2月14日、滋賀医大附属病院前で、「滋賀医科大学小線源治療患者会」のメンバーが、雪の舞う寒い天候の中、「岡本圭生医師による治療の継続」を訴えて、のぼりや横断幕を掲げるマニフェスト(抗議活動)を敢行した。気温2度という、厳しい寒さの中、朝9時30分頃からメンバーは病院敷地の「外側」に集まり、下記写真のように病院に向けての示威行為を開始した。対象が病院だけに患者さんに迷惑が掛かってはならないので、音声を発することはしなかった。

 

 

 

9時45分頃、マスクをした職員らしき人物が現れた

9時45分頃、マスクをした職員らしき人物が病院の建物内から出てきて、様子を観察しだした。

この人物撮影していると「勝手にわたしの写真を撮らないでください」という。「あなたは国家公務員でしょ」と聞くと「そうですが、それが何か?」というので「職務中の国家公務員に肖像権はない」と伝えると、横にいたガードマンが「病院内での写真撮影は禁止です!」とまくしたてだした。「どこにそんな規則があるんですか。入院患者を見舞った家族や友人が一緒に写真を取ってはいけないのですか?」と切り返す。

職員がガードマンに下がるよう指示し、マスクをした職員は「私の写真のデータを消せ」とあたかも警察のような口の利き方をする。「そんな法的義務はない。不当要求には応じられない」と突っぱねるとやがて諦めて病院の建物に帰っていった。

 

10時10分、パトカーがやってきた

10時10分、病院が警察に通報したのであろう。パトカーがやってきた。

パトカーは緊急出動のパトランプは点灯していない。病院玄関前で数名の職員が「プラカードをつけた者がいたり、ああやってのぼりを上げたり妨害行為をしているんです」と警察官に申告している。

パトカーで病院にやってきた2名の警察官がスタンディングをしている「患者会」の皆さんのいる場所へやってきた。

しかし、患者会の誰も全く動じていない。どうしてか? この日の行動を計画したMさんは、「こうなるであろう」ことをあらかじめ予見して、先手を打っていたのだ。Mさんは早い時期に草津警察署に「道路使用許可」を申請し、許可を得ていたのだ。

「患者を患者とも思わぬ滋賀医大附属病院は、病院真近での直接行動を、嫌がるに違いない。スタンディングは何の違法行為でもないが、病院は必ず警察に通報するだろう。その時に道路使用許可を見せれば、警察も文句は言えまい」。

Mさんは市民運動の歴戦の闘士でもなく温厚な紳士だが、この読みは寸分なく的中した。事情を聴きに来た2名の警察官は滋賀医大附属病院最寄りのJR瀬田駅交番の巡査だった。道路許可を見せて納得した警察官は、「どうしてこの先生辞めはるんですか?」と「患者会」のメンバーに質問する。

「辞めるんじゃなくて病院が無理やり辞めさせようとしているから、わしら抗議してますんや。お巡りさんも男性やったら前立腺癌、他人事ちゃいまっせ。ここにおる者は岡本先生に命を救うてもろうた人ばかりです」

さらに警察官が「なんでそんな先生を辞めさそうとするんですか?」と「いい質問」をぶつけるので「さあ、それはわかりませんけど、一層こちらやなくて病院の中を捜査してもらえまへんか」と冗談交じりにお願いするメンバーに「いやちょっとそれは……」と困った表情を浮かべていた。

若い巡査は「いつも瀬田駅前でやってはるやつですよね」とこの問題への関心を口にしたので、メンバーが用意していた『紙の爆弾』3月号のグラビアを提供すると「ありがとうございます」と感謝されていた。

しばらくすると、別のパトカーがやってきた。滋賀医大附属病院は、正門の前が大津市と草津市の堺になっており、先に来た警察は大津市警察からの出動であったが、「患者会」メンバーがスタンディングを行っていた場所は草津市内であるので、草津警察がやってきたのだ。すでに道路使用許可を得ている「患者会」とりわけMさんは、ニコニコしながら「どうもどうも」と使用許可を提示し、穏やかな雰囲気で確認が行われた。わたしが「写真撮影をしてよいですか」と草津署の警察官に尋ねると「構いませんよ」とのことだった。

草津警察所の警察官に余裕の笑顔で警察に応対するMさん

草津警察も引き上げ、寒い中で皆さんひたすら立って抗議を続けていると、参加していた方のお一人が不調を訴えだした。実はこの日の抗議行動には、既に治療が終わった患者さんだけではなく、現在入院中の患者さんも数名参加していたのだ。そのうちのお一人が薄着過ぎたため低体温状態になってしまったのだ。脈をとってみると正常値だ。深刻な状態ではないだろうが、一刻も早く体を温めなければならない。メンバーが患者さんを病室に戻すべく車椅子を病院内にとりに行くと、病院職員がストレッチャーを用意してやってきた。その中の一人はわたしに「写真を撮るな」と迫った職員であったが、体調を悪くした患者さんへの彼の態度は(当たり前ではあるが)丁寧で、親切な対応であったことは記しておく。

入院中の患者さんも厳寒の中参加する病院前での抗議行動など、この国の歴史にあったであろうか。滋賀医大附属病院は、この日大きな衝撃に見舞われたに違いない。「患者会」の皆さんや「入院中の患者さん」までが、治療が受けられないかもしれない「待機患者さん」のために「命がけ」で闘っている。低体温で意識朦朧となりながらも厳寒の中で抗議に参加した「入院患者」さんの姿に直面して、あらためて、心が震える思いをさせられた。願わくば同じ人間として滋賀医大附属病院の皆さんにも「なにか」を感じてほしいものだ。

なお、滋賀医大附属病院問題については、Youtubeにも資料動画があるのでご覧いただきたい。


◎[参考動画]滋賀医大による癌治療の妨害: 岡本医師の妨害阻止に向けた闘い


◎[参考動画]癌患者の滋賀医大病院による治療妨害-阻止に向けて-


◎[参考動画]For Provisional Disposition to save patients(上記動画の英語編集版)


◎[参考動画]滋賀医科大学 倫理規定違反


◎[参考動画]滋賀医大診療予約停止

◎患者会のURL https://siga-kanjakai.syousengen.net/
◎ネット署名へもご協力を! http://ur0.link/OngR

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▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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