2月20日付「デジタル鹿砦社通信」を読んで、朝日新聞社の不誠実極まりない官僚的対応にあきれ果てた。

◆幹事社として鹿砦社に対応した朝日記者には、明らかに「説明責任」がある

問題の第一は、鹿砦社が李信恵氏を名誉毀損で提訴した際、記者クラブ幹事社として記者会見の要請を拒否したこと。「加盟全社に諮ったうえ」とのことらしいが、少なくともあの凄惨なリンチ事件の当事者が、それを告発した鹿砦社を「クソ」呼ばわりした、しかもその当事者は李信恵という社会的に名の知られたライターであり、自身の訴訟では度々記者会見を開き、記者クラブ加盟各社もその会見を記事にしてきた、半ば公人である。

これは、司法記者クラブという半ば公的な存在であるメディア機関が、このリンチ事件に関しては「中立・公正」の建前を捨て、それを市民・読者・視聴者に伝えるメディアとしての役割を放棄し、リンチ加害者を擁護したことになる。

これについて、幹事社として鹿砦社に対応した朝日記者には、明らかに「説明責任」がある。朝日新聞は、安倍政権のモリカケ疑惑などで、関係機関・個人の「説明責任」を求めてきたが、自身がそれを求められた場合、当事者である記者が、電話にも応じないというのは、実に不可解な態度であり、明らかな二重基準だ。

◆3人の朝日記者がとった対応は、ジャーナリストとしての基本を踏み外した責任放棄対応だ

問題の第二は、関与した記者たちが、鹿砦社の電話取材から逃げ回り、記者個人・ジャーナリストとしての矜持も捨てて、「会社」にすべてをゆだねてしまう情けなさだ。

この3人の記者は、自分の取材対象が取材途中で「詳しいことは会社が対応します。広報を通じて取材して下さい」と言ってきたら、はいそうですか、とすんなり応じるのだろうか。そんなことはあるまい。「あなたには、問題の当事者として取材に答える義務がある」とその当事者を追及するのではないだろうか。

もし、これが朝日新聞の「取材への基本的対応」であるとしたら、もうこれから、だれも朝日の取材には応じなくなるだろうし、応じる必要もなくなるだろう。3人の記者がとった対応は、それほどにジャーナリストとしての基本を踏み外した、「会社人間」の責任放棄対応だ。

◆本社広報部部長代理の対応は国税局長に出世した佐川氏と同レベルだ

問題の第三は、対応を委ねられた本社広報部部長代理の尊大極まりない電話対応だ。

個々の記者には「本社広報部が窓口」と言わせておきながら、窓口としての役割を果たそうとせず、鹿砦社の取材を「非常識・迷惑」と非難する不誠実な電話対応に終始した。

少なくとも、「広報が対応する」というのなら、記者個々人に代わって、広報部としてきちんと質問に答えなくてはならない。そうでなければ、「広報部」とは言えない。それを、この河野部長代理は、問題の経過、事実関係もろくに把握せず、「記者に連絡を取るのは止めてくれ」「細かい大阪のことは知らない」という無責任で不当・不誠実な対応を繰り返した。

河野氏は元新聞記者なのだろうか。もしそうであれば、取材対象が「広報部」に連絡してくれと言って、広報部に連絡すると「個人への取材は止めてくれ」と言われ、はいそうですか、と引き下がるような軟弱な取材しかしてこなかったのだろう。

記者個人に「広報部を通じて」と言わせたのなら、せめて、広報部として、相手の質問に誠実に答えるのが「新聞社の広報部」ではないのか。これではまるで、「何も知りません」「資料は破棄しました」答弁を繰り返して国税局長に出世した佐川氏と同レベルだ。

今回の鹿砦社に対する対応で、朝日新聞社は、自分たちが取材対象になった場合は、こんな官僚的対応を取る会社であり、「取材の自由」や「報道の自由」を平気で踏みにじるメディアであること、ジャーナリズムとは程遠い存在であることを、天下にさらけ出したというほかない。

▼山口正紀(やまぐち まさのり)
ジャーナリスト。元読売新聞記者。記者時代から「人権と報道・連絡会」メンバーとして、「報道による人権侵害」を自身の存在に関わる問題と考え、報道被害者の支援、メディア改革に取り組んでいる。

◎[関連参照記事]鹿砦社特別取材班「朝日新聞本社広報部・河野修一部長代理が鹿砦社に答えた一問一答の衝撃」(2018年2月20日付デジタル鹿砦社通信)

◎今回の朝日の対応は多くの方々に衝撃を与えました。今後、メディア関係者の論評を暫時掲載いたします。また、皆様方のご意見もお寄せください。

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