今年、NJKFで話題を振り撒いた健太とMOMOTAROの出場。WBCムエタイ日本ウェルター級チャンピオン.健太(ESG)は4月から毎月の試合をこなして勝っても負けても立ち止まることなく戦ってきた健太。
WBCムエタイ・インターナショナル・フェザー級チャンピオン.MOMOTARO(OGUNI)は今回は3回戦ヒジ打ち禁止のルールの試合に出場。11月23日のRISEのトーナメント(DEAD OR ALIVE TOURNAMENT)へ、出場を見据えてのものという。
◆健太 vs テーパブット
接近しては危険な雰囲気からタイミング見計らって第2ラウンドに健太が左フックのクリーンヒットでスリップ気味ながらダウンを奪った。健太は思いっ切り打つボディへの左右フックとローキックでテーパブットがどこかで崩れるかと思えたが、ムエタイ一流選手は簡単には崩れない蹴りで凌ぎきり、健太はダウン奪ったラウンドの差だけの判定勝利となりましたが、ダウンを奪って以降、主導権支配し続けた勝利でした。
◆MOMOTARO vs 北薗翔大
ヒジ打ち禁止ルールに挑んだMOMOTAROはヒジ以外の技を多用し、1ラウンド半ばから様子見を終え、徐々にペースを上げていった。パンチを強めた攻めでフルマークとなった展開は新たな戦略へ繋がった様子。
◆YETI達朗 vs 門田哲博
昨年、白神武央(拳之会)に王座を奪われた雪辱を目指すYETI達朗が、ストレートパンチとミドルキックで圧力を強めると、首相撲からのヒザ蹴りも蹴り負けない展開で僅差ながら門田哲博を突き放す。
◆前田浩喜 vs 新人
チャンピオン同士の正攻法のミドルキック中心にベテランらしい攻防が見られた両者。ウェイト差が影響したか、圧力を強めた新人が的確さで優り判定勝利。
◆杉貴美子 vs SAHO
女子の試合にしては密度の濃い試合となり、SAHOのジャブが距離感を掴み、蹴りへ繋げていく。至近距離での打ち合いもSAHOが支配し、杉貴美子に挽回を許さず判定勝利。杉貴美子は初防衛成らず、SAHOが新チャンピオン。
◎NJKF 2017.3rd / 2017年9月24日(日)後楽園ホール17:00~21:10
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ、NJKF
◆メインイベント 67.0kg契約 5回戦
健太(E.S.G/67.0kg) vs テーパブット・シッオブン(元・BBTV・SFe級C/タイ/65.95kg)
勝者:健太 / 判定3-0 / 主審:山根正美
副審:神谷50-47. 西村50-48. 竹村49-47
◆57.5kg契約3回戦
MOMOTARO(OGUNI/57.5kg) vs 北薗翔大(K-LIFE/57.35kg)
勝者:MOMOTARO / 判定3-0 / 主審:多賀谷敏朗
副審:神谷30-27. 西村30-27. 山根30-27
◆WBCムエタイ日本スーパーウェルター級挑戦者決定戦 5回戦
NJKF同級チャンピオン.YETI達朗(キング/69.9kg)
vs
JKI同級チャンピオン.門田哲博(武勇会/69.45kg)
勝者:.YETI達朗 / 判定3-0 / 主審:竹村光一
副審:神谷30-29. 多賀谷30-29. 山根30-28
◆56.5kg契約3回戦
NJKFスーパーバンタム級チャンピオン.前田浩喜(CORE/56.4kg)
vs
NJKFフェザー級チャンピオン.新人(=あらと/E.S.G/56.45kg)
勝者:新人 / 判定0-3 / 主審:西村洋
副審:竹村28-29. 多賀谷28-30. 山根28-29
◆NJKF女子(ミネルヴァ)スーパーバンタム級タイトルマッチ 3回戦
チャンピオン.杉貴美子(TenCloverGym世田谷/55.0kg)
vs
挑戦者同級2位.SAHO(闘神塾/54.95kg)
勝者:SAHO / 判定0-3 / 主審:神谷友和
副審:竹村29-30. 多賀谷28-30. 西村28-30
◆54.0kg契約3回戦
NJKFバンタム級チャンピオン.玖村修平(K3B/54.0kg)
vs
コンバンノー・エスジム(タイ/54.0kg)
勝者:玖村修平 / KO 2R 2:07 / テンカウント
主審:山根正美
◆62.0kg契約3回戦
NJKFライト級チャンピオン. NAOKI(立川KBA/62.0kg)
vs
キヨソンセン・FLYSKYGYM(FLYSKY/61.95kg)
勝者:キヨソンセン / 判定0-3 / 主審:多賀谷敏朗
副審:山根28-30. 神谷28-30. 西村28-30
他、4試合は割愛します。
《取材戦記》
NJKF看板選手が引退や怪我で戦線離脱が目立つ中、4月以降、毎月の試合で存在感大きくなっているのが健太。過去にはダウンもあれば判定負けもある中、大きな怪我も無く続けられているのは生まれ持った頑丈な肉体で、より鍛えられた筋肉美を強調。強さだけでなく笑いも誘うパフォーマンスを起こし、今年2月には「KNOCK OUT」興行出場と、8月には中国でのクンルンファイト出場とビッグマッチ出場も充実させた試合間隔を保っています。長くNJKFの看板選手の一角を務め、30歳になったばかりでもまだまだ進化を続ける健太です。
MOMOTAROは2013年12月から2016年12月に掛けて14連勝し、3月のタイでの試合は判定負けだったものの、修行の成果を発揮し、6月にWBCムエタイ・インターナショナル・フェザー級王座をKOで奪取。徐々にNJKFトップクラスに躍り出てきた注目の存在です。本名は小寺耕平で、同じOGUNIジム所属のWBCムエタイ・インターナショナル・フライ級チャンピオンのTOMONORI(佐藤友則)がMOMOTAROの名付け親となるようです。
他団体交流が盛んなNJKFは他団体興行出場も多く、MOMOTAROはこの日の北薗翔大に勝利時点で、11月23日に開催されるRISEトーナメントへ出場の正式決定はしていませんが出場を見据えての、今回のヒジ打ち禁止ルールでの試合でした。
「真の強者はルールを問わない」という信念で挑むMOMOTAROの今後の進化に期待が掛かります。
キックボクシングに於いて、ヒジ打ち有りと禁止では、単に有りか無しかではなく、その対戦相手との踏み込む距離感が違ってくると言われます。かつてムエタイルールに馴染んだ選手がヒジ打ち禁止ルールのイベントに出場して本来の力が発揮できなかった試合もありました。
本来のキックボクシング基本ルールに統一して欲しいと願うのは純粋なキックファンだけでなく、いろいろな団体に赴いて裁かねばならないレフェリーのようでもあります。打撃だけでなく、採点基準も違えばその都度、ルール確認とミーティングを行ない、今日はヒジ有り、明日はヒジ無しといった日が続くこともあるという厄介さ。と嘆いていても仕方なく、今あるイベントを盛り上げていくのが明日へ繋ぐ、今出来ることのキックボクシング界の現状のようです。
NJKF次回興行はプロ興行、関東エリアに関して、
10月22日(日)にPITジム主催「絆 Ⅸ」が埼玉・ふれあいキューブにて開催。
11月26日(日)に後楽園ホールにて「NJKF 2017.4th」が開催されます。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」