パカイペットの隙を突いて鋭く入る左ストレート

パカイペットの壁を乗り越えたい波賀宙也、積極的に攻める

パカイペットは元・BBTVバンタム級チャンピオンで、2016年1月、瀧澤博人を左ミドルキックで圧倒TKOし、昨年1月は志朗とファイトマネー総取りマッチを行ない、志朗を蹴りで苦しめながらラストラウンド残り1秒で倒されるも、名は知れ渡る激闘を展開。

波賀宙也は元・WBCムエタイ日本スーパーバンタム級チャンピオンで、昨年からの4連敗中から脱出したいところ。波賀は相手を研究し狙った右ヒジ打ちで少々額カット成功。波賀が距離を詰める圧力をパカイペットがいなし、要所要所でのパンチと蹴りは、隙を狙う上手さを感じさせます。互いが相手の持ち味を封じた展開でしたが、僅差でパカイペットが勝利。

パカイペットの突進を止めた波賀宙也の前蹴り

右ローキックから石川直樹の主導権支配が始まる

組んだら離さない力で捻じ伏せてヒザ蹴りでダウンを奪う石川直樹

 

石川直樹は離れた距離での蹴りから次第に得意の首相撲に移ると、相手を捻じ伏せるように押さえ、顔面へのヒザ蹴りで2度のダウンを奪って判定勝利。タイ選手相手に得意の体勢で圧勝出来たことには存在感はより大きくなった石川直樹、今後のムエタイランカー戦となっても組み勝つ姿は見られるでしょうか。

石原將伍はスウィーレックの蹴りや首相撲の距離であっても怯まない術を持っての戦い。組まれても強引にパンチの距離を取り戻し打ち込む強引さで圧倒。チャンピオンになってよりアグレッシブさが増した勝利でした。

初回早々からパンチでラッシュしたOD・KENが一気にダウンを奪い、ダメージ残る柴田を仕留めて完勝。何も出来ずに終わった柴田春樹、ブランクが空く影響もあったか、今後も他団体交流戦でなければ対戦相手が居ない中、巻き返しに期待です。

2000年生まれで、やがて18歳になるバンタム級の馬渡亮太(治政館)は、長身からくる足技と左のヒジ打ちで10歳年上の田中亮平(市原)と激戦の末、ダウン奪って判定勝利。1位で前チャンピオンの瀧澤博人(ビクトリー)との対戦や、現チャンピオンのHIROYIKI(藤本)への挑戦も期待される今いちばん注目の新人上位ランカーです。

下がり始めたパカイペットをパンチで追う波賀宙也

◎WINNERS 2018.1st /
2018年1月7日(日) 後楽園ホール 17:00~20:35
主催:治政館ジム / 認定:新日本キックボクシング協会

◆56.5kg契約 5回戦

パカイペット・JSK(タイ/55.7g)VS 波賀宙也(立川KBA/56.5kg)
勝者:パカイペット・JSK / 判定2-0 / 主審:椎名利一
副審:仲49-49. 桜井50-49. 少白竜50-49

◆52.0kg契約3回戦

日本フライ級チャンピオン.石川直樹(治政館/51.9kg)
VS
ラタケット・パンダクラタナブリー(タイ/51.0kg)
勝者:石川直樹 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名30-25. 宮沢30-26. 少白竜30-26

本領発揮した石川直樹、2度目のダウンを奪う

左ストレートで仕留める石原將伍、ゆっくり倒れるスウィーレック

◆59.0kg契約3回戦 石原將伍

日本フェザー級チャンピオン.石原將伍(ビクトリー/59.0kg)
VS
スウィーレック・パンダクラタナブリー(タイ/59.0kg)
勝者:石原將伍 / TKO 2R 1:56 / カウント中のレフェリーストップ
主審:桜井一秀

◆ヘビー級3回戦

日本ヘビー級チャンピオン.柴田春樹(ビクトリー/93.0kg)
VS
J-NETWORKライトヘビー級4位.OD・KEN(ReBORN経堂/90.0kg)
勝者:OD・KEN / TKO 1R 0:50 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:宮沢誠

スウィーレックの蹴りに対し、構わずパンチで攻めた石原將伍

開始早々からパンチで圧倒したOD・KEN、何も出来ないまま終わった柴田春樹

◆63.0kg契約3回戦

ヨーペットJSK(タイ/62.8kg)
VS
日本ライト級1位.永澤サムエル聖光(ビクトリー/62.8kg)
勝者:ヨーペットJSK / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名30-28. 仲30-28. 宮沢30-28

◆68.5kg契約3回戦

日本ウェルター級1位.政斗(治政館/68.15kg)VS 憂也(魁塾/68.5kg)
勝者:憂也 / 判定0-3 / 主審:桜井一秀
副審:宮沢29-30. 仲29-30. 少白竜28-30

◆ライト級3回戦

日本ライト級2位.直闘(治政館/61.0kg)VS 同級3位.内田雅之(藤本/61.0kg)
勝者:内田雅之 / 判定0-3 /主審:椎名利一
副審:宮沢27-30. 桜井27-30. 少白竜27-30

◆54.0kg契約3回戦

日本バンタム級2位.馬渡亮太(治政館/53.9kg)VS 同級6位田中亮平(市原/53.6kg)
勝者:馬渡亮太 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名30-27. 桜井30-26. 少白竜30-27

◆62.0kg契約3回戦

日本ライト級10位.興之介(治政館/61.6kg)
VS
まさきラジャサクレック(ラジャサクレック/62.0 kg)
勝者:まさきラジャサクレック / KO 2R 3:02 / 主審:宮沢誠

◆55.0kg契約3回戦

日本バンタム級3位.阿部泰彦(JMN/55.0kg)
VS
NJKFバンタム5位.古村匡平(立川KBA/最終計量55.65kgで減点1)
勝者:古村匡平 / KO 2R 0:46 / ハイキックで10カウント / 主審:少白竜

上記はランカー以上の結果。
他、2回戦2試合は割愛します。

《取材戦記》

「新春黄金キックだ!」がパンフレットに書かれていた興行タイトルでしたが、正月は連日続くタイトルマッチの緊張感があった昭和のキック、あの時代の正月が本当の“新春黄金キック”だったように思います。

ライト級に上げて事実上の初勝利となる40歳になったばかりの元・日本フェザー級チャンピオン.内田雅之(藤本)。ダウン奪って判定ながら快勝し、勝利して2人の幼いお子さんをリングに上げての撮影、以前から触れる話ではありますが、リング上でこんな親子の撮影を多く見るようになりました。

アンダーカードでは、過去に王座挑戦経験もある阿部泰彦(JMN)は、やがて40歳になり、現在2歳のお子さんが居て、試合中の騒然とした中でも我が子の声がはっきり聞こえると言います。そして父親の戦う姿が一生記憶に残るまで戦いたい気持ちを持っているそうですが、この日は残念ながら、一発のハイキックで珍しくもKOで敗れ去ってしまいました。あと2年ほど頑張れば夢は叶うか。そんな些細な応援もしたくなる差し迫った阿部選手の戦いです。

2018年の新日本キックボクシング協会は、年間10回興行の中で、次の興行は3月11日(日)17時より後楽園ホールに於いてMAGNUM.45(現在カード未定)が開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』