◆大阪地裁での鹿砦社への不当判決から控訴へ
就業時間中に膨大な私的ツイッター書き込みを行っていたことが判明したため、通常解雇した、元鹿砦社社員にして「しばき隊」中心メンバー藤井正美を相手取り、鹿砦社が損害賠償請を求めた民事訴訟を大阪地裁に提起し、去る2月24日不当判決が下されたことは本通信でお伝えしてきた通りだ。その後社内外の関係者で控訴すべきか、せざるべきかを徹底討論した結果、私たちは「控訴する」ことに決定した。そして7日、控訴人株式会社鹿砦社を代表して松岡利康みずから控訴状を提出した。闘いの場は大阪高裁へと移った。
本訴訟は就業時間中に尋常ではない膨大な量の私的ツイッター書き込みを行っていたのみならず、解雇後に鹿砦社の名を騙った「企業恫喝」にまで藤井が手を染めていたことが判明したことから、致し方なく提訴の及んだものである。ところが大阪地裁の本田能久裁判長は私たちの主張を一切認めず、あろうことか係争途中で反訴した藤井に対して鹿砦社に11万円余りの損害賠償を払えと、到底納得できない、天地が引っくり返るほど無茶苦茶な判決を下したのだ。
◆控訴決心への逡巡
控訴にあたっては、協力者内にも賛否両論があった。「証拠を示しても読まない、黒いものを白だというような裁判所に期待するのはもうやめよう」、「裁判所は明らかに鹿砦社に予断と偏見を持っており、『鹿砦社には勝たせない』との意思が見え隠れする。そのような状況も考えれば控訴は慎重であるべきだ」、一方「この判決が確定すれば『就業時間中に私的ツイッターを山ほど行っていても、法律的な責めは負わない』とも解釈できる尋常ならざる判例を残す。こんな判例が罷り通れば、日本の企業、特に中小企業はやっていけない」。
本田裁判長の数々の事実認定は間違いか不当なものばかりで、放置すれば『言論の敗北』と取られかねない。裁判所が『鹿砦社を勝たせない』と意思を決めていたとしても(そんなこと自体が不当極まりないのだが)控訴して地裁判決を徹底的に論破し、鹿砦社の取材姿勢と出版の立脚点を事実をもって明らかにすべきではないか。勝ち負けに関係なく、判決も控訴理由書もすべて公開し、みなさん方に公開し判断を仰ごう」……。
◆不当判決には決然と闘う!
裁判取材経験豊富なジャーナリストや、司法関係者の皆さんからもアドバイスを頂き、最後は原告である鹿砦社の代表、松岡本人が判断を一任され「控訴」に踏み切る決断を下した。
この判断自体は一般の裁判であれば、地裁判決の訴訟指揮、判決の無茶苦茶さを鑑みれば当然というべきものである。だが、前述の通りここ数年鹿砦社が関わってきた「対しばき隊」関連訴訟では、まったく不当な判決が横行し「裁判所などに期待するのはやめよう。法律が機能していない以上このようなことに力を割くのは勿体なく、私たちは『言論』で勝負しよう」と主張する者が出てきたのも無理からぬことではあった。法廷外で鹿砦社や特別取材班、そしてお世話になった代理人の弁護士の方々は想像を絶する力を振り絞り、当然の勝利に向けて物心ともに全力を注いできたのだから。
7日に控訴状の提出を終え、控訴人(鹿砦社サイド)では「控訴理由書」が現在完成に近づいている。本田裁判長の手になる「判決」の判断はほぼすべてが反論が可能だ、否、反論しなければ道理が通らない矛盾ばかりである。「控訴理由書」が完成し、然るべき時期が来ればその要旨若しくは全文を皆さんに公開しよう。
◆東住吉冤罪事件国賠訴訟で証明された裁判官本田能久の悪質性
さて、15日東住吉冤罪事件の国家賠償を求めていた青木恵子さんの大阪地裁における判決が言い渡された。青木さんの裁判を担当したのは、私たちへの不当判決を平然と書いた本田である。本田は私たちの係争でも何度か「和解」を勧めてきた。私たちは無下に自らの主張ばかりを振りかざすつもりはなく、妥当な一致点が見つけられれば「和解」も排除せず、と考えていた。本田の勧めにより「和解」の席に複数回ついた。本田はあたかも「公平」な結論を導きだそうと努力しているかの如き演技に終始し、もとよりの多弁が和解の席でも同様に発揮されたが、結局あれは「ポーズ」であったと断じるほかない。
15日青木さんは大阪府からのみの賠償を命じる判決を得たが、本田は結審前に青木さんと国、大阪府にも和解の席を用意した。この経緯については尾崎美代子さんが、2012年12月2日本通信に喜びをもって報告してくれている。青木さんに寄り添うような言葉を吐き過剰な期待を煽った本田。そして本田はいかにも青木さんの痛みを理解し、「係争を終了させることにより青木さんの傷を小さくしようとしている」かと誤解させる芝居を打っていたが、15日に国の責任を一切認めないとする判決を言い渡したことにより、青木さんへの「芝居」が空手形であったことが証明された。青木さんは怒り心頭だと報道されている。国賠訴訟で、その名の通り国の責任を問うているのに、あたかも青木さんに寄り添い国の責任を認めてやるかのような態度を取り、結局は国の責任を全く認めなかった。
青木さんと私たちでは受けた傷の大きさが違う。単純比較は青木さんに失礼だ。しかしながら本田を裁判長とする同じ合議体から受けた加害による「被害者」であることは共通だ。既に控訴手続きは7日に完了しており、その後に下された青木さんへの本田からの判決ではあるが、青木さんの無念も私たちの闘争心を更に掻き立てる。こんな判決を許しておくわけにはゆかない!
◆司法は不条理だ、しかし私たちは真実を曲げることはしない
裁判官はどんな誤判を冒しても、罰せられない。法律論は横においておくが、これは不合理極まりないではないか。過ちを冒した裁判官には罰則を設けるべきではないのか。刑事事件で無実の人を刑務所にぶち込んだり、冤罪確定事件の国賠裁判でも国を免罪したり、中小企業の中に入り込んで怠業の限りを尽くし、社名を語って恫喝を行っていた者の行為を不問に付し、逆に会社に罰金を払わせたり……。これが司法試験に合格し法衣を着て「人を裁く」人間の実態である。その代表の一人が本田能久だ。
◆ご支援に感謝しながら「本人訴訟」で不条理とは闘います!
鹿砦社は昨年来新型コロナの影響を受け、売り上げが大幅に落ち込み経営は楽ではない。この間社債を発行し、心ある皆さんに引き受けていただいたり、カンパや『紙の爆弾』『季節』の定期購読(新規、前倒し、複数年)、書籍のまとめ買いの要請にも多くの方々に応じていただいている。そのお陰できょうも出版・言論活動が続けられている。原稿料や諸経費の徹底見直しも行い、危機の脱出に懸命である。控訴に関しては「このように厳しい時期であることも勘案すべきではないか」との意見もあった。私たちとて法廷は気分の良い場所ではないし、「言論」こそが本来のフィールドだ。そこで、今回の控訴は複数の法律専門家のアドバイスを頂きながらも、あえて代理人を立てず本人訴訟とすることとした。
鹿砦社にとっても松岡や中川編集長らにとっても、2005年、『紙の爆弾』』創刊直後、「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧を食らった苦しい時期があった。今よりも格段に苦しかった。松岡は長く囚われ、事務所もなくなり、先行きが見えない中でもがいた。この時、刑事・民事双方で多くの皆さん方のサポートで裁判闘争を闘った。同時に『紙の爆弾』はじめ出版活動にも精を出した。決して諦めなかった。その甲斐あって復活することができた。藤井に「棺桶に片足を突っ込んだ爺さん」と揶揄された松岡も齢70となり、当時に比べるとエネルギーも弱くなっているが、最後の「老人力」を発揮し頑張る決意を固めている。人も会社も苦境にあってこそ、その真価が問われる。土壇場でクソ力を発揮するのが松岡の真骨頂だ。
鹿砦社を応援してくださる皆さんの期待に応えるために、そして不当な司法に真っ正面から対峙するために、これまで以上に激烈な魂を込めた「控訴理由書」が近く完成するだろう。裁判所の判断は二の次だ。私たちは真実を突きつけ、「正当な判断とはこういうものだ」と裁判所の姿勢を正す意味でも闘いを継続する道を選んだ。さらなるご支援を!
M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62