホホホホホ! 今この瞬間も、あんたがた俗世の下衆(げす)には、私の美しい肉体しか見えていないでしょうが、それは下界の仮の姿であって、脳のほうは“あの世”で美酒に酔いしれておりますのよ。」
警視庁・警備局長 「“美しい肉体”などどこにも見えませんが……。この人は詐欺師ですか? うちの生活安全課にも監視を命じなきゃならんのか……」
経務省エネルギー局長 「おまわりさん、バアさんがちゃんとこう言ってますぜ。『脳のほうは“あの世”で美酒に酔いしれておる』と……。まあ、ヨイヨイになってるってことでしょうな、まともに相手にしなさんな。」
粗野綾子委員 「いまや日常の大部分を、俗世を超越した精神世界に住むようになったワタクシが、この歳になって確信しておりますことは、“祈り”のパワーです。この世の中では、なんでも祈れば願望が実現するのです。わたしもお祈りのパワーでボートレースではガバガバ儲けさせていただきました。」
警視庁・警備局長 「競艇で八百長レースを主催してきた……ということでしょうかね。うちの暴対班も動員しなきゃならないのかなぁ。とんでもない組織犯罪に付き合うことになりそうだわい。」
経務省エネルギー局長「粗野センセイ、あんたの競艇賭博の自慢話はどうでもいから、はやく皇居に核廃棄物処分場を併設する話に行ってほしいんですが……」
粗野綾子委員 「あんたら異教の蛮族どもは、わたしの垂訓の意味さえ理解できないケダモノなのね! そんなことだからアメリカ様に原爆を落とされて地獄の業火で焼かれたのよ。あんたら異教徒は学習能力がない蝦夷(エミシ)、土蜘蛛、豚犬なんだから、ホントに軽蔑するしかないわね!」
警視庁・警備局長 「でましたヘイトスピーチ! これは警視庁の手には負えないので国連機関の手に委ねるしかありまへん!」
経務省エネルギー局長 「……で、粗野センセイ、皇居に核ゴミ埋設施設の話はどこに行ったんですか?」
粗野綾子委員 「えっ? そんな話するんでしたっけ? わたしが事前に聞いていたのは侵腸社から出版される新刊の宣伝ってことだったけど……」
警視庁・警備局長 「バアさん、そんなことで政府から日当もらってたんじゃ、官費の不正受給ってことで現行犯逮捕ですぜ。……おい次長、いまワッパ持ってっか? 逮捕状もらってこい!」
粗野綾子委員 「……おっとっと! 今わたくし精神世界から戻ってまいりました。これまでの戯(ざ)れ言は、今のわたくしとは全然関係のない邪悪な別人格によるものですから無視して下さいね。あれは認知症患者にありがちなつまらない症状ですから、お忘れくださいませ! ここからわたくし、正気ですから。」
警視庁・警備局長 「おい次長、逮捕状とる必要なくなったぞ。会議続行だ。」
神社本庁・宗務局長 「なんだコイツ? 『エクソシスト』に出てくる“悪魔に憑かれた女”そのものじゃないか。伴天連の世界はややこしいわ。その点、神道はせいぜいキツネ憑きくらいで、こんなひどくないからラクだわ。」
粗野綾子委員 「まず選ばれし正統カトリック教徒の模範とも申すべきわたくしから見れば、核技術とニッポンの皇族は共通点があるのです。」
経務省エネルギー局長 「……はて? 駄洒落で話をおとして逃げる気かこいつ?……」
粗野綾子委員 「いやいや、笑点じゃないからそういう展開にはしません。結論から申しますと、どっちも日本の生命線というべき、至高の存在だということです。」
神社本庁・宗務局長 「たしかにそれは否定できませんな。」
粗野綾子委員 「三種の神器とはなにか?」

経務省エネルギー局長 「カー、クーラー、カラーテレビですね。うちの所轄だわそれ。」
警視庁・警備局長 「それは昭和元禄時代の“3C”って奴でしょ。あんたも古いねえ(笑)。三種の神器とは……森昌子、桜田淳子、山口百恵にキマってるでしょ。とりわけ顔立ちからいえば桜田淳子は名器だって、五味康祐センセイの『女体の秘奥は顔で分かる』に書いてありましたぞ。」
神社本庁・宗務局長 「あんたそれホントですか?」
警視庁・警備局長 「美人を逮捕したときは取調室で丸裸にして、机のうえでしゃがませて、穴という穴をぜんぶ詳しく調べますから、五味センセイの女体占いはかなりの的中することが実証ずみです。人気女優・愛染京子の実況検分のときは、小生自身、ずいぶん感心して、奮い立ったムスコをなだめるのに苦労したものでした……」
粗野綾子委員 「慶良間(けらま)ケラケラ、阿嘉(あっか)んべ~! 座間味(ザマ~み)やがれ、ま渡嘉敷(とかしき~)!」
警視庁・警備局長 「うわっ! 悪魔つきのバアさんが泡を吹いてなんか叫んでるぞ! おい神主! 悪魔ばらいしろ!」
神社本庁・宗務局長 「無理ですよ~! こちとら伴天連じゃないからねぇ……。バアさん、あんた何を叫んでるの?」
粗野綾子委員 「あたしが考案した“滅びの呪文”よ! ロクでもないこと言ってる奴らは天罰が当たって滅びりゃイイんだわ!」
警視庁・警備局長 「あんたそれ立派な脅迫ですよ。……おい次長! ワッパ持ってきたか? あと逮捕状もらってこい!」
粗野綾子委員 「……あらエッサッサっと! 今ふたたびわたくし、精神世界から戻ってまいりました。呪文みたいのは私のなかの悪魔が叫んだものですから無視して下さいね。……ここからわたくし、正気ですから。」
警視庁・警備局長 「おい次長、ま~た逮捕状とる必要なくなったぞ。ふたたび会議続行だ。」

★          ★          ★

粗野綾子委員 「どこまで話しましたっけ?」
経務省エネルギー局長 「三種の神器で愛染は名器。」
粗野綾子委員 「うしろ半分は関係ない! ……で、神器の話でしたね。そう神器。……天皇陛下は“陛下”という呼び名でいみじくも表しているように、天上の神様のお使いとして地上に御座(おわ)します存在でありまして、ご存じのとおり“鏡”と、“剣”と、“勾玉(まがたま)”がその三種の神器です。これらのアイテムは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の命令をうけた天上の若い神様・邇邇芸命(ニニギのミコト)が、葦原中国(アシハラのナカつクニ)すなわちニッポンを統治するために高天原(タカマがハラ)に降り立った際に、天照大御神からもらって地上に持ち込んだ“統治のための魔法の道具”だったわけです。」
警視庁・警備局長 「えっ? そんなファンタジー初めて聞いたわ。『指輪物語』……ですか? それともジブリの新作アニメ?」
神社本庁・宗務局長 「バカヤロー! これだから低学歴は困るわ! おまえ義務教育でニッポン神話を習わなかったのか? 天孫降臨の神話なんて基本中の基本だぞ!」
警視庁・警備局長 「うるせぇよ、賽銭ドロボー。蝗学館を出たくらいで威張るんじゃねえよ!」
経務省エネルギー局長 「諸君! 地上10センチレベルの昆虫世界の学歴争いはやめたまえ! 粗野センセイの話をさえぎるな! ……ところで先生、アマテラスオオミカミってのは誰のことで、高天原ってのはどこにあるんですか?」
粗野綾子委員 「あんた日本人のくせにそんなことも知らないの? アーマーテラスのオオカミってのはマッカーサー元帥のことで、高天原ってのは厚木航空基地なのは常識でしょ? あんた東大出たくせにそんなことも知らないんだ。(笑)」
経務省エネルギー局長 「お言葉ですが受験科目は日本史じゃなくて倫理社会でしたから……」
粗野綾子委員 「なんだ倫社か(笑)。ゆとり受験生のハシリね。うちの亭主が文科省の審議会で実現しようとしていた“期待される人間像”ってのが、あんたみたいな“ゆとり”だったのよ。ここで出会えてよかったわ(笑)。……で、三種の神器の話に戻りますが、このように神器の正体は、サルかヒトかも判然としない類人猿やら蛮族だとか、ありとあらゆるモノノケが跋扈(ばっこ)する地上の世界、つまり神世の天上世界からみれば最底辺の地獄に派兵されたニニギノミコトが、そうした“言うことをきかないケダモノ”どもを成敗するための兵器だったと言えるわけです。現代の核技術に目をむけてみますと、三種の神器はなんといっても原子爆弾・水素爆弾・中性子爆弾ですわね。アメリカのマッカーサーだって、こういう核爆弾のおかげで日本に天孫降臨して、アーマーテラスのオオカミとして君臨できたわけですもの。」
経務省エネルギー局長 「核兵器が現代の神器として大切だということはわかりました。……けれど、だからといって皇居に核廃棄物の永久ゴミ捨て場を作るというのは、どういう理屈なのですか?」
神社本庁・宗務局長 「おい、バアさん! あんた天皇陛下が“人間原爆”だって言いたいのか? たしかに帝国海軍は“人間魚雷”を使ったけど、ここはイスラム国じゃないんだから天皇陛下のお腹に原爆をくくりつけて特攻するなんて、想像すらできないことだぞ! 文学者のあんたは淫らな想像力で、天皇陛下を特攻兵器にするつもりか? 世が世なら不敬罪だぞ、このバテレン野郎!」
粗野綾子委員 「これだから神道はダメなのよ。八百万もの有象無象の『神』とやらを拝んでいるから、こういうロクでもない奴が神官を名乗るようになるのね。神道にいま必要なのは神さまをリストラすることだわ。最終的には唯一神、ヤハヴェさまだけを残して、あとはぜんぶクビにすべきです。」
竹下屁臓 「おっしゃるとおり。シントー業界は無駄が多すぎる。船頭が多すぎて船が先に進まない。思いきって神さまをどんどんリストラすべきですな。うちの会社をご指名くだされば、不要な顔ぶれはバッタバッタと首切りにしますから、どうぞご用命を。」
神社本庁・宗務局長 「屁臓さん、あんた首切りばかりしてると天罰くらうぞ。」
経務省エネルギー局長 「ま~た話が紛糾しましたワイ。宗教がらみだとすぐ紛糾する。こんな調子だと宗教法人税を徹底強化しなくちゃなりませんな。宗教団体って心の平成のために存在するんでしょ? なのに内ゲバばかりしてるんなら破防法を適用せにゃなりませんな。」
警視庁・警備局長 「破防法ですか……。永田町番外地とか言われている窓際族部落の公安調査庁が、能なしのせいで我々の仕事ばかり増やしてくれるから、ハボーホーって言葉さえ耳にしたくないですけど。(苦笑)」
粗野綾子委員 「あんたたち小役人どもは、わたくしの話の腰を折るのが仕事なんですね。それで俸給をもらってんだから、税金ドロボーって言われても仕方ないわね。」
経務省エネルギー局長 「こりゃ一本とられましたな。どうぞ珍説をお続けくださいませ。(苦笑)」
粗野綾子委員 「もう、おバアちゃん眠くなっちゃったから、結論を言いますわね。……天皇皇后両陛下のおつとめは、日々、平和をお祈りすることですわね。祈り屋さんなんですから、どうせ祈ってもらうんなら、自分たちのお住まいの地下に保管された大量の核のゴミが、どうか安寧のまま千代に八千代に、さざれ石が大岩になってコケが生えるまで、ずっと未来永劫、つつがなく保管されますようにと、毎日毎日、お祈りしていただくのがベストだと思うのです。……ねえ皆さん、そんなにまめにお祈りしてる人がほかに日本にいますか? 天皇陛下はお祈りのプロなんですから、ここは核のゴミの永久の安寧を、陛下のお祈りに託すのが最善の策だと思うのですよ。」
神社本庁・宗務局長 「粗野センセイ、おコトバですが、神に祈るのという仕事なら、われわれ神官だってプロフェッショナルですよ! さらにいえばイスラム教徒なんて一日に5回も神に祈ってます。あんた、そんなことも知らないの?」
粗野綾子委員 「だったら出雲大社とか伊勢神宮の地下に、核廃棄物の永久保管場を作るべきだ……と、そういう理屈になりますわね。」
社本庁・宗務局長 「……えっ? やっぱり天皇さまの祈りのパワーにはかないませんわ。皇居……皇居に決定ですな。」
経務省エネルギー局長 「会場貸し出しのタイムリミットが来ましたので、ここで検討会を終了いたします。……なんせこの部屋、つぎは結婚式の控え室になるんで、我々はやく退出しなきゃならないもんで……。ハイ!きょうの結論。 皇居の地下に高レベル核廃棄物の永久保管施設を設置することにいたします。そして天皇皇后両陛下には、毎日、廃棄物の永久の安寧をお祈りしていただきます。……皆さま長時間のご検討、ありがとうございました。お帰りはタクシーを用意しておりますので、受付にてタクシーチケットをご用命くださいませ。」

(ここで会議終了)
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★          ★          ★

長谷川記者 「……ということで、議事録を棒読みすることになってしまいましたが……」
犬腰犬介アナ 「バカヤロー! あと10秒で番組終了じゃねえか! 全文読んでどうすんだ、ラジオ第2放送の『朗読の時間』じゃねえんだぞ!」
ディレクター(怒鳴り散らす声がそのまま番組に入る) 「犬介てめえキャスターのくせに何やってんだ! てめえ今日かぎりでクビだ! 地方局に飛ばされて一生ローカルニュース読んでろバカ!」
犬飢ゆうひアナ 「きょうはニュースが一本しかお伝えできませんでしたが、最後に、先ほどの検討会でも大活躍だった粗野センセイのご尊顔をごらんください。《ニュースセンター9》、明日もお楽しみに……」

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(この物語はフィクションであり登場人物その他はすべて架空のものです。
屁世滑稽新聞は無断引用・転載を大歓迎します。
ご使用の際は《屁世滑稽新聞(http://www.rokusaisha.com/wp/?p=6757)から引用》と明記して下さい。)

「福島の叫び」を要にさらなる百家争鳴を!『NO NUKES Voice』第3号発売中!

 

板橋区双葉町にある、セガサミー・ホールディングス会長兼社長の里見浩宅(写真)が銃撃を受けたのが1月14日の朝8時30分頃のこと。中板橋駅を降りて、商店街を抜けて、歩いて10分。双葉町の現場に行ってみると、まるで要塞のような威風堂々とした構えの邸宅が目に入る。

里見浩=セガサミー・ホールディングス会長兼社長宅

報道によると、「夜中に『ドン』という音がした」と、警備員から警視庁板橋署に通報があったという。里見会長宅周辺からは銃弾や薬莢(やっきょう)が見つかっており、署が発砲事件として調べているようだ。けが人はいなかった。

署によると、警備員は「午前3時半ごろに発砲音のような音を聞いた」と説明している。「朝になって銃弾のようなものを見つけた」との通報を受けて駆けつけた署員が調べたところ、門の照明1個が割れ、近くに薬莢1個や未使用の銃弾3発が落ちていたという。これまでに里見会長から脅迫などの相談が寄せられたことはなかった、と署は説明している。

◆お台場カジノ建設はなぜユニバーサルからセガサミー主導に変わったのか?

それにしても里見宅はどうして銃撃されたのだろうか。まことしやかに流れている「噂」としては、多くが推測だ。

「日本のお台場にカジノ建設がされる場合、遊技事業会社の中で、自民党にも近く、終始リードしていたのは、ユニバーサル・エンターテインメント(旧アルゼ)だったが、里見会長の娘・有紀恵さん(32)がこのほど、カジノ建設に前向きな安倍首相に近い男と結婚。この男は、経済産業省のキャリア官僚である鈴木隼人氏(36)で、先の衆議院選挙で比例区当選した。

披露宴には里見会長の肝いりで、安倍総理に加え総理経験者2人を含む多数の政治家が集まったのです。 こうしたことも手伝ったのか、カジノ建設は、セガサミー主導へと変わっていったのです」

その意趣返しで裏社会系の住人に銃撃されたと永田町のベテラン秘書が言う。だが、里見治会長は、どんなにおいしい利権の話が転がっていても、まったくヤクザとの交際の話は出てこない。

「里見会長は裏社会の輩をよせつけませんでした。出るパーティも慎重に選んでいて、『どんなメンバーが来るのか』と前もって秘書に調べさせていたほどです」(セガサミー関係者)

◆カジノ法案廃案の打撃からセガサミーと米サンズ社との間に亀裂が生じた?

そもそも、「機を見るに敏」な会長は、早くから日本にカジノが建設される場合、食い込むべく、早くから動いていた。昨年、韓国・仁川にカジノ建設を行ったがこれも日本でカジノ事業を行うときの試金石にすぎないとも言われている。

セガサミーは、韓国カジノ最大手パラダイスグループと合弁で建設した韓国初の統合型リゾート「パラダイスシティ」は、同国最大の外国人専用カジノや五つ星ホテル、韓流体験プラザなどが入り、2017年上半期にオープンする計画だ。

仁川国際空港に近接する約20万3千平方メートルの敷地に第1期の総事業費として1兆3千億ウォン(約1400億円)を投じている。航空便で1時間半圏内に集中する中国の大都市の旅行客を誘致するほか、国内客の来場も見込んでいる。

総額100億ドルに及ぶ「ライバルが太刀打ちできない」(里見氏)規模の投資方針を打ち出し、手つかずの巨大カジノ市場の日本でいち早く主導権を握ろうという思惑は、裏社会にも早くから浸透していた。すでに自民党議員らに積極的に売り込みを図っていた里見氏だが、昨年の秋に、いったんカジノ法案は廃案になり、棚あげになった。

「そこで、もっとも打撃を受けていたのが、セガサミーはもちろんだが、セガサミーに出資していたアメリカのサンズ社でしょう。もちろん、セガサミー本社も大打撃を受けた。当然、セガサミーの里見会長としては、安倍首相に『どういうことですか』と詰め寄ることになる。そのお詫びとして、娘の夫の鈴木隼人氏を、先の衆議院選挙でたいした実績もないのに、比例区の25番目にして、当選圏内に据えたのです」(週刊誌政治担当記者)

だから、見方としては(これは推測だが)サンズ社と手を組んだ闇の社会の「何者か」が意趣返しで銃弾をぶちこんだと見るのが正しい。

◆セガサミーの業績悪化はカジノ構想頓挫の余波?

セガサミーは、カジノ構想がすべったショックが響いたか、かなりの赤字のようだ。希望退職者を300名、募っている。

ZUUオンライン」では以下のように伝える。

——————————
2月12日、セガサミーホールディングスが2015年3月期第三四半期決算を発表した。売上高2,675億円(前年同期比12.0%減)、営業利益162億円(同65.1%減)、経常利益162億円(同67.0%減)、当期純利益△0.2億円となった。

同時に2015年3月期通期の業績予想を修正、売上高3,525億円(前年同期比6.7%減)、営業利益160億円(同58.5%減)、経常利益150億円(同63.0%減)、当期純利益△130億円とした。パッケージゲームの不振のほか、デジタルゲーム分野において、新作タイトルの投入時期を戦略的 に来期に変更したことなどが影響した。特別損失には、構造改革費用を含め、150億円程度見込まれている。

アミューズメント機器事業において、パチスロ遊技機が、型式試験方法の運用が変更されたことに伴い、市場全体で新タイトルの販売数が減少したことから、前年同期を下回って推移、一方、パチンコ遊技機の新台入替は比較的堅調に推移、329億円(同4.3%増)、営業利益は4億円(同2億円の赤字)となった。コンシューマ事業では、オンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』や、『ぷよぷよ!!クエスト』、『チェインクロニクル~絆の新大陸~』等の主力タイトルの他、『アンジュ・ヴィエルジュ~第2風紀委員ガールズバトル~』、『サカつくシュート!』等の既存タイトルが好調に推移したが、パッケージゲーム分野、玩具販売事業が低調に推移したほか、広告宣伝費等が増加し、売上高は827億円(同13.5%増)、営業利益は22億円(同17.3%減)となった。アミューズメント施設事業も営業損失5億円を計上する等足を引っ張っている。

同日発表された構造改革には不採算・低採算事業の整理・縮小、希望退職者300名の募集が盛り込まれている。募集人数通りの希望退職者を前提とすると、グループ全体の人件費は今期見込みと比較して年間 28 億円程度の削減効果となる。

さらにグループ内組織再編も発表、昨年10月に発表していた遊技機事業、エンタテインメントコンテンツ事業、 リゾート事業の3事業グループへの再編の一部が決定した。
(「ZUUオンライン」より引用)
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なるほど、カジノ利権を漁りたい一心で、与党にすり寄っていくわけだ。セガサミーよ、そうはうまくいかないぜ。さて、里見宅では、「周辺をうろつく黒い雨合羽の男」が目立ち始めたという。晴れているのに、雨合羽を脱がない不気味な男。まだまだ「カジノ利権とセガサミー」から目が離せない。

[ハイセーヤスダ]

より深層へ!『NO NUKES Voice』第3号!2月25日発売!

 

原子力規制委員会(田中俊一委員長)は2月12日、関西電力高浜3、4号機について、新規制基準を満たすと認める「審査書」を正式決定し、安全対策の基本方針についての関電の申請を許可した。既に「安全審査」が許可され再稼働一番手になるのではないかと警戒されていた川内原発よりも先に高浜原発が再稼働される懸念も出てきた。

忘れてならないのは「規制委員会」の審査が通ったからといって「安全」が担保されたわけでは全くないことだ。これは田中委員長自らが認めている。政府は再稼働の可否を「規制委員会」に委ねると言い、「規制委員会」は「最終的には政治決断だ」と言う。どちらも責任は取らない。責任を取れる道理がないから「押し付け合い」という茶番を選択するしかない(『No Nukes Voice』第2号参照)。

◆「当社は今『会社』としての体を成しておりません」と答えた事故直後の東電社員

まだ原子力規制委員会が「原子力保安院」と名乗っていた2011年に日本原電敦賀原発で、燃料のペレットが損傷して放射性物質が大気に漏れだすという事故があった。私は保安院敦賀事務所へ電話取材(抗議)を行い当時の所長遠藤氏をはじめ所員の方々と話をした。私は福島事故に見られるように制御できない技術を使うべきではないと主張し「原子炉即時停止ではなく即時廃炉にしてください」とお願いした。「廃炉ですか!」驚いた声を挙げた遠藤所長は典型的な官僚からはほど遠く、自身の知識で回答できない時は電話を保留にして資料を探しに行ったり、正直に「それは知りません」と回答されたり、姿勢は誠実な方であった。私との会話に1時間以上費やすことも珍しくなかった。

私は放出されたとする放射性物質の量が如何に危険なものであるかを指摘し、ベクレルとキューリーの換算方法などをお伝えした。遠藤所長はベクレルとキューリーの換算や、被爆による人体への影響や致死量もご存知なかったのでこちらからお話した。「そんなに危険なんですか、これから福島ではどのくらいの被害が出るのでしょうか?」との逆質問まで受ける始末。遠藤所長とは忌憚のない話が出来たけれども、彼は原発の安全を司る経済産業省の職員でありその辺の市民とは違うのだから、もう少し知識を備えてほしいと伝えた。「勉強します」と言っていた遠藤所長、最近取材して分かったのだが、私との電話での会話が影響したわけではないだろうが、直後に定年を待たずに退職されていた。

原子力保安院敦賀事務所の中には地元出身の方もいて遠藤所長が不在の際にはしばしば言葉を交わした「端的にこのお仕事(原子力保安院)お好きですか」と問うと「原発が無くなればこの仕事は不要ですから他の仕事をします」との回答が返ってきたこともあった。

それほどに危機意識と緊張感、もっと言えば恐怖が日常を支配していた。その感覚は至極真っ当だった。当時から危機を感じなかった関係者や、マスコミの報道に真実を隠蔽されたとはいえ、何も変わらぬ日常を安穏と送っていた方々の神経こそが愚鈍であったというべきだ。

事故直後、東京電力の社員は電話取材に「当社は今『会社』としての体を成しておりません!」と答えていた。株価は一時1円になった。

◆人類が初めて遭遇した事故の最中に私たちはいまも暮らし続けている

だが、総体としてこの国は、2011年3月11日以降の緊張感をもう忘れてしまっている。日本全滅が大げさではない危機だったあの時期を意識的・無意識的に忘却しようとしている。明白な自滅行為だ。70年前の太平洋戦争や50年程前の東京オリンピックの話をしているわけではない。現在も収束せずに進行しているわずか4年前の「福島第一原発メルトダウンと4機の原発爆発」という人類が初めて遭遇した事故の中を我々は毎日暮らしていることを再度くどいようだが認識しなおすべきだ。

再稼働議論にあたり周辺自治体の中には「避難計画が示されていない」等との疑問を呈する首長がいるが、何をとぼけたことを言っているのかと呆れるしかない。「避難」と言えばいつかは返って来られる印象を受けるが原発事故による「避難」は完全な片道切符だ。二度とその場所へは戻れない。土地が喪失するのと同義であるのに「避難計画」や「安定ヨウ素剤の準備」など全く無意味ではないか。なぜこんな簡単なことが福島で事実によって示されているのに理解できないのか。

はっきりしていることは、福島の被災者の方々を国も東電も購おうとはしていない、そして「誰も何の責任をとらない」ということだ。

国には「死刑」という「合法殺人」や「放射線による緩慢な殺人」が許される。電力会社はいかに健康被害を住民に与え、「死」を強要しても刑事罰に問われることはない。原子力に関する限りこの国は実質的に「無法状態」なのだ。

当時は頼りないことこの上ないと腹が立ったけれども、政治判断で「浜岡原発」を中部電力に止めさせた菅直人が今では立派に思える。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎円安からデフォルト──税金引上げ、年金引下げ、社保切り捨ての後の総崩れ
◎安倍「国富喪失」解散──アベノミクス失策の責任を問う選挙へ
◎2015年日本の現実──日本に戦争がやってくる
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」

2月25日発売!『NO NUKES voice vol.3』!

 

 

編集後記(松岡利康=鹿砦社代表)より

鹿児島川内原発ゲート前(2015年1月25日)

『NO NUKES voice』vol.3をお届けします。3・11から4年の直前ということもあり、vol.1、vol.2に比べ大幅なページ増(24ページも!)となりました。それでも次号に回させていただいた原稿もあります。本来なら定価も上げるところ、えいっ、据え置きました。まだまだ知名度もなく、広く多くの方々に手にとっていただくことを最優先に考えたからです。

vol.1、vol.2は、それなりに反響があったものの、発行部数が多かったこともあり大幅な赤字でした。それでも大幅にページを増やしたり定価を据え置いたり、さらに赤字を増やす危険を冒してイカレてしまったのか!?

今のところは会社も少しは余裕もあり、ははは、大丈夫、大丈夫!(苦笑)しかし、まだ余裕があるうちに黒字化に持って行きたいところです。そうしないと続きませんからね。できるだけ早く本誌だけで採算的に独立できるように努めたいものです。

vol.1、vol.2に続き今号も力作が揃いました。特に若い時から陰ながら尊敬していた水戸巌さん、高木仁三郎さんお二人のご夫人に同じ号でご登場いただけたことは、おそらくこれまでなかったことではないでしょうか。日本の反原発運動の先駆けでありながら、いろんな妨害などで孤立無援に近い闘いを持続してこられた水戸・高木両氏、今こそ私たちはお二人の想いや意志を甦らせねばなりません。

特に(私個人としても)お二人が70年代初めに関わられた三里塚闘争の意味、これが共通項になっていることに着眼していただきたいと思います。私も当時、第二次強制収用阻止闘争前後に一時期三里塚と大学(京都)を往復したりし、この第二次強制収用阻止闘争を闘いました。この体験が今に生きている思っています。あれだけシンドい闘いをやれたのだから、あれ以上の闘いはないし、どのように苦しくても頑張れる……と自分に言い聞かせてきたつもりです。

話が逸れるかもしれませんが、経済産業省前のテントひろばこそ、“もうひとつの三里塚闘争”といえ、かつて三里塚闘争に関わった方々(“老人行動隊”!? 失礼!)が多く支えていますので、これはちょっとやそっとでは潰れないと思います。

同じ時代に三里塚闘争に関わりながら、お二人の想いや意志を理解できず、結果としてお二人を孤立無援に近い情況にしてきたことが悔やまれます。

◆本誌を3号編集して、まだ3号だけですが、多くの方々にご協力賜っています。人間は統一、画一を求めるようで、同じ意見でなければ排除したり、同じ雑誌に意見の異なる人を登場させることを嫌いがちです。しかし、100人の人間がいれば100人、個性も考え方も異なります。今号に登場されている方々を見ても、脱(反)原発という点では同じでも、微妙に、いや、かなり意見が異なっています。確かに寄稿やインタビューを依頼する際、私自身の好き嫌いも否めませんが、最大限本誌は百家争鳴で行きたいと思っています。

この際、少なくとも重きを置きたいことは、まず福島の方々の生の声をできるだけ盛り込む若い世代、研究者、(ノンセクトの)活動家、アーティストら多種多彩な方々に登場いただき、まさに百花繚乱の雑誌にできれば、と考えています。ただ、政党や党派関係の方は、みずからの発表の場や媒体があるでしょうから、べつに本誌に登場いただかなくてもいいでしょう。

◆投稿欄で板坂剛さんが小出裕章先生の「私は喜んで非国民になります」との言にいたく感銘を受けていますが、これに倣って「非国民会議」を設立しようと意志一致しました。官製の「国民会議」というのがありますが、これに対抗し「非国民会議」、いいんじゃないでしょうか。しかし今、原発やオリンピックに反対したりすることは果たして国益に適うのか、むしろ逆説的に「非国民」と開き直る小出先生らのほうが、よっぽど愛国者だと思います。この期に及んでまで、美しい日本の国土をさらに荒廃させる原発推進支持者こそ、真の意味で<非国民>だ!

次号vol.4は5月発行予定です。ご期待ください!

松岡利康(鹿砦社代表)

鹿児島川内原発ゲート前(2015年1月25日)

本日発売『NO NUKES Voice』3号目次はこちら!

緊急シミュレーション:イスラム国日本潜入!「ISIL VS 自衛隊」もし戦わば…(後編)
作=青山智樹(作家、軍事評論家)

暑い。ヘルメットを砂漠の太陽が容赦なく照りつける。だが、脱ぐわけにはいかない。
ヘルメットには国籍マーク、日の丸が描かれているからだ。

ヨルダン自体はイスラム教シーア派の王の元にまとまっているが、立憲化に反対する勢力、反政府勢力、スンニ派ゲリラが入り交じっている。国連に対しては寛容だが、反アメリカ主義のアルカイダ勢力もある。政府軍や、国連軍、アメリカ軍だという理由だけで銃撃される恐れがある。

だが、日本を敵視する勢力は例外的にISがあるだけだ。もし、日本ではないと認識されたら、すぐにミサイルが飛んでくるかも知れない。

日が傾き、一日の作業が終わる。施設隊員たちは輸送車に乗り込み、宿営地に戻る。警備にあたっていた普通科も乗り込む。幸いにして今日も弾は飛んでこなかった。砂漠の中で野営することもできたが、何かの間違いで砲弾が飛んでくるかも知れない。憲法が改正されても、自衛隊が自分から攻撃するのは手控えたい。憎しみは憎しみしか生まない。現場で、凄惨な最前線を見た隊員ならではの実感だった。

だが、帰路、宿営地から工事現場へ戻れという指示が飛び込んできた。

「なんだって?」

「工事中の道路の2キロほど先に村落がある。住人は30人ほどだが、その村を今夜ISが急襲するという情報が入った。その前に住人を救出しろ」

「なんだってそんな小さな村を」

「偶像崇拝だそうだ」

皮肉にも原因は先日、C2が投下したパック飯のイラストだった。

イスラムは偶像崇拝を禁止している。仏像や、キリスト教の十字架、神道の鏡、すべて偶像として排除される。信仰の対象は唯一、クルアーンのみである。特にISの規律は厳しく、紙幣や硬貨などに描かれた人物像すら禁止である。

拾ったとは言え、食料パックにキャラクターが描かれていたら、クルアーンの教えに背いたとして死である。被刑者が女性の場合、原則として輪姦される。処女のまま死ぬと、清らかな存在として次の世界では神に近い位置に生まれ変わるとされる。ISとしては犯罪者を清らかなまま死なせるわけにはいかない。殺す前に念のために犯す。

「アメリカ軍にやらせたらどうなんです。やつらガンシップ持ってきているでしょう」

C130ガンシップ。輸送機の側面にバルカン砲、100ミリ砲を取り付け、遠距離から精密攻撃をする。大型機に高精度の赤外線探査装置を持ち、精密な攻撃が可能だ。

「偵察機は出すらしいが、相手が難民か、ゲリラかどうか判るわけじゃない。下手すると逃げてきた難民が皆殺しだ」

宿営地へ向かっていた隊列は一旦停止した。帰還する施設科と、普通科を分け、普通科は夜を待った。

日が暮れると砂漠では急速に気温が下がる。赤外線スコープで人影がはっきり目立つようになる。

村落のそばまで輸送車を進め、小隊長はどうすべきか考え込んだ。堂々と乗り込んでISが来るから逃げろと言っても信じるだろうか。逆にこちらがゲリラと間違えられて反撃される恐れもある。小さな村とは言え、紛争地帯だ。自衛のため武装してと考えるべきだ。

アメリカ軍ならどうするだろうか? 問答無用でひっくくって、難民キャンプに放り込むだろう。村人のためにはそれが安全だろうが、正解とも思えない。

「普通に突入しましょう。銃を持っている者だけ制圧すれば一時的に村を離れさせられるでしょう」

曹が進言した。昔であれば伍長とか、軍曹と呼ばれる下士官だ。言うなれば現場監督だ。

「静かにいけるか?」

「やります」

突入というと、銃を構えて歓声と共に飛び込んでいく印象がある。だが、それはアメリカ軍のやり方だ。

自衛隊では違う。そっと中の様子を伺い少人数が侵入する。武装している人間だけを抑えれば済む。一つの建物を制圧すると、無言で次の建物に移っていく。訓練でこの様子を見たアメリカ軍は陸上自衛隊を指してニンジャと呼んだ。

部隊は村落の一番端の建物から侵入した。明かりはついていないが、人がいるかも知れない。兵は赤外線探知装置で人の体温を察知して、さらに銃を持っていないのを確かめて寝ていた男に「ISがこの村を狙っている」と告げて、外に連れ出した。村の反対から見えない場所に兵員輸送車を止め自動車の影に保護する。

次々と村人が収容される。

「あと、距離で一キロほどです」

指揮車から報告が入った。小隊長は星空を見上げた。高度二万メートル、アメリカ軍の高々度偵察機グローバルホークが映像情況を送ってきている。ISはまだかなり離れている。

「もし、何事もなければ、村に帰れる」

通訳が村人たちにそう告げたとたん、闇の中に閃光が翻った。榴弾が空気を裂き落下する。遠くからさほど大きくない破裂音が聞こえる。グレネードランチャーの発射音だ。いわば手榴弾を連続発射する対人兵器だ。ISは村を丸ごと焼き払う方法を選んだのだ。

村人たちが悲痛な声をあげる。さっきまで自分たちが住んでいた村が、家が燃えているのだ。

燃える炎の向こうに銃を持った人影が走る。掃討にかかろうとしているのだ。

「逃げよう。怪我人を出すわけには行かない」

小隊長は村人たちを輸送車に乗り込ませると、きびすを返して駐屯地に向かう。到着したら村人たちは難民キャンプに寝床を与えられる。もともとは日本が災害用に準備しておいた仮設住宅だ。不便な生活を強いられることになる。

銃を降ろした曹は頭からショールをかぶった女性がまだ年端もいかない少女であると気がついた。父親らしい男の腕にすがりついている。

「おい、パック飯はないか?」

曹は積んであった赤飯を加熱剤で暖めさせると、少女に差し出した。食べろ、と手真似で告げる。パックには現地語で「ハラール」と書かれている。少女は父親に何事か問いかけるとプラスチックのスプーンで赤飯をひとすくい、口に運んだ。

曹からは目しか見えないが、嬉しそうに笑っているのが見て取れた。

戦争が起きると、被災者が発生する。前線で銃を振り回すだけでなく、逃げ出した人たちを助けるのも、重大な貢献だ。

国が軍事力を持つ最大の理由は戦争に勝つことではない、戦争を起こさないことである。

太平洋戦争から70年。一度も戦争を引き起こしていない自衛隊は世界最強の軍隊なのだ。(了)

▼青山智樹(作家、軍事評論家)
1960年生まれ。作家、軍事評論家。著書「原潜伊六〇二浮上せり」「ストライクファイター」等多数。航空機自家用単発免許、銃砲刀剣類所持許可、保有。
HP=小説家:青山智樹の仕事部屋

 

緊急シミュレーション:イスラム国日本潜入!「ISIL VS 自衛隊」もし戦わば…(前編)
作=青山智樹(作家、軍事評論家)

警察庁サイバー科。数十台のモニタが並べられ、どれもが常時、流れるような文字を写しだしている。日本中で発進されるメールが一旦、ここに集められフィルタリングされているのだ。事前に登録された「殺す」「爆弾」「FIRE」などのタームが引っかかると、弾き出される。だが、現実には他愛のない内容だ『ハードディスクが死んだ』、『炎の魔法は……』このようなタームも登録され次回から排除される。このようにして警察庁は「危険な言語」の精度をあげていく。

だが、言葉を拾い上げるだけでは本当に危険な情報は吸い上げられない。犯罪者、テロリストたちは自分たち独特の隠語を使っている。拳銃をハジキ、刃物をヤッパと呼び変えるようなものだ。新しく不明な言葉が見つけ出されると膨大なネット情報と比較され意味が解析される。多くの場合、テレビドラマのタイトルであったり、無意味な語である。

若い刑事が画面をとめて上司の警部補を呼んだ。

「数字が来ました」

画面上には無意味な数字の羅列が映し出されている。暗号だ。本当の危険な連中は普通の文章など使わない。暗号を使う。数字を文字列に移し替えて、かき混ぜる。かき混ぜ方を別便で送り再度組み立てる。

「内容を解析に回せ」

解けない暗号を作るためには、大規模なスーパーコンピュータが必要だ。そして、無理矢理解くためにはさらに高性能のコンピュータを使わなければならない。2015年現在、日本には何台もの世界最高水準のコンピュータがあり、科学研究以外にも利用を許可している。

「IPアドレスは判ったか?」

「都内のネットカフェです」

「念のため、人をやってくれ」

警察は定期的なパトロールに見せかけて随時「警察官立寄所」へ警察官を送り込む。最寄りの署か交番からネットカフェへ警官が向かっているだろう。もし、PCを扱っているのが指名手配犯であればそれなりの措置が取られるだろうし、被疑者が席を外していたとしても利用者名簿から特定して、必要であれば監視する。

日本人か、アラブ人かどうかは関係ない。2015年1月、パリの新聞社を襲撃した犯人グループにはフランス生まれ、フランス育ちの人間が含まれていた。イスラム系テロ集団に洗脳されて犯行に及んだのだ。日本でも同じ事態が発生しないとは限らない。

もし、テロ寸前の事態であれば、機動隊が出動する。日本ではここ何十年も機動隊が出動するようなデモは起こっていないが、機動隊は全員が柔道、剣道の有段者から選抜され、いまだ世界有数の暴動鎮圧能力を誇っている。

さらに先年、特殊急襲部隊SAT、スペシャル・アサルト・チームが編成された。銃器や爆発物が使用される大規模テロに対応する部隊で、防弾服を着用し軽機関銃で武装している。部隊の写真は公開されたが、隊員は全員が目出し帽で顔を隠しており、個人名も特定されていない。

SATで対応できない事態が発生した場合、自衛隊が出動する。幸いにしてSATが本格出動したり、自衛隊と共同作戦をとる事態は発生していないが、警視庁ばかりでなく各県警道警府警で共同訓練が行われている。

不幸な事実だが、日本の警察は対テロ経験が豊富だ。古くはよど号ハイジャック事件、日本の警察が介入することはなかったがペルーの日本領事館占領事件では突入訓練が繰り返された。そして、世界で初めての化学テロとなったオウム地下鉄サリン事件。
日本の警察は二度とテロを起こさせまいと努力を怠らない。

やがて、暗号解析の結果が帰ってきた。

「ISかも知れないですが、国内とは関係ないですね。日本国内の自衛隊の情報を問い合わせているようです」

海外での事件はサイバー科の手に余る。

「自衛隊に渡してやれ」

データは専用の回線で市ヶ谷に送達された。

ヨルダン首都、アンマン。航空自衛隊のC2輸送機が離陸した。機首を西に向けシリア国境をめざす。

ヨルダンはイスラエル、パレスチナ、サウジアラビア、イラク、シリアと国境を接する。予言者ムハマンドの子孫を王として戴くイスラム立憲王国国家であるが、内情は不安定である。国民の大半はパレスチナ難民か、パレスチナ難民の子孫である。イスラエルからの圧力ばかりでなく、2010年以降、隣国、シリアで発生した同じイスラムのISISの台頭が激しく、国土をもぎ取られ、もぎ取りしつつある。

アメリカを中心とする「連合」はヨルダン、サウジアラビアに部隊を配備して平和維持活動に当たっている。日本もその一翼を担うのであるが、基本的には後方支援である。普通科(歩兵)も駐留しているが、駐屯地の最低限の警備に限られ、実質的な活動は施設科といわれる土木部隊である。難民のために家屋を造り、道路を整備する。日本国内において施設科の活躍の場はないが、海外派遣されると主力となる。

日本では、やはりあまり活躍の場がないのが給養科、つまり食料担当である。

C2に乗り込んだ給養員はC2の貨物室一杯に積み込んだ携行食二型にアニメのキャラクターを次々書き込んでいる。二型はいわゆる「パックめし」でビニールパックされた何種類かの主食と副食がある。キノコ飯とか、白米、赤飯と日本語で書かれているが、C2が積んだものにはアラビア語で「ハラール」のシールが貼られている。ハラルはイスラム教の禁忌に触れない、という意味で食肉などでは動物が屠畜される際、聖職者が祈りを捧げた食品である。幸いにして日本の米食、キノコ飯などは菜食でありあらゆる禁忌に抵触しない。C2はこれらを紛争地域から脱出してきた難民の上に撒くのである。

アメリカも人道支援物資という名で難民用のハラル食、ベジタリアン食を用意していたが、アメリカ製は味に難点がある上、大量の保存料を使用しているため食べ慣れない人間が食べると腹を下す。栄養状態が悪いと命に関わる。

一方、パック飯は自衛隊員が一年以内に食べきることを前提としているので、加熱殺菌しているだけであり、味もかつてサマーワで各国の軍隊がレーションの食べ比べをした際にフランス、イタリアに次いで三位を獲得した保証付きである。

「おまえ、何しているんだ?」

「だって、子供が拾うかも知れないじゃないですか。少しでも喜んでもらおうと思って」

「まあ、いいけどな」

C2は低空飛行しながら後部カーゴドアからパック飯を撒いていった。本当なら戦車や、空挺部隊員を降ろすためのドアである。だが、紛争地域では銃より、食事の方が喜ばれる。

一方、陸上自衛隊施設部隊はアンマンから、シリア国境へ向けて道路を作り続けていた。砂漠地帯であるため、地面と同じ高さに道を作るとすぐに埋もれてしまう。ある程度の高さが必要だ。単純にアスファルトで固めるだけでも使い物にならない。太陽の熱で溶けてしまう。まさに砂漠を削るような作業だ。しかも頑丈でなければならない。いまは難民が安全な地に逃れ、給水車や輸送車が走るだけだが、ISが侵攻してきたらひょっとしたらパトリオットを引いたトレーラー、自走榴弾砲が通るかも知れないのだ。(つづく)

▼青山智樹(作家、軍事評論家)
1960年生まれ。作家、軍事評論家。著書「原潜伊六〇二浮上せり」「ストライクファイター」等多数。航空機自家用単発免許、銃砲刀剣類所持許可、保有。
HP=小説家:青山智樹の仕事部屋

2月11日、大田区総合体育館で開催されたRIKIX主催の「NO KICK NO LIFE」イベントではシュートボクシングの人気選手、RENA(及川道場)やK1で実績があるアンディ・サワー(オランダ)やノブハヤシ(ドージョーチャクリキジャパン)も参戦、おおいに盛り上がりを見せたが、意外にも「20代、10代後半のギャル世代」が多々見られた。

「ダイエットでキックボクシングをしていてはまってしまい毎回、見に来ています」という二十代OLは、都内のジムに通うこと3ヶ月。ウエストは5.5センチも細くなったようだ。ジムに通っていると思われるギャルは、それぞれジム名が入ったTシャツを着ているからとてもわかりやすい。もしくは大会のスローガンである「NO KICK NO LIFE」と銘打たれたTシャツを着ている。

「火をつけたのは、May J.だと思いますよ。かなりウエストが絞れますから。昨年の1月ごろからかなり女のコの問い合わせが多くなりました」(都内ジムスタッフ)

写真はRENA選手(撮影・堀田春樹)RIKIX主催の「NO KICK NO LIFE」より。

◆キックボクシングをレッスンに取り入れる芸能プロダクションも

地下アイドルを抱える芸能プロダクションもキックボクシングをレッスンに取り入れているところが増えてきた。

「要するに、歌って踊るときに、体を一瞬、止める場面がある。体のバランスが悪いと崩れていくことになる。それを避けるためにトレーニングとしてキックボクシングの元選手に教えに来てもらっています」(芸能スクール関係者)

大田区総合体育館の西側には、いかにもジムに招待されたようなギャルの一連が十数人陣取っており、選手の下の名前を連呼していた。

もっともギャルの声援を集めていたのは、イケメン選手の宮元啓介(橋本道場)。惜しくも判定で一戸総太(ウィラサクレック三ノ輪)に敗れたが、打たれるたびにギャルから悲鳴があがる始末だ。

案外、女性にも人気があるのはRENA(及川道場)で、エリー・ エクストゥム(スウェーデン)をまったく寄せ付けず。2ラウンドでノックアウトパンチを浴びせるRENA(及川道場)に「いけいけRENA!」と割れんばかりの声援を集めていた。また試合終了後もギャルたちが記念撮影を希望しに殺到。「強い女へのあこがれ」の視線は、彼女の鍛えた二の腕と太ももに注がれていた。

◆ボクササイズ興隆の背景

ちなみに、僕は1月から市民体育館が主宰している「ボクササイズ」教室に通っているが、応募者が2.5倍もあり、あいかわらず「ボクササイズ」は大人気だ。なにしろ10代から50代まで幅広く応募してきている。記憶するかぎり、ボクササイズのブームを始めに作ったのは、輪島功一であると思う。さらに体系化して、スポーツ医学を背景に、トレーナーを育成、「ボクシングでエクササイズ」をビジネスとして成功させたのは、じつは協栄ジムだ。

僕が教わっているレッスンも、提携は協栄ジムとなっている。
ボクササイズは、両足を広げて、連続でパンチをくり広げることで、有酸素運動となるハードワークだ。ダッキングといって、よける動作も入ってくるから、「ワンツー、右ストレート、左アッパー、はい、よけて左ストレート、ワンツー」などコーチが自らも動きながら声をだす。ちょっとした「振りつけ」だ。かなりきつく、終わると体重が3、4キロはざらに減っている。ちなみに「キックボクシング」はこれに加えて蹴りが入るから、中年にとっては、つぎの日には身体が張って会社に行きにくくなっているはずだ。

ボクササイズ歴1年の主婦が言う。
「腹筋が割れそうです。ボクササイズを始めてからというもの、早く寝て早く起きれるようになりました」

知り合いの女性カメラマンも、ボクササイズで10キロ落としているし、タレントの中川翔子もボクササイズでダイエットに成功しているようだ。

このところ、気の利いた市民体育館、もしくは行政機関が主体で、ボクササイズのレッスンをしている市町村が増えてきているので、探してみるのもいいかもしれない。なにしろ、一回につきおよそ500円程度で教えてもらえるのだから、お得なのではないだろうか。[ハイセーヤスダ]

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もうだいぶ前の話になるけれども、仕事の関係で半年間ほど外務省と「喧嘩」をしたことがある。まだ当時の日本が余り関係を持ちたくない人物についての案件で、それまで顔を合わせた事のなかった「外務官僚」と何度も交渉する機会を得た。私の相手をしてくれた主たる人々は一人を除いて東大卒のエリート(残りの一人は京大卒)だった。皆さん私よりも幾つか年上ではあったけれども、世代が違うというほどに離れてはいなかった。

◆「チャイナスクール」は実在する

たまたまか、あるいは必然だったのかその方々は全員「チャイナスクール」系列の方々だった。「チャイナスクール」とは外務省入省後2-3年程度語学研修を主として中国に滞在した経験のある人々を意味する。彼らのほとんどは語学力だけでなく「政治的」思考の影響も受けて帰国し任務にあたる、と産経新聞あたりは決めつけている。でも、「チャイナスクール」出身者の多くはその後米国、若しくは英国で同様の期間研修兼、実務を経験する。

最初の交渉相手は外務省の某課、課長補佐だった。電話でアポを取り、関西から外務省に向かうとパーテーション区切られた打ち合わせスペースに案内された。分厚い近眼メガネをかけた課長補佐氏が出てきた。名刺を交換し、こちらの相談、依頼事項を告げると表情を変えずに「少しお待ちください」といってどっかに消えていった。近眼メガネ氏はもう一人少し下腹が出た人間と共に戻ってきた。彼がその課の課長だった。彼の年齢を今から考えれば40前後であるから、出世する中央官庁のエリートは、本当に飛び石のように階段を上がっていく。

「お話は承りました。こちらの要請に沿って進めて頂ければ、何とかならないことはないです。でもお願いしなければいけない内容がかなり多いですよ。クリアできますか?」

口調は丁寧だが、こちらを試していることは明らかで、しかも舐めきっている。私も外務省に出かけるのにアロハシャツとジーンズという姿で訪問しているので、舐められても仕方がなかったのかもしれないが、私自身というよりは私の勤務先である大学の力量を軽視した発言としか取れなかった。

「なにぶん経験もありませんし、ご指示やご指導には全て従うつもりですからよろしくお願いいたします」

としか言い返すことが出来なかった。

かくして、半年間の「喧嘩」が始まった。

◆言いがかりに近いような難題半年間の「喧嘩」

私たちが画策していたのは中国が敵視するある有名な仏教指導者を大学に招こうという計画だった。

「チャイナスクール」は実在するんだなー。と思い知らされたのは「喧嘩」の最中ではない。当初の「通告」通り課長補佐、課長氏はこれでもかこれでもか、と無理難題を投げかけてきた。こちらは意地になるから彼らの出す難問にも何とか準備をして答えた。それでもまた言いがかりに近いような難題を押し付けてくる。ある時私は我慢が限界を超えた。

「わかりました。今からお伺いして詳細を説明しますよ。いいですよね」

そう電話越しに伝えると、日常業務を同僚に頼み新幹線へ急いだ。外務省に着くと近眼メガネ氏が応対に出てきた。

「Aさん。ご要請には全て応じていますけど、今日の話は嫌がらせですよね」
「心外ですね。そんな言われ方をすると。我々はあくまで我が国の外交戦略に基づいてお願いをしているだけですよ」
「何言ってるんですか!それなら前に提出した計画書に全て網羅されているでしょ。え!だいたい貴方たちのような世間知らずの官僚は自分が国を動かしていると勘違いしてますよ。その分厚い眼鏡!鏡で見たことありますか!そういう姿と物言いを『官僚的』と言うんだ!わかりますか!」

私は怒鳴りはしなかったけど、少し大きな声で彼に食って掛かかった。話の内容はともかく自分の容姿や物言いを批判されたのはA氏にとっては驚きだったようだ。

その後「喧嘩」が終わるとA氏も、課長氏も仕事としてではなく、個人として打ち解けて付き合ってくれるようになった。

◆「日本人には国民としての自覚がない」という官僚A氏の価値観

後年、たまたま上京中に時間が空いたのでふとA氏のことを思い出し、電話をしてみると時間を割くから会いに来ないかと言ってくれた。

霞が関のあるビルでA氏に会ったのは初体面から10年近く経っていた。でもA氏どこか以前と印象が違う。

「お元気そうですね、それにお若くなられたようですけど」
「ええ、田所さんに『その眼鏡姿が官僚的』と言われたのがショックで、レーシック手術を受けたんですよ。眼鏡要らなくなりました」
「(えええ!)」

今は思い出した順番に事実を書いているので「その眼鏡!」と私が言ったと書けるが、実はその日A氏から指摘されるまで長年忘れていたことだった。手術を受けさせるほどショッキングなことを言ったのか反省とをした。

彼は外務省からの出向で官庁の中でも中枢部にいた。

「いやー日本の国民は分かりませんね」

「どういうことですか」

これ以上の内容を詳述すると現在彼の所属が分かってしまうので内容は曖昧にするが要は、「日本人には国民としての自覚がない」、「中国や米国の方が国家としては優れている。国民の意識もそうだ」、「時々日本人として恥ずかしくなる」・・・と言う愚痴だった。

A氏は勿論右翼ではないし、左翼でもない。米国が優れていると言い、中国も優れているという。うーん?米国と中国はあらゆる意味で随分違うように思えるのだけれども、A氏の頭の中では両方評価に値する国だという。

「体制は違いますよ。でもね、中国も、アメリカも国民が国に誇りを持っているんです」

そうか、それはそうなのかもしれない(私は同意しないけども)。A氏の価値観においては、国のあり様ではなく、「国民がどれほど国民であることを自覚しているか」が尺度となっていると分かった。

この不可思議な感覚は今某国で大使を務めている元課長氏にも聞いたことがあった。

「国民が国民である意識」

A氏の事も、元課長も人間としては嫌いじゃないけども、やはりこの考えに私は馴染めない。要は「国家主義」の言いかえではないだろうか。この2人に限らず外務省に勤務する人からは何度か同じニュアンスの話を聞いた。

私と彼ら。仲良くしてもらっても考え方の乖離は埋められそうにない。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

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どこもかしこもメディアはイスラム国(ISISともISILとも呼ぶ)の悪辣さを報道しており、関係者はコメントでひっぱりだこだ。

イスラム国は「国ではない」。もともとは英名でIslamic State in Iraq and al-Shamと表記される。名称に「ステーツ」を含むため「国」と訳された。USAと同じ基準である。現在では略号としてISIS、ISILと呼称するようになって来た。ある組織が「国」と認定されるには国連の承認を含めいくつかの条件を満たす必要があるがISISは「国」としての体裁をなしていない。

では、実態はなにかというと、無数にあるイスラム系宗教集団の一つにすぎない。特徴としてイスラム回帰主義がきわめて強く、同時に闘争的である。

イスラムというと日本人にはなかなかピンとこないが、歴史的にはキリスト教以前、ユダヤ教から別れた一派である。ユダヤ教では旧約聖書を聖典とするのに対して、キリスト教ではイエスの言葉を集めた「新約聖書」、イスラムではムハマンドが神の啓示によってあらわした「クルアーン」(コーラン)を聖典とする。いずれもアダムとイブが人類の祖であり、呼称は異なるものの、崇める神も同一である。

イスラム教徒が住む地域はアフリカから、中東、アジアにかけて非常に幅広く、様々な宗教集団、主義主張が存在する。インドネシア、マレーシアはイスラム教国であるが、戒律は緩やかで対立も少ない。逆に激しい環境に面しているのがパレスチナであろう。イスラエルと国境を接し激しい戦闘を繰り返している。また、アルカイダなどは反米を掲げ、アメリカを攻撃の対象に据えている。その分、日本に対しては対米共闘を持ちかけるなど、寛容である。

ではISISの目的は何か? 世界中のイスラム教徒をイスラム法の下にまとめ、大イスラム帝国を再編するいわゆる「カリフ制」の復活とムハマンド時代の再建「サラフィーヤ」の実現である。誇大妄想的に聞こえるかも知れないが、現在の中東の国境線は第二次大戦後、戦勝国によって引き直された物であり、その土地に住むムスリムが合併しようとする動きはあり、なにもISISの専売特許ではない。しかし、ここにきてISISが注目されているのは、その軍事力と大きな発展、目的のためには手段を選ばない残虐性である

ISISはシリア内部で発生した。中核は旧イラク・フセイン大統領のスタッフであるという。軍人、政治家など実務経験がある閣僚級の人間が温存していた兵器、兵士を中心にして新興勢力を立ち上げたのである。正規軍として実戦経験を持ち、国家予算並みの資金、正規軍に準ずる装備があれば一時的に圧倒的な発展が期待できる。しかし、一定期間が経てば国内のインフラは不備、海外との交易もなく、経済的に追い詰められる。人心も離れる。国際的に考えても、日本は敵に回すべき国ではない。

軍隊は送ってこない。来るのは金と物資だけ、だが日本にケンカを売ったと言うことは、内部情況が相当逼迫していると見るべきである。いま、ISISは下り坂を転がり落ちている。

そんな苦しい情勢下で、彼らは乾坤一擲のテロを狙っているようだ。

オーストラリアのシドニーでテロを計画していたとして20代の男2人が警察に逮捕されたが、この2人は「イスラム国」関係者だとされている。

これだけでなく、スパイの動きは活発だ。別ラインでは、世界の各国にイスラム国関係者が潜入して、「兵器開発」のための情報を集めているようだ。
エジプトにいる外電記者は語る。

「イスラム国の幹部たちは、アメリカが地上戦を展開する情報を掴んだようです。対抗するためには、仮に自爆するにしても、『核』をもって対抗しないと、もはや空爆してくる連合軍に勝てないと判断したようです。石油でもうけた金を使って、自分たちが生き残る道を画策、あらゆるルートを駆使して探した結果、『北朝鮮の核開発チームが売ってくれる』となったようです」

もし事実なら、現在の勢力図がひっくりかえる話だが、疑問がある。本当に北朝鮮は核兵器を開発したのだろうか。一説には、パキスタンの核開発の父と呼ばれるA・Q・カーン博士が何回も北朝鮮に入り、技術協力していた。「すでに完成している」と見るむきは多い。

また、軍事評論家の青山智樹氏は言う。

「北朝鮮は間違いなく、ウラン濃縮技術を持ってます。イスラム国に供与の可能性もありますが、核兵器自体、高価であり、運用法も限られます。つまり、イスラム国が北朝鮮のようにミサイルを作れないと、普通は無理。ただし、自爆兵器としては、トラックでも使えるのです」

青山氏は、「核兵器よりも、シリアのアサド政権が化学兵器をイスラム国に売っているのではないかという疑念がぬぐえない」とも語る。

今もなお、ヨルダンやアメリカ空軍の空爆は続いているが、「イスラム国の主要なメンバーはもう海外にとっくに脱出している。残っているのは、幹部に見捨てられた若い兵士や、貧しい部族だけ」(外電記者)という情報もある。

怖いのは、「ジハード」の名目で、たとえばニューヨークあたりで、化学兵器をばら蒔かれることだ。「もしイラクの軍隊から技術が伝わっているとすれば、少なくとも1万人くらいは殺傷できる化学兵器を、イスラム国は持っている可能性は強いです」(同)

イスラム国が「石油の密輸で潤っている」と情報を聞きつけて、昨年の11月あたりから武器のブローカーが欧米や中東から大量に「セールス」にやってきていた。そうした中で「化学兵器」や「核兵器」のセールスがゼロだった保証はない。

一見して状況として「完全に不利」に見えるイスラム国は、「最高のカード」で勝負、一発逆転を狙ってくる日は近いのかもしれない。
[ハイセーヤスダ]※取材協力=青山智樹(軍事評論家)

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国土の広さなどの要因で全部の国には該当しないけれども、一般に経済成長を遂げた国ほど人口は増えない傾向にあり、貧困に苦しむ国ほど多産である。貧しい国では衛生状態の悪さや、栄養不足で乳児死亡率も高いが、たくさん赤ちゃんが産まれるから結果として人口は増えてゆく。

◆日本の少子化に拍車をかけた3.11以後の状況

日本は精一杯経済成長を遂げたので教育費や住居費が高騰し、それに対して若年層の収入は一向に増えないから、子供を産み育てるどころか、家庭を持つことすらに諦めを感じている20代、30代が少なくない。幸運にも結婚ができても、放射能被害に敏感な人は出産をためらうだろう。

放射能被害を心配しないで生活が出来た(2011年3月11日前)から、経済的要因以外に子供を欲しいと願ってもなかなか実現しない悩みを抱く女性の数は潜在的に多かった。現実にどれくらいの割合で女性(あるいは夫婦)が不妊に悩んでいるかと言えば、国立社会保障人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」(2010年6月)によれば6組に1組とされているので約17%となるが、私の知る産婦人科医や複数の医師の話を総合するとこの数字は実態の「半数ぐらいではないか」という。

不妊の定義は「通常の生活をしていて2年以内に妊娠しないこと」となっている。産婦人科医は妊婦さんのだけでなく、不妊に悩む女性の治療にもあたるので、受診者、治療者の数を数えれば不妊の実態がわかる。不妊治療を受けている女性の数は現在50万人と言われているが、これも実態より大幅に少ない数だと推測される。

臓器移植などで有名な関西のある病院の産婦人科医は私に「今生まれてくる子供の4人に1人くらいは不妊治療のお蔭でしょう。広義の不妊治療には人工授精なども含みます」と教えてくれた。とすると25%の子供たちが最先端医療技術が無ければ生まれてこれなかったことになる。

不妊に悩む女性やご家族には、これほど不妊の数が多いということを是非知って頂きたい。今日でも女性は「産むための装置」との考えは依然根強く、都議会で自民党議員は「なぜ産まないんだ!」との罵倒を女性議員に浴びせた。子供が出来ない女性への風当たりは身内からも陰に陽にプレッシャーとなる。でも、不妊はもう珍しい現象ではなく4人に1人という時代になっているのだ。

その原因が大いに気にかかるところだが、残念ながら明確な科学的結論は今のところ確認されていない。

◆毎年約22万人づつ減少する日本社会を受け入れる

分かっているのは、年々不妊の女性(あるいは夫婦)の割合が増加しているということのみだ。

とすれば、この国に独特な因子が原因となっているだろうことは推測できる。子供のころからの食べ物、生活のあり様(運動時間や睡眠時間)、体格の変化などが影響しているのだろうか。明言は科学者ではない私には出来ないが、一つだけ推測できる仮説がある。

個体として不妊をとらえると、その人の体の分析により回答を見出すことになるが、この島国全体の人口増減と食物の生産量を考慮してみるとどうだろうか。

日本の総人口は総務省の統計によると、1億2712万2千人(2015年8月1日)だ。毎年約21-22万人づつ減少している。減少の割合は今後加速化し、2030年頃には1億人を割り込む概算だ。でもこの計算は幾分政治的である。上記で述べたような不妊の実態や、ましてこれから多発確実な放射線被害による人口減少は当然含まれていない。

私の暴論だが、生物としてこの島国に住める数を人間は超過してしまっているのではないだろうか。それを感知した生物「ヒト」属が総体としてこれ以上個体数を増やす事を抑えるために何らかの回路で人口抑制(妊娠の難化)にスイッチがオンになったのではないだろうか。

生物は生きる上で空気と水そして食物が欠かせないが、例えば東京都の食物自給率は0%だ。食べるものがないところに生物は生きられない。例えを動物にとって恐縮だが、ウサギやネズミもある特定の地域で個体数が増えすぎると理由不明な多量死が起きることはよく知られている。

この島国で生きながらえようとするのであれば、面積に応じた人口と食物自足をバランスよく実現するのが肝要なのだろう。

それは「経済第一」や「景気回復」といったフレーズと正反対にある思想だ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ

◎渡辺昇一の「朝日憎し」提訴原告数が「在特会」構成員数とほぼ一致
◎日本の「新幹線」輸出で最初から破綻が運命づけられていた台湾高速鉄道
◎粗悪な食文化の伝道企業=マクドナルドの衰退は「自然の理」
◎リクルートの「就活」支配──なぜ国は勧告指導しないのか?

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