共和党の実業家、ドナルド・トランプが大統領となった。アメリカ国民は、米国の再生を〝政治家経験のない不動産王〟に託す博打に出る。
この米大統領選の結果で世界的に「得する人」「損する人」それぞれ明暗が分かれる。少なくとも日本のヤクザ界では「アメリカからは緊急撤退」として、リトル・トーキョーや金のロンダリングなどで「すぐに手を引こう」とシグナル、つまり号令が出ている。
オバマ米政権は2011年7月に日本の暴力団「Yakuza(ヤクザ)」を国際的に活動する犯罪組織と認定、翌年2月に経済制裁を敢行した。さらに翌12年に米政府、なかんづく米財務省は、山口組に続いて住吉会など日本の暴力団が、武器や薬物の密輸、売春、マネーロンダリング(資金洗浄)などに関与していると指摘し、これも経済制裁へと動いた。
アメリカ国内の保守派のロビイストたちは「日本からヤクザを排除できないなら2020年の東京五輪への安全な参加を保証できない」と懸念を抱いているのは事実。
「かつて司忍6代目山口組組長とJOC副会長だった田中英寿・日大理事長の2人を撮った写真が、出版社に送り付けられて海外メディアはいっせいに驚愕した。トランプは日本に『東京五輪前にヤクザをなんとかせよ』と注文を安倍晋三首相につけるでしょう」(ヤクザ雑誌編集者)
山口組系組幹部は語る。
「フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領ではないが、トランプ新大潮流は移民、とりわけ海外から来たマフィアを一掃にかかるにちがいない。イタリア・マフィア、チャイナ・マフィア、そして〝ヤクザ〟だ。オバマ大統領は、本格的にアメリカ金融から『YAKUZA』を閉め出しにかかったが、トランプ新大統領の場合は、海外からのマフィアには不動産契約をさせない、また車も持たせない政策をひそかに揉んでいるとも政策チーム内から漏れ伝わってくる。それで米国に進出している広域暴力団はいっせいに『米国で逮捕されては目も当てられない』と撤退を決め込んだのです」
裏社会に詳しい作家の影野臣直氏は「トランプの対外政策は異常だと思いますが」と前置きした上でヤクザの海外進出事情をつぎのように指摘する。
「もうドイツ、イタリア、中国、日本などのアウトローはことごとくリスト化して、入国すらさせないようになるのではないでしょうか。フィリピンもドゥテルテ政権になってから、つぎつぎに性風俗や密輸分野で海外に勢力を伸ばした連中が日本に帰ってきています」
また、いっぽうで「表面上は堅気に見える半グレをいかにアメリカに送り込んで金をロンダリングしたり、ドラッグや食糧品を密輸できるか、ヤクザは知恵のしぼりどころでしょう」とした。
一説には、日本のヤクザが海外にもっている資産は、総額で4兆円とも言われる。
前出の影野氏は言う。
「頭のいいヤクザしか生き残れない時代だということです。フィリピンでは現地政府に気に入られて島をもらったヤクザもいますし、下手を打って強制送還になるヤクザもいる。いちがいにオバマからトランプに変わったからといって黒が白に変わるような〝劇的変化〟はないにせよ、どの時代、どの国の政府にも利権に食い込むやりかたはある。裏社会でも国際的な知恵比べですよ」
韓国マフィアが今回の朴 槿恵スキャンダルで一族をゆさぶり、一儲けしたという情報もある。ヤクザたちはマレーシアやシンガポールのタックスヘイブンに再びシフトし始めた。
「トランプ政権だけに、ババよりもジョーカーを持つヤクザ」は出現するだろうか。
(伊東北斗)
◎[参考動画]How Powerful is Donald Trump – Full Documentary 2016 [HD]
ADVEXON TV 2016/06/09 に公開