◇S・ライト級8R

佐々木基樹(帝拳)× 岡崎祐也(中内)

8月2日に新宿フェイスで行われた角海老ジムの興業は暑さのなかでどれもエキサイティングな試合が展開された。ヘビー級ボクサーの前座とはいえ、かつて日本王者を極めた40歳の佐々木が2年半ぶりに復活。「左が伸びてくる」というランク8位の岡崎のパンチをことごとくかわしてまわりこみ、しのいで左フックや右フックをかまして、なんとか手数で岡崎を上回った。

佐々木は、「世界は無理だが、東洋や日本王者は狙える」として、長いブランクを経て復活した。

「こんな試合していたら日本を狙えへん」と、3-0の判定勝ちを納めたが、ご機嫌は悪いのなんの。

終了後に「今度は日本王者の岡田博喜がターゲットですね」というと、「当たり前やないですか」とご機嫌斜めだった。よほど、試合の展開が思いどおりにならないことが悔しかったのだろう。

それにしても、新宿フェイスのリングは狭いのなんの。それに、ふわふわとしているから、ボクサーは打ち合うしかない。

2Rでタオルを投げて勝った京太郎は、相手がクルーザー級なので、参考にもならない。主役の京太郎は、「来ていただいてありがとうございました」として次の試合は東洋太平洋王座かWBO王座を狙うとしているが「海外でやりたくない」という始末。

そんな風に主役が小さく見えたぶん、佐々木の戦いは、火花が散って会場を興奮のるつぼに巻き込んだ。

ただし、前座とはいえ、佐々木の試合は、まわりこんでパンチをかわしながら打つという点では、教科書のような試合だ。あとでじっくりとビデオを見て研究したいものだ。

「唯我独尊」がモットーの勝負師、佐々木は、なんと地下足袋でリングに登場、戦った。野武士のような男、佐々木基樹の今後にこうご期待あれ。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター/NEWSIDER Tokyo)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、書籍企画立案&編集&執筆、著述業、漫画原作、官能小説、AV寸評、広告製作(コピーライティング含む)とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。