実は、昨年の末から小中学校の教科書検定中の教科書を教員に見せて、教科書を作る出版社が謝礼を渡していた贈収賄事件で、これを追及する「新しい歴史教科書をつくる会」が永田町で立ち上がっている。
いつもは衆議院議員会館の、狭い地下の会議室で行われるのだが、年配ばかりで悲しい。作曲家のすぎやまこういちや国際文化人のデヴィ・スカルノらも名前を連ねる同会だが、有名どころはあまり顔を出さない。文部科学省が発表したところによると、受領した人数は、すでに4,000人を超えており、その謝礼総額は5,000万円を超えている。この事態を受けて、「新しい歴史教科書をつくる会」の事務局としては、3月7日に東京地検特捜部に、教科書発行各社の代表者を贈賄の罪で刑事告発した。
だが東京地検は、結論からいえば「公正取引委員会」に丸投げ。さらにこの「公正取引委員会」の連中もやる気がないときている。
文部科学省が教科書出版社に5,147人に見せて、うち3,996人に謝礼を渡していることがはっきりしている。
とりわけ埼玉県では圧倒的にこの賄賂受諾の動きは多数。もっとも謝礼を渡していた書籍は東京書籍で、謝礼を受け取った167人中、116名が東京書籍から「よしなに」と金品を受け取った。
「はっきりいって教員が教科書採択に影響を与えてもいいものかどうか」(藤岡信勝・拓殖大学客員教授で「つくる会」副会長)
小学校で配られる教科書は、ある意味「世の中」への入口だ。
その教科書の採択で、賄賂まみれのチョイスが行われている。
なるほど、こうした教育システムで〝きちんとした軌道〟を歩んで学歴を重ねていき、例えば最高学府を卒業すると「えー、その件につきましても政治資金報告書に記載の事項でございますので第三者の厳しい精査に結果を委ねたい」と回答する都知事が生まれるのだろうな、たぶん。
(伊東北斗)