メインイベントとなった交流戦。高橋亮は2015年12月にNKBバンタム級王座獲得。2019年6月にNKBフェザー級王座獲得した二階級制覇チャンピオン。山浦俊一は2019年9月にNJKFスーパーフェザー級王座奪取して、昨年12月に葵拳士郎(マイウェイ)からWBCムエタイ日本スーパーフェザー級王座を奪取したばかり。
山浦俊一は2019年2月9日に高橋三兄弟三男・聖人にノックダウンを奪われ判定負けしている中での次男・亮との対戦となった。
日本キックボクシング連盟興行でニュージャパンキックボクシング連盟の女子キックが基盤のミネルヴァタイトルマッチが行われるのは、2019年9月29日、大阪でのテツジム興行以来、同一カードで2度目。sasoriも喜多村美紀もテツジム所属だが、sasoriは姫路支部所属で普段の練習では顔合わせは無い。両者は2019年9月に王座決定戦で対戦しsasoriが判定勝利している。
キックボクシング界に於いてはチャンピオンが乱立しているが、NKBもNJKFも国内団体タイトルのひとつである。
◎NKB 2021 必勝シリーズ 開幕戦 / 2月20日(土)後楽園ホール17:30~20:30
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会、ミネルヴァ実行委員会
◆第11試合 61.0kg契約 5回戦
髙橋亮(真門/1995.9.22大阪府出身/60.95kg)
VS
山浦俊一(新興ムエタイ/1995.10.5神奈川県出身/61.0kg)
勝者:高橋亮 / TKO 4R 0:48 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:前田仁
コロナ禍での観衆人数制限がある中だが、観衆が少ないだけではなく、緊迫感ある攻防を見守る観衆の静けさがあった。
主導権を奪いに行く素早さとフェイント掛けた高度な蹴り中心の攻防の中、第3ラウンド終了間近で高橋亮の前蹴り(通称・三日月蹴り)が山浦のボディーにヒットすると効いて蹲ってしまうノックダウンとなった。
山浦は懸命に立ち上がって終了ゴングに救われたが険しい表情。第4ラウンドには高橋亮がボディーに意識を持って行かせた上下打ち分けから左ハイキックをクリーンヒットさせると山浦は仰向けに倒れレフェリーストップとなった。
◆第10試合 女子キック(ミネルヴァ)ライトフライ級タイトルマッチ 3回戦
チャンピオン.sasori(テツPRIMA GOLD/1981.3.19兵庫県出身/48.65kg)
VS
同級1位.喜多村美紀(テツ/1986.6.27兵庫県出身/48.85kg)
引分け 三者三様
主審:宮本和俊
副審:佐藤29-30. 仲29-29. 前田30-29
蹴りも首相撲も少ない両者譲らぬパンチ中心の打ち合いが試合を盛り上げていくが、ポイントがどちらに流れるか難しい一進一退の打ち合いは、三者三様の引分けでsasoriが初防衛となった。
◆第9試合 ライト級3回戦
NKBライト級1位.棚橋賢二郎(拳心館/1987.11.2新潟県60.95kg)
VS
WMC日本スーパーフェザー級2位.藤野伸哉(RIKIX/1996.5.31東京都出身/61.15kg)
勝者:棚橋賢二郎 / TKO 1R 2:59 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:仲俊光
藤野伸哉は棚橋賢二郎の剛腕を凌げれば蹴りやヒジ打ちで勝機あり。そんな流れも棚橋が様子見の後、勢いを増して打ち合いに出て来た第1ラウンド終盤。左右フックの強打炸裂で脆くも倒れ込んだ藤野は2度のノックダウンでダメージ深く、レフェリーストップとなった。
◆第8試合 ウェルター級3回戦
NKBウェルター級3位.笹谷淳(TEAM COMRADE/1975.3.17東京都出身/66.5kg)
VS
ちさとkiss Me!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/66.55kg)
勝者:笹谷淳 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:宮本30-27. 仲30-27. 前田30-27
笹谷淳の蹴りから組み合う力が優り、ロープ際まで押し込む圧力。イジメのように顔をロープに抑え込んでヒジ打ちをゴツゴツ当てる圧倒が続くと、ちさとは眉尻をカットした上、スタミナを失うばかりで劣勢を挽回できず、笹谷が蹴りでも優りフルマーク判定勝利を掴む。
◆第7試合 57.0kg契約3回戦
NKBバンタム級4位.海老原竜二(神武館/1991.3.6/埼玉県出身/56.65kg)
VS
ベンツ飯田(Team Aimhigh/1997.4.17群馬県出身/56.75kg)
勝者:海老原竜二 / 判定3-0
主審:佐藤友章
副審:宮本29-28. 鈴木29-27. 前田29-28
蹴り中心の攻防が続く中、最終ラウンドは距離が詰まり、パンチ中心に移る中、海老原のファールブローが飯田に当たって中断後、更にパンチの打ち合いに入ったところで海老原の左ストレートがヒットし、飯田はノックダウンとなった。海老原の落ち着いた試合運びが判定勝利を導いた。
◆第6試合 60.0kg契約3回戦(中田ユウジ負傷欠場で矢吹翔太が代打出場)
半澤信也(トイカツ/1981.4.28長野県出身/59.9kg)
VS
矢吹翔太(ブレイブフィスト/61.4→61.35→61.3kg 計量失格減点1)
勝者:矢吹翔太 / 判定1-2
主審:仲俊光
副審:佐藤28-29. 前田30-29. 宮本28-29. 矢吹に減点1含む
◆第5試合 バンタム級3回戦
志門(テツ/1996.4.14兵庫県出身/53.15kg)
VS
ナカムランチャイ・ケンタ(team AKATSUKI/2000.8.18千葉県出身/53.3kg)
勝者:志門 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:前田30-28. 仲30-28. 宮本30-29.
◆第4試合 59.0kg契約3回戦
山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/58.85kg)
VS
源樹(リバティー/1995.12.6埼玉県出身/58.3kg)
勝者:山本太一 / TKO 3R 2:35 / レフェリーストップ
主審:佐藤友章
◆第3試合 54.5kg契約3回戦
幸太(八王子FSG/1998.3.19山形県出身/54.3kg)
VS
SHU(D-BLAZE/1999.12.16千葉県出身/54.45kg)
勝者:SHU / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:前田28-30. 宮本28-30. 仲28-30.
◆第2試合 ミドル級3回戦
畑澤貴士(八王子FSG/1984.9.18東京都出身/71.75 kg)
VS
渡部貴大(渡邉/1992.11.12東京都出身/72.15kg)
勝者:渡部貴大 / TKO 3R 1:56 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:佐藤友章
◆第1試合 アマチュア特別試合 50.0kg契約3回戦(2分制)
伊藤千飛(真門伊藤/2005.6.25兵庫県出身/49.85kg)
VS
藤井昴(治政館江戸川/2005.12.2東京都出身/49.45kg)
勝者:伊藤千飛 / 判定3-0
主審:前田仁
副審:鈴木30-29. 佐藤30-27. 仲30-29.
《取材戦記》
女子の試合というのは男子よりパワーは無いが耐える力はあると言われる。ひたすら打ち合っていると、その展開が変わらぬまま進むことは多い。判定結果が告げられる間、勝利を祈る喜多村に三者三様の引分けが告げられると落胆の表情へと変わった。引分けもタイトルマッチに於いては明暗分ける厳しい裁定である。
高橋亮は山浦俊一に対し、再戦(リベンジ)したいならWBCムエタイ日本王座を懸けることを希望した。日本キックボクシング連盟では元々は交流戦を行なわなかった時代が長かったが、近年は若い世代が興行を運営し、高橋三兄弟が他団体交流戦やビッグイベント興行のリングに上がる機会に恵まれ、他団体チャンピオンと戦えば、負けることはあっても強い三兄弟とトップクラスに居る立ち位置をアピールすることに成功してきました。
そんなNKB(日本キック連盟、K-U)に於いては未だに他団体王座に挑戦することは禁止されているが、今後、運営する若い世代が新たな展開を見せてくれるか注目したいところです。
高橋亮が山浦俊一に最初のノックダウンを奪ったのは三日月蹴りというらしい。前蹴りとミドルキックの中間の軌道で爪先辺りで蹴る感じ(厳密には他の言い回しあり)。
近年はカーフキックというのも現れました。脹脛辺りを狙った蹴り。いずれも昔からあったように思う蹴りでも、古い人間としては我儘ながら、使い難い名称の感じがします。
日本キックボクシング連盟の次回興行は、4月24日(土)後楽園ホールに於いてNKB 2021必勝シリーズvol.2が開催されます。開場と開始時間が通常より変更される可能性がありますので御注意ください。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」