過去3回、岡山ジム興行は、首都圏イベントに負けないビッグマッチを続けました。2014年9月28日、倉敷山陽ハイツ体育館で第1回興行が行われ、タイ国ラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級タイトルマッチを開催、外国人チャンピオン、ジョイシー・イングラムジム(ブラジル)にWPMF日本ウェルター級チャンピオン.田中秀弥(RIKIX)が挑むも判定で敗れ去りました。
2015年9月20日、第2回興行では、WPMFダブル世界タイトルマッチを行ない、スーパーフェザー級で町田光(橋本)が、ミドル級でT-98(=今村卓也/クロスポイント吉祥寺)が、WPMF世界王座奪取に成功。
2016年10月9日、第3回興行では、WPMF三大世界タイトルマッチという豪華版となって町田光(橋本)と宮元啓介(橋本)が激闘を勝ち抜き、町田は初防衛成功、宮元はWPMF世界スーパーバンタム級王座を奪取しました《翔センチャイジム(センチャイ)はWPMF世界ライト級王座奪取成らず》。
そして本年10月15日の第4回興行、メインクラスでは岩浪悠弥(橋本)と地元の女子トップファイター、白築杏奈(138 KICKBOXING CLUB)がWPMF世界王座挑戦に至り、タイ国二大殿堂のひとつ、ルンピニースタジアム王座に、勝ち上がるのは難問ながら、そのルートが敷かれるルンピニージャパン2階級王座決定戦、その他アンダーカードでは、天才児と名高い2名の安本晴翔(橋本)と中村龍登(橋本)が出場しました。
前日計量は岡山・水島ジムで行われ、プロフェッショナルの部、全員が一回目の計量でパスしています。
タイから、タイ国プロムエタイ協会副総裁、WPMF副会長のブンソン・クッドマニー陸軍大佐が立会人として招聘されてのビッグイベント。ブンソン大佐はタイ国のムエタイ競技ルール、レフェリーの最高権威の方です。
◆リティグライvs岩浪悠弥
岩浪のハイキックがヒットする場面もありつつ、リティグライのタイミングいいミドルキックのヒットが主導権を支配し、完封に近い流れでフライ級に続き2階級を制覇。
◆ノーンビウvs白築杏奈
ノーンビウは初の海外試合で15歳という若さのせいか本来の動きに持っていけず、白築のムエタイ対策と闘志が上回った展開でした。白築が王座奪取。試合後、控室でノーンビウは会長である父親に思いっきり引っ叩かれており、ムエタイ特有の厳しさが現れていたようでした。ノーンビウ陣営は強く再戦を望んでいる様子でした。
◆翔貴vs田中将士
首相撲からパンチの激しい打ち合いの後、翔貴の強烈な右ハイキックで田中将士は頭から崩れ落ち立ち上がれず。翔貴が王座獲得。
◆喜入衆vs橋本悟
第2ラウンドに橋本の右ストレートで喜入がダウン。その後、激しい打ち合いを展開しながら僅差のラウンドを支配した喜入が2-1の勝利となりました。喜入衆が王座獲得。
◆ラムブーンチャイvs安本晴翔
ラムブーンチャイに優れたムエタイ技はあるものの、日本では評価され難い展開で、安本はパンチとローキックを何度もヒットさせるインパクトで勝機を導きました。タイ陣営は、安本の将来性を高く評価していたようです。
◆ペットコークセーンvs中村龍登
本来、パンチの強いペットコークセーンは、あまり打ち合いに行かず、速い蹴りとヒザ蹴りの上手さなどのムエタイ技で中村をいなし堅く勝利を掴みました。
◎第4回岡山ジム主催興行 / 10月15日(日)倉敷山陽ハイツ体育館11:00~
主催:岡山ジム / 認定:JAPAN KICKBOXING INNOVATION、WPMFタイ国本部
放映:11月中に倉敷ケーブルテレビにて放映予定
◆メインイベント WPMF世界スーパーフライ級王座決定戦 5回戦
リティグライ・ゲオサムリット(元・WPMF世界フライ級C/タイ/51.4kg)
VS
挑戦者WBCムエタイ日本フライ級チャンピオン.岩浪悠弥(橋本/52.0kg)
勝者:リティグライ・ゲオサムリット / 判定3-0 (49-47. 49-48. 49-47)
◆WPMF女子世界フライ級タイトルマッチ 5回戦(2分制)
チャンピオン.ノーンビウ・シットヨードシアン(タイ/50.8kg)
VS
挑戦者.白築杏奈(NJKF女子ライトフライ級C/138 KICKBOXING CLUB/50.7kg)
勝者:白築杏奈 / 判定0-2 (49-49. 47-49. 48-49)
◆ルンピニージャパン・フェザー級王座決定戦 5回戦
1位.翔貴(岡山・水島/57.15kg)vs5位.田中将士(上州松井/56.85kg)
勝者:翔貴 / KO 1R 1:36
◆ルンピニージャパン・ウェルター級王座決定戦 5回戦
1位.喜入衆(MuayThaiOpenウェルター級C/フォルティス渋谷/66.55kg)
VS
橋本悟(MuayThaiOpenスーパーライト級C/橋本/66.25kg)
勝者:喜入衆 / 判定2-1 (48-47. 48-50. 48-47)
◆バンタム級3回戦
ラムブーンチャイ・ゲオサムリット(タイ/53.15kg)
VS
安本晴翔(橋本/53.52kg)
勝者:安本晴翔 / 判定0-3 (28-30. 29-30. 29-30)
◆スーパーバンタム級3回戦
ペットコークセーン・ゲオサムリット(タイ/55.0kg)
VS
中村龍登(橋本/55.15kg)
勝者:ペットコークセーン / 判定3-0 (29-28. 30-29. 30-28)
◆67.0kg契約3回戦
ジン・シジュン(韓国/67.0kg)
VS
タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/66.6kg)
勝者:ジン・シジュン / 判定2-0 (29-29. 29-28. 30-29)
他、プロ9試合は割愛します。
プロの部の前にはアマチュア大会「SMASHERS」中国地区大会7試合が開催されています。
《取材戦記》
取材に行っていないので、情報を頂いての単なる感想になりますが、地方で行なわれるビッグイベントに、本場タイ国からブンソン・クッドマニー陸軍大佐が立会人として来日されたことは価値ある存在でしょう。こういう立会人は、実は世界戦などの重要なタイトルマッチのシンボルとなるものです。止むを得ず代理人となる場合もありますが、名のある組織管轄下でのタイトルマッチには欠かせない存在でしょう。
今回はタイから招聘された選手4名(この日の試合の為の短期来日タイ選手)は全員勝利を狙っていましたが、日本側のレベルアップもあり、侮れない存在になっていることも事実である日本側の実力です。
回を重ねる毎にイベントの成長も伺えるようで、来年は何が起こるか、地方から首都圏への挑戦が更に強まるでしょう。
※このイベントは岡山ジム広報担当・大島健太氏から頂いた情報と画像、“来日タイ側陣営”から頂いた情報と画像を引用、使用しています。画像の著作権はすべて岡山ジムとなります。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」