今回のメインイベンター(大トリ)は重森陽太。蹴り技で優ってREITOの技を封じ、判定勝利で大役を果たす。
勝次は頑丈なNOBUに圧される展開に苦戦の引分け。次なるステージへのアピールは出来ず。
リカルド・ブラボは鮮やかに大技からヒザ蹴りを見せてTKO勝利。
泰史はWKBA JAPANの2度目の挑戦も倒しに掛かるパワー不足でタイトルを逃がす。
伊原信一代表は一箇月程前から体調不良の為入院。御自身で病院に向かった模様で、「重篤な状態ではありませんので、御心配には及びません。」という栗芝貴協会代表代行のリング上での発表。
◎TITANS NEOS.29 / 10月17日(日)後楽園ホール17:30~20:40
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会
◆11 メインイベント 62.0kg契約3回戦
WKBA世界ライト級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/1995.6.11東京都出身/61.75kg)
VS
KOSスーパーフェザー級チャンピオン.REITO BRAVELY(BRAVELY/2000.6.29大分県出身/61.75kg)
勝者:重森陽太 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:仲30-29. 宮沢30-27. 桜井30-28
序盤は距離を測るような蹴りの軽い応酬。REITOの右脚を何度かストッピングする重森陽太。ローキックでREITOの動きを鈍らせ、ミドルキックも蹴りの強さは重森が上回り、
盛り上がりには欠けるが、テクニックで優って危なげなく判定勝利を掴んだ重森陽太。倒す見せ場を作るには時間が足りなかった。
(KOS=KING OF STRIKERSは福岡発祥の格闘技イベントです。)
◆10 64.0kg契約3回戦
WKBA世界スーパーライト級チャンピオン.勝次(藤本/1987.3.1兵庫県出身/63.95kg)
VS
KOSスーパーライト級チャンピオン.NOBU BRAVELY
(BRAVELY/1982.10.16大分県出身/63.75kg)
引分け 0-1
主審:少白竜
副審:椎名29-29. 仲29-30. 桜井29-29
開始早々は勢いよく飛び気味の左回し蹴りの勝次。
パンチもローキックも勝次の勢いがあるが、NOBUは圧されずに蹴り返し、
効いていないかのような前進を続ける。
無理に打ち合わない勝次は下がりっぱなしで印象は悪い展開でも、軽く飛びヒザ蹴りを見せるなど劣勢を許さず辛うじて引分けた。
打ち合うのは危険だが、テクニックで圧し切るのも難しいNOBUの頑丈さだった。
◆9 74.0kg契約3回戦
日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.75kg)
VS
NJKFスーパーウェルター級2位.佐野克海(拳之会/73.5kg)
引分け 0-1
主審:宮沢誠
副審:椎名29-29. 仲29-29. 少白竜29-30
序盤は佐野克海にパンチで打たれて下がるシーンをみせてしまう斗吾。打ち返しは勢い有る斗吾で、佐野も貰うと勢い弱まる見映え。どちらに形勢が傾くかは互いの有効打次第も、ヒットは無く倒すに至らないもどかしさが残る引分け。
◆8 70.0kg契約3回戦
日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(伊原/アルゼンチン出身/69.85kg)
VS
チャンスック・バーテックス(1997.10.5タイ出身/69.35kg)
勝者:リカルド・ブラボ / TKO 3R 2:11 / カウント中のレフェリーストップ
主審:桜井一秀
チャンスックのヒジ打ちを警戒か、序盤は接近にはいかないリカルド・ブラボは蹴り中心の様子見。
徐々にハイキックを繰り出し、更にパンチの打ち合う距離へ縮まって次第にブラボが優位に立っていく。警戒したヒジ打ちも貰うことなく、ボディーブローからロープ際でヒザ蹴りでチャンスックを倒した。
◆7 63.5kg契約3回戦
日本ライト級チャンピオン.高橋亨汰(伊原/63.4kg)
VS
TENKAICHIスーパーライト級1位.剣夜(前・Champ/SHINE沖縄/63.0kg)
勝者:高橋亨汰 / TKO 2R 1:20 /
主審:仲俊光
連打で圧力かけてコーナーに追い詰め、蹴り、パンチ、ヒジで攻める高橋亨汰。しつこく接近して攻めていく中、ヒジで顔面カットし、流血がひどくなったところでドクターの勧告を受け、レフェリーストップとなった。
◆6 WKBA JAPAN(日本)バンタム級王座決定戦 5回戦
日本バンタム級1位.泰史(伊原/53.5kg)
VS
WMC日本バンタム級6位.佐野佑馬(創心會/53.15kg)
勝者:佐野佑馬 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:宮沢48-49. 桜井48-49. 仲47-48
蹴りの様子見から勢い増してきた佐野佑馬。スロースターターの泰史は圧され気味。徐々に積極的に攻める泰史は佐野をコーナーに詰めてパンチでラッシュするが倒すに至らない。第3ラウンド中盤から佐野が盛り返し、泰史を追う流れに変わる。泰史も結構打たれ、頬が腫れだす。コーナーには詰める泰史も失速し圧し続けられない。互いの強い決定打が無いまま僅差で負けた泰史はスーパーフライ級に続く二度目のWKBA JAPANタイトルも逃す結果となった。
◆5 56.0kg契約2回戦
中村哲生(伊原/56歳/55.85kg) vs ケント(ツルザップ/23歳/55.2kg)
勝者:ケント / TKO 1R 2:16 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜
昨年55歳デビューした中村哲生は毎度連打で倒されるも、打たれてから強い蹴りを返す展開に会場の拍手が響いた。打ち抜かれての3戦3敗ながら、踏ん張る力が付いた中村哲生。毎度元気に会場入りする度胸と根性持ったビジネスマンである。
◆4 フェザー級3回戦
瀬川琉(伊原/57.05kg) vs NJKFフェザー級5位.松永尚恭(東京町田金子/56.6kg)
勝者:瀬川琉 / 反則 2R 0:38 / 主審:宮沢誠
クリンチでレフェリーによるブレイク後に松永のヒジ打ちが瀬川のアゴにヒット。すでにヒジ打ちで目尻付近を斬っていた負傷と共にドクターがダメージを診ようとしたところで、足元おぼつかず崩れ落ちた瀬川琉は試合続行不可能。松永尚恭の失格負け。
◆3 59.0kg契約3回戦
ジョニー・オリベイラ(トーエル/58.9kg) vs 祐輝(OU-BU/58.7kg)
引分け 1-0
主審:桜井一秀
副審:椎名29-29. 少白竜29-29. 宮沢30-29
◆2 女子49.5kg契約3回戦(2分制)
オン・ドラム(伊原/49.4kg) vs YUKA(SHINE沖縄/49.1kg)
勝者:YUKA / 判定0-2
主審:椎名利一
副審:宮沢29-29. 仲29-30. 桜井29-30
◆1 ウェルター級2回戦
大場一翔(伊原/66.5kg) vs 悠YAMATO(大和/66.6kg)
勝者:悠YAMATO / TKO 2R 0:37 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜
第1ラウンド、大場による股間ローブローにより、悠YAMATOが数分立ち上がれないダメージを負い、負傷裁定に移るかと思われたところがギリギリ続行可能へ移った。ダメージで劣勢に移るも第2ラウンドには一瞬の隙を突いたパンチ連打で逆転ノックアウトに成功した悠YAMATO。
《取材戦記》
前日計量では入院中の伊原信一代表から選手やジムスタッフに何度も電話が掛かって来て、計量を終えた選手全員にもスマホスピーカーから激励を送っていた。医師が許せば今回の興行にも現れるのではとさえ思えたほどだが来場までは許されなかった。来年3月に予定される興行まで時間は充分あるので静養されて元気に戻って来られるでしょう。
もっと蹴っていれば勝利も導いていたかもしれない勝次は、快勝していたらいつものマイクアピールで言いたいことはあったようだが、引分けではその立場を無くしてしまった。毎度のことながら、存在感を示すには今後も日本人相手に引分けを含め、取りこぼしは許されない。
2022年の新日本キックボクシング協会興行は、今年より1回増えて、3月13日(日)、5月15日(日)、7月24日(日)、10月23日(日)の4回が後楽園ホールに於いて開催が予定されています。
昨年は政府による新型コロナウィルス蔓延の防止策で、春から夏にかけて4度の興行中止に陥り、開催は3度のみ。今年はコロナの影響や、一昨年から続く脱退ジムによる影響もあって4月、6月、10月の3度のみ。
来年は新日本キックボクシング協会が、どういう存在感を示すか。他のビッグイベント出場を目指すのではなく、他団体やフリー関係が新日本キックボクシング協会出場を目指してくるよう威信を取り戻さねばならないだろう。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」