北の湖前理事長の協会葬(大相撲協会が主催)が12月22日13時からおごそかに行われた。一般参加は14時からだが、すでに13時30分から長蛇の列。3人ずつ、順番に入るように係員に誘導される。

「憎らしいほど強い」と言われた北の湖がこれほど愛されていたのか、と思うほどの長蛇の列が駅のホームからでもわかるほどの混み具合だ。 葬儀に先立ち、関取衆や親方らが同国技館の正面入り口に整列して遺骨を出迎えた。祭壇には、りりしい表情をした遺影が飾られた。

「こんなに整理しにくいほど人が来るとは想像もしていなかったです。警備員を増やしておいてよかったです(警備員)」というていたらくだ。およそ2500人を超える一般葬列者は、年齢層では、50歳以上の老年がほとんどだ。

ややうららかな日ざしの中、50分ほど待つと、焼香の列がようやく動き始めた。午後2時すぎ、ようやく少しずつ葬儀会場に人を入れ始めると、中国人らしき観光客が騒ぎ始めた。大声でゲラゲラ笑い、冗談を連発しているようにも見え、すでに酔っている。

遠目で見ると、警備員が「静かにしろ」と声を張り上げている。よく見れば、男女全部で8人ほどの集団が、騒いでいるようだ。そのうち、数人の男女が奥のほうに連れて行かれた。

「大量に電気製品を買いに来たインバウンドですよ。ツアーの最後の日程で『人気力士、北の湖の葬儀』というイベントに物見遊山で来たのでしょう」と葬儀役員。
「こんなおごそかな雰囲気で、日本の国技なのに、どういう了見で葬儀にやってきたのだろう。ぶちこわしだ。早く追い出してほしかった」(参列者)

森喜朗元首相、亀井静香氏らの政治家、プロ野球では巨人の原辰徳前監督、ヤクルトの若松勉元監督、元中日の山崎武司氏らが参列。女優の中村玉緒、タレントの林家ぺー、元力士では北の富士、朝青龍、3代目若乃花の元横綱らも焼香し、お別れを偲んだ。

結局、集団でつまみ出された中国客インバウンドたちは、姿を消したが、「できれば来てほしくなった」(ファン)という声も。どこぞの中国旅行社がこのイベントを案内したのかは定かではないが、ああいう客を呼び込んでしまったのは『勇み足』というところだろう。そして、最近は大相撲に、中国人の客がやたらと多いが少なくとも、今年はルールを守っていただきたいものだ。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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