わが国唯一の反原発雑誌『NO NUKES voice』28号が明日6月11日(金)に全国の書店で発売になります。

 

『NO NUKES voice』Vol.28 《総力特集》〈当たり前の理論〉で実現させる〈原発なき社会〉

同誌も、次号で7年になります。創刊は2014年8月でした。速いものです。まだまだ認知度も低く、採算点にも達していませんが、われわれはたとえ「便所紙」を使ってでも発行を継続する決意です。現在発行部数は1万部(実売ではない!)ですが、何としてでもこれを維持していければ、と念じています。

われわれにバックはいません。われわれのスポンサーは読者の皆様方です! 定期購読(直接鹿砦社、最寄りの書店、富士山マガジンサービスなどに)で『NO NUKES voice』の発行継続を支えてください!

今号から、伝説となりつつある大飯原発、高浜原発の運転差止や再稼働差止の判決(決定)を下された樋口英明さんも「応援団」に加わっていただきました。他にも小出裕章さんらが「応援団」として支えてくださっています。

※以下、《巻頭言》NO NUKES voice Vol.28 発行にあたってを転載します。

 世の中には、私たち常人には絶対にかなわない高潔な人たちがおられます。本誌を創刊して以来もうすぐ七年になりますが、この過程でそうした人たちに少なからず出会ってきました。小出裕章さん、脱原発経産省前テントの渕上太郎さん(故人)、元裁判官で弁護士の井戸謙一さん……お名前を出したらキリがありませんので、これぐらいにしておきますが、最近知り合った方では元裁判官の樋口英明さんです。

 樋口さんは、ご存知の通り福井地裁裁判長時代の2014年に大飯原発3、4号機の運転差止判決、次いで翌2015年に高浜原発3、4号機の再稼働差止仮処分決定を下したことで有名です。ほとんどの裁判官は、国の路線に反する、こうした判断を出せば、その人生に大きな不利益を蒙ることに怯み住民敗訴の判断をするのに、みずからの意志と信念を貫く――心から尊敬いたします。

 本誌vol.26で、その樋口さんと、小出裕章さん、水戸喜世子さんとの鼎談は、労働者の町=大阪・釜ヶ崎で小さな食堂を営みながら反原発や冤罪問題などに取り組む尾﨑美代子さんの企画で実現したものです。尾﨑さんの活動も私たちには真似できませんが、くだんの鼎談は、現在の反(脱)原発運動の現況や今後の指針を示す画期的なものでした。

 樋口さんには、今号に於いてもご登場いただき、さらには巻末の「応援団」にも名を連ねていただきましたが、巻末「応援団」の錚々たる顔ぶれに本誌の、雑誌としての主張や雰囲気が垣間見れると思います。

 ありていな物言いですが、頑固な志を持って頑張っておられる方々ばかりです。本誌は、こうした方々と強い絆を持ち、さらに日々各地で粘り強い運動を持続されている無名・無数の方々と共に、どのような困難にあっても継続していく決意を固める者です。

「豊かな国土とそこに国民が根を下して生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」(大飯原発運転差止判決より)

2021年6月
NO NUKES voice 編集委員会

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『NO NUKES voice』Vol.28
紙の爆弾2021年7月号増刊 2021年6月11日発行

[グラビア]「樋口理論」で闘う最強布陣の「宗教者核燃裁判」に注目を!
コロナ禍の反原発闘争

総力特集 〈当たり前の理論〉で実現させる〈原発なき社会〉


[対談]神田香織さん(講談師)×高橋哲哉さん(哲学者)
福島と原発 「犠牲のシステム」を終わらせる

[報告]宗教者核燃裁判原告団
「樋口理論」で闘う宗教者核燃裁判
中嶌哲演さん(原告団共同代表/福井県小浜市・明通寺住職)
井戸謙一さん(弁護士/弁護団団長)
片岡輝美さん(原告/日本基督教団若松栄町教会会員)
河合弘之さん(弁護士/弁護団団長)
樋口英明さん(元裁判官/元福井地裁裁判長)
大河内秀人さん(原告団 東京事務所/浄土宗見樹院住職)

[インタビュー]もず唱平さん(作詞家)
地球と世界はまったくちがう

[報告]おしどりマコさん(漫才師/記者)
タンクの敷地って本当にないの? 矛盾山積の「処理水」問題

[報告]牧野淳一郎さん(神戸大学大学院教授)
早野龍五東大名誉教授の「科学的」が孕む欺瞞と隠蔽

[報告]植松青児さん(「東電前アクション」「原発どうする!たまウォーク」メンバー)
反原連の運動を乗り越えるために〈前編〉

[報告]鈴木博喜さん(『民の声新聞』発行人)
内堀雅雄福島県知事はなぜ、県民を裏切りつづけるのか

[報告]森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団代表)
「処理水」「風評」「自主避難」〈言い換え話法〉──言論を手放さない

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈12〉
避難者の多様性を確認する(その2)

[報告]本間 龍さん(著述家)
原発プロパガンダとは何か〈21〉
翼賛プロパガンダの完成型としての東京五輪

[報告]田所敏夫(本誌編集部)
文明の転換点として捉える、五輪、原発、コロナ

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎共同代表)
暴走する原子力行政

[報告]平宮康広さん(元技術者)
放射性廃棄物問題の考察〈前編〉

[報告]板坂 剛さん(作家・舞踊家)
新・悪書追放シリーズ 第二弾
ケント・ギルバート著『日米開戦「最後」の真実』

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
五輪とコロナと汚染水の嘘

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈12〉
免田栄さんの死に際して思う日本司法の罪(上)

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク(全12編)
コロナ下でも自粛・萎縮せず-原発NO! 北海道から九州まで全国各地の闘い・方向
《北海道》瀬尾英幸さん(泊原発現地在住)
《東北電力》須田 剛さん(みやぎ脱原発・風の会)
《福島》宗形修一さん(シネマブロス)
《茨城》披田信一郎さん(東海第二原発の再稼働を止める会・差止め訴訟原告世話人)
《東京電力》小山芳樹さん(たんぽぽ舎ボランティア)、柳田 真さん(たんぽぽ舎共同代表)
《関西電力》木原壯林さん(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《四国電力》秦 左子さん(伊方から原発をなくす会)
《九州電力》杉原 洋さん(ストップ川内原発 ! 3・11鹿児島実行委員会事務局長)
《トリチウム》柳田 真さん(たんぽぽ舎共同代表/再稼働阻止全国ネットワーク)
《規制委》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク、経産省前テントひろば)
《反原発自治体》けしば誠一さん(杉並区議/反原発自治体議員・市民連盟事務局次長)
《読書案内》天野惠一さん(再稼働阻止全国ネットワーク事務局)

[反原発川柳]乱鬼龍さん選
「反原発川柳」のコーナーを新設し多くの皆さんの積極的な投句を募集します

私たちは唯一の脱原発雑誌『NO NUKES voice』を応援しています!

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B096HQ5KG5/

◆小池氏の動向に焦点

2本の記事が、端無くも「小池劇場」ということになった。

7・4東京都議選を見据えて、五輪中止を最大限利用するのではないか。横田一の「小池百合子の専制政治」および、衆院選がらみで政局を照らし出した山田厚俊の「ワクチン・東京五輪と衆院選の行方」である。

 

衝撃満載!タブーなき月刊『紙の爆弾』7月号

さて、五輪中止という公約が本当に都議選挙の公約となるのか。横田によれば立憲民主の蓮舫代表代行が「十分あると思っている」、共産党も「五輪中止」を選挙公約のトップに掲げるという。ネット上の中止署名も白熱していることから、都議選がオリンピックの成否をめぐり、大きなハードルになる可能性は高い。

だが、7月4日投票であれば、もう五輪の準備はととのっているはずだ。この苛烈な政治過程・政局を小池百合子が「独裁者」として、どのように突っ走るのか。個人的には彼女の凱歌を聴いてみたいような気がする。

衆院選はどうだろう。山田の分析では「このコロナ禍に首相交代論など出せるわけもない」というものだ。そうしてくると、ますます小池総理という芽も出てくるのかもしれない。

都議選に関連して、「NEWS レスQ」の「東京都議選、創価学会・公明党が乱発する謎のサイン」が注目だ。学会系の出版物に、学会員しかわからないキーワードが発せられているというのだ。同党が全員当選を果たせるのか、今後の連立政権のゆくえを占うものになるだろう。

◆古代オリンピックの興廃

佐藤雅彦の「偽史倭人伝──アスリート・サクリファースト」がおもしろい! 記事の意図するところは「東京五臨終大会」で、競技選手が「いけにえ」になる戯画的な指摘だが、ラテン語の語源からそうであったとは、目からウロコである。

そしてこの記事でわかるのは、古代オリンピックが「自由市民の男性に限定された」「市民平等の証しだった」という点だ。未婚女性は父親と同伴のうえ、全裸になった男たちを「観戦」したというのだ。この記事は「前編」なので、次号にも期待したい。東京オリンピックの強行開催には反対だが、天皇制とともにオリンピックは悪魔的な魅力がある。

◆告発する記事たち

森友事件の刑事裁判の解説記事は、丸山輝久弁護士へのインタビュー(青木泰)だ。なんと、検察による録音データの証拠改ざん・恣意的な編集が行なわれているというのだ。籠池諄子の「ぼったくって」という発言を、前後の脈絡を省いて補助金の不正請求と結びつけているのだ(犯行動機の立証か?)。今後も、裁判の詳報を期待したい。

地味な記事だが、編集部による「行政は見て見ぬふり“介護崩壊”の実態」は貴重な告発である。今年の一月に、末期がんの78歳の夫の介護に疲れた72歳の妻が、夫を殺害した同じスカーフで首吊り自殺をした、悲惨な結末から、老々介護と福祉行政の酷薄をレポートしている。福祉制度の欠陥は、入管による「違法」滞在者への扱いとともに、われわれの社会が向き合わなければならない課題である。

沖縄の世界遺産登録地に、米軍の「危険地帯」が存在する。小林蓮実女史のレポートである。DDTやBHC、PCBなど、どうやら米軍が不要なものを廃棄したのではないかと推察される。そればかりではない。実弾が放置されているというのだ。米軍のYナンバーのクルマ(私有車)が頻繁に見られることから、組織的というよりも無秩序な放棄も考えられる。

コロナ禍関連では、はじめすぐるの「グローバルダイニング訴訟が問う 日本のコロナ政策の本質」が、時短命令の狡猾さを告発する。ここでも小池知事の強権が落とす影は大きい。

コロナ禍については、武漢感染研ウイルス兵器説(アメリカの研究者由来)がそろそろ誌面を賑わせてもいいのではないか。論陣を張る材料は出てきたと思われるので期待したい。

村田らむの「キラメキ☆東京放浪記」SOLMAN剃る男、がテーマを凝縮しておもしろい。クリアランスなこの時代、男の悩みは脱毛なのである。(文中敬称略)

部落差別テーマの検証記事は、稿を改めたい。わたしへの批判的な内容もあり、その誤読を指摘しているうちに、かなり長くなりました。乞うご期待。(つづく)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

「避難の協同センター」事務局長の瀬戸大作さんは2019年6月に埼玉県川越市内で行われた講演会で、こんな想いを口にしている。

「僕が貧困問題に取り組んでいて、一番嫌いな言葉が『自立』。原発事故から8年経ったのだから避難者の人たちもそろそろ自立してください、と自立を強制している。国家公務員宿舎からの追い出しはまさにその典型。自立をして出て行けという事。この事を〝加害者〟である国や東電が言うのは絶対に許せない。福島県庁の担当者もこの話ばかりします」

一方的に期限を決めての自立強制。なぜ避難者は避難したのか。国も電力会社も「絶対に壊れない」と言い続けた原発が爆発し、放射性物質が拡散されたからだ。生活圏に被曝リスクが入り込んで来たからだ。それをなぜ、〝加害者〟側に止められなければいけないのか。行政ばかりではない。立憲民主党系の福島県議でさえ「そろそろ戻ってきたらどうか」と口にするほどなのだ。

郡山市から静岡県内に避難し「避難の協同センター」世話人の1人である長谷川克己さんは2018年5月、衆議院議員会館で行われた政府交渉の席上、こんな言葉を口にしている。

「私は避難後に収入が少しだけ増えたので、住宅無償提供打ち切り後に始まった福島県の家賃補助制度を利用することが出来ない。それでも生きていかなければならない。2人の子どもたちを路頭に迷わすわけにはいかない。この流れに飲みこまれるわけにはいかないと必死に生きているし、自分なりのやり方で抜け出そうとしている。でも周囲を見たときに、本当にこれで大丈夫なのか、みんなちゃんと濁流から抜け出せるのかと思う。結果的に抜け出せた側に立って『公平性を保つ』と言うのは、それは違うと思う。私は私のやり方で、目の前の子どもたちを濁流の中から救い出さなくちゃいけないとやってきた。でも、はっと後ろを見た時に、そう出来ていない人もいる。『(生活再建を)している人もいるのだから、この人たちのように、あなた達もやらなくちゃ駄目ですよ』と言われてしまうのは心外だ」

自己責任社会などと言われるようになって久しい。区域外避難者も例外ではなく、インターネット上には「いつまでも支援を求めるな」、「早く自立しろ」などの罵詈雑言が並ぶ。長谷川さんは、それらの言葉を「ある意味正論、もっともだと思う。どこにあっても自立を目指すのがまともな大人の姿だから」と冷静に受け止めている。

「でも…」と長谷川さんは続ける。

「それでも、何らかの事情で自立出来ない避難者がいれば、救済の手を考えるのが本来、政府のするべきこと。加害責任者でもある『政府』が必ず果たすべき責任だ」

避難当事者はこれまで、何度も「追い出さないで」と訴えてきた。しかし、福島県の内堀知事は「自立しろ」との姿勢を貫いている

区域外避難者が常に直面して来た「自立の強制」と「孤立」の問題。それを指摘しているのは瀬戸さんたちだけではない。山形県山形市のNPO法人「やまがた育児サークルランド」の野口比呂美代表は、福島県社会福祉協議会が2012年11月に発行した情報誌「はあとふる・ふくしま」で次のように語っている。

「避難されてきたお母さんにはいくつかの共通点があります。①母子世帯が多い、②経済的な負担感が多い、③健康や先行きに不安が大きい、④孤立傾向にある」

「避難するにしてもしないにしても、福島のお母さんたちは本当に大変な選択を迫られています。私たちは皆さんの選択を尊重していきたいし、それを尊重できる場所が必要なのだと思います」

しかし、国も福島県も孤立する区域外避難者には目もくれず、2020年東京五輪に向かって「原発事故からの復興」演出に躍起になって来た。

「福島原発事故の責任を棚上げにしたまま『日本再生』を演出しようとする政府の方針は、被害者であるはずの原発避難者に対して、有形無形の圧力を加えた。避難者の中には、公的支援や賠償の打ち切りによって生活困窮者に転落していく当事者も少なくない。母子避難者はその典型だ。彼女たちは制度的支援を打ち切られ、社会的に『自己責任』のレッテルを貼られたまま孤立に追い込まれています」と瀬戸さん。

孤立の果てに、避難先で自ら命を絶った女性もいる。そういう事例を目の当たりにしているからこそ、瀬戸さんは国や福島県がただ相談を待っているのではなく、自ら出て行く『アウトリーチ』の必要性を強調する。

「離婚などで家族関係が壊れると相談相手がいなくなります。SOSを受けて僕らが電話をすると、まず言われるのが『こういう話を久しぶりに出来て良かった』という言葉。具体的な要望についてはあまり語らない。『話を聴いてくれる人がいてうれしかったです』、『また電話して良いですか』と。だから、行政にはアウトリーチをやって欲しい。アウトリーチをする中で、何度か会話をする中から本当の苦境が分かってくる」

復興庁は言う。「全国26カ所に相談拠点を設けています」。

しかし、避難者が必死に想いで相談しても、傾聴されて終わってしまうケースもある。行政の福祉部門につなぐだけのこともある。「『相談拠点』への相談件数がなぜ、少ないのか。福島県が避難者宅への個別訪問を行っても何故、大半の世帯が会おうとしないのか。その理由は、福島県からの説明は常に支援終了や縮小ありきで、避難者の事情を考慮できない一方的な説明だからだ」と瀬戸さん。。これでは、避難先での孤立は解消されない。

「確かに相談窓口は拠点化されていますが、とても事務的。そして、仕事を二つも抱えている避難者はなかなか行かれない。だから避難の協同センターに連絡が来る。やはりもう少し、ただ開いているのではなくて、あそこに行けば本当に相談に乗ってくれる、自分の悩みが話せる、本当にその場づくりをもう一度きちっと初めから考え直していただいた方がよいのではないか」

松本さんの願いはしかし、叶えられていない。「結局、〝自主避難者〟は根なし草のような存在なのだろう」という長谷川さんの言葉が重い(つづく)

都内にも原発避難者向けの相談拠点が設けられたが、どこも「待ち」の姿勢。瀬戸さんは行政の側から避難者にアプローチする「アウトリーチ」の必要性を訴え続けている

▼鈴木博喜(すずき ひろき)
神奈川県横須賀市生まれ。地方紙記者を経て、2011年より「民の声新聞」発行人。高速バスで福島県中通りに通いながら、原発事故に伴う被曝問題を中心に避難者訴訟や避難者支援問題、〝復興五輪〟、台風19号水害などの取材を続けている。記事は http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/ で無料で読めます。氏名などの登録は不要。取材費の応援(カンパ)は大歓迎です。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

どう考えても、あるいはどこから秘策を探っても、惨憺たる戦後は確定している。では、「戦後」を確信するわたしと、暴走する主体を入れ替えて(ありもしないが)わたしが、開催責任者だったらと、思案してみよう。

嘘を座布団に敷かないかぎり、はたまた政治家のように厚顔無恥な言い放ちに平然と己をおとしめないかぎり、あらゆる条件設定で“Yes!We Can!”とはいえない。匿名であれ、ペンネームであれ、本名であれ絶対に発語できない。「東京五輪」には、従前から極端といわれるであろう激しい物言いで「反対」していたわたしが、精一杯主催者の立場に視点を置き換えようと、この期に及んで無駄が必定な仮説に身をおこうと試みた。

「敵」の心象は、どこまでも、ひつこく、論理にはまったく欠けていて、それでいて傍若無人なのだ。なら、間違いなく存在している、大きな力からの発語者である「そんなひとたち」のお考えは内面どう処理されるのか。IOCのバッハ会長、菅総理大臣、丸川五輪大臣、小池東京都知事、五輪スポンサーにして、毎年部数を減らす全国紙とその系列のテレビ局……。全員気持ち悪い表情で、言語的には整合しない文脈や誌面・番組を、平然と織りなす。この連中の神経はどうなっているんだ?はたして人間の感性を持っているのか。人間の感性は、微笑みながらひとを大混乱や殺戮に導くことに、こうも厚顔でいられるものなのか。

30代になりたての頃、職場で民主的な方法により、トップに選ばれた人が、わたしに「田所いまいくつだ?」と問うた。「30ちょいですよ」と答えると「そりゃ若いな。40超えて45超えると、俺みたいに不感症になってくるんだよ」と彼は仰った。相当にわたしが煙たかったのだろうが、彼の言葉に「そんなことあるものか」と内心では楯突いた記憶は定かだ。ライヒの翻訳者としても知られたあの賢人から、叱責(?)されて四半世紀が経ってもその反応に変化はない。

さて、在野や役職が付かないときには、仲間であったり仲間以上に過激な先導者だったりした先達が、大したこともない(といっては失礼だろうが)肩書の一つも与えられたら、途端にビジネス書を手にしだして、管理職気分になるあの気持ち悪さ。たかが中規模の所帯で中間化離職になろうが、トップになろうが、株主の締め付けがあるわけでもなかった、あの職場でどうしてみなさん「転向」していったのだろうか。

ずいぶん横道にそれたようだが、「裸の大様」だということを「五輪禍」を語る上でに、過去の経験とわたしの変化しない体感からご紹介したかったわけである。IOCも日本政府、組織委員会、東京都、聖火リレーを諾々と行う都道府県…全部が狂っているとしかわたしには思えない。

以前に本通信で書いたが、もう「東京五輪」が開催されようが、中止されようが、この国は「絨毯爆撃」を食らった状態であって、あとは開催されれば「原爆投下」が加わる、つまり1945年の8月初旬と比較しうる惨憺のなかに、すでにわれわれはおかれている。このことだけで充分に悲劇的だし、「敗戦後」には「戦後処理」が急務となる。「戦後処理」とは、今次にあっては、膨大な税金の浪費によって、なにも生み出さないどころか、「泥棒」(大資本や電通など)がますます肥え太り、「真面目な庶民」からの税金で財を成した連中の、焦げ付きにまたしても「尻ぬぐい」のツケが回ってくることだ。増税であったり、行政サービスの低下、年金の切り下げとして形になろう。

MMTなるインチキな理論によれば、「自国通貨で国債を発行している限り財政破綻はない」らしい。そんな理屈が成り立つのならば国債は不要で、税金も不要なはずだ。ひたすら貨幣をすればいい。この理論はリーマンショック後の米国が前述の対応で、さしてインフレにならなかったことに依拠しているらしいが、一方で暴走的に膨らむ「非実体経済」(金融商品などの担保に由来しない価値)の問題には、処方箋を持たず、なによりも資本主義末期にあげく体制への「助け舟」として機能していることを、見逃してはいないだろうか。

今次の「戦後処理」にソフトランディングはない、と直感する。ただし「原爆」は何としても避けたい。「原爆」は世代を超えて禍根を残すのだから。「五輪」、「コロナ」、「MMT」あれもこれも詐欺的である。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

「覚悟は、あるか?」と謳われた今回の興行テーマ。正に覚悟が無ければ臨めない試合と結末。

今年20歳、大学生のモトヤスックは豪快なTKO勝利。敗れた喜入衆は42歳、リング上で一時は緊急事態も意識は回復。

内田雅之が残り数秒でバックヒジ打ちで興之介の額を激しく砕く。

瀧澤博人が右ハイキックでコンゲンチャイを倒し、すぐには立ち上がれないダメージを与える。

◎challenger2 ~Beyond the limit~
5月29日(土)後楽園ホール / 17:30~20:30
主催:治政館ジム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第8試合 メインイベント 67.0kg契約 5回戦

JKAウェルター級チャンピオン.モトヤスック(=岡本基康/治政館/19歳/67.0kg)
    VS
喜入衆(元・ルンピニージャパン・ウェルター級C/NEXT LEVEL渋谷/42歳/66.8kg)
勝者:モトヤスック / TKO 1R 1:09 / 主審:少白竜

左フックから右のヒザが喜入衆の額にヒットし、上体を起こされ仰向けに倒れる

暫く意識が戻らなかった喜入衆、緊張の時間が続いた

モトヤスックの強烈な左フックを食らった喜入衆が脚から崩れ落ちるところに、右廻し蹴りが顔面に入ると喜入衆は仰向けに倒れ、ほぼノーカウントのレフェリーストップ。

喜入は痙攣し、鼾をかく危険状態。ジャパンキック協会興行を担当するベテランドクターがすぐ適切な処置に当たるも、周囲は見守るしかない状態が続く。

喜入は数分後に目を開き、ドクターの指示で手足を動かすことは出来る反応は見せた。意識は回復した様子も立ち上がることは出来ない状態で担架に乗せられ青コーナー側控室通路エレベーター前まで運ばれた。

JBC管轄下ではないが、救急搬送出来る素早さは後楽園ホールならではのスピード。バックステージに運ばれた時点で救急隊は到着している様子が伺えた。喜入の額が切れていたが、最後に当たったモトヤスックの右ヒザで切れたものと思われる。

モトヤスックは8月22日に元・WKBA世界スーパーウェルター級チャンピオン、緑川創(RIKIX)と対戦。

◆第7試合 セミファイナル 56.5kg契約 5回戦

WMO・INスーパーバンタム級チャンピオン.馬渡亮太(治政館/56.4kg)
     VS
ポンチャン・ペッノンセン(タイ/56.3kg)
勝者:馬渡亮太 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:仲50-46. 桜井50-46. 少白竜50-46. (三者共第3Rを除く他は10-9)

両者の蹴りパンチの上下打ち分けは馬渡が手数、的確差で上回り、強烈にボディーを付き飛ばす前蹴りは完全に主導権を奪う馬渡のペース。

ポンチャンもベテランのテクニシャンぶりを発揮し、接近すると逆転のヒジ打ちを狙う気を抜けない展開が続いたが、馬渡も強気の応戦でペースを崩さず大差判定勝利を掴む。

馬渡は8月22日にWBCムエタイ日本バンタム級チャンピオンの、大田一航(新興ムエタイ)と対戦。

ハイキックをかわしたポンチャン、馬渡亮太は空を切る

ムエタイテクニシャン馬渡亮太は毎度しなる蹴りを見せる

◆第6試合 59.0kg契約3回戦

WMO・INフェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/58.95kg)
     VS
コンゲンチャイ・エスジム(元・ルンピニー系バンタム級3位/タイ/58.75kg)
勝者:瀧澤博人 / TKO 2R 2:35 / 主審:松田利彦

瀧澤は試合後「慎重になってしまいました。」と語り、コンゲンチャイが距離を詰めに出て来て下がり気味ではあったが、手足の長さ活かした距離を測り、ジャブでけん制し、ミドル、ハイキックで入り込むタイミングを見極めた。

第2ラウンドには低めの蹴りを意識させたか、狙い定めた右ハイキック一発で、コンゲンチャイを倒し切った。

瀧澤博人が慎重に攻めていく序盤

瀧澤博人が右ハイキックでコンゲンチャイを仕留める

◆第5試合 53.5kg契約3回戦

石川直樹(前・JKAフライ級C/治政館/53.3kg)
     VS
ジョッキーレック・ZERO(元・タイ東北部スーパーフライ級C/タイ/ 52.5kg)
勝者:ジョッキーレック / 判定0-3
主審:仲俊光
副審:椎名29-30. 松田29-30. 少白竜29-30 (三者共第2Rが9-10)

石川直樹はバンタム級転向の為、ジャパンキック協会フライ級王座を返上。

互いがローキックから前蹴りで距離を測り、パンチに繋ぐ主導権争いから首相撲に持ち込む中、経験値あるジョッキーレックが攻め優り、石川にチャンスを与えない上手さが目立つく。ロープ際に下がり気味でも迎え撃つチャンスを伺うジョッキーレックが戦略勝ち。

ジョッキーレックの小技が上手い接近戦

内田雅之が計4度のノックダウンを奪う圧勝だった

◆第4試合 ライト級3回戦

JKAライト級3位.内田雅之(KICK BOX / 60.95kg)
     VS
同級4位.興之介(治政館 / 61.23kg)
勝者:内田雅之 / TKO 3R 3:00=公式発表(正確には2:56辺り)
主審:桜井一秀

内田雅之のベテランらしさが伺え、第1ラウンドから蹴りパンチでリズムを作り接近する中、右フックでノックダウンを奪う。第2ラウンドにも右ストレートでノックダウンを奪い、第3ラウンド終盤にも内田が右フックをヒットさせて3度目のダウンを奪う。

残り時間は7~8秒の少ない中、内田が右バックヒジ打ちを興之介の額にクリーンヒットさせるとバックリ裂け、陥没したような凹みも見られた。即座にレフェリーが試合をストップし、内田が衝撃TKO勝利を飾った。

最終ラウンド、残り僅かで内田雅之がバックヒジ打ちをヒットさせた

興之介は額がバックリ裂け、陥没の疑いも見れる傷跡

◆第3試合 55.0kg契約3回戦

義由亜JSK(治政館 / 54.8kg)vs 中島大翔(GETOVER / 54.75kg)
勝者:義由亜JSK / 判定3-0
主審:少白竜
副審:仲30-28. 松田30-28. 桜井30-28

◆第2試合 ウェルター級3回戦

山内ユウ(ROCK ON/66.1kg)vs正哉(誠真/65.85kg)
勝者:正哉 / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)

◆第1試合 女子ピン級(100LBS) 3回戦(2分制)

藤原乃愛(ROCK ON/44.8kg)
    VS
女子キック(ミネルヴァ)ピン級(100LBS)6位.須藤可純(笹羅/45.0kg)
勝者:藤原乃愛 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-27)

《取材戦記》

近年は40歳過ぎても現役を続ける選手が増えた現在、身体のメンテナンスも充実し、技術、スタミナ、経験値は豊富でも、一発で倒された場合にはマットに後頭部を打ち付ける場合もあります。高年齢選手がそんな事態に陥ると、より危険と隣り合わせであると感じる試合後でした。正に覚悟を持って挑まなければならないプロの試合であります。

喜入衆は大事には至らず入院は一泊のみ。「ちょっと休んでまた復活します。」という前向きなフェイスブックでの書き込みあり。ホッとした応援団、ジム関係者は多いでしょう。元々から頑丈そうな骨格だったが、慢心せず精密検査を受けながら暫くは安静に過ごして頂きたい。

石川直樹は階級を上げる為の王座返上。王座を獲っても「上位を目指す為」「後進に道を譲る為」といった理由ですぐ王座返上という防衛戦を行わない、チャンピオンシップ制度が成り立たない事態が多いキックボクシング界で、ウェイトアップによる階級変更は仕方無い範疇ではあります。今後はバンタム級でこれまで以上の実績を残して頂きたいものです。

6月13日に予定されていた市原ジム興行は中止となり、開催会場だった市原臨海体育館を含め、「千葉県域の会場が10月まで、コロナ禍による影響で使用中止が多いんです。」という小泉猛代表のお話でした。

ジャパンキックボクシング協会次回興行はコロナ禍により、すでに3月28日新宿フェース興行が中止されており、今回は5月9日からの延期でしたが、政府の要請を鑑みながら、次回は8月22日に後楽園ホールで「CHALLENGER.3」が開催。リング上での発表どおり、モトヤスックvs緑川創。馬渡亮太vs大田一航の2カードが予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

またこの男の立ち回りが脚光を浴びている。「なぜか捜査を受けない竹中平蔵の脱税疑惑 ── 持続化給付金と規制緩和の利益誘導で私腹を肥やす?」(2020年12月2日)において、竹中の浅薄な経済政策理解を批判してきた。

◆いまだ解明されない脱税疑惑

「『格差が問題なのではなく、貧困論を政策の対象にすべき』としてきた結果は、中間層までも不安定な雇用関係に陥らせる格差の拡大、大企業の内部留保(500兆円)だった。いまや、消費の低下が国民経済を最悪のところまで至らせている元凶となるものが、この竹中による構造改革・労働政策だったというほかにない」と。

そしてその「罪業」は、小泉政権時の経済政策担当大臣、安倍政権におけるブレーンとしての経済政策だけではない。

「国民の血税をかすめ取る吸血鬼のような男ではないだろうか。その竹中平蔵の脱税疑惑は、小泉政権当時から指摘されていた」のである。

元国税庁職員だった大村大次郎(経営コンサルタント、フリーライター)は、こう批判している。

「竹中平蔵氏が慶応大学教授をしていたころのことです。彼は住民票をアメリカに移し日本では住民税を払っていなかったのです。住民税というのは、住民票を置いている市町村からかかってくるものです。だから、住民票を日本に置いてなければ、住民税はかかってこないのです。
 もちろん、彼が本当にアメリカに移住していたのなら、問題はありません。しかし、どうやらそうではなかったのです。彼はこの当時、アメリカでも研究活動をしていたので、住民票をアメリカに移しても不思議ではありません。でもアメリカで実際にやっていたのは研究だけであり、仕事は日本でしていたのです。竹中平蔵氏は当時慶応大学教授であり、実際にちゃんと教授として働いていたのです。」(2020年10月1日付けのメルマガ)

ようするに竹中平蔵は、日本で仕事をしながらアメリカに住人票を置いて、「節税」をしていたのだ。つまり巧妙な、そして明白な「脱税疑惑」があるのだ。

 

佐々木実『竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社文庫2020年9月)

ジャーナリストの佐々木実は、『竹中平蔵 市場と権力』において、次のように指摘してきた。

「竹中平蔵の本業は慶應義塾大学総合政策学部教授だったが、副業を本格的に始めるために〈ヘイズリサーチセンター〉という有限会社を設立した。法人登記の『会社設立の目的』欄には次のように記されている。

『国、地方公共団体、公益法人、その他の企業、団体の依頼により対価を得て行う経済政策、経済開発の調査研究、立案及びコンサルティング』

「フジタ未来経営研究所の理事長、国際研究奨学財団の理事というふたつのポストを射止めた段階で、副業はすでに成功していたといえる。竹中個人の1997年の申告納税額は1958万円で、高額納税者の仲間入りを果たしている。総収入は6000万円をこえていただろう」と。

◆持続化給付金を吸い取る

竹中が個人的なビジネスで成功するのはいいだろう。それが「脱税疑惑」であれ何であれ、個人的なものにすぎない。

だが、竹中は小泉・安倍政権に寄生することによって、政商ともいうべき地位を築いたのだ。みずからのリスクを投じたビジネスではなく、国民の税金を吸い上げる利権に群がる利殖構造を築いたのである。

昨年の持続化給付金の業務は、サービスデザイン推進協議会という一見してニュートラルな組織に769億円で委託され、そこから電通に749億円で再委託されている。その段階で電通が約20億円を中抜きし、さらに下請け孫請けで実務が行なわれていたのだ。あまりにも複雑怪奇な外注に、自民党の政策担当者も驚かざるをえなかったという。

そして、この持続化給付金の業務委託を実質的に請け負った主要企業のひとつが、竹中平蔵が会長を務めるパソナだったのである。いや、そうではない。一次請けの「サービスデザイン推進協議会」それ自体が、元電通社員・パソナの現役社員が名を連ね、最初から最後まで税金を中抜きするトンネル構造だったのだ。

立憲民主党の川内博史議員は、国会においてこう指摘している。

「社団法人を通じて、電通をはじめとする一部の企業が税金を食い物にしていたわけです。持続化給付金事業に限らず、経産省の事業ではそうしたビジネスモデルが出来上がっている」と。

◆東京五輪の日当35万円というトンデモ報酬

そしていままた、東京オリンピック利権に竹中平蔵のパソナが大きくかかわっているのだ。

コロナ禍にもかかわらず、今回のオリンピック・パラリンピックには多くの市民ボランティアが無償奉仕する。9万人といわれるボランティアのうち1万人が辞退し、80%の国民が「中止・延期」を希望しているものの、国民の奉仕精神に依拠した大会は、まがりなりにも実現されるのであろう。

それはひとつには、強硬開催することで国民的な祝祭感をつくりあげ、コロナに人類が打ち勝ったという雰囲気で、政治危機の突破をはかる菅政権。

そして組織としての存続が、強行開催をもってしか果たせないIOCおよびその周辺の「オリンピック貴族」、各種スポーツ団体。

そしてもうひとつは、オリンピック開催で暴利を得ようとする企業。その筆頭が大手広告代理店であり、大手派遣会社パソナなのである。

大会の準備業務をになうディレクター職は、1人あたり1日35万円のギャラだという。40日間でひとり1400万円が得られることになる。運営計画業務のディレクターは1人あたり25万円。こちらも40日間で1000万円である。

以下、運営統括が1日25万、サブディレクターが1日10万円、ボランティアとほぼ同じ業務のサービススタッフも1日2万7000円である。募集人員は800人、報酬金の総額は6億2300万円であるという。

5月26日の衆議院文部科学委員会で、このトンデモ報酬は追及に遭った(立憲民主党の斉木武志議員の質疑)。

しかるに、丸川珠代五輪相は「守秘義務で見せてもらえない資料がある」などと称して答弁に応じなかった。国税をつぎ込んだ事業の受注した企業のどこに「守秘義務」が生じるのか、そもそもこの大臣は基本的な行政知識がない。自民党も政府と一体となって、参考資料の配布を拒むという悪あがきに終始したのである。


◎[参考動画]衆議院 2021年05月26日 文部科学委員会 #04 斉木武志(立憲民主党・無所属)

◆募集欄は時給1650円

これらトンデモない高額報酬の人材確保は、つねのことながら電通、博報堂をはじめとする大手代理店に丸投げされ、諸経費として20%が代理店に落ちる。20%は通常の広告出稿手数料だが、丸投げでは中抜きと言わざるをえない。

ところが、である。この業務に参加するスタッフに支払われるべき報酬は、募集段階で大半がどこかに消えてしまうのだ。

算数ができる人間ならば、誰にも目を疑うような事態が起きている。パソナのオリンピック業務募集欄を見ていただきたい。

スタッフの募集欄には、1650円と明記されているのだ。1日8時間労働として、1万3200円である。上記の最低賃金「サービススタッフ」ですら2万7000円だというのに、半分以上が中抜きされているのだ。この「中抜き」はしかし、パソナの収益構造なのだ。政府が募集業務の内容を限定し、直接雇用した場合は、そもそもこんなトンデモ報酬は発生しないはずだ。

もはや明らかだろう。今回のオリンピックは菅政権の政治的ツッパリであるとともに、寄生業者とりわけ広告代理店とパソナによる利権事業と化しているのだ。じっさいに、パソナの昨年の収益は10倍に伸びたという。持続化給付金で味をしめた寄生業者パソナは、派遣業務というある意味ではフレキシブルな業態によって、イベントを高額化することで、いままた法外な超過利潤を得ようとしているのだ。


◎[参考動画]【竹中平蔵の骨太対談】 第7回 前編 パソナグループ代表 南部靖之氏(KigyokaChannel 2016年12月3日)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。医科学系の著書・共著に『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(夏目書房)『ホントに効くのかアガリスク』(鹿砦社)『走って直すガン』(徳間書店)『新ガン治療のウソと10年寿命を長くする本当の癌治療』(双葉社)『ガンになりにくい食生活』(鹿砦社ライブラリー)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

「避難の協同センター」が設立されたのは5年前の2016年7月12日。避難当事者や支援者、弁護士などが名を連ねた。長く貧困問題に取り組んでいる瀬戸大作さんは、事務局長として参議院議員会館で行われた記者会見に出席。「経済的、精神的に追い詰められて孤立化している避難当事者の皆さんと支援者が『共助の力』で支え合う。『身体を心を温める』支援から始めたい」と話した。本来は国や福島県がやるべきことを民間団体が担わなければいけない。それが区域外避難者支援の現実だった。設立に至る経緯を、瀬戸さんが後に講演会で語っている。

「2016年の5月に入り、自主避難者個々に一斉に福島県から通知文書が届いた。入居している応急仮設住宅の退去通告だった。都内では、都営住宅での個別説明が始まった。団地集会所での個別説明会が計6カ所で開かれた。約1時間、集会所に呼ばれて1人ずつ面談。避難者1人に福島県や東京都の担当者が4人、対応した」

まるで〝圧迫面接〟だった。ある女性は面談後、食事も睡眠もままならなくなり、40日にわたって入院してしまった。母子避難した後に離婚したので行政の区分では『母子避難』ではないので支援対象外。面談では、退去を前提に「改めて都営住宅に申し込まないのであれば、自ら民間住宅を借りて2年間じっくり考える時間をつくったらどうか」などと迫られたという。

しかし当時、この女性が入居していた都営住宅の倍率は160倍に達していた。そもそも、公営住宅はどこも入居希望者が多く、申し込んだところで当選する可能性は低い。国家公務員宿舎からの追い出し支障を起こされた避難者は、これまでに14回も都営住宅の抽選に外れている。それでも、とにかく区域外避難者を追い出そうと福島県は動いていた。

「避難の協同センター」が設立されたのは2016年7月。5年経った現在も、孤立と困窮から原発避難者を救おうと奔走している

瀬戸さんたちの動きも早かった。都営住宅での「個別相談会」で退去を通告され、避難者一人一人が精神的に追い込まれている状況を知り、避難者や支援者有志が急きょ「避難の協同センター準備会」を立ち上げた。同時に相談ダイヤルを開設。別の都営アパート集会所でチラシを配り、何人もの避難当事者と話したという。

「多くの区域外避難者たちが『自主避難者も賠償をもらっているんだろ?いつまで甘えているんだよ』という世間の偏見と中傷の中、東京の片隅で避難生活を送っていた事に気付いた」

瀬戸さんは、事務局長として政府交渉や福島県との交渉に参加するばかりでなく、24時間365日携帯電話に寄せられるSOSに対応し、車を走らせた。時には宿泊費や当座の生活費を手渡すこともある。生活保護申請にも何度も同行した。

「避難者の方々は、様々な公的支援制度について詳しく知らない。自分が置かれた状態であればどういう支援を受けられるのか、分かるはずがない。単独で行政窓口に行って『生活に困っているんです』と言った時、窓口の人は生活困窮者の制度を念頭に置いて対応するから『あなた、車持っていますね。福島には土地がありますね。それならば保護は出来ません』と、まず断られる」。

国や福島県が本当に「避難者一人一人に丁寧に対応」しているのなら、瀬戸さんたちの出番は少ないはずだ。しかし現実には、瀬戸さんの携帯電話が鳴らない日はない。

「寄せられるSOSは、住まいの相談から生活困窮の相談に内容が変化していった。ただでさえ母子世帯の暮らしは厳しい事が分かっていながら一律に住宅無償提供を打ち切り、生活支援策を講じなかった。国も福島県も『一人一人に寄り添う』と言う。寄り添うならなぜ、これまで出会った母子避難のお母さんが『いのちのSOS』を発するのだろう。なぜ放置されているのだろうか」

それは、「寄り添う」だの「ていねい」だのという美辞麗句と真逆の施策が展開されてきたからだ。

「左手で執拗に退去を迫り、『時期が来たら訴えるぞ』と拳を振り上げ、右手では『個別に相談に応じます。住まい相談に応じます』などと振る舞う福島県に、いったい誰が本音で相談出来るだろうか。経済的に厳しいと嘆く避難者に容赦なく家賃2倍請求をし、転居費支援も一切しない。住宅相談にしても、不動産業者につないで『あとは直接、業者に相談してください』で終わり。だから新しい住まいが決まらない。私たちは転居費が不足している避難者への給付金補助、保証人代行もしっかり行っています」

福島県との話し合いでは毎回、厳しい視線を送る瀬戸大作さん

世話人の1人で、自身も田村市から都内に避難した熊本美彌子さんも、2018年7月11日に開かれた参議院の東日本大震災復興特別委員会でセンターに寄せられるSOSの深刻さを述べている。

「川崎市内の雇用促進住宅に入居していた40代の男性は、体を壊して仕事ができない状態でいるときに、『もう住宅の提供は打切りだ』、『出ていけ』と言われた。雇用促進住宅というのは、家賃の3倍の収入がなければ継続入居ができない。とても困って、出ろ出ろと言われるから男性は退去した。退去したけれども職がない、働けない。それで所持金が1000円ぐらいになって、どうしていいか分からないとセンターに相談があった」

2018年7月11日には、「避難の協同センター」として、①区域外避難者が安心して生活できる『居住の保障』、②民間賃貸家賃補助の継続、③希望する避難者を公営住宅特定入居の対象とする(区域外避難者を対象に加える)、④安心して生活できる『居住の保障』が実現するまで国家公務員宿舎の継続居住期間の延長(住まいの確保の制度的保障)の4項目を提起したが、政策に加えられることはなかった。

「そもそも日本の居住政策には、住まいは基本的人権として保障するという考え方が欠けている」と瀬戸さん。2019年1月には、「原発事故被害で苦しみ、家族と自らを守るために避難してきた皆さんの身体と心を少しずつ温める事もせずに、この国は自立を強制し、身体をまた冷えさせている。私たちは『身体と心を温め合う社会』づくりに向けて、少しずつでも活動を続けたい」と語っている。「自立の強制」に抗いながら、今日も奔走している(つづく)

▼鈴木博喜(すずき ひろき)
神奈川県横須賀市生まれ。地方紙記者を経て、2011年より「民の声新聞」発行人。高速バスで福島県中通りに通いながら、原発事故に伴う被曝問題を中心に避難者訴訟や避難者支援問題、〝復興五輪〟、台風19号水害などの取材を続けている。記事は http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/ で無料で読めます。氏名などの登録は不要。取材費の応援(カンパ)は大歓迎です。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

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簡単に理解できる、絶対矛盾を一つ例示しよう。どうしてこの国では「経済再生担当大臣」が新型コロナウイルスの対策担当に当たっているのであろうか。疫病であるウイルスの蔓延と、「経済再生」がどのような関係にあるのか。

また、ワクチンの担当にどうして「行政改革大臣」が任じられるのか。ワクチン対応にも、旧来とは異なる行政対応を導入したい、との志あってのことなのか。そんなことはあるまい。元防衛大臣で「防衛大臣専用機が欲しい」とのたまった河野太郎は、相変わらず回らない滑舌で、ウイルスの遅滞弁解に忙しいだけだ。河野洋平だってそんなに評価に値する政治家ではなかったけれども、息子のできの悪さを嘆いているのではあるまいか。

行政改革は結構ではあるが、本来厚生省と労働省が担っていた業務には、水と油といってもいい利益相反の業務もあったのだ。それが無理やり合体させられてしまい、結果として医療行政や労働行政には大幅な後退が生じている。全国的な保健所の減少などもその結果である。横浜市はホームページで誇らしげに

《指揮命令系統の一元化により、広域的で緊急的な課題に迅速に対応するとともに、その基盤となる情報を一元管理できるよう18区に分散していた保健所を1か所に集約し、健康危機管理機能の強化を図りました。》

と書いているが、これはつまりかつて18か所あった横浜市の保健所が、現在は一か所だけになっていることをあらわす。

保健所は結核や、感染病が発生したときに、感染源を突き止め消毒を行ったり、医療への誘導を行うのが業務の一環だが、今次のコロナ蔓延には全国的に保健所の数が半数以下に減らされた「行政改革」のしわ寄せが遠因として働いている、ともいえる。京都市では保健所職員の中に昨年1年で2000時間(!)近くの残業を強いられている職員がいたことが判明した。

ひとつき20日の勤務で年間2000時間の残業は、一月あたり160時間の残業を意味するが、一日は誰にも平等に24時間しかない。この保健所勤務の職員さんはコロナでなくて「過労死」してしまっていないか、本当に心配になる。公務員の中には、とくに高級官僚の中には、不労所得や役得にあずかっているものが少なくない実態はあるにせよ、「行政改革」が結果として最低限の行政サービスをおろそかにしてしまっては本末転倒だ。

そもそも「改革」という言葉自体を近年は疑ったほうがよさそうでもある。「司法改革」は雨後の筍のように無意味で、既に半数以上が閉店した法科大学院と、法律の知識を持たない市民に、場合によっては「死刑」判決に立ち会わせる「裁判員裁判」さらには「司法取引」を生み出しただけであるし、企業における「意識改革」は労働者に確立された権利の忘却と、さらなる利益追求のための自己犠牲を強いる。

5月3日憲法記念日、コロナ禍の下とはいえ、いったいどんな営みや議論が交わされ、報じられたことだろうか。「批判する価値はない」とわたしが決めつけた報道各社は、期待にたがわず素っ頓狂な報道に明け暮れた。共同通信は改憲の必要性を誘引する世論調査を行い、わざわざ「改憲における緊急事態条項の必要性」までを質問項目に加えている。コロナにおける緊急事態宣言とを結びつけてある。現憲法で「緊急事態宣言」は発令可能であったのにどうして、改憲が必要なのか、また改憲に「緊急事態条項」を盛り込まなければならないのか。このような基本的な事項すら、論理的に理解できない頭脳が、今次この国におけるマスメディアの実態である。

あなたたちは、菅のイヌか?と罵倒されても仕方あるまい。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

GW前から注目を集め続けている紀州のドン・ファン事件。そんな中、この事件は1998年の「和歌山カレー事件」と捜査のやり方が似ていると指摘する報道が散見されるが、実は似ている事件がもう1つある。

1999年に注目を集めた「本庄保険金殺人事件」がそれだ。この事件とドン・ファン事件を比較すると、「あること」が見えてくる。

◆本庄保険金殺人事件の被害者たちは「覚せい剤中毒」だった

 

八木死刑囚の弁護団の著書『偽りの記憶「本庄保険金殺人事件」の真相』。弁護側の無罪主張が詳細に綴られている

埼玉県本庄市で金融業を営んでいた八木茂死刑囚が債務者たちに保険をかけ、殺害していたとされる本庄保険金殺人事件。逮捕前に連日、「有料記者会見」を開いて話題になった八木死刑囚は一貫して無実を訴えたが、裁判では2008年に最高裁で死刑が確定した。

確定判決によると、八木死刑囚は愛人女性3人と共謀のうえ、95年に工員の佐藤修一さんにトリカブトを食べさせて殺害し、保険金約3億円を詐取。さらに98~99年にかけて連日、多額の保険をかけた元パチンコ店店員の森田昭さんと元塗装工の川村富士美さんに大量の風邪薬を飲ませ、その結果、森田さんを殺害し、川村さんに急性肝障害などの傷害を負わせたとされる。

そんな本庄保険金殺人事件とドン・ファン事件が似ていることは2つある。

1つ目は、「被害者」とされる男性が覚せい剤を摂取していたことだ。ドン・ファン事件では、周知のように須藤早貴容疑者(25)が元夫で資産家の野崎幸助さん(享年77)に致死量の覚せい剤を飲ませ、殺害した疑いをかけられている。一方、本庄保険金殺人事件でも、八木死刑囚らに大量の風邪薬を飲まされていたとされる森田さん、川村さんの2人が実は覚せい剤中毒だったことが判明しているのだ。

実は八木死刑囚の裁判では、弁護側が多数の医学的根拠に基づいて、森田さんの死と川村さんの傷害は風邪薬が原因ではないと主張し、2人の症状が実は覚せい剤の接種によるものである可能性も浮上していた。しかし、森田さん、川村さんが覚せい剤中毒だったこと自体がほとんど報じられていないので、そのことを知る人は世間にほとんどいないだろう。

◆報道されなかった「ニコチンコーヒー」の酷い味

本庄保険金殺人事件がドン・ファン事件と似ていることのもう1点は、被疑者が死亡した男性に「味が酷いもの」を経口摂取させた可能性が疑われていることだ。

まず、ドン・ファン事件。須藤容疑者は野崎さんに口から覚せい剤を摂取させた疑いをかけられているが、複数のメディアが覚せい剤は強烈に苦く、口から飲ませるのは難しいと指摘している。一方、本庄保険金殺人事件でも、八木死刑囚らは佐藤さんをトリカブトで殺害する前に連日、タバコの葉とコーヒー豆を煮出して作った「ニコチンコーヒー」なるものを飲ませていたとされている。

このニコチンコーヒーの味に関しては、今日にいたるまで疑問を指摘した報道を見かけない。しかし、筆者がこれを実際に作ってみたところ、臭いが凄い上、口に含むだけで吐き気をもよおすほど強烈な味だった。こんなものを本当に飲ませることができたのか…と疑問を禁じ得なかった。

このニコチンコーヒーを佐藤さんに飲ませる役目を務めたとされる八木死刑囚の愛人女性は、容疑を認めているが、過酷な取り調べで「偽りの記憶」を植えつけられた可能性が心理学者から指摘されている。実際、ニコチンコーヒーを作ってみると、この心理学者の見解に信ぴょう性があるように思われた。

こうしてみると、本庄保険金殺人事件と比べ、ドン・ファン事件では、捜査の筋書きに疑問を抱かせる情報が多少なりとも報道されている。本庄保険金殺人事件の頃以降、20余年の間にインターネットが普及し、裁判員裁判も始まり、重大な冤罪が次々に明らかになったりしているので、事件報道も昔ほどは捜査機関にベッタリではなくなったのだろう。2つの事件を比べると、そういうメディアの変容が見えてくる。

▼片岡 健(かたおか けん)
全国各地で新旧様々な事件を取材している。近著に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(著者・久保田祥史、発行元・リミアンドテッド)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

《6月のことば》一日一生(鹿砦社カレンダー2021より/龍一郎・揮毫)

1995年、阪神・淡路大震災が起き、オウム事件で震撼させられた年──鹿砦社は「日々決戦 一日一生」の社是を掲げました。

あれから四半世紀、私たちはまさにこの言葉どおり過ごしてまいりました。

いや、そう強いられたと言えるかもしれません。

いろいろなことが過(よぎ)ります。

私個人に立ち返っても、もうすぐ70歳、いよいよ後先も長くはなくなりました。

まさに「一日一生」、日々を悔いなく過ごしていきたいものです。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』7月号

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