◆自民党と大差がない野党各党

ことしは統一地方選挙のおこなわれる年にあたる。参議院議員選挙もおこなわれる。衆議院の解散があれば、衆参同日選挙となるかもしれない。地方・都道府県・国政の方向を軌道修正する機会が選挙なので、ことしの選挙でぜひ!と望ましい変化に向けての選挙展望などを披瀝してみたいのだけれども、自分に嘘をつかないと、評論家のようにいい加減なことしかいえない。

評論家の皆がいい加減であるとはいわないが(皆ではなく多くがいい加減であることは確かだ)、「政治評論家」や「政治学者」と自・他称し、されている方々が、あれこれ述べる展望や予想には、どうも違和感がぬぐえない。

自民党内の力学分析や石破の処遇へのコメントに、現実変化へのいかほどの意味があるだろうか。民主党だか国民民主党だかわからない、結局は「保守」を自称する立場としては野党各党には、主張の違いを見つけるのが難しい。これはわたしの不勉強に起因する問題ではなく。各党の政治理念と行動や公認予定者の顔ぶれを眺めると、自民党と大差がないのではないかとしか思えない、ありさまが原因なのだ。

◆多くの野党議員に共通する「細野豪志的」危うさ

民主党政権時代には大臣も経験し、山本モナとの不倫をパパラッチに撮られたことのある細野豪志はその象徴的な人物といえよう。細野はその昔原発の勉強をしたいと、ルポルタージュライター明石昇一郎さんのもとに訪れたことがある。「ふんふん」と明石さんの説明に細野は原発の危険性を理解したようであった。ところが、福島第一原発事故後、内閣府特命大臣(消費者及び食品安全)に任命されると、もっぱら原発事故の危険性隠しにやっきになる。

故鳩山邦夫の秘書の経歴を持ち、やはり原発事故後に一時「正義の味方」と勘違いされた上杉隆と都内の某レストランで会食していた細野とたまたま隣の席になったことがある。“胡散”臭いの発し方にかけては劣らぬ二人の会食に気が散って、料理の味よりも隣の会話に神経が向かったが、話の内容はどうということのない内容だった。細野は自民党に入党を前に(?)二階派入りをするという。3月16日朝日新聞デジタルには「漂流する細野氏『民主のホープ』はメンツ捨て自民へ」の見出しが。「民主のホープ」だったかどうかは別にして、細野が節操のない男であることは、彼の政治家としてまた個人としての活動歴を振り返れば、一目瞭然だろう。

ところが困ったことに、細野ほどではないにしろ、自民党以外の政治家には「細野的」危うさが拭い去れない、議員や政党ばかりで、「この党になら投票したい」、「この候補者になら投票したい」と感じられる対象がほとんど存在してくれないのだ。

◆いまこそ「自民党と正反対の主張」を掲げる政党の登場を望む

前述の通り民主党をルーツにする各政党は、その主張において自公政権に対する明確な対抗勢力ではない。社民党は力が弱すぎる(沖縄での存在感は別にして)、日本共産党は「野党共闘」を強調するが、自民党と主張が変わらない野党が共闘して選挙に勝っても、政治が変わる保証があるのだろうか。日本共産党はマルクス主義による社会主義の実現を求める政党だと、同党は主張しているが、そうであれば野党であっても本質が自民党と大きく変わらない政党との連携は矛盾しないか。

わたしの拙い想像であるが、「自民党と正反対の主張」(護憲・集団的自衛権反対・原発即時廃止・消費税廃止・法人税と累進課税の増税・少子化を前提にした社会の再構成・身の程にあった自然を壊さない、壊持続可能な産業界再編)などを掲げた政党が現れれば、かなりの得票をえられるのではないだろうか。

◆大阪では「ファシズムA」VS「ファシズムB」という選択

大阪では知事・市長・府会・市会の同時選挙がおこなわれる。でも知事・市長選挙の選択肢は実質「維新か自民(プラス諸野党)」という、正直不幸としか言いようがない2択になりそうだ。「ファシズムA」と「ファシズムB」のどちらからかしか選べない。「民主主義」が原則の社会でこんな2択は選挙といえるだろうか。多様性どころではない。どちらが当選したって「大阪都構想」以外には変わりがないことは選挙民は知っているだろう。

でも本当の間接民主主義は、こんなに似通った(ほとんど同じ)主張の二者から選ばなければならない、窮屈な制度ではないはずであるし、根本的に政治思想の異なる(国家主義、新自由主義ではなく、社民主義や社会保障重視主義)オプションがなければ、政治で社会は変わらない。

今日日本の行き詰まりと閉塞感は、名称は異なるがその実、中身の変わらない政党しか存在せず、選挙で社会を変えることのできる政党や候補者がない。このことに由来するのではないだろうか。


◎[参考動画]2019年3月18日参議院予算委員会(山本太郎=国民民主党・新緑風会の質疑部分)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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