2011年3月11日に東日本大震災が起きたときにジャニーズのグループで真っ先に激励のテレビCMを流したのはSMAPだった。ところが今回4月14日、16日に起こった熊本大震災について、ジャニーズのグループとして、一番最初にテレビCMにメッセージを出したのが嵐だった裏事情には「メリー副社長のご意向が反映している」(スポーツ紙記者)という

[増補新版]ジャニーズ50年史

5月1日から熊本県の民放キー局でいっせいに嵐のメンバーがひとりずつ激励コメントを語る「応援CM」は感動的だが「こうしたときに真っ先にメッセージを出すSMAPではないところに世代を交代の波がある」という声も。

2011年3月11日の東日本大震災のときはSMAPがACジャパン(公益社団法人・公共広告機構)のCMに出演、中居が『今、ひとつになるとき』と言いつつ5人で「日本の力を信じている」と力強くPRした。ときを経て5年、熊本大震災後、熊本県で流されたテレビCMでは、嵐の5人は画面に登場すると櫻井翔が口火を切る。「このたび、地震で被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます」として二宮ほか4人がお見舞いと激励のコメントを送り、最後に5人全員が「みなさんのふるさとに寄り添います」と語り、バックには嵐が歌う「ふるさと」が流れる。

その後もSMAPはジャニーズを代表して福島の被災者を激励し続けたイメージがある。今年の1月にもNHKにて生放送された『震災から5年〝明日へ〟コンサート』(3月に放映)で福島の被災者を励ます趣旨で北島三郎や「SEKAI NO OWARI」「Perfume」などを招待してコンサートを開催するなどしている。それではSMAPから嵐への交代に何があったのか。まずこれにはSMAPも驚いたという。

「暗黙の了解としてまっさきにメッセージを出すのがいつもSMAPだったのでファンの間でショックだったようです。熊本の民放4局で5月1日に一斉に放送された事実は、あとになってそれぞれSMAPのメンバーたちに知らされたようです」

このニュースを聞いた中居正広は、事務所に単独で熊本に入って救援活動して、 今年にもジャニー喜多川にかわり、社長になると噂されるメリー副社長に怒られた負い目があるからか「しょうがねえよな」とふてくされ 気味でつぶやいたという。

あの解散騒動からなかなか「5人そろってコミュニケートする時間をとるのは不可 能に近い」(テレビ局員)というが、予想していたとはいえ、スタジオでこの話を聞いた稲垣吾郎は無言で、香取慎吾、草彅剛は絶句したという。

とくにショックを受けているのが木村拓哉で、このテレビCM映像を取り寄せて見た。そのはつらつした姿はあまりにも1月に解散騒動で5人そろって「SMAP×SMAP」(フジテレビ)の冒頭で謝罪している映像を対照的だったので「ありえなくねえ? これじゃあ、世代交代をアピールしているもんだろうが!」と舌打ちしたという。
ただでさえ、木村拓哉にとって嵐がジャニーズのグループとして頂点のような厚遇を受けているのは不満のようだ。だが「それもしかたないだろう」という声もある。嵐は、SMAPを育てた元飯島三智マネージャーに対抗して藤島ジュリー景子が作ったグループ。彼らを売りだそうと、無料で再建をめざすJALのCMを引き受けたり、ジャニーズのアイドルグループとしては泥水を飲むような安い条件でバラエティ番組のギャラ条件もあえて呑んできた。

「メリー副社長は熊本震災が起きるとすぐに『震災被災者の激励キャラはうちは 嵐で行くからとスタッフ会議で伝えた。これがSMAPのマネジメントラインには伝わっていなからったらしい。もともと今、誰 がSMAPのマネジメントを主導権をとっているのかは、混乱の最中にある』(事情通)

SMAPのマネジメントがいまひとつ機能しない今、やや不謹慎ながら、熊本大震災を機にここで一気に嵐をたてて業界内で覇権をとろうと画策するには千載一遇の機会だ。

一方で木村が嵐に対して心穏やかでないのは、自身が誇りにしているドラマ『HERO』の設定をパクるようなドラマを松本が演じているからだとも言われる。

「松本潤が主演して高視聴率を稼いでいる『99.9―刑事専門弁護士―』(TBS)は木村がライフワークにしている風変わりな検事が主人公の『HERO』(フジテレビ)にストーリーが酷似しているのは明らか。不利な状況から逆転していく弁護士役の松本の姿は、木村が演じる検事、久利生き公平の姿に重なっていきます。変わり者だという点もかぶっていますし、パートナーの宮崎あおい演じる弁護士ととうまくい かない状態なのに次第に呼吸があってくるところも、木村と検事事務官を演じた松たか子のコンビを彷彿させます」(スポーツ新聞記者)

実際、SNSの書き込 みでも「マツジュンのドラマ、あれ『HERO』に激似じゃん。おもしろいんだけど』という指摘があふれた。木村が「設定を俺らの『HERO』に寄せすぎだ。恥ずかしくないのか、あいつら」と暗にTBSのスタッ フを批判したとも伝えられる。

「今後、熊本県民を激励するチャリティーコンサートも主催されています。嵐 が主体となるのですが、もしかしたら格下のゲスト扱いでSMAPを呼ぶなんていう逆転劇もありうるかもしれません」(同)

心中に嵐が吹き始めたのは、木村だけでなくファンも同様。皮肉なことに 『99.9―刑事専門弁護士』は第3話終了時点で、平均視聴率は16.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマーク。「水準ぎりぎりながらも映画化も話が出始めてもおかしくない」(TBS関係者)。

それにひきかえ、来年頭からなかなかスケジュールが埋まらないSMAPの木村を除く「造反組」と言われるメンバーたちは焦りから愚痴が増えてきたとも。
「契約が切れる9月に本当に解散するのではないでしょうか」(30代SMAPファン)

のしあがり始めた嵐の台頭に、SMAPのメンバーたちの本音はいかに?

(伊東北斗)

抗うことなしに「花」など咲きはしない『NO NUKES voice』Vol.7