豪快なKO勝利もあり、存在感大きかった34歳桃井浩

◎武士シリーズ vol.4
10月2日(日)後楽園ホール17:30~21:15
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

《ハイライト》

◎今年2月、ゴンナパーに判定負け、6月、翔センチャイジムに負傷による棄権TKO負けと白星が無い大和知也が中尾満を圧倒し、エース格の面目躍如。

◎高橋一眞に雪辱果たして王座に就いた村田裕俊が複数団体同級チャンピオンの久世に判定勝利。

◎興味深かった高橋三兄弟次男・亮21歳と佐々木雄汰16歳のルーキー対決。互いに持ち味出した戦いで高橋亮が判定勝利。

◎桃井浩が劣勢の判定負けながら力出し切ったラストファイト。

主要6試合

◆64.0kg契約5回戦

NKBライト級チャンピオン.大和知也(SQUARE-UP/63.75kg)
VS
中尾満(エイワスポーツ/63.85kg)
勝者:大和知也 / KO 1R 2:45 / 3ノックダウン

ローキックのけん制からボディへ右ストレート、更にコーナーに詰め連打でダウンを奪い、巻き返しに出てくる中尾と打ち合いの中、連打で2度目のダウンを奪い、効いていない様子の中尾だったが、仕留めに掛かる大和は連打の中、右ストレートで3度目のダウンを奪い久々の圧倒KOでの完勝。

距離を詰めるにも勢いがあった大和知也のボディブロー

他団体チャンピオン下し、更なる上位を目指す村田裕俊

◆58.0kg契約5回戦

NKBフェザー級チャンピオン.村田裕俊(八王子FSG/58.0kg)
VS
WMC日本フェザー級チャンピオン.久世秀樹(レンジャー/57.8kg)
勝者:村田裕俊 / 判定3-0 / 主審 馳大輔
副審 前田49-47. 川上49-48. 佐藤友章49-48

序盤は久世がムエタイ技で積極的に出てヒジ打ちで村田の額を切ることに成功。後半は村田がローキック主体にジワジワ巻き返し、久世の勢いが衰えるがまま、村田の判定勝利。

勢いの違いが出始めた後半の高橋亮のミドルキック

◆53.7kg契約5回戦

NKBバンタム級チャンピオン.高橋亮(真門/53.6kg)
VS
WPMF日本スーパーフライ級チャンピオン.佐々木雄汰(尚武会/53.6kg)
勝者:高橋亮 / 判定3-0 / 主審 鈴木義和
副審 前田50-49. 川上49-48. 馳50-48

高橋亮は三兄弟の中で最初に王座に就いたNKBとしても有望な存在。佐々木雄汰は16歳でWPMF日本スーパーフライ級王座に就いたスーパールーキー。ムエタイ技で佐々木が上回り、素早さ、ヒジ打ち、転ばしも上手いが高橋は冷静に様子見。3Rには佐々木を空回りさせるキックスタイルの高橋のパンチで佐々木は鼻血を出す。後半に得意とする戦法を活かした高橋が勢いを増した展開で判定勝利。再戦すればまた向上した面白い戦いになりそう。

キックボクシングスタイルの高橋亮が優ったボディブロー

凡戦となったが、一発の破壊力はKOのチャンスもあった田村と西村

◆NKBミドル級5回戦

1位.田村聖(拳心館/72.15kg)vs6位.西村清吾(TEAM-KOK/72.45kg)
引分け 1-0 / 主審 佐藤友章
副審 川上49-49. 馳49-49. 前田50-49

決定打が少ない中、パンチのクリーンヒットが当たると勢い増すかと見入っても、スタミナ切れのパッとしない中、KOを期待した観る側は長い5ラウンドとなった展開。

劣勢が続くもラストファイトを悔いなく戦った桃井浩

◆ライト3回戦

NKBライト級2位.桃井浩(神武館/61.0kg)vs増倉敦(TRY-EX/61.1kg)
勝者:増倉敦 / 判定0-3 / 主審 鈴木義和
副審 馳28-30. 佐藤友章28-30. 前田28-30

桃井浩のラストマッチは増倉に攻められっぱなし。2Rにはちょっと逆転は無理かと思うほど手数が減り、3Rは踏ん張って反撃もスタミナ切れ。しかしラストマッチとしての力を出し切る意地を見せた感動も残りました。

◆NKBフェザー級3回戦

4位.高橋聖人(真門/57.0kg)vs6位.安田浩昭(SQUARE-UP/57.05kg)
勝者:高橋聖人 / 判定3-0 / 主審 川上伸
副審 前田30-27. 佐藤彰彦30-28. 馳30-27

技が多彩な高橋聖人がしだいに圧倒。安田はパンチで出るしかない劣勢に。やや見過ぎで勢い弱まる高橋も攻勢を維持し判定勝利。

※他、5試合は割愛します。

技の多彩さで安田を圧倒した高橋聖人

他団体チャンピオンを意識したアピールの大和知也

取材戦記

「キックボクシング業界がこれから盛り上がっていきますので、いろんな大会に出れるよう頑張ります。他の団体とか他のチャンピオン倒しますので宜しくお願いします。」(大和知也の勝利者インタビュー)

「NKBの盾になって他団体のチャンピオンをバタバタ倒していくので応援お願いします。」(村田裕俊)

 こうした発言が出てきたのは、NKB自体が「KNOCK OUTイベント」を意識したり、交流戦が出来るようになってきたゆえだと思います。この団体の選手にも新たな目標が出来ることで活気が出て来た証しともいえそうです。

「KNOCK OUT」による波紋は団体によって違った形で出ていると思いますが、NKBにおいてもこのように他の選手にとっても同様の意識があるでしょう。初戦は敗れた高橋一眞も再度出場を狙っていることでしょうし、売り出し中の高橋三兄弟の飛躍に期待が掛かります。

武士シリーズVol.5は12月10日(土)17:30より後楽園ホールにて、NKBフェザー級タイトルマッチ.チャンピオン村田裕俊が同級2位.優介(真門)を迎え初防衛戦を行ないます。他団体交流戦を目指す村田が上昇気流に乗った勢いで初防衛を果たせるか期待のかかる防衛戦です。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」