「STAP細胞はありま~す」と世間を騒がせた小保方晴子氏(元理化学研究所・ユニットリーダー)が出した暴露本「あの日」(講談社)が話題を呼んでいる。
この本で怒りが収まらないのは、早稲田大学の理工学部の職員や学生たち。
「STAP細胞の騒動を『すべて填められた』として逃げている。こんな恥ずかしい本が出たら、学生の就職にも影響する。いっそのこと、他人の論文をパクった博士論文の取り消しだけでなく、修士論文も、審査すべきだと思うな」(早稲田大学関係者)
また、別な研究者は憤る。
「この際、小保方さんの修士論文を審査して、不備があったら、学位をすべて取り消して卒論を再提出させろ、という話は講師たちの間で確かにあったようですが、教授会にあがるような話でもありませんし、すぐに話は立ち消えました」(早稲田大学理工学部関係者)
◆小保方さんの出身学部であるという理由で嫌がらせのような面接を受けた早大生
「小保方さんの本は発売から2日たった時点では、35冊のうち、17冊売れました」(都内中堅書店)というからまずまずの売れ行きだ。
ところが世間でもぶちあげた「STAP細胞の再現」ができなかった原因を、完全に他人のせいにしている部分が批判を浴びている。とりわけ、第十五章「閉ざされた研究者への道」では、博士論文の内容に疑義があるとして再提出を求められた経緯を展開しつつ大学が、訂正論部は提出されたが、訂正作業が終わらなかったとして、博士号の取り消しを決めた事実について『早稲田大学は強く否定したが、私には大学の教育方針よりも社会風潮を重視した判定を下したとしか思えなかった。結局、約束されていたはずの論文指導を受ける機会は与えられず、審査に対する反論すら受付けられないまま、私の博士号はいとも簡単に剥奪された。』(第十五章 「閉ざされた研究者への道」より)。
早稲田大学の理工学部4年のある学生は
「私たちは、けっこう小保方さんの出身学部であるという理由で、いやがらせのような面接、たとえば『卒論は偽造していないよね』などと言われました。この上、古巣を罵倒するなど、研究者としてやってはいけない行為だと思いますよ」と語る。
早稲田大学の広報に「小保方さんの書籍で早稲田大学の博士号書き直しのプロセスが批判されているが」と聞くと「内容を見ていないのでなんとも言えませんが、もちろん事実誤認があれば訴訟も視野にいれます」とのこと。「修士論文の審査はあるのか」と聞くと「今のところそのような動きはありません」とした。この騒動はまだまだ尾をひきそうだ。
(伊東北斗)
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