「社長室の広報が担当窓口になりました」。取材班にこう告げた毎日新聞の後藤由耶記者が、3月9日、またしても李信恵を紹介する署名記事を書いている。「報道管制」を敷かれた取材班の闘志はいまだ健在だが、後藤記者が書いた記事の主語を「李信恵」から「M君」に置き換えてみると、あら不思議! M君による李信恵被告ら5人を相手取った損害賠償訴訟に関する記事が見事に出来上がるではないか。
後藤由耶記者の3月9日付毎日新聞記事「対在特会ヘイト裁判 李信恵さん 尊厳回復の闘い」と以下の記事を読み比べて頂きたい。
「集団暴行(リンチ)事件で心身を傷つけられた」として大学院生M君が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と同会の桜井誠前会長を訴えた原告である、李信恵被告ら5人を相手取った損害賠償訴訟の判決が19日、大阪地裁810号法廷で、14:00から言い渡される。M君は昨年、大阪地裁でツイッター上における名誉毀損事件で野間易通被告に勝訴している(大阪高裁で判決確定)。判決確定を受けて取材班のインタビューに応じたM君は「証拠集めなどのたびに被害を思い出し、ストレスから不眠や突発性難聴に苦しんだ」と事件後3年余にわたる心身の苦痛を訴えた。法廷闘争を振り返り、「この判決はゴールではない。世界から本当に差別や暴力をなくすためのスタートだ」と決意を新たにした。
「野間氏の悪行が認定された。賠償額は少額だったけれども……。」。2016年12月16日深夜に、壮絶な暴力を受け、さらに「事件隠蔽」に苦しんできたM君は対野間裁判判決に満足ではないようだ。しかし本人が望まない実名が公表されても、あるいは民事訴訟中でも、M君に対する攻撃をやめようとしない人たちはおり、今もネット上にM君攻撃の書き込みは絶えない。
「裁判をしても、私一人の力は弱いと感じた。支援者の皆さんのご協力があってはじめてこの事件を民事訴訟として提起することができた」と指摘するM君が求めるのは、事実が隠蔽されない、差別もない社会だ。
訴訟で代理人を務めた大川伸郎弁護士は「判決では『共謀』を、裁判所がどこまで認定してくれるか、が勝敗の分かれ目でしょう。金銭的な賠償額よりも、この事件では『共謀』の認定が、勝敗の分かれ目だと思います」と19日の判決を前に取材班に語った。
M君は毎回の準備手続き(原則非公開の法廷)にも、毎回スーツ姿で臨んだ。人証調べの日も同様だった。「冷静に事実を述べ、相手方弁護士の挑発には乗らない」ために何度も弁護団とリハーサルを繰り返したという。傍聴席には様々な人びとが支援に集まった。「社会がそうさせているのかは分からないが、私の事件を隠蔽しようとしている構造も問いたいと思います。このままでは次の『被害者』は死ぬかもしれないですから。差別を口実にする暴力は絶対に許されないことを主張してゆきたい、それが本質的な差別根絶に近づくのではないかと思います」とM君は先を見すえている。
李氏は鹿砦社から提訴された名誉毀損・損害賠償裁判で「鹿砦社はクソ」発言を「論評」と位置づけ開き直っている。「鹿砦社はクソ」が「論評」であるのであれば、ネット上だけでなく出版などでも「クソ」といった品性のない言葉が許容されることになる。自身が証言台に立った際に李被告は「私はダウンタウンみたいに言葉づかいが荒いので、『しばいたろか』は普段使います」と堂々と証言し、「言葉で傷つけられた」被害者にもかかわらず、自身が使う言葉には「無頓着」であることを認めた。【鹿砦社特別取材班】