「今回でNO KICK NO LIFEは終了となります」と言っても、小野寺力氏がイベント開催を撤退することなど1000%在る訳がなく、「“キックなくして我人生なし” は1ミリもブレずに何十倍にも大きくなって帰って参ります」と語った小野寺力氏。9月14日に渋谷TSUTAYA O-EASTに於いて公開記者会見(発表会)が行われます。観覧(観戦)自由ということですが、開始時刻等詳細は後日発表です。
◎NO KICK, NO LIFE~THE FINAL~
6月24日(金)渋谷TSUTAYA O-EAST.19:00~21:55 主催:RIKIXジム / 放映:フジテレビオンデマンド
7月3日(日)22:00~スカパー『Fighting TV サムライ』でも放映
◆60.5kg契約 5回戦
WBCムエタイ世界スーパーフェザー級チャンピオン.梅野源治(PHOENIX/60.4kg)
VS
ヨードワンディー・ニッティサムイ(ヨーペットから改名/タイ/60.3kg)
引分け / 1-0 (主審 大成敦 / 北尻 48-48. 玉川 50-47. 大村 48-48)
梅野源治の右ストレートでヨードワンディーがノックダウンしましたが、「梅野のパンチは当たっていたか?」という疑問が試合後、あるジムの会長より聞かれました。ヨードワンディーすぐ立ち上がり、“ダウンではない”というしぐさを示しましたが裁定は当然ながら覆らず。実際は額に当たっていたようです。
最近のレフェリー組織によっては「フラッシュダウンは取らない」という傾向もあるキックボクシングですが、これは裁くレフェリー陣の経験や、古いキックと今時のムエタイの視点の置き方などの違いがあります。インパクトは軽くても見た目は当たって倒れ、ノックダウン扱いとなったら、それに従うしかありません。
梅野はやや劣勢になる展開もありつつ、的確なヒットもあり、完全に取られたラウンドがあったかは難しい見極めでした。ヨードワンディーを含め、日本選手にもタイ選手にも研究される立場の中、トップクラスと激闘続く梅野は、またも引分けでも評価は落ちないでしょう。
◆59.5kg契約 5回戦
全日本スーパーフェザー級チャンピオン.森井洋介(ゴールデングローブ/59.3kg)
VS
チャオ・ロブート(元ルンピニー系フライ級C/タイ/59.0kg)
勝者:森井洋介 / 3-0 (主審 北尻俊介 / 大成 49-47. 玉川 50-46. 大村 50-47)
森井洋介は多彩なパンチとローキックを武器に、左のボディブローが度々強烈にヒット。怯まないチャオは下がらずローキックやパンチで軽く様子を見ながら時折強烈なハイキックやヒジ打ちを繰り出しました。終始、森井の手数が多く主導権は譲らず2~4ポイント差で安定した勝利。
◆57.3kg契約 5回戦
WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級チャンピオン.宮元啓介(橋本/57.0kg)
VS
北薗翔大(元KOSフェザー級チャンピオン/田畑/57.2kg)
勝者:宮元啓介 / 3-0 (主審 大村勝巳 / 大成 49-48. 玉川 50-49. 北尻 49-47)
北薗翔大は元KOSフェザー級チャンピオンの経歴を持ち、テクニックはしっかり備えた選手で宮元に負けないせめぎ合いを続けましたが、後半はテクニックと経験値で優る宮元が主導権を握り、飛び技を出す余裕で小差ながら判定勝利を導きました。
◆65.0kg契約3回戦
中尾満(エイワスポーツ/64.5kg)vs 前田将貴(RIKIX/65.0kg)
勝者:前田将貴 / 0-3 (主審 北尻俊介 / 大成 28-30. 玉川 28-30. 大村 29-30)
◆ライト級3回戦
雅駿介(PHOENIX/61.23kg)vs 錦和道(ゴールデングローブ/61.0kg)
勝者:雅駿介
TKO 3R 0:22 / カウント中のレフェリーストップ / 主審 玉川英俊
◆スーパーフェザー級3回戦
浦林幹(フリー/58.3kg)vs 藤野伸哉(RIKIX/58.9kg)
勝者:藤野伸哉
TKO 3R 2:01 / レフェリーストップ / 主審 大成敦
◆スーパーフェザー級3回戦
井上将吾(白山/58.4kg)vs 旭野穂(ゴールデングローブ/58.5kg)
引分け / 0-0 (主審 玉川英俊 / 大成 29-29. 北尻 29-29. 大村 29-29)
◆毎回期待を裏切らないNO KICK NO LIFE
今回の開催時間は約3時間掛かりましたが、全7試合は手頃な試合数でした。
アトラクションとして、話題の17歳天才キックボクサー、那須川天心がミット蹴りを披露しました。素早さ、バランスの良さ、力強さ、これは確かに、天才と言われる素質に納得です。
前半4試合は、前日計量のルールミーティングで忠告された「小野寺力氏がコンセプトとする“キックボクシングの魅力を世間に伝える”ことを意識に持つこと」を促されていて積極的に打ち合いに出るファイトが目立ちました。後半3試合は、ベテランの経験値を活かした攻防に判定結果ながらファンを魅了していました。
いろいろな団体、各プロモーション単位の興行は増えましたが、NO KICK NO LIFEも毎度期待を裏切らない5回戦のこだわりと豪華さがありました。次回、リニューアルスタートを切る小野寺力氏自身の思想は、原点が純粋なキックボクシングの老舗だっただけに、間違った方向に行かないのは確かなところでしょう。単に新たなキックのイベントでなく、キックの魅力を世間に伝える為、どんな再スタートを切るか期待が掛かります。
[撮影・文]堀田春樹
▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」