武士(もののふ)シリーズ vol.1 / 2月7日(日) 後楽園ホール17:30~20:40
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

過去、国内他団体交流も無く、ムエタイランカー以上の選手出場も無く、他団体との実力差が量れない時代が長かった日本キックボクシング連盟興行。長き時代のテーマ「倒すか倒されるか」の激しさだけでは、ファンからは「いずれ限界が来るだろう」と思われていました。

今回のタイ人選手も久々の強豪で、WPMFというタイ国政府管轄下唯一の団体の世界チャンピオン出場は初めてとなる同・連盟興行、対日本人対戦9戦全勝の強豪のゴンナパー・ウィラサクレック相手に特攻隊員・大和知也がどこまで踏ん張れるかが注目の中、突進力、飛びヒザ蹴り、バックヒジ打ちなど出せる技は出し切った大和知也でしたが、蹴りの重さとしなやかさ、仕掛ける技のバランスの良さ、大和の出方を読み、踏み込んだ足を払って転ばすなど、ムエタイ熟練者ならではの戦法とすべてゴンナパーが予想通りの圧倒。

冒険を打って出た小野瀬邦英体制3年目の同・連盟に、今回は小野寺力会長のRIKIXジム、尚武会ジム、ウィラサクレックジムなどフリーでもかなり興行実績の有るジムが出場し、昔の旧・全日本系の殺伐とした興行だけではない、いろいろなタイプの選手が出場しているという賑やかさも増し、選手層がレベルアップしてきた印象があります。

《主要後半5試合》

◆第13代NKBウェルター級王座決定戦 5回戦
1位.石井修平(ケーアクティブ/31歳/66.68kg)vs 2位.安田一平(SQUARE-UP/36歳/66.3kg)
勝者:安田一平 / TKO 1R 2:48 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 前田仁

石井修平vs安田一平。安田の先手必勝パンチが石井のペースを狂わせた


チャンスを逃さず1Rで仕留める安田一平


勝てば肩車──SQUARE-UPジムのいつもの光景

昨年12月、前チャンピオンの竹村哲(ケーアクティブ)の引退により空位となった王座を懸けた激突。重いパンチを振るう突進力で石井を圧倒、最初の右ストレートでダウンを奪い、勢いづいたまま、ダメージ残る石井に回復の間を与えないように左右連打で石井を沈めました。安田一平は第13代NKBウェルター級チャンピオン。今後の目標は「負けないこと。負けたら引退ですから」と行けるところまで上昇を目指した宣言でした。負けても心折れる限界を感じなければ歳に関係なく、まだまだ進化することでしょう。

◆63.6kg契約5回戦
NKBライト級チャンピオン.大和知也(SQUARE-UP/31歳/63.5kg)vs WPMF世界スーパーライト級チャンピオン.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/23歳/63.6kg)
勝者:ゴンナパー・ウィラサクレック / 0-3 (主審 川上伸 / 副審 佐藤友章 43-50. 鈴木義和 45-50. 前田仁 43-50)

スタミナ切れか、遠慮したか、セコンドの指示か、大和の頑張りか、KOに至らずも余裕の大差判定勝利のゴンナパー。

ゴンナパーのハイキックは重く速く、読み難い隙を突いて放たれた


前蹴りで大和の突進を崩すゴンナパー

マスコットガールからの勝利者インタビュー。ウィラサクレック会長が通訳に入っても質問の意図が伝わり難く、「大和は強かった」と褒め言葉も忘れない真摯なゴンナパー

◆74.0kg契約5回戦
NKBミドル級1位.田村聖(拳心館/27歳/72.7kg)vs ミツヨシthe SOUL(練馬チャンデット/25歳/73.0kg)
勝者:ミツヨシthe SOUL / 0-3 (主審 馳大輔 / 副審 亀川明史 40-50. 佐藤友章 42-50. 川上伸 41-50)

空手と総合格闘技の経験を持ち、更にはムエタイテクニックで優るミツヨシの攻めに、田村は遅れた動きの印象が目立ち、通算4度のダウンを奪われ大差判定負け。田村が4Rにミツヨシに左ミドルキックを当てた際、肩脱臼かと思わせるミツヨシの後退。ドクターチェックを受け、問題は無かったようだが、田村を倒すという勢いは消えてしまった。田村の唯一のチャンスが活かせずも大逆転かとのイメージが浮かんだ終盤の展開でした。

◆52.0kg契約3回戦
NKBバンタム級6位.佐藤勇士(拳心館/24歳/51.7kg)vsレック達也・ルークカムイ(尚武会/17歳/51.85kg)
勝者:レック達也・ルークカムイ / TKO 3R 0:48 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 鈴木義和
これもムエタイスタイルが優った展開。パンチとヒザ蹴りで仕留める。

◆ミドル級3回戦
NKBミドル級8位.西村清吾(TEAM-KOK/36歳/72.25kg)vs 馬場仁(RIKIX/46歳/72.25kg)
勝者:西村清吾 / KO 1R 2:23 / カウント中のタオル投入 / 主審 亀川明史

第4試合出場のフェザー級3回戦、高橋聖人(2戦2勝1KO/18歳/真門)は小椋昇平(1戦1勝/28歳/PAL)と引分け。高橋が速さと当て勘良い蹴り技で優勢な印象も、小椋のパンチ連打で突進力を弱められた印象。三者三様の採点(30-29.30-30.28-30)の見極めが難しかったかもしれない、副審がまた別の者だったら流れが変わっていただろう運が左右する採点。

次回興行「武士シリーズvol.2」は4月16日(土)後楽園ホール、開場17:00.開始17:30
第13代NKBフェザー級王座決定戦5回戦
1位.高橋一眞(真門)vs 3位.村田裕俊(八王子FSG)
対戦成績過去、高橋の2勝で、村田は現在、タイで修行中で、試合をこなして帰国予定ということでした。高橋三兄弟の長男が次男のバンタム級に続いて王座奪取を目指します。高橋一眞は8戦7勝(6KO)1敗、村田は11戦7勝(5KO)3敗1分

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない。」

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