過日鹿砦社特別取材班の編集会議のあと座談会が行われた。取材に当たって来たスタッフが顔を合わせ、これまでの取材と今後の展望などについて語り合った。
松岡 ご苦労様です。きょうはこれまでの取材成果や課題と今後の展望などについて気楽に話してください。
A 正直、骨が折れています。新聞、テレビ関係者の間で「M君リンチ事件」は、もうみんな知っている状態になってるんですが、なぜかうちの後追いがないのが不思議ですね。
B 今まで接触したメディアってどこがあったっけ?
A 朝日新聞、産経新聞、共同通信、朝日放送……。あと週刊誌なんかからは結構こちらに問い合わせはありますね。
C 朴順梨は早い段階で「共同通信の記者から聞いた」って藤井とのメールに書いてたよね。
A ええ、共同通信内では東京の社会部を含めて、ほとんど浸透しています。
D だけど記事にしたのは『週刊実話』だけやったね。
C それも発売当日にネットで謝罪・訂正が出され大騒ぎになった。あの訂正劇はなんだったんだろう?
A 当日に西岡研介からクレームが入ったと『週刊実話』の編集部からはリークがありました。編集長判断の前に訂正を出したという説もあります。
B 西岡ってそんな力があるんだ。
A みたいですね。でも先鞭をつけた『週刊実話』の記事は一定の評価に値するんじゃないですか。
C いや、あんな折れ方してほしくなかったね。おかげでその後、ネットでの空中戦凄かったじゃない。
D あの頃は夜も眠れんかった(笑)。僕ら参戦してないけど、しばき隊とアンチしばき隊のある意味での天王山やった。しばき隊は「嘘つきども」と勢いづいたけど、「世に倦む日々」と高島章弁護士の応戦に結局軍配ですわ。
◆「M君リンチ事件」の現場音声と写真の衝撃、書籍出版の意義
A 決定的だったのは高島弁護士が事件を録音した音声の書き起こしと、事件直後の腫れあがった「M君」の写真を発表したことですね。
B あれは効いたな。あの写真出されたら、さすがに「リンチはなかった」とは言えない。そのあともしばき隊からは散発的に攻撃はあったようだけど、一気にトーンは下がったもんな。
松岡 このかんの展開を振り返ると、初期は主戦場がネット、とくにツイッターだったけれども『ヘイトと暴力の連鎖』を昨年7月14日に出してからはしばき隊がかなりおとなしくなった印象がありますね。
B やっぱり紙媒体でまとめたものが出る意味が大きいことを再確認しましたね。SNSで100回書かれてもやがて忘れられていくし、モノは残らない。その点書籍には書籍の強みがあると。
D それを実感したのは『反差別と暴力の正体』を出した後の反響ですわ。あの取材には(いつもそうやけど)力入ったし、こっちも驚くような事実が山ほど出てきたもんなー。
◆強烈だった沖縄地裁前の顔ぶれ
A 龍谷大学に岸政彦の「直撃」に行った時は、ドキドキもんでしたよ。
B なに言ってるんだよ。大学教員なんか「直撃」の対象としては簡単なもんじゃないか。
A すいません……。
C 重要なのは事実を掘り下げることはもちろんだけど、当事者に直接当たるってことだね。
D それはそうなんやけど、『人権と暴力の深層』取材で沖縄地裁前は、すさまじかったですわ。しばき隊幹部勢ぞろいやから。野間なんか僕のすぐ横でビデオ回してた。安田浩一と香山リカのツーショット抑えた時は嬉しくて、松岡社長に電話したら「安田と香山と野間のスリーショットも撮れ!」って……。褒めてもらえると思ったらさらにエゲツない命令が来て冷や汗もんでしたわ。スリーショットはさすがに無理やったけど。
A 沖縄地裁前の顔ぶれは強烈でしたね。安田浩一、香山リカ、野間易通、伊藤大介……。あとしばき隊の裏幹部みたいなのも居たんですよね?
D それはまだオフレコやん! 今追ってるところです。
A あっ失礼しました。
◆有田芳生の「鹿砦社ヘイト」と増える編集部への激励
松岡 『人権と暴力の深層』では有田芳生参議院議員と中沢けいの突撃も掲載できました。経費は大幅に予算オーバーでしたが(笑)。
A 東京の突撃部隊は今回も大活躍でしたね。
B それにしても有田のあの態度は酷いよね。
D 「鹿砦社ヘイト」ですわ。
B 言うまでもないことなんだけど、もう一回確認しておきたいのは、われわれは「M君リンチ事件」を追ってるんだけど、決して差別を容認する立場ではないということ。「デジタル鹿砦社通信」の記事なんかは、けっこう右寄りの読者にも読まれてるみたいだけど、それはそれでいい。でもわれわれは原則的に「差別」や「暴力」に反対の立場だということはもう一回再確認しておきたい。
C 右、左は関係ないんですよ。取材班の中だって、A君なんか保守じゃない? Bさんはどうかわからないけど、私は原則反自公だし、いろいろな意見の相違はある。でも「差別」と「暴力」を認めないことではしっかり一致できてるんじゃないかな。
D それがあらへんかったら「突撃」なんてでけへんわ。
A あと取材班の外で協力して下さる人が増えているのはありがたいですね。
B いま、ネット監視してくれている人どのくらいいるの?
A 詳しくは言えませんが相当な数になりました。ターゲットの発信は全員を24時間監視していますから、何かあれば即座に情報が入手できるようになりました。無償でのボランティアの方には感謝ですね。
B ネットと言えば、最近李信恵がまた暴れてるな。鹿砦社やライターにさんざん噛みついている。まあそれはともかく、事実無根の書き込みはやめてほしいね。
C それは無理な注文だよ。しばき隊は「ないこと」を「あること」にして燃え盛り、気に入らない相手を潰そうとする。常套手段だね。だから李信恵だって記事内容自体には、一切具体的な反論ができていないじゃない。安倍が言った「印象操作」と同じだよな。でも「鹿砦社はクソ」っていくらなんでも下品すぎる。気に入らないのは分かるけど「反差別」の「旗頭」なんだから、もう少しましな表現はないものかとは思うね。
松岡 「鹿砦社はクソ」は酷すぎます。Cさん、「もう少しマシな表現」というレベルではないですよ。鹿砦社には、私以外に7人の正社員がおり、みんな真面目に一所懸命に働いてくれています。また多くの取引先や、ライター、デザイナーらが支えてくれています。いくら温厚な私でも(苦笑)、絶対に許せませんね。そりゃそうでしょう、曲りなりにも「反差別」とか「人権」とかを口にする人が、まともに一所懸命に働いている者らに「クソ」とか、私たちの人権を蔑ろにする汚い言葉を浴びせたり……呆れてものが言えません。私もそろそろ本気で怒らないといけないかもしれません。ところで、名前は出せませんがマスコミ関係者だけでなく、結構な大物からも最近は激励が増えています。私を含めて知らなかったから何とも思わなかったけれども、くだんの「M君リンチ事件」を知ったら常識的な人が驚き、怒るのは当然でしょう。
◆松岡代表による鈴木邦男さん義絶表明の波紋
B 社長の怖いところは私たちにも内緒で「隠し玉」を持っているところだね。まだなんかあるんじゃないですか?
松岡 ありませんよ(苦笑)。どこに「隠し玉」があるんですか?
C これが怖いんだよね。鹿砦社。
A 何言ってるんですかCさん。Cさんだって鹿砦社一派って散々ネットで書かれてるじゃないですか。
C え! そうなの? 俺あんまりネット見ないし、2ちゃんねるなんか見る方法も知らないから。でもそんなレッテル貼られたら『月刊HANADA』や『諸君』で仕事できなくなっちゃうぜ。
D そんな仕事してへんくせにCさん!
C やかましいわい!
B 冗談はともかく、3冊を出したこと影響はさまざま出ているね。今焦点なのは鈴木邦男氏と松岡さんの今後の関係だな。松岡さん本当は、『人権と暴力の深層』の中で書くはずだったんだけど、逡巡して書けなかった。それで僕が背中を押す意味で「デジタル鹿砦社通信」に「鈴木邦男への引退勧告」を先に書いたのが内幕なんだ。
A 自分は鈴木先生の本の出版も手掛けていたので正直複雑ではあります。
C 厳しい選択だったと思うよ。横からちょろちょろ香山リカがちょっかい出したりしてきてるけど、30年の濃密な付き合いを真剣に思慮している人に、他人が口出すなと言いたい。
D 週刊誌や新聞でごっつい扱いになることは今のところあらへんけど、松岡社長の鈴木邦男さんへの意思表明は、業界では相当な話題になってます。自分のところにも「どうなってんねん」と、問い合わせが結構あります。「松岡社長に直接取材しなはれ」言うてますけど。
B いずれにしてもわれわれに夏休みはないようだね。例のミッションみんな進んでるかな?
一同 ……。
B 絶対に8月末までにあげること! でしょ社長?
松岡 そうだね。次はこれまでの3冊を超える「爆弾本」になるから、皆さんしっかり頼みます。
D 夏休みなしか……。
◎[参考記事]私はなぜ「カウンター」-「しばき隊」による大学院生リンチ事件の真相究明に関わり、被害者M君を支援するのか[松岡利康=鹿砦社代表]