今年ももうすぐ8月15日がやってきます。日本では終戦記念日ですが、韓国では「光復節」、つまり日帝支配の36年が終わり、再び光を取り戻した日でもあります。今年は70年目の光復節ということで、祝賀ムードが盛り上がっています。なぜかアパレルブランドでは「光復節70年を記念してオックスフォードシャツが特別割引!」などと、よくわからない光復節バーゲンまで起きる始末です。
そんななか私は、ソウルから約1時間の天安という街にある「独立記念館」に行ってきました。天安は1919年の3月1日に起こった独立運動の分岐点となった場所につき、全斗煥政権真っただ中の1987年5月に建てられたそうです(と、パンフレットに書いてありました)。全斗煥政権といえば市民を虐殺した光州事件の張本人。まあなんというか、日本人にとってもあまりいい空気を吸える場所ではないことは、容易に想像できます……。
当日はマジで熱中症5秒前(古いネタでごめんなさい……)の日差しのなか、かつての朝鮮総督府の部材が転がる公園を左手に眺めながら、これでもかと飾られている太極旗を横目に、7つもある建物のうちの「韓民族のルーツ」というところから見学をスタート。「高句麗」や「李氏朝鮮」など、韓流ドラマでもおなじみの時代について知ることができます。でも、わりと普通……? しかし「漢民族の試練」と銘打たれた第2館あたりから、乙巳条約や慰安婦など、日帝がいかに韓半島を支配してきたかについて、「これでもか!」という程知ることができます……。さらに進んでいくと独立運動家や朝鮮語学会の会員が日帝からどれほどむごい拷問を受けたかの蝋人形コーナーなどがあり、能天気な人でも一気に気持ちが沈むこと間違いなしです。
そして最も力を入れていた(と思われる)のが、植民地時代の独立運動家である金九について。あちこちに大村崑よろしく丸メガネをかけた蝋人形が飾られていて、まさに金九先生祭り状態です。同じく独立運動家として知られる柳寛順の扱いが彼に比べるととても少ないのは、うら若き女性だからでありましょうか? なんというマチズモ施設! と思ったら、割と近くに彼女の記念館があるようです(今回は訪ねる時間なし)。また安重根や、日本の歴史教科書を批判する映像コーナーがあるなど、その筋(どの筋かはあえて言いません)の人が見たら、怒り出しそうなアロマが漂っていました。
しかしそのVTRを最後まで見ていると、「東アジア各国に平和共存と 共同の歴史認識を模索し ともに生きていく隣人として正しい歴史認識に向けて努力を惜しんではならない」とありました。「言いたいことは色々あるけど、日本と韓国はともに生きていく隣人だ」という考えはしっかり持っていることがわかりました。
日本では最近、日本賛美色が強い育鵬社の歴史教科書を採択する自治体が増えつつあるとの報道がされています。主張や解釈はそれぞれあるかもしれませんが、事実はひとつしかありません。それを踏まえた上で意見をぶつけ合わない限り、なかなか隣人としてともに生きていくことは難しい。侵略へのおわびが盛り込まれるのかについて韓国でもニュースになっている、安倍談話がどうなるのか私もチェックしたいと思います。
▼サ・ウナ
韓国の地方都市にある某大学に留学中の女子大生。世界中から来ている学生たちによる、ミックス言語で繰り広げられている「かわいい~」「○○さんかっこいい~」「○○が××のことを好きだって言ってたよ~」などの会話に、日夜イライラしながら学業に勤しむ25歳。
《韓国特派員・ウナの留学日記》
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