◆仕掛けられたハニートラップ
米大統領に当選した共和党で不動産王のドナルド・トランプ氏は、今まで選挙中に批判していた民主党関係者や海外要人が祝福にかけつけるなど「手の平返し」が相次ぐ。が、早くも「不利益をこうむる連中」や「反対派」から“ハニートラップ”が縦横無尽に仕掛けられる可能性がある。
「なにしろトランプ氏は女性好き。選挙中にも『テレビ司会者時代にキスされた』という女性や『不動産王として、土地の売買の商談中にベッドに誘われた』などという噂が山のように出てくる。きわめつけは、支持率の低下につながった05年、『スターなら女性はなんでもしてくれる』というテレビ番組司会時代の“女性蔑視、性欲むき出し発言”です。これにはアメリカの女性人権団体が訴訟の動きをみせたほど」(通信記者)
この『スターなら女性は……』の発言は、トランプ氏が「ロッカールームでの発言」として逃げ切りをはかったが、「ロッカールームでそんな話はしない」とプロ野球選手やMBPプレイヤーが怒りとともに否定。
高田馬場の英会話喫茶にいたアメリカ人商社マンも「トランプをおろすのは簡単。美女を送り込んで不倫の誘惑を繰り返せばいつか引っかかる」と話す。こうした見方は全米共通。
「いつブックメーカーがトランプが女性で失脚するかオッズを出してもおかしくない」(アメリカ人ジャーナリスト)
さらに、2005年の米NBC番組収録前に司会者と交わした会話を録音したものをワシントン・ポストは入手。「既婚女性とセックスしたい」と言い、「他の女性にキスしたい、女性器をわしづかみすればいい」などと、赤裸々な言葉遣いで話しているというこの会話も決定的に女性の軽蔑を払拭できていない。
◆「女の誘惑に弱い」トランプ
この「女の誘惑に弱い」のはトランプ氏の最大のウィークポイント。
「TPPから撤退する」と発言、不利益をこうむるバイオ系食品会社、「この国に入国させない」としたメキシコ企業や、そしてヒラリー・クリントン候補がボロ負けして急心力を失う民主党の行動派などから「美人スタッフを刺客として送り込み、ホワイトハウスで大スキャンダルを起こす可能性もある」(同)
対外的な政策をやめることにより、貿易面で打撃を受ける外資系会社もわんさかとあり、トランプ氏に送り込み、ベッドインさせて弱みをにぎり、大統領から引きずりおろす「工作」はいかにもスピーディに行われそうだ。
こうした「陰謀コーディネーター」は米には掃いて捨てるほどいる。
「同胞である共和党幹部や議員からは祝福の声が殺到しているが、組閣していくうちに、たとえば副大統領候補のマイケル・フリン元国防情報局長が、組閣してみたら閑職にまわされたりしていたら、“大統領おろし”のリベンジが始まるかもしれない」(同)
有名タレントや政治家に、画面上での立ち振る舞いをアドバイスするメディア・トレーナーは「行動をガラス張りにすること。それが大衆に嫌われない最低の条件だ」と話す。
経済が鈍化、苦しむ庶民の事情につけこんで「モンロー主義」をぶちあげて内需拡大をめざして当選したトランプ氏が、側近の女性に手をつけないとは否定できない。性欲の『内需拡大』が止まるかどうか、見ものだろう。
◆メキシカンマフィアが暗殺計画
トランプ氏は、11月13日に放送されたCBSテレビのインタビューで、大統領選の公約通り「メキシコとの国境に壁を築く」とあらためて強く考えを示した。また、犯罪歴のある200万~300万人の不法移民を、速やかに強制送還する考えも強調した。
「このことは、〝強い〟アメリカを再構築するのに強固なメッセージとなりうるだろうが、いっぽうでメキシカン・マフィアのトランプ暗殺計画がたちあがってきた。もっとも勢力を持つといわれるマフィアは『もしドラッグの利権や大麻利権に手を突っ込んでいくなら『魚にする』(死んでもらう)と明確に幹部たちが発言している。つまりトランプ氏は『メキシコと構えるからには、海に浮かんだで〝魚になる〟可能性が高まったというわけですよ』(在米ジャーナリスト)
メキシカンマフィアを駆逐したところで、その黒いマーケットを埋めるのは、実は国内のアメリカンマフィアだが、これとてもとをたどれば中国系だったりイタリアン系だったりする。いずれにしても犯罪は消えないのだ。
「ただし、今はトランプ次期大領にとって正念場で、移民系のマフィアを一掃した場合は、今度は海外の金持ちがシンガポールやベトナムからの投資を引き上げて、国内の多少、うさんくさい企業であっても『移民系マフィアがけつもちとして去ったのならと投資先として考え直してくれるかもしれない。いまは投資家たちを振り向かせるならチャンスなのです』(同)
マネーロンダリングしていた金持ちたちが国内市場に目を向ければ、確かにGDP成長率が鈍化している米経済が活性化しているだろう。
「しかしどうだろう。バイオとうもろこしを輸出した〝モンサート〟に代表されるように、アメリカの最先端の企業は、国力にいわれて強引に海外に商品を購入させてきた。いっせいに海外の取引先がひいて、はたして国力がもつかどうか」(同)
トランプの描く「移民追い出し策」が何をもたらすのか。注目したい。
(伊東北斗)