どうやら鹿砦社は反原連とは袂を分かったので、どうやって反原発というものを表現していくのか僕なりに悩んだ。しかしやはり自分が見たもので、なおかつ「心にとどめたい」事件については、記述を続けていこうと思う。

報告が遅れたが、昨年10月25日に福岡で行われた勉強会「玄海原発再稼働をSTOP!させるには」(戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会)に招いていただいたので、その様子をレポートする。

◆原発周辺の住民を抱き込んでいく九州電力と推進派

川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長(2015年10月25日)

まず、川内原発建設反対連絡協議会の会長である鳥原良子さんが、
「原発2基による交付金と固定資産税など薩摩川内市における1・2号機による経済効果は30年間で約1700億円と試算し、定期点検による商店街の経済効果は、年間5億円にもなると商工会は述べている。市の財政は、原発による交付金財政比率は2%にも満たないのです。それなのに原発依存から抜けられない町作りをしている」と指摘。

また原発推進側が、工作を激しくしている姿も浮き彫りに。
「金にものを言わせて、ただで飲める飲み屋、タクシーもタダにするなど、九州電力と推進派は続々と、とくに原発周辺の住民を抱き込んでいきます。久見崎町の女性ふたりだけが反対運動に最後まで関わりましたが、地域の中で孤立させられて、しかも2人については、お互いの悪口を吹き込む工作をして、分断させました」

このほか、鳥原さんは貴重な証言をしているが、折々に触れて紹介していきたい(別にもったいぶっているわけではない。次から次へと「推進派」がアホなことをやってくれて、書くべきことがあふれているからだ)。

◆原発輸出に向かう東芝の墓穴

頭をバットで殴れたような衝撃が走ったのは、中国企業、つまり原発メーカーが輸出拡大を狙い、日本の複数の大手電機メーカーと極秘に接触、原発輸出での協力を打診していたという毎日新聞のトップニュースを見たからだ。

この報道は、12月30日の新聞だったが、年末で心も体も癒したいのに、実はとても不愉快な気分になった。こうした話が、新しい日中交流の場として、「日中企業家及び元政府高官対話(日中CEO等サミット)で行われたのも腹がたつ。そもそも、文化や産業のお互いの未来ある提携の場所ではなかったか。中国の原発メーカーが暗躍するために、この場が設定されたとするなら、政府は責任をとるべきだ。

「玄海原発再稼働をSTOPさせるには」(戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会主催。2015年10月25日)

さて、話をもとに戻す。参加したメンバーの中に中国側として大手原発メーカーの2社のトップ、中国核工業集団の銭智民社長と国家電力投資集団の王炳華会長の姿があった。日本でのわずか数日の滞在期間の間にこの2人の「中国を原発まみれにしたい」経済人は、「海外での原発建設に力を貸してほしい」と日本の大手電機メーカーに原発輸出での協力を打診しまくっていたというから恐れ入る。

「電力投資集団の王会長は、電力大手のJパワー(電源開発)と日立、東芝も訪問していたと聞く。とくに東芝は不正会計で足下が危ういのに、原発メーカーの中国からのメッセンジャーと技術協力の話に応じているとは。1万人のリストラが断行される裏で、ふたたび〝悪夢のエネルギー〟の増幅を謀るとは、もはや天に唾するメーカーであり、福島の被災者にケンカを売る行為ですよね」(地方紙記者)

東芝よ! どこまでも悪魔に魂を売って口に糊するのか。全社員は、福島の原発被災者ひとりひとりに土下座して懺悔せよ。

さあ、そしてこの二つのふざけた中国の原発メーカーの動きは、〝悪魔の画策〟として注視していこう。そして、機会があれば、この九州での貴重な「脱原発の勉強」は、僕が九州で観光地を訪ねた記録とともに、ここで紹介していきたい。もんじゅの廃炉も検討されているようだが、これについても僕は追跡する。
「原発推進」の旗を、やつらが降ろすまで、僕のレポートは続くだろう。

(小林俊之)

2月25日発売!『NO NUKES voice』Vol.7!

清原和博容疑者が覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕されて「恩恵」を受けているのは、マスコミが群がってきている不倫騒動のベッキー、川谷絵音(ゲスの極み乙女。)と並んで、SMAP分裂騒動でスポーツ新聞をはじめとして集中報道されたジャニーズ事務所だろう。

「清原逮捕の一報を受けて自宅周辺に毎日、記者の姿を見かけてうんざりしていたメリー喜多川副社長は逮捕の翌日、『ホッとしたわよ。神様、仏様、キヨハラ様よね』と側近に漏らしたようです。ですが、側近のスタッフがSMAPの中居(正広)がゴリ押しで自分がMCの番組『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS・去年の4月3日放映)に淸原を呼び、予定調和の『お遍路シーン紹介』とお涙ちょうだいの『薬はやっていない』『息子がいなかったら、この世にはいなかった』『自殺しようかと思ったけど子供たちのためにがんばる』と、淸原の復帰を訴えるといっても言い過ぎではない〝PR〟タイムをつくってしまった事実の功罪をマスコミに突かれると聞いて不機嫌になってしまったようです」(芸能記者)

淸原逮捕の報道以降、スポーツ新聞や週刊誌記者は蜘蛛の子を散らすように消えていった。

「SMAPの元マネージャーの飯島三智のマンションの張り込みも、SMAPのそれぞれのメンバーの自宅の張り込みも解除して、淸原の周辺の取材に有力な記者をつぎこむ体制に変化しました」(週刊誌デスク)

そんな中、スポーツ新聞記者によると「連日、SMAPのマネジメントについては会議で方向性が吟味されている」との話がある。

「ですが、メリー喜多川副社長は、SMAPについては、木村拓哉以外のメンバーにはまったく興味がないらしく、〝美魔女〟と呼ばれる新マネージャーがスケジュールと仕事の内容を説明してもまったく聞いていない様子だそうです。あきれた娘のジュリー喜多川副社長が『マミー、聞いていますか?』と何度も確認したほどだそうです」(スポーツ新聞記者)

ところが木村拓哉についてはメリー副社長は「本人の希望もあるけど、映画のほうに徐々に仕事をシフトしていったほうがいい」と積極的にアドバイス。

「まあ、今回の独立の騒動ももちろんだけど、メリー副社長は自分自身でおっしゃっているように『私は白馬の王子様タイプ以外は興味がない』としているので、木村以外の4人は、日常から関心がなかったのでしょう。今となってはそう考えざるをえません」(同)

果たして、一時期は積極的に飯島氏と4人をつるし上げるようなネタをマスコミにリークしていたとも言われるジャニーズ事務所。メディア相手に手練手管を使う幹部たちはしたたかだ。もしかして巷に流れる淸原関連のニュースのネタ元…という可能性は…ゼロではない。

(伊東北斗)

◎小保方手記本で再び高まる早大理工学部への「風評被害」
◎誰もテレビを見ない時代が到来する?──テレビが売れない本当の理由
◎反原発の連帯──来年4月、電力は自由化され、電力会社を選べるようになる

ジャニーズ50年史―モンスター芸能事務所の光と影

「このベルトは俺のものだ、誰にも渡さない」
「いや、そのベルトは俺が頂く」

JBC認定日本Cベルト。初代コミッショナー名入り(後楽園ホールに掲示中)

タイトルマッチを行なうチャンピオンベルトを争う舌戦で、ボクシングでもキックボクシングでも、こんなやりとりが昔からありました。また単にチャンピオンの象徴だけでなく、チャンピオンベルトも時代とともに美しく進化して来ました。古き良きものもあり、そこに注目する価値も生まれます。

◆チャンピオンベルトは持ち回り制か?

現在のJBC認定日本Cベルト。IWGPに似た形(掲示中)

チャンピオンベルトは持ち回り制という形で、挑戦者が勝ってチャンピオンは陥落した際にそのベルトは新チャンピオンに回ってくるのが一般的で最も分かりやすい流れですが、そのシステムが機能しているのが、現在のプロボクシングJBC管轄下の日本タイトルで、キックボクシングの各団体でもこの持ち回り制になっているところがほとんどです。

このシステムの上では「誰にも渡さない、いや俺が頂く」対話は成り立ちますが、「チャンピオンベルトはその代のチャンピオン個人のもの」と限定される場合が存在します。

これは一般ファンの方から観れば一見不可解に感じられるかもしれませんが、昔から存在する形で、プロボクシングでは現役当時、具志堅用高が巻いていたベルトもガッツ石松が巻いていたベルトも皆当時の世界チャンピオンがすでに名前入りで個人所有するものでした。後援会から贈られる場合がほとんどと思われます。WBAやWBCの認定団体から贈られるものではなかったのですが、後にこれらの認定団体が造るベルトが存在し、渡されるようになりました。

WBC山中慎介&WBA内山高志 2014.1.24

◆数万円から十数万円でチャンピオンベルトを購入する現実

現在の世界戦では、挑戦者が勝った時点で、リング上でそれまでチャンピオンだった側のベルトを渡されて腰に巻き、控室に帰ってから前チャンピオンに返し、その数日~数週間後、新チャンピオンは認定団体から新しいチャンピオンベルトが送られて来るのを待つということになります。

この場合、チャンピオンベルトを買うことになるようです。それはその選手の知名度によりますが、数万円程度から十数万円と言われ、何か納得いかない気もしますが、ベルト造るにも経費と手間が掛かり、これが現実でしょう。

◆一生自分のものとして手元に置いておけるムエタイ二大殿堂のベルト

ムエタイ、ルンピニースタジアムCベルト。サガッペット・イングラムジム所有 2006.6.4獲得

これはムエタイのルンピニースタジアム、ラジャダムナンスタジアムでも同様のシステムです。「お前のチャンピオンベルトは俺のものになる」と言う挑戦者がタイ国にはいないと思いますが、その固有のベルトは相手に渡らず、ムエタイのベルトは選手個人名(リングネーム)が刻まれるので、正に一生自分のものとして手元に置いておけます。

ムエタイ、ラジャダムナンスタジアムCベルト。ジョイシー・イングラムジム所有 2013.7.4獲得

どの競技も団体乱立が進み、各王座ベルトのデザインも派手になったり、大きくなったり変化がありました。しかし、ムエタイ二大殿堂のラジャダムナンスタジアムは創設70年の歴史を持ち、若干のデザイン変更はあるものの形は変わらず、ルンピニースタジアムは創設60年で、デザイン・形とも変わらないようです。

二大殿堂に敵わぬも世界王座が幾つも君臨するムエタイ世界王座のベルトは、WPMFがシンプルに形取られたもので、基本的にベルトは持ち回り制です。ただ、本人が希望すれば名前と獲得年月日が入ったベルトを注文出来るという形です。WBCムエタイは本家WBCの型が見た目の形そのままで、ムエタイらしさのデザインが加わっています。

◆主催団体がチャンピオンベルトを忘れてきた!

キックボクシングに於いて、過去に本当にあった話ですが、「チャンピオンベルトにカビが生えていた。どこに保管していたんだ、あいつ(前チャンピオン)。」と嘆く新チャンピオンや、チャンピオンのアパートが火事になってチャンピオンベルトも燃えてしまったという話もありましたが、王座剥奪はされなかったようです。

日本キックボクシング協会チャンピオンベルト。須田康徳(市原)1984.10.7

全盛のMA日本キックボクシング連盟の初期の頃(1985年頃)では、チャンピオンベルトは連盟事務局が保管していたようでした。タイトルマッチの時に連盟事務局から持ち出されるというもので、個人保管では紛失される、持って来るのを忘れるといった事態を避ける意味があったようです。チャンピオン個人が撮影に使いたい、祝勝会で披露したいという場合は持ち出し可能でしたが、王座に君臨している間だけでも自分のものだから、自分で持って居たいチャンピオンも多かったことでしょう。

近年では、ある主催団体側がチャンピオンベルトを忘れてきたこともあり、無いものは仕方がないと潔く、ベルト掲揚無しで王座決定戦が行なわれていましたが、後の興行で新チャンピオンに手渡しされていました。

キックボクシングの老舗、日本キックボクシング協会が創生期から活動休止に至るまで使用された型が、日本ライト級最終チャンピオン、須田康徳(市原)が巻くベルトでした。日本全7階級と東洋王座も同様のベルトで沢村忠(目黒)が巻いたのもこの型でした。近年のものと比べると見た目粗末な感じがしますが、皆これを目指して全国から血気盛んな若者が上京してきたのでした。

須田康徳氏が巻いているこのベルトには小さな5つのダイアモンドが埋め込まれていましたが、すべて、ほじくり出された跡があり「元チャンピオンらが一個ずつ盗っていったかな」なんて笑うトレーナーがいました。

日本系復興(複製)Cベルト。小野寺力(目黒)1999.1.30

小野寺力(目黒)が巻いたのは同・協会が復興した1996年5月に、日本フェザー級王座を奪取した時の複製版ベルト。デザインはいっしょで、皮の黒ベルトに複製された王冠メダルが埋め込まれて豪華さが出ました。しかし1998年5月に新日本キックボクシング協会に移行した為、翌年、現在仕様のベルトに変更されています。

プロボクシングではその世界最高峰のWBAやWBCのベルトも凄くカッコいいでが、「現在の日本ベルトはIWGPベルトみたいでカッコ悪い」と言うプロレスと似たベルトに嘆く関係者もいましたが、JBC第2代コミッショナー、真鍋八千代氏の名前入りベルトも渋く、現コミッショナー名入りで復刻版にしてみても価値がありそうです。

持ち回り制と個人所有制はどちらがいいのか意見が分かれそうですが、勝って得るチャンピオンベルトはトロフィーやメダルと違った重みがあります。今後も最高峰が歴然としている競技は、チャンピオンベルトの価値を崩さず、守っていって貰いたいものです。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。

新日本キックボクシング協会Cベルト。重森陽太(伊原稲城)2015.10.25

「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

◎ムエタイ日本人の壁──活躍する在日タイ人選手と来日タイ人選手の裏事情
◎芽が出始めたムエタイ新時代──タイで通用する若手選手が続々出現!
◎強くなるためにタイへ行く!日本キックボクサー「ムエタイ修行」今昔物語
◎ルール変更の紆余曲折から辿る日本キックボクシング界の栄枯盛衰クロニクル

2月25日発売!『NO NUKES voice』Vol.7!

2月22日本コラムで高浜原発4号機の一次冷却水漏れ事故を大雑把に紹介した。抗議行動中に目前の原発内で「事故」が起こっていることを抗議行動参加者はもちろん誰も知り得なかったし、それは私も同様だった。

ただ、1.7キロほどのデモ行進の間に横を歩く男性に「もし今大きな事故が起こったら私たちはどうすればいいんでしょうか。逃げようにも1本しかないトンネルは片側車線に警察車両が並んで駐車されているし、海は冷たいから凍え死ぬでしょ?」と問いかけたら「心配せんでも皆いかれてまう(死んでしまう)から大丈夫や」と笑顔で返された。そのとおりだ。

◆中央制御室で警報が鳴り響いても外部には緘口令が敷かれる

想像してみる。中央制御室で警報が鳴り響く。4号機建屋内の線量が急上昇している。異常個所はまだ特定できない。中央制御室の関電社員から4号機内の作業従事者へ「異常発生個所を特定せよ」の指示がアナウンスされる。防御服を着た下請け作業員の方々が線量計と懐中電灯を頼りにあちこちへ散らばる。関電社員は上層階の壁際(いつでも逃げ出せる場所)で形ばかりの指示を送り報告を待つ。異常発生場所が発見された。漏れている!「漏れてるぞ!」の声がモーターや動力器の音にかき消されそうになる中、順々に伝えられる。関電社員は作業従事者へ「そこに留まるように」指示をして自分は建屋から走り出る。

中央制御室では「重大事故」を矮小化するための密議が始まる。中央制御室だけではなく事務棟にも「事故発生」は伝えられるが「外部へは一切連絡をしないよう」緘口令が敷かれる。

正面ゲート前からは再稼働反対に集まった人々叫びが聞こえる「再稼働反対!」、「ポンコツ原発を動かすな!」、「事故が起きたら関電はどうやって責任をとる!」、「若狭の自然を汚すな!」うるさい奴らめ!こっちはそれどころじゃないんだ。漏えいだよ!漏えい!しかも1次冷却系だ!運転中なら原子炉が暴走を初めてもおかしくない場所。再稼働前で助かった・・・。制御棒を抜く前に気が付いてよかった。あと数日遅れていたら4号機は運転停止どころか、抜け穴だらけの規制委員会もさすがに運転は許さないだろう。

あんな場所でどうして水が漏れたんだ? 配管が一段と薄い場所だから小さな亀裂が入っていた可能性が高い。他の場所はどうだ?一々全部の配管を調べ直す? 馬鹿な。まっすぐに伸ばしても何十キロ、あるかわからない複雑な配管の全ての強度検査なんか出来る訳ない。上層部もやるつもりはないだろう。時間と金がかかりすぎるし、そもそもそんな検査は技術的には不可能なんだ。とにかく再稼働にさえたどり着けばそれでいい。あとのことは知らない。4月からは本社勤務に移れるんだ。毎週金曜日には反対派の連中がやかましいらしいけど、若狭に居て事故処理に直面させられたらたまったもんじゃない。東電だって福島現地は戦場だったけど東京本店は結局無傷だったじゃないか。

あ、そうだ。いざという時のために購入してある豪州行の1年オープンチケット(ビジネスクラス)の期限がもうすぐ切れる。今年は使わなかったけど高浜4号が再稼働すれば必要性はますます高まるから早めに購入しておこう。

といった気分なんじゃないのか。関電の社員は。

◆今から考えるとわずかに異変が起きていた

2月20日高浜原発正面ゲート前から見渡せるゲート近くの建物内には今から考えるとわずかに異変が起きていた。通常抗議運動でそこそこの人が集まるとゲート前に警備員や警察が立つだけでなく、建物の中からもこちらを眺めている関電社員の姿が必ず確認できた。20日は天候が悪く社屋の中には照明が灯っていたのでより内部の様子ははっきり確認できたが、この日は建物の中からこちらを眺める社員の姿は(私の記憶に間違いがなければ)1人も確認できなかった。

それがおかしいなとは感じたが内部で事故が起きていようとは思いいたらなかった。あそこにいた時間確実に抗議する私たち、警備員、警察官の全てが「平等」に被曝していたのだ。原発は差別的だけれども「放射能」は極めて平等だ。反対派も事業者も警備員も機動隊も平等に「被爆」させる。

原発の安全を確立するのは無理だ。普段は気軽には使わない言葉だけれども「絶対」に無理だ。逆に原発が事故を起こすシナリオは際限なく想定できるし、今回の冷却水漏れも関電に言わせると「目の届きにくい場所」で起きたそうだ。そんな場所いくらでもあるだろう。

整備不良の自動車、特にブレーキの利きが悪い自動車を泥酔した人間が運転する。場所は通行人の多い狭い道路。こんな例えが適切かもしれない。泥酔者は「私は酔っている」とは言わない。「あー酔った」と言えるのはまだ理性が残っているうちだ。足元がふらついて、呂律が回らない泥酔者に「大丈夫か」ときけば10中8、9「大丈夫、酔ってない」と答えるものだ。

◆何十万人の人の生活を蹂躙しても「原発」には罰金すら課されない

原発は新しかろうが、古かろうが「整備不良の自動車」、電力会社は「泥酔者」、私やあなたは狭い道を歩く通行人だ。問題はこの事故発生確実な状況を修正しようとする公的な意思が皆無であること。実際の泥酔運転は「事故」を起こさなくとも免許取り上げと罰金50万円が課されるが、事故を起こしてたくさんの人を殺し、何十万人の人の生活を蹂躙しても「原発」は罰金すら課されない。

仕方がないからあれこれ知恵を絞って私たちが電力会社と「原発」を懲らしめるしかない。さあ、『NO NUKES voice』7号が発売された。私たちは福島を中心とする被災地に寄り添い、原発立地にも可能な限り出かけて行きながら微力ながらも全力を尽くす。
「われわれは連帯を求めて、孤立を恐れない。力及ばずして倒れることを辞さないが、力尽さずにくじけることを拒否する」(『NO NUKES voice』編集部)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

2月25日発売!『NO NUKES voice』Vol.7!

紛い物の「民主派」や「反権力」、そして原発問題においては「脱(反原発)」に名乗りを上げる団体や個人は左右問わず引きも切らない。自己総括をすればその紛い物の口上に絡めとられ、誌面を荒らされた1年を反省せねばならない。

『NO NUKES voice』第7号2月25日発売

そしてそれ以上に彼らと権力、あまつさえ警察権力の結託が明らかであったにもかかわらず、それを容認してしまった責は重いと考える。よって『NO NUKES voice』7号は我々が再決起する、「戦闘宣言」である。

脱(反原発)運動の中に蔓延る一見「新しさ」をまとった、実は極めて原則的に最も犯罪的な「反動」との決別と糾弾を内包した覚悟の「宣言」であることを再確認しておく。

◆「原発=核」の根源的課題

そもそも「脱(反)原発」運動は、もちろん「3・11」未曾有の死滅的危機をきっかけに大衆的な広がりを見せたものであることは間違いないが、「3・11」が端緒であったのではない。「反戦」・「反核」運動は原水禁発足から世界的に展開されていた運動であり、その歴史は「ヒロシマ・ナガサキ」を一方的に被害者として捉えるのではなく、日本のアジア侵略、とりわけ朝鮮半島から中国への侵略の歴史(15年戦争)と分かちがたく連綿としたものである、という認識は一部の反動を除いては明白な前提であった。

かといって我々が「3・11」をその延長線上に必ず起こる災禍として万全な準備を怠らなかったのか、と問われれば、全くそうではない。確かに「反帝国主義」、「反ネオリベラリズム」といった21世紀型の課題と直面しながら、末期資本主義の加速=資本の寡占、規制緩和、労働者搾取の激化、階級格差の拡大といった目前の現象に我々が目を奪われていたのは事実だ。

だが、そういった「人為的作為」をも全てのみ込み、あらゆる論争をも無にしてしまう危険性を極めて高い確率で包含する「原発=核」の根源的課題には東西冷戦終結後、配慮が希薄になっていた。これは確実に希薄だった。改めて自己批判する。

◆「無責任」構造の中で進行する「原発」問題

そもそもこの島国では「明治維新」以降、突然祭り上げられた「天皇制」があたかも神聖かつ万能であるかのように皇民化体制が築かれ、その上に3000万のアジア人民を虐殺し、自国民も300万が死を強制された戦争があった。

本来、その敗戦とともに「天皇制ファシズム」、「天皇制ボナパルティズム」は人民の手によって裁かれ、断罪され、跡形もなく消し去られるのが道理だったのだが、占領軍は手軽な統治の方便として昭和天皇、並びに「天皇制」を不問に付すのが最善策だと判断し、昭和天皇を赦免した。

極めて「日本」に似つかわしい不思議な赦免である。それを受け入れた当時の国民に大きな違和感はなかったようだ。私には不思議だ。矛盾ではない。完全な背理ではないのか。何が解決したのだ? 曖昧に過ぎる。

「原発」問題を論じる際に曖昧かつ他者依存的な、この島国の「心象」を忘却してはならない。

「誰が責任を取るのか」(原発「推進」にしても「反対」にしても)、「事故が起きたらどう対処するのか」(対処できる道理はない)、「事故後の補償はどうするのか」(補償など尽くせない)といった初歩的な問いへの回答すら忌避して、総体としての「無責任」構造の中で進行してきたのが今日的惨劇の元凶である。

したがって『NO NUKES voice』は「全原発の即時廃炉」を求めるのは当然だが、運動内に跋扈する「反動分子」あぶり出しも責務であると考える。これは所謂「連合赤軍」事件や、新左翼諸党派に見られたような狂信的「粛清」とは全く異なり、「脱(反)原発」が文字通りその目標を見据えて行動しているか、手段として権力や権威、天皇制を利用していないか、警察権力と結託してはいないかといった極めて単純かつ初歩的な数か所を点検するに過ぎない。

しかしながら、そのような点検作業すら「普通の人」、「広がりやすい運動」といった、それこそ定義があいまいな言葉によって踏みつけにされている。「戦後民主主義」終焉を迎えた今日の惨状を誘引したのは、そのような「曖昧さ」が原因ではないのか。「差別」、「排外主義」、「戦争」、「反動」への反対と「原発反対」にはなんら小難しい論議は必要ないと私たちは考える。

◆悪夢のような現実に回答を出す時間的猶予はわずかだ

安倍自公政権の推し進める「戦争への最短道」はどのようにすれば阻止できるのか。

一次冷却水が漏れた、つまり運転中ならば原子炉暴走を誘引するよう状態の原発再稼働はいかにして止められるのか。TPP協議の中心的役割を担っていた重要大臣の「口利き」辞任があっても「内閣支持率」が下がらない(下げさせない)メディアと、国民はどう対抗すればよいのか。

上記の問いにいずれも明快な答えは無い。しかし私たちは逃げられない。不幸にも悪夢のような現実は厳然と立ちはだかり、しかも回答への時間的猶予はわずかだ。

各々が可能な模索を全力で手探りするしかなかろう。私たちは、差し当たり本日発売される『NO NUKES voice』7号の編纂に全力を挙げた。十全とは言えずとも全力は尽くした。

花言葉やお気軽な自慰行為に陥りたくはない。その為には高い授業料も払った。だからこそ本号で展開できる内容がある。私たちは過去の過ちや、誤解を正当化しはしない。そこまですれっからかしではない。皆さんには是非『NO NUKES voice』7号を手に取りお読みいただきたい。この号からは血が流れている。被災者悲しみの血、終生原発と闘った闘士の血、欺きにより斬られた血、そして未来に向け憤怒する闘いにみなぎる血だ!

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

2月25日発売!『NO NUKES voice』Vol.7!

古いフォークソングに「過ぎてしまえば皆美しい」という歌詞があった。たしか森田公一という声の高い人の歌だった。記憶を美化したり、自分にとって激烈過ぎる体験は「忘却」してしまう機能をどうやら人間の脳は持っているようだ。

2月25日発売!『NO NUKES voice』第7号

他人事ではなく私にも思い当たる節はある。どうあがいても這い上がれない数年間があった。八方塞がりで自死こそ考えなかったもののこのままでは命が持たないとのたうち回っていた。ところがあれほど激烈であった日々の詳細を今はほとんど覚えていない。輪郭は記憶にはある。語るも憚られるような惨め極まりない姿で毎日全身の苦しみと苦闘していた「記憶」があるにはある。

でも、周囲の人から明らかに「人格崩壊」や「物理的な死」を心配してもらった私自身の言動についての記憶が殆ど消えている。思い出したいわけではないし、現在の精神状態にとって「自然忘却」は有難い脳の機能だと言わねばならない。しかし、同様に辛い過酷な記憶であっても忘却してはならない事実もある。個人的にも社会的にも自らが「加害」の側に立った場合の記憶だ。

法律で裁かれるかどうかはこの際あまり大きな問題ではない。むしろ法律は大きな犯罪を断罪しない側面すら持つので、極論すれば「道義的」、「人為的」な責任を負った場合と言えようか。

◆あってはならない「忘却」がある

少し回りくどくなったが、今私が気がかりな、あってはならないと考える「忘却」は、言わずもがな福島第一原発事故とその被災者への「忘却」である。人類史上例のない大事故、原発4機爆発とそれに伴う多量の放射性物質汚染、わずか5年弱前の出来事だ。確かに新聞には福島第一原発についての記事が途切れ途切れには掲載される。関心のある人の中では相変わらず話題になる。規模は小さくなっても原発反対運動は綿々と続いてはいる。

しかし、圧倒的な勢いで加害者側は事故を「忘却」させようと次々に毒矢を放って来る。事故後に「反省」するどころか、原発の輸出を行おうというのだからこの国は狂っている。この国から原発を買う国も狂っている。電気が余っていても再稼働を強行する政府と電力会社は単純に「犯罪者集団」と呼ばなければならない。そして福島原発事故まで原発に無関心であった人々、あるいは事故後に「脱(反)原発運動」」に一時参加し、早くも疲れてしまった人々にも極論すれば責任の一端はある。

◆現状に異議申し立て、「反対」するのにはエネルギーが要る

現状に異議申し立て、「反対」するのにはエネルギーが要る。運動が盛り上がっている時はそうでもないが、一旦下火になり周にいた人垣が薄れて行くと途端に「疲れ」は襲ってくる。そして出来れば「3・11」前に戻りたいと考えたりする。

「辛いよー。この生活は」

ある集会で福島から避難されている高齢の女性が唸るように語った。この方には「3・11」前に戻りたいと考える道理と権利があるだろう。しかし原発に反対しながらも、その実事故前と大して変わらぬ生活を送れている(私を含めた)人々には「忘却」する権利はない。

否「忘却」は僅か5年弱まえの出来事を心の中で「無かった」ものにしてしまうことによりまだ進行中の事故から目を背ける行為への加担だ。それは「犯罪者集団」が画策している「事実隠し」、「歴史殺し」に乗じると言っても過言ではない背信行為だ。

◆「覇権主義」「セクト主義者」への筆誅にも迷いはない

だから鹿砦社は『NO NUKES voice』を全力で編纂し続ける。原発災禍では満足せず人間犯罪の究極形「戦争」へ最短距離で猛進する現政権並びにそれを支持する連中は私(たち)の明確な敵である。また口では「脱(反)原発」、「反差別」、「反ファシズム」を唱えながら「排外主義」や「ファシズム」を実行するという悲喜劇を演じる人びとへの筆誅にも迷いはない。

悲喜劇を演じる人々を「左翼リベラル界隈」内での争いと看做す方もいるようだが、私(たち)はそうは考えない。彼らは左翼でもリベラルでもない。単なる「覇権主義」「セクト主義者」に過ぎない。よって『NO NUKES voice』が展開するであろう今後の議論が「左翼リベラル内での争い」と思慮されることは誤りであることを予め断りしておかねばならない。

私たちは忘れない。福島を中心とする被災地、被害者の辛さに思いを寄せて、どう評されようとも「脱(反)原発」を訴え続ける。これまでの自身を反省しながら。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

2月25日発売!『NO NUKES voice』第7号!

『NO NUKES voice』第7号が2月25日発売される。まずは表紙に注目して欲しい。この看板に読者諸氏は見覚えがないだろうか。私も直接現地で見たことはない。けれども双葉町に建てられたこの残酷にも、あっけらかんとした「原子力明るい未来のエネルギー」は講演会のスライドなどで何度も目にしたことがある。それ以上に実際は見たことがないくせに目に焼き付いたような感覚すらある。誤った既視感だが。

いつも何度でも福島の声を!──『NO NUKES voice』第7号2月25日発売

この秀逸にして残酷な看板の標語に採用された大沼勇治さんが本号には登場する。大沼さんは採用されたこの「不幸」な運命をたどる標語の撤去に断固反対している。表紙で「原子力『制御できない』エネルギー」の「制御できない」部分を掲げているのは大沼さんご自身だ。

大沼さんの思いを私がここで紹介するのははばかられる。是非本号に凝縮された大沼さんの思いを直接お読みいただきたい。

ちなみに大沼さんは本業の傍ら国内外からの取材が絶えず、本号出版から3月まで大手メディアの取材予定が引きも切らないそうだ。その取材の中には不肖私が昨年横浜で講演を聴き、その感想を本誌で綴った辺見庸氏を含む共同通信の取材もあると聞いている。

『NO NUKES voice』は本号から編集長が松岡利康氏から小島卓氏へと変わった。編集長交代に際して両氏の間で「なによりも福島を中心とした被災地の声と共に歩む」方針が確認されている。大沼さんが巻頭を飾る『NO NUKES voice』第7号はその思いを体現している。

予め決められていた行程通りではあるが、本年4月1日から家庭向け電力の「自由化」が始まる。広瀬隆氏にはその意味と課題、さらには「新電力」選択の際の留意点などを示唆して頂いた。新電力には一時「脱原発派」の振りをしたソフトバンクなどが電力会社と利益分散を巧みに計算し参入している。要注意であるし焦ってはならなない。「原発退治」の絶好の機会を残念な形にしては意味がないので是非広瀬氏の論考にはご注目頂きたい。

若手政治学者の旗頭的存在、白井聡氏にはご存知鈴木邦男氏がお話を伺った。「永続敗戦論」の鮮烈なインパクトが印象的な白井氏。果たして「原発問題」をどう斬るか。

同じく大学で教鞭を取る下地真樹先生には「市民運動」を中心に語って頂いた。大阪府警に令状逮捕された下地先生には「筋金入り」のイメージを持つ方も少なくないかもしれないが、インタビューでは意外な展開と見解が明らかにされる。下地先生の立ち位置、考えも是非直接読みいただき、少々感嘆して頂こう。

そして本号でもまた炸裂した「松岡砲」!題して「さらば、反原連(首都圏反原発連合)!――わたしたちはなぜ反原連に絶縁されたのか」。「信義則」、「内部干渉」を理由に一方的に「絶縁」を宣言して来た「反原連」と鹿砦社(とりわけ松岡前編集長)の間には何があったのか?そしてなぜ『NO NUKES voice』は「反原連」を唾棄すべき団体と断じるに至ったのか。本稿も様々な反響を呼ぶことは必至であろう。「セクトを排する」はずが自ら最悪の「セクト主義」に堕落した「反原連」。一時は多大な支援を行っていた松岡前編集長の逆鱗は原発問題に興味のない方々にとっても一読の価値ありだ。

本号からグラビアページは「ある特殊な事情」により前担当者から大宮浩平氏へと引き継がれた。大宮氏は「警察が趣味、機動隊大好き」などという馬鹿ではない。早速活力溢れるカットを読者に提供することになった。さらに乞うご期待!

各地の運動報告では福島原発事故避難者の河村幸子さん。玄海原発のプルサーマル運転と闘う石丸初美さん。匿名報道の実践と原発反対を貫いた南海日日新聞の元記者近藤誠さんの逝去を悼む浅野健一さん。高浜原発再稼働直前集会や経産省テント前広場からの報告など全国からの肉声が届けられる。

連載では本間龍さん、渋谷三七十さん、納谷正基さんの常連陣のボルテージが上がる。前号まで連載に名を連ねていたいくつかの団体は姿が見えない。連載を打ち切り、本号から姿を消した団体、個人は「反原連」同様、鹿砦社並びに『NO NUKES voice』を「切り捨てた」方々と断じて頂いて構わない。

翻訳、論考が一流であることは周知だが、最近パロディーとくに「替え歌」で非凡な才を発揮し続ける佐藤雅彦氏は本誌上でのマッドアマノ氏的地位を確立しつつある。小倉利丸氏は「核と被曝社会をなくす世界社会フォーラム」への参加を呼びかける。

腐敗、堕落分子が一掃された『NO NUKES voice』第7号は前号までと明確に色合いを異にすることを確信する。しかしその評価は読者諸氏に委ねる。忌憚のないご意見、ご感想を頂ければ幸いである。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

2月25日発売!『NO NUKES voice』Vol.7!

2月20日あいにくの雨天下、「若狭の原発を考える会」の呼び掛けで高浜原発4号機再稼働反対デモが高浜原発前に向かい展開された。

2月20日浜岡原発ゲート前。この時、関電の中では警報音が鳴り響き1次冷却水漏れが発生していた(筆者撮影)

2016年2月21日付福井新聞

既に再稼働されてしまった3号機に続き、老朽化で危険極まりない4号機の再稼働は狂気の沙汰だ。東京や遠隔地からの参加者100余名が「ポンコツ原発動かすな!」、「若狭の自然を守れ!」と関西電力を糾弾した。

その抗議が高浜原発正面で行われていた正にその時刻、原発内では一次冷却水漏れを警告するアラームが響き渡り、現場は大混乱に陥っていたのだ。デモ参加者の危惧が現実のものとなっていたのだ。

2月21日の福井新聞は「高浜原発4号一次冷却水漏れ 再稼働作業を中断」の見出しで一次冷却水約34リットルが漏れたと報じている。関西電力は「(再稼働)工程に影響が出るかは、現段階では分からない」と述べているが、この連中に理性は無いらしい。

同日21日は地域にチラシを配るアメ―バデモが展開された。住宅街でチラシを投函していると正午丁度に「故郷」のメロディーが流れる。町内放送だろうか。高浜に限らず全ての原発立地が「故郷」でいられるためには全原発即時排炉しかない、と実感した。

高浜2・20抗議行動。デモ出発時風景(筆者撮影)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

2月25日発売!『NO NUKES voice』Vol.7!

「STAP細胞はありま~す」と世間を騒がせた小保方晴子氏(元理化学研究所・ユニットリーダー)が出した暴露本「あの日」(講談社)が話題を呼んでいる。

この本で怒りが収まらないのは、早稲田大学の理工学部の職員や学生たち。
「STAP細胞の騒動を『すべて填められた』として逃げている。こんな恥ずかしい本が出たら、学生の就職にも影響する。いっそのこと、他人の論文をパクった博士論文の取り消しだけでなく、修士論文も、審査すべきだと思うな」(早稲田大学関係者)

また、別な研究者は憤る。
「この際、小保方さんの修士論文を審査して、不備があったら、学位をすべて取り消して卒論を再提出させろ、という話は講師たちの間で確かにあったようですが、教授会にあがるような話でもありませんし、すぐに話は立ち消えました」(早稲田大学理工学部関係者)

◆小保方さんの出身学部であるという理由で嫌がらせのような面接を受けた早大生

「小保方さんの本は発売から2日たった時点では、35冊のうち、17冊売れました」(都内中堅書店)というからまずまずの売れ行きだ。

ところが世間でもぶちあげた「STAP細胞の再現」ができなかった原因を、完全に他人のせいにしている部分が批判を浴びている。とりわけ、第十五章「閉ざされた研究者への道」では、博士論文の内容に疑義があるとして再提出を求められた経緯を展開しつつ大学が、訂正論部は提出されたが、訂正作業が終わらなかったとして、博士号の取り消しを決めた事実について『早稲田大学は強く否定したが、私には大学の教育方針よりも社会風潮を重視した判定を下したとしか思えなかった。結局、約束されていたはずの論文指導を受ける機会は与えられず、審査に対する反論すら受付けられないまま、私の博士号はいとも簡単に剥奪された。』(第十五章 「閉ざされた研究者への道」より)。

早稲田大学の理工学部4年のある学生は
「私たちは、けっこう小保方さんの出身学部であるという理由で、いやがらせのような面接、たとえば『卒論は偽造していないよね』などと言われました。この上、古巣を罵倒するなど、研究者としてやってはいけない行為だと思いますよ」と語る。

早稲田大学の広報に「小保方さんの書籍で早稲田大学の博士号書き直しのプロセスが批判されているが」と聞くと「内容を見ていないのでなんとも言えませんが、もちろん事実誤認があれば訴訟も視野にいれます」とのこと。「修士論文の審査はあるのか」と聞くと「今のところそのような動きはありません」とした。この騒動はまだまだ尾をひきそうだ。

(伊東北斗)

◎誰もテレビを見ない時代が到来する?──テレビが売れない本当の理由
◎反原発の連帯──来年4月、電力は自由化され、電力会社を選べるようになる
◎ストーカーメールの正体を暴く

反骨の砦に集え!7日発売『紙の爆弾』!

武士(もののふ)シリーズ vol.1 / 2月7日(日) 後楽園ホール17:30~20:40
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

過去、国内他団体交流も無く、ムエタイランカー以上の選手出場も無く、他団体との実力差が量れない時代が長かった日本キックボクシング連盟興行。長き時代のテーマ「倒すか倒されるか」の激しさだけでは、ファンからは「いずれ限界が来るだろう」と思われていました。

今回のタイ人選手も久々の強豪で、WPMFというタイ国政府管轄下唯一の団体の世界チャンピオン出場は初めてとなる同・連盟興行、対日本人対戦9戦全勝の強豪のゴンナパー・ウィラサクレック相手に特攻隊員・大和知也がどこまで踏ん張れるかが注目の中、突進力、飛びヒザ蹴り、バックヒジ打ちなど出せる技は出し切った大和知也でしたが、蹴りの重さとしなやかさ、仕掛ける技のバランスの良さ、大和の出方を読み、踏み込んだ足を払って転ばすなど、ムエタイ熟練者ならではの戦法とすべてゴンナパーが予想通りの圧倒。

冒険を打って出た小野瀬邦英体制3年目の同・連盟に、今回は小野寺力会長のRIKIXジム、尚武会ジム、ウィラサクレックジムなどフリーでもかなり興行実績の有るジムが出場し、昔の旧・全日本系の殺伐とした興行だけではない、いろいろなタイプの選手が出場しているという賑やかさも増し、選手層がレベルアップしてきた印象があります。

《主要後半5試合》

◆第13代NKBウェルター級王座決定戦 5回戦
1位.石井修平(ケーアクティブ/31歳/66.68kg)vs 2位.安田一平(SQUARE-UP/36歳/66.3kg)
勝者:安田一平 / TKO 1R 2:48 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 前田仁

石井修平vs安田一平。安田の先手必勝パンチが石井のペースを狂わせた


チャンスを逃さず1Rで仕留める安田一平


勝てば肩車──SQUARE-UPジムのいつもの光景

昨年12月、前チャンピオンの竹村哲(ケーアクティブ)の引退により空位となった王座を懸けた激突。重いパンチを振るう突進力で石井を圧倒、最初の右ストレートでダウンを奪い、勢いづいたまま、ダメージ残る石井に回復の間を与えないように左右連打で石井を沈めました。安田一平は第13代NKBウェルター級チャンピオン。今後の目標は「負けないこと。負けたら引退ですから」と行けるところまで上昇を目指した宣言でした。負けても心折れる限界を感じなければ歳に関係なく、まだまだ進化することでしょう。

◆63.6kg契約5回戦
NKBライト級チャンピオン.大和知也(SQUARE-UP/31歳/63.5kg)vs WPMF世界スーパーライト級チャンピオン.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/23歳/63.6kg)
勝者:ゴンナパー・ウィラサクレック / 0-3 (主審 川上伸 / 副審 佐藤友章 43-50. 鈴木義和 45-50. 前田仁 43-50)

スタミナ切れか、遠慮したか、セコンドの指示か、大和の頑張りか、KOに至らずも余裕の大差判定勝利のゴンナパー。

ゴンナパーのハイキックは重く速く、読み難い隙を突いて放たれた


前蹴りで大和の突進を崩すゴンナパー

マスコットガールからの勝利者インタビュー。ウィラサクレック会長が通訳に入っても質問の意図が伝わり難く、「大和は強かった」と褒め言葉も忘れない真摯なゴンナパー

◆74.0kg契約5回戦
NKBミドル級1位.田村聖(拳心館/27歳/72.7kg)vs ミツヨシthe SOUL(練馬チャンデット/25歳/73.0kg)
勝者:ミツヨシthe SOUL / 0-3 (主審 馳大輔 / 副審 亀川明史 40-50. 佐藤友章 42-50. 川上伸 41-50)

空手と総合格闘技の経験を持ち、更にはムエタイテクニックで優るミツヨシの攻めに、田村は遅れた動きの印象が目立ち、通算4度のダウンを奪われ大差判定負け。田村が4Rにミツヨシに左ミドルキックを当てた際、肩脱臼かと思わせるミツヨシの後退。ドクターチェックを受け、問題は無かったようだが、田村を倒すという勢いは消えてしまった。田村の唯一のチャンスが活かせずも大逆転かとのイメージが浮かんだ終盤の展開でした。

◆52.0kg契約3回戦
NKBバンタム級6位.佐藤勇士(拳心館/24歳/51.7kg)vsレック達也・ルークカムイ(尚武会/17歳/51.85kg)
勝者:レック達也・ルークカムイ / TKO 3R 0:48 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 鈴木義和
これもムエタイスタイルが優った展開。パンチとヒザ蹴りで仕留める。

◆ミドル級3回戦
NKBミドル級8位.西村清吾(TEAM-KOK/36歳/72.25kg)vs 馬場仁(RIKIX/46歳/72.25kg)
勝者:西村清吾 / KO 1R 2:23 / カウント中のタオル投入 / 主審 亀川明史

第4試合出場のフェザー級3回戦、高橋聖人(2戦2勝1KO/18歳/真門)は小椋昇平(1戦1勝/28歳/PAL)と引分け。高橋が速さと当て勘良い蹴り技で優勢な印象も、小椋のパンチ連打で突進力を弱められた印象。三者三様の採点(30-29.30-30.28-30)の見極めが難しかったかもしれない、副審がまた別の者だったら流れが変わっていただろう運が左右する採点。

次回興行「武士シリーズvol.2」は4月16日(土)後楽園ホール、開場17:00.開始17:30
第13代NKBフェザー級王座決定戦5回戦
1位.高橋一眞(真門)vs 3位.村田裕俊(八王子FSG)
対戦成績過去、高橋の2勝で、村田は現在、タイで修行中で、試合をこなして帰国予定ということでした。高橋三兄弟の長男が次男のバンタム級に続いて王座奪取を目指します。高橋一眞は8戦7勝(6KO)1敗、村田は11戦7勝(5KO)3敗1分

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

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