ウクライナの戦火を日々見ると自然に、かつてよく聴いた反戦歌を思い出します。

まずは『戦争は知らない』。

よく『戦争を知らない子どもたち』と間違えられますが、違います。『戦争は知らない』は、それよりも先にベトナム戦争真っ盛りの1967年にシングルカットされ、発売されます。作詞は、演劇の世界に新たな境地を開拓した劇団『天井桟敷』の寺山修司、歌は『たそがれの御堂筋』で有名な坂本スミ子(古い!)。意外な組み合わせです。寺山修司は、いわゆるアングラ演劇の教祖ともされる人物ですが、彼がこのように純な歌詞を書いたのも意外ですし、また坂本スミ子に歌わせたのも意外、歌謡曲として売り出そうとしたのでしょうか。

その後、ザ・フォーク・クルセダーズ(略称フォークル)が歌いますが、こちらがポピュラーです。いわば「反戦フォーク」として知られています。私は坂本スミ子が歌ったのを知りませんでしたが、『この人に聞きたい青春時代〈2〉』のインタビューの際に、フォークルのメンバーだった端田宣彦(はしだのりひこ)さんから直接お聞きしました。

[左上]坂本スミ子『戦争は知らない』(1967年1月)と[左下]ザ・フォーク・クルセダーズ『戦争は知らない』(1968年11月)のEPレコードジャケット。[右]『この人に聞きたい青春時代〈2〉』(2001年鹿砦社)


◎[参考動画]ザ・フォーク・クルセダーズ 戦争は知らない (1968年11月10日発売/東芝Capitol CP-1035)作詞:寺山修司/作曲:加藤ヒロシ/編曲:青木望

♪野に咲く花の 名前は知らない
だけど 野に咲く花が好き
帽子にいっぱい 摘みゆけば
なぜか涙が 涙が出るの

戦争の日を 何も知らない
だけど私に 父はいない
父を想えば あゝ荒野に
赤い夕陽が 夕陽が沈む

戦さで死んだ 悲しい父さん
私は あなたの娘です
20年後の この故郷で
明日お嫁に お嫁に行くの

見ていてください 遙かな父さん
いわし雲飛ぶ 空の下
戦さ知らずに 20歳になって
嫁いで母に 母になるの

野に咲く花の 名前は知らない
だけど 野に咲く花が好き
帽子にいっぱい 摘みゆけば
なぜか涙が 涙が出るの

なお、下の画像は1970年に反戦活動で逮捕され抗議の意志表示をする女優ジェーン・フォンダ(鹿砦社刊『マグショット』より)。ジェーン・フォンダはべ平連の招請で来日し、今はなき同志社大学学生会館ホールで講演、ミーハーな私も拝見させていただきました。ものすごく輝いていた印象が残っています。

1970年、反戦活動で逮捕され抗議の意志表示をする女優ジェーン・フォンダ(鹿砦社刊『マグショット』より)


◎[参考動画]Jane Fonda in North Vietnam 1972

◎[リンク]今こそ反戦歌を!

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年5月号!

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!