311以前、全国で展開されていた原発翼賛広告=原発広告は福島第一原発事故の発生で一斉に姿を消したが、2013年頃から福井(関電)、新潟(東電)、静岡(中電)、青森(原燃)の各県で復活して来た。いずれも県内に原発や関連施設があるためだが、それに従って、「原発翼賛シンポジウム」も復活して来ている。これは主に経産省や県、電力会社が主催し、原発ムラに所属する専門家やタレントがパネリストとして参加する。しかし、シンポジウムとはいえ反対意見の人間は一切呼ばれないから、実際はただの原発翼賛集会だ。従って集まる観客もムラ関係企業からの動員が大半で、まともな質問も出ない。NUMOが全国各地でやっている放射性廃棄物の地層処分を呼びかける講演会と同じである。

◆ローカルメディアのおいしい収入源

こうしたシンポジウムの開催は、各地のローカル新聞社やテレビ局にとって大変おいしい収入源になっている。開催が決まれば共催社となって数ヶ月前から開催告知広告を何度も掲載するが、当然その広告費は主催者から頂戴する。シンポジウム会場も新聞社が手配するが、その際の会場使用料、設営費や実施費も手に入る。そしてシンポジウム開催翌日にはそれを独占記事にする。

さらには、そのシンポの内容を10~15段の記事風広告にして、その制作費と掲載料も頂くこともある。また、資本関係にあるローカルテレビ局は開催告知スポットCMを放送し、その放送料を頂く。出演者の手配や進行は主催者側がやるから、自分たちは元手をかける必要がない、楽に稼げるシステムが確立しているのだ。

しかし、記事風広告はわざと記事と広告の境目を曖昧にした体裁だから、それを記事だと誤認して読んでしまう読者も多い。さらに記事やニュースとして扱うことにより、まるできちんとした議論が行われているかのような錯覚さえ与える。そうした危険性を百も承知でやっているのだから、協力するローカルメディアも非常に罪深い。

◆福井新聞に「記事」として紹介された「翼賛シンポ」

2016年12月12日付福井新聞より

そうしたシンポの典型例が、12月11日に福井で開催され、それが翌日の福井新聞に「記事」として紹介された。しかし、その論調は完全に推進側の発言のみで、広告と何ら変わらないひどさであったので、紹介しよう。
2016年12月12日付福井新聞より

同シンポは原発の40年を超す運転をテーマに、福井県環境・エネルギー懇話会主催、資源エネ庁と関電担当者が出席、参加者も交えたパネルディスカッションもおこなわれたという。資源エネ庁の多田次長が「全ての原子炉を運転開始から40年で廃炉とすると、エネルギー基本計画で定める原発比率「20~22%」をクリアできないと説明。

また関電関係者は、原発のソフト、ハード面の対策を強化し「40年超のプラントも、最新のプラントと同一の基準で安全性を確認している」などと語ったらしい。しかしこれは恐ろしい詭弁である。40年前に作ったものが最新の製品と全く同じ品質を保てるなど、科学的にあり得ない。もしそんなことが可能なら、原発の安全検査など必要ないではないか。こういうトンデモ発言に全く反論がないのが、こういうシンポの特徴でもある。

さらに、県内の経済界・消費者・立地自治体・若者(どのようなカテゴライズなのか不明)の代表者4人がパネルディスカッションを実施。原発の40年超運転について「分かりやすい情報に基づいて国民一人一人が問題を咀嚼(そしゃく)し、建設的な議論を」(鈴木早苗・県地球温暖化防止活動推進員)、「安全性向上のため事業者に努力してもらい、規制する側はしっかりと規制してほしい」(田中康隆・高浜町商工会会長)、「人口減少時代に全原発を40年で止めると、発電コストが上昇する一方だ」(進藤哲次・ネスティ社長)と発言した。

◆311以前と変わらぬ発言をデジャヴのように繰り返す

原発翼賛シンポならではの酷さだが、あの甚大な原発事故を経験したというのに、311以前と全く変わらぬ発言を並べる人々を見ると、昔のシンポ広告を見ているような既視感を覚える。「分かり易い情報に基づいて」などと言うが、原発ムラがそんなものを出したことは一度もないし、「国民一人一人が問題を咀嚼して議論を」などというのなら、直近の世論調査で国民の7割近くが原発に反対という結果が出ている。国民はとっくに咀嚼済みで結論を出しているのだ。また、安全性向上のために事業者が努力をするのは当たり前である。それでも福島の事故は起きたことを忘れてはならない。また、「しっかり規制」しなどしたら、日本では原発を動かすことなど出来はしない。

さらに最後のネスティ社長の発言など、昨今の原油安で殆どの原発が停止中にも関わらず、全ての電力会社が黒字になったのを知らないらしい。人口減少と原発停止による発電コストとは何の関係性もない。要するにどれもこれも、反論がないことを良いことに、自分たちに都合のいい発言をしているに過ぎない。

そして最後の若者?代表の発言には唖然とした。『福井大生の青山泰之・ふくい学生祭元実行委員長は「専門家が考え、決めたことは信じるしかない」』と発言したらしいが、大学生が自分で考えることを放棄して御用専門家を「信じるしかない」などと口にするとは、呆れを通り越して福井大のレベルが心配になる。その御用連中の言葉を信じたばかりに原発事故が起きたのを知らないのだろうか。利権にまみれた大人たちは既に手遅れだが、前途ある学生には、是非拙著や『NO NUKES voice』を読んで欲しいと願うものだ。

▼本間龍(ほんま りゅう)
1962年生まれ。著述家。博報堂で約18年間営業を担当し2006年に退職。著書に『原発プロパガンダ』(岩波新書2016年)『原発広告』(亜紀書房2013年)『電通と原発報道』(亜紀書房2012年)など。2015年2月より鹿砦社の脱原発雑誌『NO NUKES voice』にて「原発プロパガンダとは何か?」を連載中。

『NO NUKES voice』第10号 本間龍さん連載「原発プロパガンダとは何か?」〈8〉新潟知事選挙と新潟日報の検証!

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年1月号!

 

商業出版の限界を超えた問題作!

当欄で繰り返し冤罪疑惑を伝えしてきた本庄保険金殺人事件で、八木茂死刑囚(66)は11月28日、再審請求特別抗告審で最高裁に無実の訴えを退けられ、再審が開かれないことが確定した。しかし12月6日、弁護団はさいたま地裁にすぐさま2度目の再審請求を行い、再審無罪を目指す闘いの第2ラウンドが始まった。今後注目度が高まると予想されるのが、ある「被害者」たちのタブー情報だ。

確定判決で殺害に使われたとされている風邪薬

◆「風邪薬で殺害」を専門家が否定

埼玉県本庄市で金融業を営んでいた八木死刑囚は1999年の夏、マスコミ報道により債務者たちに保険をかけて殺害していた疑惑が表面化。一貫して無実を訴えたが、2008年に最高裁で死刑が確定した。確定判決によると、八木死刑囚は95年に元行員の佐藤修一氏(当時45)を保険金目的でトリカブトで殺害。さらに98年から99年にかけ、元パチンコ店店員の森田昭氏(同61)、元塗装工の川村富士美氏(同38)の2人に保険金目的で大量の風邪薬と酒を飲ませ、森田氏を殺害、川村氏には急性肝障害などの傷害を負わせたとされた。

しかし、死刑確定後に再審請求すると、トリカブトで毒殺されたとされる佐藤氏について、計3人の法医学者が死因を再鑑定したうえで「溺死」と判定。「佐藤氏は川で自殺した」という弁護側の主張が裏づけられる形となった。

結局、東京高裁は「鑑定結果に依拠できない」と八木死刑囚の無実の訴えを退け、最高裁も同高裁の判断を支持し、八木死刑囚の再審請求は実らなかった。しかし、このほど行われた第2次再審請求で提出された「無罪の新証拠」は興味深いものだ。それは、大量の風邪薬と酒で殺害されたとされる森田氏について、病理学の専門家が服薬と死亡の因果関係が認められないとした鑑定書だというのだが、これを私が興味深く感じる理由は大きく2点ある。

◆検証されていない「覚せい剤で死んだ可能性」

1点目は、確定判決で認定された森田氏に対する八木氏らの殺害の実行方法がそもそも不自然だったことだ。確定判決によると、森田氏は川村氏と共に八木死刑囚の愛人だった武まゆみ受刑者(49)=無期懲役が確定して服役中=から9~11カ月に渡り毎日20~30錠の風邪薬を酒と一緒に飲まされ、体を弱らせて死亡したとされている。武受刑者は2人に「健康食品」と偽る手口で風邪薬を飲ませていたとされるが、大の男がこれほどの長期間、逃げも隠れもせず、体を弱らせながら風邪薬を飲み続け、死んでしまうというのは非現実的である。

2点目は、マスコミはほとんど報道していないが、森田氏と川村氏の2人が事件当時、実は覚せい剤中毒に陥っていたことだ。覚せい剤を過剰に摂取すれば、体調が悪くなり、死ぬこともある。それは一般常識だ。しかし、八木氏の裁判では、森田氏が死んだり、川村氏が体を壊した原因が覚せい剤の摂取にあった可能性がまったく検証されていない。それだけに森田氏の死亡と服薬の因果関係を否定する医学的な鑑定結果が示された意味は大きい。今後、森田氏と川村氏の体調悪化の原因が覚せい剤だった可能性も検証されるべきだろう。

八木死刑囚の金融会社事務所は取り壊されて更地に

弁護団のブログ。事件の情報が随時報告されている。http:www.itsuwarinokioku.jp

◆「被害者」への過剰な配慮で隠されてきた真相

さて、このような指摘をすることに対しては、「被害者のプライバシー」の観点から問題があるのではないかと考える人もいるのだろう。森田氏や川村氏が覚せい剤中毒者だった事実について、マスコミがほとんど報じないのもそのためだと思われる。このように「被害者のプライバシー」が過剰に配慮されるあまり、真相が隠されてきたのもこの事件の特徴だ。

実を言うと、計3人の法医学者が「溺死」だと判定した佐藤氏についても、死の真相がトリカブトによる毒殺ではなく、自殺だったと示す事実は法医学者らの鑑定結果だけではなかった。佐藤氏は川で死んでいるのが見つかった当時、多額の借金を抱えたうえに胃癌に冒され、さらに遺書まで残していたのだ。こういう事実も「被害者のプライバシー」に配慮し、隠していたのでは、公正な裁判が行われている否かを国民は監視できないだろう。

そもそも、この事件の被害者とされている男性3人については、本当に被害者なのか否かというところから事実関係に争いがある。だからこそあえて、もう一度言おう。八木死刑囚に大量の風邪薬と酒で殺害されたとされる「被害者」たちは覚せい剤中毒者だったのである。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(片岡健編/鹿砦社)

『NO NUKES voice』第10号[特集]原発・基地・震災・闘いの現場

 

商業出版の限界を超えた問題作!

千葉刑務所を囲む高い壁

千葉刑務所正門に到着

千葉刑務所に入るPaix2のワゴン

テレビクルーと共にステージに向かう

刑務所を中心とした本格的な「プリズンコンサート」を2000年から継続してきたPaix2(ペペ)が12月10日、千葉刑務所で400回目の偉業を達成した。

かねてよりPaix2の活動に共感し彼女らの著作『逢えたらいいな』を出版していた鹿砦社は、関係各氏のご協力を得て、今回記念すべき400回目の「プリズンコンサート」に密着取材の許可を得た。

12月9日、片山マネージャーがハンドルを握るワゴンに都内から同乗させて頂き、翌日の音響設備設定とリハーサルを行うべく、千葉刑務所に向かう。助手席にMegumiさん、運転席後ろの後部座席にManamiさんが座るのが定位置だそうだ。

よほどのことがない限り、片山マネージャーがハンドルを握るが、どうしても眠い時は運転をManamiさんに変わることもあるという。これまで全国すべての刑務所を訪れ、総走行距離は120万キロを超えるそうだ。重い機材の積載と長距離の走行で車の消耗も激しく、現在のワゴンは4台目だ。

Paix2が千葉刑務所で「プリズンコンサート」を行うのは今回で5回目だ。千葉刑務所の壁面が見えてくるとManamiさんが「あ!ここ」と小さく呟いた。「やはり現場に着くと気持ちが変化しますか」と伺うと「そうですね。やっぱり気持ちが入りますね」と笑みを浮かべる。正面入口にワゴンが到着すると、明治40年に建てられた煉瓦造りの中央の柵が開き敷地内に通された。

刑務官の方々が左右から「お疲れ様です」「よろしくお願いいたします」と声を掛けて来る。

Paix2が刑務所、法務省関係者の間では既に「特別な存在」と認知されていることが、正門での応対からも伺えた。とは言え、刑務所内に通信機器(携帯電話やパソコンなど)は持ち込めないので、全員が携帯電話を門衛所に預ける。

会場となる体育館近くに駐車したワゴンに、刑務官の方々が台車を次々に押しながらやって来る。ワゴンは4人乗って快適な広さがあったけれども、その後ろにはアンプ、スピーカー、ミキサーなどコンサートで使われるすべての機材が搭載されていた。しかもそれらは寸分の隙間もなく空間を残さずに詰め込まれているので、一見するとそのような大量の荷物が載せられているようには全く見えない。

片山マネージャー、Paix2のお二人は刑務官の方々の手助けを部分的に得ながらも、三人で設営を進めてゆく。物理的かつ技術的にも目配りしなければならない緻密な重労働を限られた時間でこなしてゆく。私も何かお手伝いをしたいと思ったが、彼女らの驚嘆すべき手際の良さと、緊張感に圧倒され、ついに声をかけることができなかった。

設営後は音あわせとリハーサルも行わなければならない。Paix2の活動が単に400回という数字以上に、いかに激烈なものであったのかを設営の場面からも痛感し、そのパッションに圧倒された。会場最後部に設けられたミキサーや調整機材が置かれた机の複雑な配線を終えると、片山マネージャーの合図でリハーサルが始まった。翌日のコンサートで演奏される楽曲の順番にそって、ギターやマイク、音響のバランスをステージ上の二人は短時間で手際よく確認してこの日の作業は終了した。

本番前ステージ上の二人

受刑者の方々を前にいよいよ開演

400回記念公演を祝うパネルを背に歌うPaix2

翌12月10日はホテルを7時半に出発だ。事前にテレビ朝日とフジテレビから取材の要請があり、テレビのクルーがホテルの入り口に控えている。彼女たちがホテルを出てワゴンに乗り込むシーンから撮影を始める。私を含めた関係者はタクシーに乗りワゴンの後を追う。15分ほどで千葉刑務所正門に到着した。

既に取材許可は下りているので、この日は千葉刑務所に用意していただいた控室に通される。コンサート前の意気込みや、この日にかける気持ちをテレビ取材陣は質問するが、Paix2のお二人は、特に400回という数字に大きな思い入れはない様だ。というのも実は400回目のコンサートというのは、正確な数字ではない。過去に何度も同じ日に2回、3回のコンサートをこなした経験が彼女たちにはある。しかし、同日に複数回のステージをこなしたものも「1回」としかカウントしていないので、正確にはコンサート自体の数は400回を大きく上回る。

通常のコンサートは1時間から1時間半だが、彼女たちはその中に全精力を注ぎこむので、2回、3回のステージをこなしたあとは、気を失いそうになるほど心身のエネルギーを使い果たしたという。また刑務所の講堂や体育館には、ほとんど冷暖設備がない。そこに多い時には1000名以上の受刑者の皆さんがぎっしり席を埋めるので、夏期は当然猛烈な暑さとなる。だからPaix2は7月から9月の間には受刑者の方の体調も考慮してコンサートを行うことは控えているという。

コンサート開始午前10時が近づいて来たので、Paix2をはじめわれわれ取材陣も控室から会場の体育館に移動する。刑務所の中は建物の出入り口が必ず施錠されているので、いくつもの開錠、施錠を繰り返し、ようやく体育館に到着する。天気は快晴だ。会場後ろの入り口から入場すると、すでに受刑者の方々が着席している。この日取材陣が撮影を許可されたのは、会場最後部からだけだった。

午前10時になると、刑務官の方が注意事項を口頭で伝え、ステージに降りていた幕が上がり1曲目『いのちの理由』からコンサートが始まった。

通常、刑務所の慰問やコンサートで、受刑者の方は曲のはじめと終わりの拍手以外は一切の動きを禁じられている。横を向いてもいけないし、肩より上に手を上げることも禁止されている。もちろん私語は一切禁止だ。ちなみにこの日も受刑者の方はコンサート開始の直前まで、全員目を閉じるように指示を受けていた。

「元気出せよ」を歌い始めると、刑務所内では通常、許されないアクションが起る

400回記念公演の幕が閉じる

刑務所長から感謝状授与されるPaix2の二人

感謝状を手に

1曲目が終わるとManamiさんが「皆さん!おはようございます!」と観客席に声をかける。観客席からも「おはようございます」と控えめな声が上がる。本来「こんにちは」であっても私語に該当するので、厳密には許されないのだが、Paix2は前述の通り千葉刑務所だけで5回、トータル400回以上の活動実績があるので「特別」に挨拶や手拍子が許されるのだ。

ちなみに千葉刑務所は初犯で懲役10年以上の受刑者の方が収容されている施設だ。無期懲役の方も収容されている。だから受刑者の方の中にはPaix2を見るのが5回目という方も少なくない。

Manamiさんは「ちょっと元気ないですね。もう一回。皆さん! おはようございます!」と再度観客席に声をかける。先ほどよりかなり大きな「おはようございます!」の声が上がる。受刑者の方の中には初めてPaix2のコンサートを聴く方も当然いるので「私語」についての特別扱いが受刑者の皆さんに認識されると、徐々に拍手や手拍子も大きくなる。

この日のコンサートでは合計9曲をPaix2は歌い上げ、大拍手の中で成功裏に記念すべき第400回目、節目のコンサートは幕を下ろした。終了後控室に戻ったPaix2のお二人に朝日新聞、毎日新聞と私が20分ほどインタビューを行い、次いで、テレビ朝日、フジテレビの順でインタビューが続いた。

その間受刑者の方が退場した体育館では、あの膨大なPAやミキサーなどの後片付けを、片山マネージャーがお一人で完了していた。改めてその体力と手際の良さに驚かされた。

私は12月9日の東京出発から10日コンサート終了後東京帰着まで同行させていただいた。2日間で普段は見られないPaix2の活動のすさまじさと、人柄に接することができた。そして実はコンサートの最中にハプニングが起こっていたことを帰路知ることになる。詳細は次回報告しよう。

Paix2(左からManamiさん、Megumiさん)と二人を支える片山マネージャー(右)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

Paix2『逢えたらいいな―プリズン・コンサート300回達成への道のり』(特別記念限定版)

『NO NUKES voice』第10号[特集]原発・基地・震災・闘いの現場

 

台湾北部の山間の町・九份(ジォウフェン)は、ジブリの映画、「千と千尋の神隠し」の舞台であるといわれている。宮崎駿監督は、この噂を否定しているようだ。宮崎駿「ええ、違います。」「映画を作ると、『自分の所(がモデル)だろう』という人は日本にもいっぱい居まして。トトロの時も…」「同じような風景はいっぱいあるっていう事です。」とインタビューにて答えている。

まあそれはそれとして、台湾は実にきれいな街並みだ。どこにいってもゴミがまったく落ちていない。だがそれは「中国本土みたいにならない」という意地の所作である。台湾人がきれい好きだとは限らない。

 

それはまあ別として、「ジォウフェン」という町はもともと金が発掘できるということで、かつてゴールドラッシュがおこり、山に無理くりに宿やらお店を大量に出した。と、いうわけで急な傾斜に立つ建物から下を見ると、あたかも巨人になったような気分になる風景が迫ってくる。

そして、台湾は食べ物も最高だ。小籠包も、タピオカも、チャーハンもおそらくアジアでナンバー1なのではないか。

ただし政治は別問題だ。台湾は今、アメリカとやりとりしたがる連中と中国本土に近い連中の間でつな引きが行われている。7月7日に台北市の松山駅で車両爆発事故が起きたが、一時、これは政治テロではないかという憶測も流れた。

台湾はIT立国であり、建物を見る限り、昭和の初期みたいだし、電車も昭和30年代のようだが、実は日本よりも進んでいる。ほとんど人が来ないような田舎の駅でさえも、wifiがとんでいる。

とはいえ、私自身は、これまでろくな中国人、ならびに台湾人に日本で会ったことがない。お台場あたりに行くとよくわかる。中国人や台湾人は「旅の恥はかきすて」とばかりに平気でゴミを捨てる。一度、ゴミを町中に置いていく東南アジア系と思しきツーリストに「常識外のことをするなよ。どこから来たのか」と聞いたら「台湾だ」と答えた。彼らの母国は綺麗だが、他国は平気で汚して帰る。

15年前のことだが、知人の台湾人ライターは「電気代も払えない」といっておきながら人に金を借りて、キャバレーに通っていた。厚顔無恥とはこのことで、いまだに彼は逃げている。こうした体験があるがゆえ、私は台湾人に良い印象を持っていない。台湾はたしかに美しい。だが、私が日本で出会った台湾人は残念ながら最低だったのだ。

台湾の美しき光景よ、聞くところによるとISが台湾で増えており、イスラムの輩が増えているようだが、せいぜい警戒すべし、である。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして中道主義者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年1月号

とどまることなく繰り返される芸能人の薬物事件! 過去から最近の事例まで網羅した決定版!『芸能界薬物汚染 その恐るべき実態』

 

商業出版の限界を超えた問題作! 禁断ベストセラーの増補新版

 

台湾北部の山間の町・九?(ジォウフェン)は、ジブリの映画、「千と千尋の神隠し」の舞台であるといわれている。宮崎駿監督は、この噂を否定しているようだ。宮崎駿「ええ、違います。」「映画を作ると、『自分の所(がモデル)だろう』という人は日本にもいっぱい居まして。トトロの時も…」「同じような風景はいっぱいあるっていう事です。」とインタビューにて答えている。

まあそれはそれとして、台湾は実にきれいな街並みだ。どこにいってもゴミがまったく落ちていない。だがそれは「中国本土みたいにならない」という意地の所作である。台湾人がきれい好きだとは限らない。

 

それはまあ別として、「ジォウフェン」という町はもともと金が発掘できるということで、かつてゴールドラッシュがおこり、山に無理くりに宿やらお店を大量に出した。と、いうわけで急な傾斜に立つ建物から下を見ると、あたかも巨人になったような気分になる風景が迫ってくる。

そして、台湾は食べ物も最高だ。小籠包も、タピオカも、チャーハンもおそらくアジアでナンバー1なのではないか。

ただし政治は別問題だ。台湾は今、アメリカとやりとりしたがる連中と中国本土に近い連中の間でつな引きが行われている。7月7日に台北市の松山駅で車両爆発事故が起きたが、一時、これは政治テロではないかという憶測も流れた。

台湾はIT立国であり、建物を見る限り、昭和の初期みたいだし、電車も昭和30年代のようだが、実は日本よりも進んでいる。ほとんど人が来ないような田舎の駅でさえも、wifiがとんでいる。

とはいえ、私自身は、これまでろくな中国人、ならびに台湾人に日本で会ったことがない。お台場あたりに行くとよくわかる。中国人や台湾人は「旅の恥はかきすて」とばかりに平気でゴミを捨てる。一度、ゴミを町中に置いていく東南アジア系と思しきツーリストに「常識外のことをするなよ。どこから来たのか」と聞いたら「台湾だ」と答えた。彼らの母国は綺麗だが、他国は平気で汚して帰る。

15年前のことだが、知人の台湾人ライターは「電気代も払えない」といっておきながら人に金を借りて、キャバレーに通っていた。厚顔無恥とはこのことで、いまだに彼は逃げている。こうした体験があるがゆえ、私は台湾人に良い印象を持っていない。台湾はたしかに美しい。だが、私が日本で出会った台湾人は残念ながら最低だったのだ。

台湾の美しき光景よ、聞くところによるとISが台湾で増えており、イスラムの輩が増えているようだが、せいぜい警戒すべし、である。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして中道主義者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年1月号

とどまることなく繰り返される芸能人の薬物事件! 過去から最近の事例まで網羅した決定版!『芸能界薬物汚染 その恐るべき実態』

 

商業出版の限界を超えた問題作! 禁断ベストセラーの増補新版

飛び蹴り、後ろ蹴り、躊躇うことなく繰り出す那須川天心の天才的な技

テレビ解説の元ムエタイチャンピオン.石井宏樹の言葉だったかと思いますが、「ついにこの日がやってきた」とは、正にそんな日でした。こんなキャッチフレーズは過去に何度も使われましたが、日本で大手企業がバックアップし、やがて地上波で放送予定にあるイベントとしてはキックボクシング満50周年に新たな歴史の一歩を踏み出したと言える日かもしれません。

6試合中、メインイベント以外はすべてKO、大月晴明(43歳)と那須川天心(18歳)は常識を超えた天才か。それぞれの歳でこんな難敵を豪快に倒すとは驚きの現実を見せ付けてくれました。

見事、顎に命中、どこまで突き進むか那須川の偉業

立てないワンチャローン、悶絶KO

大月は開始早々からボディブローを引き金に顔面への爆腕パンチラッシュで一気に倒し、那須川天心は初のヒジ打ち有効ルールも恐れず攻め、ムエタイ現役チャンピオンに左後ろ蹴りを顎に炸裂させて悶絶KOする動体視力と当て勘の良さ。
T-98は長島のヒジ打ち貰って顔面切られる不覚も、10月のラジャダムナンスタジアムでの初防衛戦で見せた打ち負けない圧力で重いローキックと右ストレートで倒す貫禄。

森井洋介はヒジで切られつつ、右縦ヒジカウンターで打ち倒し、9月のKNOCK OUT発表会見試合で高橋一眞を1R・KOした試合を含め2連勝。勝ち数では一歩先行く立場。
小笠原瑛作は以前より勢い増したしなやかさとスピードで宮元から一歩も引かない攻撃力でバックヒジ打ち、左ヒジカウンター、左ハイキックで3度ダウン奪って快勝。

梅野源治は本来の技術で優る展開を見せ、元ラジャダムナン・フェザー級、スーパーフェザー級2階級制覇チャンピオンに大差に近い判定勝利。終盤、シリモンコンが諦めの表情を見せるような梅野の実力が光りました。今年の梅野は激闘で怪我が多かった中でも、ラジャダムナン・ライト級王座を奪取しこの日を迎え、体調万全ではないことも試合に表さない強さを見せました。

◎KNOCK OUT Vol.0 / 12月5日(月) TDCホール19:00~21:25
主催:(株)キックスロード / 放送:FIGHTING TVサムライ、スポナビライブ

◆メインイベント 第6試合 61.5kg 5回戦

ラジャダムナン系ライト級チャンピオン.梅野源治(PHOENIX/61.3kg)
         VS
シリモンコン・PKセンチャイジム(元・ラジャダムナン・SB級、Fe級C/タイ/61.1kg)
勝者:梅野源治 / 判定3-0
主審 大成敦 / 副審 大村50-46. 北尻49-46. 小川49-47

しなりある梅野のハイキックに近い右ミドルキック、徐々に梅野ペースへ引き込まれる

左ミドルキックで攻める梅野。シリモンコンに活路は無かった

ムエタイチャンピオンの貫禄が増したT-98は長島を圧倒するも、ヒジ打ちで右頬を切られる不覚

森井もパンチから最後はヒジで決める難度の技でKO

◆第5試合 55.0kg契約 5回戦

那須川天心(TARGET/55.0kg)
         VS
ルンピニー系スーパーフライ級チャンピオン
ワンチャローン・PKセンチャイジム(タイ/54.9kg)
勝者:那須川天心 / TKO 1R 2:23
カウント中のレフェリーストップ / 主審 岡林章

◆第4試合 70.0kg契約 5回戦

ラジャダムナン系Sウェルター級チャンピオン.T-98(=タクヤ/クロスポイント吉祥寺/69.95kg)
        VS
長島自演乙雄一郎(魁塾/70.0kg)
勝者:T-98
TKO 2R 2:50 / カウント中のレフェリーストップ゚ / 主審 大村勝巳

◆第3試合 60.5kg契約 5回戦

森井洋介(GOLDEN GLOBE/60.5kg)
VS
ヨードワンディー・ソー・チャナティップ(BBTVライト級10位/タイ/60.5kg)
勝者:森井洋介
TKO 3R 1:56 / カウント中のレフェリーストップ゚ / 主審 北尻俊介

最後は相打ちカウンターの右縦ヒジで顎を打ち抜き、ヨードワンディーは起きれず

小笠原の先手打つ攻めは宮元のスピードを上回った

◆第2試合 55.4kg契約 5回戦

WPMF世界スーパーバンタム級チャンピオン.宮元啓介(橋本/55.3kg)
          VS
小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/55.4kg)
勝者:小笠原瑛作
KO 3R 2:53 / 3ノックダウン / 主審 小川実

◆第1試合 61.5kg契約3回戦

大月晴明(元・全日本ライト級C/マスクマンズ/61.5kg)
VS
スターボーイ・クワイトーンジム(元・WPMF世界Fe級、SFe級C/タイ/60.8kg)
勝者:大月晴明
KO 1R 0:45 / テンカウント / 主審 北尻俊介

大月晴明(右)の爆腕ラッシュはいつも以上に威力があった

◆取材戦記

日本人全選手、興行名に恥じない展開を目指した、そんな勢いを感じました。KNOCK OUT初回本興行としては大成功と言える内容でしょう。しかし「ノックアウトに重点を置く興行」とタイ選手に伝えても、そう簡単にムエタイリズムを変えられるものではなかったかもしれません。そういう意味では今後のタイ側の名誉挽回に本気モードがやってくるでしょう。それは次なる展開に繋がり、より話題が盛り上がります。

今回の出場チャンピオンたちの契約ウェイトの幅の狭さにちょっと驚きました。梅野の場合、ゆとりを持って62.0kg契約でもよかったのではと思います。「ラジャダムナンスタジアムは寛大な対応をしつつ、突然厳格なことを言ってくる場合もあるので気をつけた方がいい」とは現地マスコミの意見。両者ライト級61.23kgを超えていないとチャンピオンの“負ければ剥奪”の義務が生じるということです。

東京ドームシティーホールは2008年春に開業しました。私個人としてはこれまで縁無く、初めて入場しましたが、どの階からも近く見易い印象がありました。コンサート・ライブに向いた会場と思いますが、リングを使う格闘技興行としては以前と変わらず、使用設備の問題で後楽園ホールが主流なのも分かります。いずれにしても格闘技興行は見易さ重視で、広くても大田区総合体育館まででいいという一般的意見でもあります。

来年のスケジュールは2月12日から4回の予定が決定しています。それ以降は調整中。出場を予定される選手、希望する選手、ファンが望むカードなどありますが、どこまで実現出来るかが今後への期待となるでしょう。他団体でも「KNOCK OUT」を意識した発言が聞かれます。

KNOCK OUT の第2回興行となる「KNOCK OUT vol.1」は、2月12日、梅野源治、那須川天心の連続出場の他、個性豊かなチャンピオンたち、町田光、前口太尊、引藤伸哉が初出場します。

2月12日(日) 大田区総合体育館
4月 1日 (土) 大田区総合体育館
6月17日(土) TOKYO DOME CITY
8月20日(日) 大田区総合体育館

恒例となる全試合を終えて集合写真。負傷選手は上がっていませんが、この場に残るのも価値ある瞬間

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

基地・原発・震災・闘いの現場『NO NUKES voice』10号

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年1月号!

『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

泊原発周辺のフィールドワークを長年行ってこられた地質学者・小野有五さん

『NO NUKES voice』Vol.10が昨日発売された。講談師・神田香織さんと哲学者・高橋哲哉さんの対談をはじめ、沖縄平和運動センターの山城博治さんや元原発作業員の池田実さんが登場するなどして非常にボリュームある一冊に仕上がっている。筆者も『大宮浩平の現場至上視点』というタイトルで写真と取材記を掲載させていただいているが、取材を通して誌面では書き尽くせなかったことも少なくない。とりわけ今回の北海道取材では、泊原発周辺のフィールドワークを長年行ってこられた地質学者・小野有五さん(表紙写真右)のお話は説得力に溢れていた。誌面では詳しくお伝えできなかった小野有五さんの言葉を筆者が再構成したかたちで以下、要約紹介する。

◆“活断層”とは何か?

3.11以降、原発の新規制基準は“将来活動する可能性のある断層等”の上に重要な施設を設置することを認めていません。ですから、原発施設の敷地内に“将来活動する可能性のある断層等”が存在すると判断された場合は、その原発を稼働させることができないのです。ちなみに、40万年前より後に活動した断層は“活断層”と呼ばれ、それは“将来活動する可能性のある断層等”に含まれています。

 

◆北海道電力の主張

北海道電力は泊原発の敷地内にある断層が“岩内層”という地層を変位させたということを認めていますが、“岩内層”は120万年前に形成されたものであるとしており、それ以降の地層変位が無いため原発敷地内に“将来活動する可能性のある断層等”は存在しないと主張しています。北海道電力が“岩内層”と呼ぶのは、岩内平野に分布する砂・小石からなる層のことです。そうした特徴をもつ地層から取り出した“凝灰岩”(火山灰が固まったもの)を調べ、それが120万年前にできたものであったため、“岩内層”は120万年前の地層だと判断しているのです。

◆泊原発の敷地内に存在する断層は“将来活動する可能性のある断層等”である

しかし、砂でできた層の中にある凝灰岩というのは、他から取り込まれたものだと考えるのが妥当です。したがって、取り出した凝灰岩の形成年代が120万年前のものだでからといって、それが周辺地層の体積年代ということにはなりません。

そもそも、地質が似ているという理由のみで全てをまとめて“岩内層”と呼ぶことに問題があります。北海道電力が“岩内層”と一括してきた地層は、場所によって堆積年代の異なる堆積物であると考えるべきであり、地形を考慮した地質学的な視点によれば、泊原発の敷地内にある断層が変位させた層、すなわち北海道電力が“岩内層”と呼ぶ層は、明らかに40万年前よりも新しい層なのです。

ですから、泊原発の敷地内に存在する断層は“将来活動する可能性のある断層等”であると判断することができ、新規制基準に基づけば、ここに重要な施設を設置することは認められません。

以上が小野有五さんの解説要約だ。実にわかり易く明快な理論だと思う。科学者でない我々が科学と向き合うとき、必要なのは“誰の声を聞くか?”という判断だ。この点で泊で聞いた小野有五さんの声は強く深く私に聞こえた。

[撮影・文]大宮浩平

▼大宮 浩平(おおみや こうへい)
写真家 / ライター / 1986年 東京に生まれる。2002年より撮影を開始。 2016年 新宿眼科画廊にて個展を開催。主な使用機材は Canon EOS 5D markⅡ、RICOH GR、Nikon F2。
Facebook : https://m.facebook.com/omiyakohei
twitter : https://twitter.com/OMIYA_KOHEI
Instagram : http://instagram.com/omiya_kohei

12月15日『NO NUKES voice』第10号発売

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年1月号!

『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

 

◆オスプレイ事故は「不時着」でなく「墜落」だ

やはりオスプレイは墜落した。12月14日の京都新聞朝刊は「米軍オスプレイ不時着」の見出しで、「防衛省関係者によると、13日夜、沖縄県の近海に米軍の新型輸送機オスプレイ1機が不時着した。搭乗員は脱出したが、けが人がいる模様」と報じている。不時着? 沖縄県の近海? 報道機関よ、事実は正確に伝えよう。「沖縄県の近海への不時着」は「名護市沿岸部への墜落」ではないか。

沖縄のメディアや現時点での情報によれば、「墜落地」は陸地に近い「浅瀬」で、13日深夜から沖縄県警の機動隊車両が周囲の道路を埋め尽くしている。沖縄県民をはじめとする「オスプレイ」への懸念は、奇しくも『NO NUKES voice』発売日の直近に現実のものとなった。直視しよう、現実を。正しく伝えよう、危機の現実と「墜落」の事実を。この事故は過去の事故歴を紐解けば、いつかは必ず高い確率で起こる必然だったのだ。唯一の幸いはそれが沖縄住民の生命に被害を及ぼさなかったことだけだ。

「オスプレイ墜落」は高江や辺野古の基地建設反対運動が訴えてきたことの正当性を証明した。余分な解説は不要だ。「オスプレイは墜落する」その事実をしっかり凝視しよう。

名護警察署

沖縄の右翼にもインタビュー敢行!

不当逮捕で長期勾留されている沖縄平和運動センター議長の山城博治さん

◆不当逮捕直前に山城博治さんが『NO NUKES voice』に語ってくれた沖縄・基地〈闘いの現場〉

本日15日発売の『NO NUKES voice』10号で見逃せないのは、奇しくも沖縄情勢のレポートだ。特集に登場いただいた沖縄平和運動センター議長の山城博治さんと同事務局長大城悟さんのインタビューを是非お読み頂きたい。その中には「オスプレイ墜落」を正しく読み解く全てがある。

昨日もお伝えしたが山城博治さんはこの『NO NUKES voice』取材後に不当逮捕され、長きにわたり勾留されている。博治さんは高江や辺野古だけでなく、沖縄における〈現場の闘い〉の象徴といってもよい。博治さんのインタビューを出版する時点では、彼が不当に逮捕され、これほど長期勾留の身に置かれようとは編集部も想像していなかった。また、事務局長の大城さんには博治さん逮捕後も折に触れ、編集部が電話で博治さん逮捕・勾留の状況を伺っているが、大城さんは「すべて仕組まれた弾圧だと思います」と語っていた。

近年の国政選挙や県会議員選挙、知事選挙の全てで「基地は要らない」と沖縄の民意は示されている。「もっと沖縄知事や行政が奮闘しないか」との声も耳にする。だが、それは筋が違うだろう。選挙の結果を中央政府が無視し、踏みつけにする構造こそが指弾の対象であり、その矛先を誤ってはならない。

その点、最先端で闘い続け、現在、権力に捕らわれている博治さんのインタビューは、鹿砦社ならではの切り口で踏み込んでいると自負している。「差別と犠牲を強要する流れは沖縄だけに限らない」というは、福島のおかれた苛烈な実情、震災復興が遅々として進まない熊本、鳥取などと共通する、地方軽視のを鋭く射貫く告発の言葉だ。

歴史的・構造的に「沖縄に基地は全く不要」と説く沖縄平和運動センター事務局長の大城悟さん

◆博治さんと共に闘う大城悟さんのロングインタビュー

同センター事務局長、大城悟さんの「前線での闘い、生の声──沖縄に基地は全く不要」では、より詳細に闘いの歴史、理由、現状の課題が明らかにされている。博治さん不在の中、連日高江の現場で運動の指揮を執る大城さんのインタビューは闘争の現場で取材されたものである。時間は状況の変化をもたらす。頭を垂れるようなざる得ないような、惨憺たるニュースが続くなか、全国の運動を最も厳しい沖縄から牽引するお二人のインタビューは必読だ。そして日本を代表するギタリスト内田勘太郎さんが語る「憂歌と憂国──沖縄・原発・一陣の風」も期せずして、沖縄に生活するヤマトンチュの複雑な面を我々に伝えてくれる。

大阪・西成区周辺に貼ってあった「福島除染作業員募集」の看板

◆熊本、泊、釜ヶ崎──2016年ファシズムと闘い続けた現場報告

自然災害、とりわけ近年大規模地震の多発により、被災地への眼差しが希薄になりがちだが、とりわけ史上最多の余震を記録した熊本地震のもたらした惨禍は数値で示すことのできないものだ。もちろん犠牲者の数の多寡を目安にすることに意味がないわけではない。1995年の阪神大震災6000以上、2011年東日本大震災2万以上、2016年熊本地震131人、2016年鳥取中部地震負傷者30名。しかしこの数字と悲劇の数は比例すると考えるのは間違いだろう。失われた、傷ついた人々の身体や精神を数値だけで評価する癖がつくと、本質を見逃してしまう。その思いを熊本出身の松岡が「『琉球の風』に込められた震災復興への意思」に綴っている。

本号初登場の釜ヶ崎からは尾崎美代子さんの「私が『釜ヶ崎から被爆労働を考える』を始めた理由」が新たな視点を提供する。日雇い労働者の街、釜ヶ崎で尾崎さんは何を見て行動を起こしたのか。多重搾取構造の最底辺で除染などの作業に従事せざるを得ない人々の労働問題。今後半永久的につづくであろう、原発(事故がなくとも)労働の構造的問題を伝えてくださる貴重なレポートだ。

次いで、池田実さんの「福島原発作業の現場から ミリ・シーベルトの世界で働くということ」、「被ばく労働を考えるネットワーク」の「なすび」さんの「福島第一原発の収束・廃炉作業における労働問題」が続く。この2つの報告は現場労働をより皮膚感覚で知るための貴重なテキストだ。

さらに斎藤武一さんの「北海道泊原発と〝がんの村“ほぼ四十年ほぼ毎日、海水温度を測り続けてわかったこと」は市民科学者がひたすら追求し続け到達した恐るべき結論を教示してくれる。

◆ゴジラ級の熱量──80頁の大特集「基地・原発・震災・闘いの現場」

福島の原発事故や再稼働・被曝労働の問題に止まらず、沖縄の基地、熊本の震災復興も取り上げた特集記事は80頁にも及ぶ。重層的なファシズム社会が到来した2016年師走に鹿砦社が放つ今年最後の『NO NUKES voice』──。その熱量だけはゴジラ級だ。

沖縄平和運動センター議長の山城博治さん

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

12月15日『NO NUKES voice』第10号発売

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年1月号!

『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

『NO NUKES voice』第10号が明日15日発売日を迎える。反(脱)原発に主軸を置く季刊誌としては、意外にも日本初の境地に踏み込んだ本誌が、読者の皆様のご支持の賜物で10号まで発刊を続けることができた。

◆原発マフィアに怒涛の勢いで反転攻勢をかける

怒涛の勢いで反転攻勢をかける、原発マフィアに対して、街頭から、市民からは次第に「反(脱)原発」の声が薄められ、先細りになってゆくかのような印象操作が総力を挙げて取り組まれている。東京オリンピック、リニアモーターカー、TPP、果ては改憲と矢継ぎ早に飛んでくる反動の矢の数々に対応するだけで、「反(脱)原発」陣営も消耗戦に追い込まれている部分は確かにある。

だからこそ、この惨憺極まりない《今》の窮地を、止揚し、力関係を真逆にするための媒体としての使命が『NO NUKES voice』には課されている。鹿砦社はまだまだ成長過程にある『NO NUKES voice』の編纂に今号も全力で取り組んだ。誌面に登場していただいた方々の顔ぶれからは「未来への光」が見える。

◆原発・基地・震災──沖縄、福島、熊本、泊、釜ヶ崎での〈闘いの現場〉特集

『NO NUKES voice』第10号の特集は、「基地・原発・震災・闘いの現場 沖縄、福島、熊本、泊、釜ヶ崎」だ。これまでもそうであったが、反(脱)原発は、他の社会問題と切り離して単独で論じることはできない。原発と基地、福島と沖縄、福島と釜ヶ崎、原発と震災などはいずれも不可分なテーマだ。第10号は福島、沖縄、熊本、泊へ取材陣を派遣し各地からの報告とインタビューにより、原発をはじめとするこの社会を構成する問題構造を有機的に浮き上がらせようと挑戦した。

神田香織さん(講談師)と高橋哲哉さん(哲学者)

何よりも喜ばしいことは、世代交代を委ねられる若手のライターの活躍だ。腰の据わった反(脱)原発運動の現場では、どこも高齢化(失礼!)が深刻な課題である。戦線の先頭に立つ方々の平均年齢が65歳以上という場面は決して珍しくはない。その継続的な闘いに深い敬意を示しながらも、世代を超える困難さを多くの方が感じておられる。「どうして将来のある、被害当事者の若者に気が付いてもらえないのか」とのジレンマは各地の運動で、本音として頻繁に耳にする共通課題だ。

本号では既にこれまでも健筆を奮ってくれた大宮浩平氏に加え、井田敬氏(ともに1980年以降の生まれ)が大活躍をしている。第10号発刊にあたり、編集部としては戦線に気鋭の実力充分な心強い若者が加わってくれたことを読者とともに喜びたい。もちろん若ければよい、というお気楽な気分で彼らを持ち上げているのではない。両氏とも論壇の最先端で活躍できる能力、取材力、文才と行動力を兼ね備えている。彼らの活躍にまずはご注目いただきたい。

「差別と犠牲を強要する流れは沖縄だけに限らない」と語る沖縄平和運動センター議長の山城博治さん

◆神田香織さん(講談師)と高橋哲哉さん(哲学者)による福島怒りの対談

そして、特集にある通り対談やインタビュー、報告記事も本誌をおいて他のメディアではまず不可能であろうラインナップが並ぶ。巻頭は神田香織さん(講談師)と高橋哲哉さん(哲学者)の対談「福島の人は沖縄の闘いから学ぼうと思い始めた」で幕を開ける。福島県出身者として、3・11後あらん限りの力を尽くして活動を続ける神田さんと靖国神社問題をはじめ、原発についても「犠牲」の観点から鋭い論考を続ける高橋さんの対談は穏やかな言葉で激烈極まる状況への指弾が繰り広げられる。

唯一無二のギタリスト、内田勘太郎さん(2016年10月2日熊本・琉球の風にて)

◆憂歌団ギタリストの内田勘太郎さんが奏でる〈憂歌と憂国〉

本号で見逃せないのが沖縄平和運動センター議長の山城博治さんへのインタビュー「差別と犠牲を強要する流れは沖縄だけに限らない」と同センター事務局長大城悟さんの「前線での闘い、生の声──沖縄に基地は全く不要」だ。現在不当逮捕によりいまだに勾留されている山城氏と、山城氏不在の中、連日高江の現場で運動の指揮を執る大城氏のインタビューは闘争の現場で取材されたものである。全国が注目する沖縄の闘いの根源をお二人の言葉から直接お届けする。

さらに、元憂歌団メンバーで日本を代表するギタリスト内田勘太郎さんが語る「憂歌と憂国──沖縄・原発・一陣の風」は内田氏の人格が伝わる「優しい」語り口だ。しかし優しい語りに込められた思いの強さは、必ず読者の心を揺さぶるであろう。カルピスの瓶を指にはめたあの奏法のオリジナリティーは語りでも冴えわたる。

まだまだ特集は続く──。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

12月15日『NO NUKES voice』第10号発売

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2017年1月号!

『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

ある気楽な集まりで顔見知りの市議会議員が難しい顔をしている。
アルコールが入っているせいか、ポロリともらした。
「××の裏に中東物を扱う雑貨店があるだろう?」
そこがIS(イスラム国)の日本拠点だというのである。野党系の市議会議員である。

だが、なぜにそう難しい顔をしているかと問うと、
「選挙に利用できないか、考えている」のだった。
しかし、ISとなれば国際的なテロ組織だ。本職、つまり公安や、警察がほっておかないだろう。
関わりを持つのはまずい。

「この話も警察から流れてきた話だ。だからこそ、いまのうちなんだ」
本音は次の統一地方選選挙で敵対候補を潰したい、と言うことらしい。
敵対候補がISと繋がりがあると噂を立てられれば、次の選挙は勝てる。

店の地権者が対立党の関係者だというのまでは調べがついた。
そこで地元の市議氏におはちが回ってきた。
が、そこから先、どう持っていくべきか判らない。
その時の話はそのまま終わった。

特定のテロ団体が、他のテロ団体の『仕事』を請けおうことがある。いわゆるテロネットワークである。
テロ団体といえども活動資金は必要である。金で仕事を請けおう。
テロ団体同同士が利害が一致する場合もある。

たとえば、9.11テロを起こしたアルカイダは反米イスラムテロ組織である。
アルメニア革命軍は南米を拠点に反米活動を続けている。
これらは主義主張はまったく異なるが「反米」という目的は一致している。

現在、アメリカに入国する場合、アラブ系人種は警戒される傾向にある。
一方、南米のラテン系人種はアラブ系より入国しやすい。
そこで、テロ組織同士が協力し合い、活動を行う。

ISに限らずテロ組織は常に協力者を求めている。
こうした募集事務所は世界中に存在する。海外での工作要員として外国人も多く必要だからだ。

話は戻って市内の雑貨屋、しばらくして店を畳んだ。
市議氏は何も言わないし、問いかけても答は返ってこないだろう。
内偵が入って秘密裏に消されたのか、場所を変えたのか、なにも判らない。
その店はいまは中華系の輸入商品店となっている。
この例は氷山の一角にすぎないが、政治家がISとなんらかの接点を持っているのは明らかだ。

(伊東北斗)

7日発売!『紙の爆弾』2017年1月号

 

商業出版の限界を超えた問題作! 全マスコミ黙殺にもかかわらず版を重ねた禁断のベストセラーが大幅増補新版となって発売開始!

 

日本最後の遊郭飛田新地、そこに暮らす人びと、数奇な歴史、新地開業マニュアルを取材した渾身の関西新地街完全ガイド!

« 次の記事を読む前の記事を読む »