検証「未来のための歴史パネル展」の第3回目をお届けする。「みれぱ」共同代表の岡本朝也によるリンチ事件被害者、M君に対する行動については前回触れた通りである。今回は、実際にパネル展を開催するにあたって、岡本が何をしたかをご紹介し、このパネル展そのものの欺瞞性を問う。
◆大学生B君はなぜ「みれぱ」から排除されたのか?
今回の新たな登場人物がB君(仮名)である。2014~2015年当時は、大阪在住の大学生だった。M君リンチ事件については、事件発生当初から先輩格の被害者M君の側に立ち、支援をしてきた人物である。周囲の「大人」たちが運動内部の権力構造に屈服し、M君を裏切る中、年若いB君が良心を捨てず、最後までM君を裏切らなかったことは、醜悪な話だらけのM君リンチ事件に関連する話題の中で、一抹の清涼剤ともいうべきエピソードである。まだこの国には見どころのある若者がいるものだと、取材班も頭の下がる思いだ。鹿砦社は事件直後のM君やB君の窮状を知らず、1年以上も社内に「加害者側」の人間、それも最も悪質な二次加害者の一人を抱えていた(当人以外知らなかったこととはいえ)のだから。
◆「M君の支援をした」ことを理由に、B君を排除した岡本朝也
B君は、自らの勉強、研究の研鑽も兼ねる目的で、「みれぱ」のパネル製作に関わる。そこで「竹島問題」の項目を担当することになったB君は、一所懸命に勉強し、資料も収集し、パネル用の文章を仕上げた。次に紹介するのは、2015年5月5日のB君と岡本のLINEでのやり取りである。画像の中ではM君とB君の実名が挙がっている部分のみ、修正を付している。
画像はあくまでやり取りの一部であるが、もはや説明は不要であろう。岡本は「M君の支援をした」ことを理由に、B君を排除したのである。これよりも前から、岡本は酒席等でB君に対し「パネル展を取るか、Mを取るか、どっちか選べ」などと複数回にわたり詰問していたという。昔、「あそこの家は部落だから、あの子と遊んではいけない」、「あそこの家はチョーセン人だから、あの子とは遊んではいけない」というようなことをわが子に言う不見識な親がいたが、岡本の所業はこれと全く同じものではないか。開始段階でこのような悪意に満ちた排除を行い、それを隠蔽し平然とパネル展開催を繰り返すのが岡本ら「みれぱ」の真の姿だ。「何よりも大事なことは歴史修正主義者と戦うこと」だと「みれぱ」代表者の岡本は言っているが、岡本自身が「リンチ事件隠蔽」、「B君排除の隠蔽」という「歴史修正主義」を率先して実行しているではないか。
「みれぱ」は学術研究の場である。共同代表者二人は研究者であり、顧問には関西学院大学教授の金明秀も名を連ねている。さらに「みれぱ」は自らの「パネル作成のポリシー」においても「学術的記述を目指します」「学術性を優先します」と明記している。
岡本はその学術研究の場である「みれぱ」において、学生であるB君に対し、「大学講師と学生」、「パネル展代表者と一参加者の学生」という権力関係の強弱を背景にした排除を行っている。それも「リンチ事件の隠蔽」という極めて悪質な動機づけによるものだ。岡本のB君に対する「排除」は、研究・教育の場で極めて重大視される「アカデミック・ハラスメント」に該当する。
M君リンチ事件の加害者や二次加害者への「忖度」にいそしみ、被害者M君を支援したことを理由に研究・勉学の機会を求めた学生B君を排除し、なおかつその「不都合な事実」を隠蔽しながらパネル展の開催を続けている。これが「未来のための歴史パネル展」の実態なのである。「みれぱ」は次のようなポリシーを掲げている。
「人権を尊重します」「侵される側、虐げられる側、マイノリティの側の視点を優先します」空念仏とはこのことだ。岡本朝也以下「みれぱ」関係者は暴力を肯定し、自らが実践した「歴史修正主義」をこれまで隠蔽してきたのだ。崇高な理念は結構だが、これでは欺瞞じゃないか。
「リンチ事件被害者M君を支援したこと」を理由とした岡本ら「みれぱ」によるB君排除は、「運動体内部の多数派」による、数と権力を背景とした少数意見の排除、封殺という点で、M君リンチ事件と同根の問題性が極めて色濃く表れている。
これだけでも十二分にふざけた話であるが、「みれぱ」の問題はこれに留まらない。本連載に関して「鹿砦社、潰れたらええな」、「文句あったら言ってこいやあ」とフェイスブックに書き込んだ人物が現れた。「潰れたらええな」と喧嘩を売られて、鹿砦社が黙っていると思っているのか!(つづく)
[追記1]
この件については、従前よりM君に同情的な立場からリンチ事件に関心を寄せている「ウォッチャー」の「将鼓」氏が、4月21日に取材班に先立ち自身のブログで問題提起をされている。併せてお読みいただきたい。
※将鼓氏「某事件と”パネル展”」
[追記2]
当初、本特集シリーズは4回シリーズでお届けする予定であったが、本文中にもご紹介したように「鹿砦社、潰れたらええな」などと喧嘩を売る者が登場するような不測の事態が発生したため、急遽シリーズを延長することとなった。