猫ブームだという。テレビCMでも映画でもドラマでもとにかく「猫」が出てくる。猫カフェはいつ行っても満杯だ。
さて、まったく興味がないが、「猫カフェ」なるものに出かけたみた。そこまで人気があるなら、覗いてみようというのがジャーナリストの好奇心というものだ。ある都会の片隅に1時間1000円で、延長は10分ごとに100円取られるという猫カフェがあった。
◆「猫が嫌がるので体を触らないでください」などと注意を受ける
ここでは、某アイドルグループのように「人気投票」が行われている。1位の猫は、常に客が離さないのでなかなか触れることができないという。入口で「猫ちゃんを抱っこするのはやめてください」「この猫は、嫌がるので体を触らないでください」などと注意を受ける。まるでキャバクラのキャストへの注意事項を聞いているようだ。
猫と遊びにきている客はカップルが多い。
「猫が好きなんですが、今のアパートでは飼えないので来ています」と20代OLは言う。また、巷では、「猫友」なんていうものが増えていて、そこで友達になったり、「猫カフェナンパ」で恋人を作る男もいるそうだ。
猫カフェにいるような連中はヒマラヤンやスコテッシュなどのブランド猫で購入すれば10万円ほどする種類だっている。
「猫カフェにいるようなスター猫は病気をしやすんです。それに人間に物怖じしないような種類を選んでいる。いわゆる本当の猫じゃないです」と愛猫家は言う。
◆ボトルを入れると機嫌がよくなるキャバ嬢のように
確かに「人間慣れ」しているためか、オモチャでじゃらしても反応しないし、まったく鳴かない。触っても「また人間か」というような飽きた表情をする。それでもちゃっかり「エサの時間です」という店員の呼び込みがなされると客に媚びてくる。まるでボトルを入れると突如として機嫌がよくなるキャバ嬢のように。
そんなわけで「作られた」動物愛護空間がそこにあるが、違和感が満載だ。
だれかが言った。
「こんなところに閉じ込められて猫は幸せなのかね」
それは猫に聞いてみないと〝ニャンとも〟わからない話だ。
だが少なくとも、僕には、街中で鼠を追いかけている野良猫のほうが生き生きとしているように見えるのはなぜだろう。本当は「獲物を追う」のが猫の本能だからか? その答えはまた次回にしよう。
▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。