現在、私は韓国の某地方都市にある大学に語学留学をしています。世界中から同じ目的の仲間が集まっています。が、これがまたドイヒーな状態です。
「先生、おしっこ!」
「先生、水!」
そう言って授業中にすっくと席を立ち、教室から出て行こうとするのはアメリカ人やカザフスタン人。恰幅のよさがマツコ似のウクライナ人女性と、お付きの者にしか見えないほど激ヤセしているキルギスタン人の青年は、ほぼ毎日「歯が痛い」「お腹が痛い」と言って授業を休んでは、ランチタイムになると絶好調の姿を見せて談笑しています。そんな彼らを先生は目撃してしまい、「あの子たちは歯が痛い、お腹が痛いと言うけれど、私は頭と心が痛いわよ」と、ため息をついてました……。元気出して……。
また私の答案をちょいちょいチラ見する中国人の男性は、ある時先生が「じゃあ今説明したところで文章を作って、発表しましょう~」と言った瞬間、机の上に置いてあった私のカバンを払いのけてまで急接近! ノートを覗き込んで答えを写そうとするものの、訳文を日本語で書いてあるのを見て、すごすご引き下がることもありました(中国語で書くわけがない)。またハングルがひとつもわからない状態で来てしまった別の中国人男性は、毎日机の下にスマホを隠し、勉強そっちのけでゲームに興じておられます。
そして私自身、下宿よりも安いという理由で学生寮に入ってしまったのですが、これも大失敗。深夜までロシア語による「ダバーイ!」などの雄叫びが響いて、正直寝るどころではありません。まさに世界中から、『ゆとり』が集まったと言える環境です。
ただそんな中でも日本の皆さんは、比較的真面目に勉強している姿が目につきます。中国やロシアの留学生の中には応じたら負けだと思っているのか、こちらがにこやかに挨拶してもガン無視するのも結構いるのに、彼ら彼女らは自分から挨拶する人も。
しかしいつも同じ仲間と一緒にいて「それ以外とは絶対関わらない!」といった空気を醸し出している集団もいるし、わからないと思っているのか、でかい声で「ちんちん!」と日本語で叫んでいる青年もいるので、「日本サイコー!」とは、間違っても言えない状況です……。
日本にいた数か月前まで、いわゆる『ゆとり」』は日本固有のものだと思っていました。世界の若者はもっとしっかりしていて、自分を持っていて、真面目に日々を生きている。
しかしそれは思い込みでしかないということを学んだのが、一番の成果かもしれません(嬉しくない)。
この先、『ゆとり』君たちは変わっていくのか、それとも『ゆとってる』まま本国に戻るのか。勉強がてら観察することにしたいと思います。
▼サ・ウナ
韓国の地方都市にある某大学に留学中の女子大生。世界中から来ている学生たちによる、ミックス言語で繰り広げられている「かわいい~」「○○さんかっこいい~」「○○が××のことを好きだって言ってたよ~」などの会話に、日夜イライラしながら学業に勤しむ25歳。
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