勝次は昨年の3試合は全て判定負けから復活のKO勝利。喜びの表情も久しぶり。
もう一人のメインイベンター重森陽太は、沖縄の格闘技イベント「TENKAICHI」を主戦場とするリュウイチを蹴りの威力で優って判定勝利し、エース格の存在感を示した。
新日本キックボクシング協会主力メンバーのリカルド・ブラボと高橋亨汰は、ニュージャパンキックボクシング連盟からの刺客を退けた。
3月26日に亡くなられた沢村忠さんを偲び、伊原信一代表は役員の他、“仲間”と言える他団体の関係者をリングに招き、追悼テンカウントゴングが打ち鳴らされた後、黙祷が捧げられました。
◎TITANS NEOS.28 / 4月11日(日)後楽園ホール 18:00~20:47
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会
◆第11試合 64.0㎏契約 3回戦
WKBA世界スーパーライト級チャンピオン.勝次(藤本/1987.3.1兵庫県出身/64.0kg)
vs
J-NETWORKライト級チャンピオン.小磯哲史(TESSAI/1974.8.8神奈川県出身/63.7kg)
勝者:勝次 / KO 2R 1:46 / 3ノックダウン
主審:椎名利一
小磯がパンチを振り回してくる距離では勝次に危なさを感じるが、相手をしっかり見て深追いしない勝次の的確差で優る攻めで主導権を握り、第1ラウンド終盤には右ストレートでノックダウンを奪う。第2ラウンドも勝次の勢い付いた蹴りからパンチの猛攻で3度のノックダウンを奪ってKO勝利。
◆第10試合 62.5㎏契約 3回戦
WKBA世界ライト級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/1995年6月11日生/62.2kg)
vs
TENKAICHIスーパーライト級チャンピオン.リュウイチ(無所属/62.35kg)
勝者:重森陽太 / 判定3-0
主審:桜井一秀
副審:椎名30-29. 岡田30-28. 少白竜30-27
重森の鋭く重い蹴りは健在。脇腹に何度もヒットさせ、主導権を奪った流れが続く。
第2ラウンドにはローキックをヒットし始めた重森。第3ラウンドには距離が縮まり、ヒザ蹴りのヒットが増す圧倒が続き、パンチ得意のリュウイチに隙を与えず、内容的には圧倒の判定勝利。
◆第9試合 70.0㎏契約 3回戦
日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(伊原/アルゼンチン出身/69.8kg)
vs
イエティ達朗(前・WBC・M日本スーパーウェルター級C/キング/69.7kg)
勝者:リカルド・ブラボ / TKO 1R 2:45 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮沢誠
両者はローキックでけん制からパンチの距離で強打を打ちこむ展開から次第にリカルド・ブラボのヒットが優り、ラウンド終盤にコーナーに詰めたリカルド・ブラボがパンチ連打でイエティ達朗を仕留めた。立ち上がろうとするイエティ達朗はロープを掴みながら立ち上がろうとするもレフェリーがカウント中にストップをかけた。
◆第8試合 61.0kg契約 3回戦
日本ライト級チャンピオン.髙橋亨汰(伊原/60.85kg)
vs
WBCムエタイ日本スーパーフェザー級チャンピオン.山浦俊一(新興ムエタイ/60.9kg)
勝者:高橋亨汰 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:岡田30-28. 宮沢30-28. 桜井30-29
蹴りでの様子見から序盤は勢いあった山浦だったが、髙橋が自分の距離を掴むと、ミドルキックが攻勢を保っていく。山浦のパンチは高橋の距離に殺され巻き返しに至らず、高橋亨汰が判定勝利。
◆第7試合 バンタム級 3回戦
泰史(元・日本フライ級C/伊原/53.5kg)
vs
松岡宏宜(前・KOSスーパーフライ級C/闘神塾/53.1kg)
勝者:泰史 / 判定2-0
主審:椎名利一
副審:岡田29-29. 宮沢30-29. 少白竜29-28
好戦的に出る松岡に対抗する泰史。最後まで打ち合いに応じた泰史がややヒットで優ったか、採点はドローに近い僅差の判定勝利。
◆第6試合 58.0kg契約 3回戦
瀬川琉(伊原稲城/57.8kg)vs 水本伸(矢場町BASE/57.65kg)
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:桜井一秀
副審:椎名30-28. 宮沢29-28. 少白竜29-28
◆第5試合 女子 52.0㎏契約 3回戦(2分制)
アリス(伊原/50.85kg)vs 武内紗耶香(BLOOM/51.05kg)
勝者:武内紗耶香 / 判定0-2
主審:岡田敦子
副審:椎名29-29. 桜井28-30. 少白竜28-30
「激レアさんを連れてきた」にも出演したファッションモデルでもあるアリスは、悔しい判定負け。
◆第4試合 フェザー級 3回戦
平塚一郎(トーエル/57.0kg)vs 仁琉丸(富山ウルブズスクワット/56.3kg)
勝者:平塚一郎 / TKO 2R 0:25 / 主審:宮沢誠
ヒジ打ちによる額のカット、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
◆第3試合 フェザー級 3回戦
木下竜輔(伊原/56.05kg)vs 湯本和真(トイカツ/56.6kg)
勝者:木下竜輔 / 判定3-0 (29-26. 29-26. 29-26)
◆第2試合 女子 スーパーバンタム級 3回戦(2分制)
七美(真樹・オキナワ/55.1kg)vs 田中美宇(TESSSI/55.3kg)
勝者:七美 / 判定3-0 (30-28. 30-27. 30-27)
◆第1試合 女子 50.0㎏契約 3回戦(2分制)
オンドラム(伊原/49.85kg)vs 栞夏(トーエル/49.7kg)
勝者:オンドラム / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-28)
《取材戦記》
1年4ヶ月ぶりの勝利を得た勝次。藤本ジム閉鎖後、伊原ジムを練習の場として1年を超え、練習の変化にようやく身体が慣れてきたというその成果が出た結果。小磯は46歳のベテランだが、勝次が勝って当たり前の結果も、まずは復活勝利を褒め称えたいところ、これからの展望は未定だが、過去に敗れた相手への雪辱戦や他団体チャンピオン、レベル高い相手とのWKBA防衛戦が想定される険しい戦いが続く。真空飛びヒザ蹴りの継承者を名乗る者として、まだまだ飛ばなければならない。
重森陽太は離れてのミドルキック、接近してのヒザ蹴りが鋭く攻勢を保ったが、KOに結び付けるには5回戦で戦わせたい展開だった。判定でもKOでも長丁場の攻防を見たいものである。
先月亡くなられた沢村忠氏の追悼テンカウントゴングと黙祷に登壇された方々。沢村さんの活躍があったからこそ現在の我々が居る。そんな想いを感じるリング上の面々の表情でした。昭和52年10月10日に沢村さんの引退式が行われたこの後楽園ホール。当時と今回、どちらにも来場されていた人は居るだろうか、とはマニアックな想像だが、伊原さんだけかなとは思うところです。
次回の新日本キックボクシング協会興行は、6月6日(日)後楽園ホールに於いて「MAGNUM.53」が開催されます。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」