デビュー30周年を記念しての新曲「わすれ花」(詞=喜多條忠、曲=弦哲也、発売=ユニバーサルミュージック合同会社)のヒット祈願をベテランの演歌歌手・香西かおりが4月18日14時30分から日枝神社(東京都千代田区)で行った。が、お世辞にもスムーズとはいえない取材段取りが目についた。なぜなら囲み取材が一般参拝客も入れる神社というオープンな場所柄、「素人カメラマン」が取材陣に入り混じり、やや混乱したイベントとなったからだ。
演歌歌手・香西かおりが御神前で神主が念入りに祈祷され、おごそかな中で記者ら50名を集めて滞りなく新曲のヒット祈願は進行した。ところが、境内に全員が移動、取材陣が香西を取り囲む中、混乱が始まった。
おみくじを香西が引いてややがっかり顔で「末吉です」と取材陣におみくじを見せているころ、「なになに? 誰が来ているの?」と一般の参拝客が近寄ってきて「こちらにも目線ください」とカメラマンが香西さんに頼む中、一般人もカメラを構えてスタッフに「こっちむいて」と声をかけるとスタッフに「すみません取材なんでちょっと離れていただけますか」と注意されるシーンが相次ぐ。
しかし、参拝への通り道を半分ふさいで邪魔しているのは明らかに香西と取材陣で、「なによ。じゃあ端っこでやりなさいよ」「通れないじゃないの」と中年の婦人が捨て台詞を残して嫌な雰囲気が漂った。とおりすがりの欧米風カップルも「What is happening ?」と怪訝な声を出してカメラを構えて何枚もシャッターを切った。たしかに、この荘厳な雰囲気が、取材陣と素人が混じり、カメラを構えていた異様な雰囲気で興ざめなとなったのは国際的な視点からも否定できなかっただろう。
香西は、日枝神社でのヒット祈願を選んだ理由について囲み会見で、「この神社の近くにあるレストランで昔、アルバイトしたことがあり、縁があるのです。今度の新曲は不器用で生きるのが下手なさみしい女性のせつなさを歌った曲で、大ヒットになる予感がします」と一般人とカメラマンがいっせいにフラッシュをたく中で笑顔でこたえた。
香西は1989年に「雨酒場」でデビュー。「デビュー当時は、曲名にちなんで酒場に雨を降らして1日たたずんでいた記憶があります」というベテランの大御所演歌歌手・香西は、茶道では裏千家の免状、華道は朱生流で修行、日舞は藤扇流名取りで、簿記3級、珠算初段、情報処理検定2級、商業検定2級と、多彩に才能を発揮する淑女でもある。
デビュー30周年用を記念して「香西かおり30周年全曲集~おかげさん~」(ユニバーサルミュージック合同会社合同会社Prime Music 1月25日発売)をリリース。そのパンフには「けして器用ではない生き方かとは思いますが、一生懸命に頑張ります。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。」とあった。
だが、香西は前述のとおり、多彩な才能に恵まれており、不器用どころではない。器用の極地だといえよう。
香西のプロモーションは、素人のカメラを取材陣に混入させて、ミソがついた。 艶やかな振る舞いの香西には目を奪われたが、お世辞ににもスタッフたちの仕切りは「器用」とはいえないものだった。
(伊東北斗)