昨日26日、大阪地裁809号法廷で13時10分から、M君が野間易通氏を名誉毀損、プライバシー侵害にかかわる、損害賠償事件(平成28年(ワ)第4998号)、として提訴していた裁判の判決言い渡しがあった。

倉地真寿美裁判長は野間氏対して11万円の支払いを命じる判決の主文を読み上げた。大阪地裁809号法廷の前には、裁判開始30分以上前から傍聴を希望する人が集まりはじめ、最終的に19名が傍聴席で見守るなか、判決言い渡しが行われた。

原告席にはM君の代理人の姿が、被告席ではなく傍聴席に開廷5分前に現れた野間氏の姿があった。M君も傍聴席で判決を聞いた。

この判決は妥当であろうか。倉地裁判長は結審を急ぎ、M君側が提出しようとする主張や証拠に期限を設け、さらにはこの名誉毀損事件の背後にあった「M君リンチ事件」への関心を、充分に示すことがなかった。この事件の悪質性はリンチ事件の被害者である「M君」へのさらなる誹謗中傷が行われた点である。判決文を読んだM君に感想を聞いた。

「まずは、野間氏の不法行為性が認定されたことは素直に喜びたいと思います。特に野間氏が主張した『対抗言論の法理』は全面的に否定されており、これは野間氏の主張の中核を担う論理が否定されたことを意味します。しかしながら、次の諸点においてこの判決は到底納得できるものではないと感じております。

1.ネット上の「個人情報晒し」についてプライバシー侵害を認定しなかったこと。

2.野間氏の一連の発信を「罵詈雑言」と認定しながら、この大半を、侮辱や名誉棄損の不法行為として認定しなかったこと。なお、裁判の主張の中で、当方も野間氏も共に「罵詈雑言」(故に不法行為である・ない)という文言は使っていない。

3.今回の件は「ネット荒らしの不法性」が問われた事件であると理解しているが「インターネット媒体においてはいささか過激な投稿の応酬が繰り返されることも稀ではない」、「本件暴行事件(註:リンチ事件)やこれに関連する事柄の評価において原告と異なる立場から原告の行動を批判するものであることを考慮すると(中略)原告に対する不法行為を構成する違法な表現行為であると認めるには足りない」との内容が含まれており、要するにこれは「ネット上の言論にはあの程度の誹謗中傷が許される」とも解釈できる認定を裁判所が行った。紛争解決を放棄したに等しく、憲法軽視であるとさえいえる極めて不当なものであること

4.前項と関連し、リンチ事件との関係において野間氏の一連の発信が「二次加害」であるとまったく認定されなかったこと。

5.訴訟費用の負担が当方に対し不当に重すぎること。

6.全体として当事者(当方及び野間氏)、さらには法律も軽視した杜撰(ずさん)な事実認定に基づいた判決である。

これらを踏まえ、今後の対応を検討したいと思います。

最後になりましたが、ここまで来られたのは、物心両面でここまで裁判支援をしてくださった皆様がおられればこそのことです。カンパをお寄せくださった皆様、傍聴にお越しくださった皆様、ご意見を表明して下さった皆様に、改めて深く御礼申し上げます。本当にありがとうございます。対李信恵氏ら5人の裁判もさらに長く続くと思いますが、今後のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます」

取材班も判決文に目を通したが、野間氏の名誉毀損に該当する書き込みは1つしか認定されていない。これは一般的生活者の感覚からは、大きくかい離したものであると言わざるを得ない。死にかけそうな暴行を受けて、その挙句苦しんでいる最中に、被害者の姓名や所属大学を(本人が望んでいないのに)、インターネット上で晒す行為は、こうも軽く認定されてもよいものであろうか。このような判断が定着すれば、「ああそうか、ネットなら少々『バカ』や『クズ』って書いていいんだ」という誤解を誘発しかねないのではないか。

勝訴したもののM君は弁護団と相談の上、今後の方針を検討するという。闘いはまだ続きそうだ。

(鹿砦社特別取材班)

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