大和知也との打ち合いを制し、綱渡り防衛となった高橋一眞

大和知也vs高橋一眞。二度のダウンの後の危ない打ち合いはファンをハラハラさせた。高橋一眞のピンチ

激闘ノックアウトが続いた主要カード3試合。

「格闘技人生賭けて今日全てを出し切ります。僕の生き様を見てください」と語っていた大和知也は一昨年、怪我で王座返上し、昨年9月の再起戦は棚橋賢二郎(拳心館)にKO負けもまだ王座復帰とNKBエース格を目指す。

高橋一眞は一昨年の3連敗から脱出し、昨年6月に宿敵村田裕俊から王座奪取し、再び「KNOCK OUT」出場を目指す今、両者とも負けられない立場。高橋一眞はパンチで出て来る大和にヒザ蹴り中心に右ローキック、ロープ際での接近戦で右ストレートでダウンを奪う。足に来た様子の大和だったが、パンチの距離になると右ストレートで逆転のダウンを奪う。

パンチとヒザ蹴りの攻防の中、更なるパンチ連打で2度目のダウン奪った大和。残り1分半。パンチで出る大和に応戦する一眞は危険な打ち合い。しかし一眞の右ストレートでスリップダウンする大和は立ち上がるも再び足に来ている様子で足がもつれる。一眞は上下の蹴りからヒザ蹴りも出すが、大和とパンチの打ち合いに応じ、どっちが倒れるかスリルある展開の中、一眞の右ストレートがヒット、足に来てフラついて起きれない大和にレフェリーが試合を止めました。

悔しさで号泣の大和。何のヒットで倒したか、自分がダウンしたことも覚えていない試合直後の一眞。2度ダウン後の打ち合いは危険な賭けは一眞にとっては今後に課題を残す初防衛となりました。大和は王座奪回成らず、2連敗。今後再戦するとしたら互いがガードをしっかりしなければならないでしょう。特に「“KNOCK OUT”に出たい」と言う一眞は要注意です。高橋一眞はこれで15戦11勝(9KO)4敗。大和知也は32戦16勝(11KO)13敗3分。

村田裕俊vs優介。向かって来た優介に村田のカウンターパンチがヒット、ダウンとなった瞬間

村田裕俊は2016年12月に初防衛戦で対戦した優介との再戦となる2度目の防衛戦。2017年は注目の選手との対戦が続く中、3連敗の村田。優介は再挑戦に向け、調子を上げてきた侮れない挑戦者。村田の攻勢は想定内で首相撲になっても組負けず、しなりある村田のハイキックとミドルキックが優介を圧倒。

2ラウンドには接近してきた優介に左フックカウンターでダウン奪う村田。優勢に進む中、村田の右ストレートが優介にヒットするも、相打ち気味だった優介の右ハイキックが村田のアゴを捉え、ダブルノックダウンのような形で、優介がやや先に尻餅つくが、ほぼスリップ気味ですぐ立ち上がり、村田は完全に足に来てフラつく中、レフェリーが止めました。

優介が劇的逆転ノックアウトで号泣の王座奪取成る。優介は第14代チャンピオン。村田裕俊はこれで19戦10勝(5KO)7敗2分。優介は25戦18勝(8KO)5敗2分。

村田裕俊の右ストレートはプッシュ気味、この直後、優介の右ハイキックが村田のアゴを捉える

ロープにもたれて倒れ込み、立ち上がれなかった村田裕俊

高橋聖人は昨年4月に村田裕俊を攻略する金星判定勝利。安田浩昭は3年前に髙橋聖人に判定負けしているが、その後勝利を重ね、上位進出してきた底力は侮れない。

パンチ主体の安田に対し、右ローキックを中心に蹴り技で優っていた距離感もよかった聖人。聖人の蹴りのペースが続き、安田の左足が効いていく中、安田の一瞬の右フックが聖人のアゴを捉えると、バッタリ倒れた聖人、完全に効いてしまって上半身を起こそうにも身体が言うこと利かないダメージでレフェリーが試合をストップ。パンチの当たる隙を安田が見逃さなかった展開。キックのキャリアは似たものがあるが、人生の経験値からくる勘があったであろう結末。聖人は反省点ある試合で今後に活かせることでしょう。高橋聖人はこれで10戦8勝(3KO)1敗1分。安田浩昭は10戦8勝(4KO)2敗。

新チャンピオン優介と真門ジム山岡会長。真門ジムでは優介が高橋兄弟に続く現役三つ目の王座獲得となった

◎神風シリーズ vol.6
2017年12月16日(土)後楽園ホール17:30~20:50
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆メインイベント NKBライト級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.高橋一眞(23歳/真門/61.05kg)
VS
挑戦者同級2位.大和知也(前C/32歳/SQUARE-UP/61.23kg)
勝者:高橋一眞 / TKO 1R 2:35 / 主審:前田仁

◆NKBフェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.村田裕俊(28歳/八王子FSG/57.05kg)
VS
挑戦者同級2位.優介(33歳/真門/56.95kg)
勝者:優介 / TKO 2R 1:32 / 主審:鈴木義和

◆フェザー級 5回戦

NKBフェザー級1位.高橋聖人(20歳/真門/57.05kg)
VS
同級3位.安田浩昭(31歳/SQUARE-UP/56.9kg)
勝者:安田浩昭 / TKO 2R 3:02 / 主審:亀川明史

安田浩昭vs高橋聖人。頭をもたげる高橋聖人、身体は言うこと利かない痛烈なダウンシーン

安田浩昭vs高橋聖人。隙を突いた安田の右フックが高橋にヒット

王座挑戦権を得たであろう安田浩昭

初防衛成功の高橋一眞。王座奪取時にも見せた雄叫びポーズ

◆ライト級3回戦

NKBライト級1位.棚橋賢二郎(30歳/拳心館/60.95kg)
VS
小鹿雅弘(26歳/ジョイント/61.0kg)
引分け / 0-1 / 主審:川上伸
副審:前田30-30. 亀川30-30. 佐藤友章29-30

◆ミドル級3回戦

NKBミドル級6位.釼田昌弘(28歳/テツ/72.3kg)
VS
義充(27歳/アウルスポーツ/72.5kg)
引分け / 0-1 / 主審:佐藤彰彦
副審:鈴木30-30. 亀川29-30. 川上30-30

◆63.0kg契約3回戦

NKBウェルター級5位.マサ・オオヤ(43歳/八王子FSG/63.0kg)
VS
NKBライト級9位.野村怜央(27歳/TEAM-KOK/62.95kg)
勝者:野村怜央 / TKO 2R 1:58 / カウント中のレフェリーストップ
主審:佐藤友章

◆62.0kg契約3回戦

NKBライト級5位.パントリー杉並(25歳/杉並/61.65kg)
VS
J-NETWORK.スーパーライト級7位.伊東伴恭(33歳/ライラプス東京北星/61.9kg)
勝者:伊東伴恭 / 判定0-3 / 主審:亀川明史
副審:川上28-30. 前田27-30. 鈴木28-30

◆ウェルター級3回戦

NKBウェルター級4位.チャン・シー(33歳/SQUARE-UP/66.5kg)
VS
同級6位.SEIITSU(38歳/八王子FSG/66.45kg)
引分け / 0-1 / 主審:佐藤彰彦
副審:川上29-30. 前田30-30. 佐藤友章30-30

◆フェザー級3回戦

NKBフェザー級6位.鎌田政興(27歳/ケーアクティブ/57.0kg)
VS
同級9位.岩田行央(37歳/大塚/57.05kg)
勝者:鎌田政興 / 判定3-0 / 主審:鈴木義和
副審:亀川30-28. 佐藤友章30-28. 佐藤彰彦30-29

前座2試合は割愛します。

《取材戦記》

日本キックボクシング連盟に於いては、ラスト3試合は近来に無い壮絶な決着でした。リングサイド関係者は、意外な盛り上がりに驚きながらも満足気の様子。「来年(2018年)もNKBを盛り上げましょう」と言う声も聞かれました。高いレベルとは言い難いところもあり、「KNOCK OUTイベント」に向かっていくなら磨かねばならない技はあるものの、出場させてみたい選手も揃っています。

新年の興行タイトルは「闘魂シリーズ」だそうで、どこかで聞いたことあるようなシリーズ名ですが、この日のようなスリルは成り行き任せで難しくとも、好カードで盛り上がりを見せればNKBの存在価値も上がることでしょう。高橋三兄弟は課題を抱えつつ、負けてもまた向かっていく姿がカッコよく見えます。

2018年定期興行スケジュールは、2月17日、4月21日、6月16日、10月13日、12月8日、いずれも土曜日、後楽園ホールでの開催で、開始時刻は17:30の予定。この他、地方興行も予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』