どうやら鹿砦社は反原連とは袂を分かったので、どうやって反原発というものを表現していくのか僕なりに悩んだ。しかしやはり自分が見たもので、なおかつ「心にとどめたい」事件については、記述を続けていこうと思う。
報告が遅れたが、昨年10月25日に福岡で行われた勉強会「玄海原発再稼働をSTOP!させるには」(戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会)に招いていただいたので、その様子をレポートする。
◆原発周辺の住民を抱き込んでいく九州電力と推進派
まず、川内原発建設反対連絡協議会の会長である鳥原良子さんが、
「原発2基による交付金と固定資産税など薩摩川内市における1・2号機による経済効果は30年間で約1700億円と試算し、定期点検による商店街の経済効果は、年間5億円にもなると商工会は述べている。市の財政は、原発による交付金財政比率は2%にも満たないのです。それなのに原発依存から抜けられない町作りをしている」と指摘。
また原発推進側が、工作を激しくしている姿も浮き彫りに。
「金にものを言わせて、ただで飲める飲み屋、タクシーもタダにするなど、九州電力と推進派は続々と、とくに原発周辺の住民を抱き込んでいきます。久見崎町の女性ふたりだけが反対運動に最後まで関わりましたが、地域の中で孤立させられて、しかも2人については、お互いの悪口を吹き込む工作をして、分断させました」
このほか、鳥原さんは貴重な証言をしているが、折々に触れて紹介していきたい(別にもったいぶっているわけではない。次から次へと「推進派」がアホなことをやってくれて、書くべきことがあふれているからだ)。
◆原発輸出に向かう東芝の墓穴
頭をバットで殴れたような衝撃が走ったのは、中国企業、つまり原発メーカーが輸出拡大を狙い、日本の複数の大手電機メーカーと極秘に接触、原発輸出での協力を打診していたという毎日新聞のトップニュースを見たからだ。
この報道は、12月30日の新聞だったが、年末で心も体も癒したいのに、実はとても不愉快な気分になった。こうした話が、新しい日中交流の場として、「日中企業家及び元政府高官対話(日中CEO等サミット)で行われたのも腹がたつ。そもそも、文化や産業のお互いの未来ある提携の場所ではなかったか。中国の原発メーカーが暗躍するために、この場が設定されたとするなら、政府は責任をとるべきだ。
さて、話をもとに戻す。参加したメンバーの中に中国側として大手原発メーカーの2社のトップ、中国核工業集団の銭智民社長と国家電力投資集団の王炳華会長の姿があった。日本でのわずか数日の滞在期間の間にこの2人の「中国を原発まみれにしたい」経済人は、「海外での原発建設に力を貸してほしい」と日本の大手電機メーカーに原発輸出での協力を打診しまくっていたというから恐れ入る。
「電力投資集団の王会長は、電力大手のJパワー(電源開発)と日立、東芝も訪問していたと聞く。とくに東芝は不正会計で足下が危ういのに、原発メーカーの中国からのメッセンジャーと技術協力の話に応じているとは。1万人のリストラが断行される裏で、ふたたび〝悪夢のエネルギー〟の増幅を謀るとは、もはや天に唾するメーカーであり、福島の被災者にケンカを売る行為ですよね」(地方紙記者)
東芝よ! どこまでも悪魔に魂を売って口に糊するのか。全社員は、福島の原発被災者ひとりひとりに土下座して懺悔せよ。
さあ、そしてこの二つのふざけた中国の原発メーカーの動きは、〝悪魔の画策〟として注視していこう。そして、機会があれば、この九州での貴重な「脱原発の勉強」は、僕が九州で観光地を訪ねた記録とともに、ここで紹介していきたい。もんじゅの廃炉も検討されているようだが、これについても僕は追跡する。
「原発推進」の旗を、やつらが降ろすまで、僕のレポートは続くだろう。
(小林俊之)