判定試合が続いた中で、インパクトあるメインイベントを盛り上げた海老原竜二。落ち着いた経験値ある試合運びで逆転勝利。
一撃必殺の破壊力を持つ田村聖だが、津崎善郎を攻略出来ず、僅差判定負け。
NJKFの野津良太はJ-NETWORKのカズ・ジャンジラに僅差判定負け。
引退試合となる洋介が最後の力を出し切ってでマサ・オオヤに判定勝利。
◎喝采シリーズ 2nd / 4月23日(土)後楽園ホール 17:30~20:46
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会
◆第11試合 53.55kg契約 5回戦
NKBバンタム級チャンピオン.海老原竜二(神武館/1990.3.6埼玉県出身/52.95kg)
VS
NJKFフライ級1位.谷津晴之(新興ムエタイ/2003.5.7神奈川県出身/52.3kg)
勝者:海老原竜二 / TKO 5R 2:07 / レフェリーストップ
主審:前田仁
海老原竜二は昨年12月11日に王座獲得し、初陣となった今回、初回から谷津晴之の右ハイキックでノックダウンを喫する。更にパンチで2度目のノックダウンを喫したところでゴングに救われたが、しっかりした足取りでダメージは軽く、逆転の可能性が大いにあることは感じられた。
第2ラウンドには距離を保って立て直しを図り、海老原のパンチヒットで谷津は鼻血を流す。第3ラウンドから圧力増した海老原。組み合ってのヒザ蹴りが効果的。谷津はハイキックを狙うが、しっかり見てヒットさせない海老原。
第4ラウンドには谷津をコーナーに詰め、パンチ連打からヒザ蹴り猛攻で2度スタンディングダウンを奪って形勢逆転。第5ラウンドにもヒザ蹴りでノックダウンを奪った後、コーナーに詰めてヒザ蹴りでレフェリーストップに追い込んだ。
海老原竜二は23戦14勝(7KO)9敗。谷津晴之は9戦5勝(1KO)2敗2分。
◆第10試合 ミドル級3回戦
NKBミドル級1位.田村聖(拳心館/1988.7.23新潟県出身/72.3kg)
VS
WBCムエタイ日本スーパーウェルター級4位.津崎善郎(LAILAPS東京北星/1984.12.19長崎県出身/72.55kg)
勝者:津崎善郎 / 判定0-2
主審:加賀見淳
副審:鈴木29-29. 川上29-30. 前田29-30
重い蹴りが交錯するが、展開が傾く大きな動きはない。第3ラウンドに津崎のヒジ打ちで田村の額がカットされると、流血した田村がパンチで圧力を掛けるが、接戦の勝負は僅差で津崎が勝利。
田村聖は23戦13勝(10KO)9敗1分。津崎善郎は21戦10勝(3KO)9敗2分。
◆第9試合 ウェルター級3回戦
NJKFウェルター級1位.野津良太(E.S.G/1987.6.18埼玉県出身/66.45kg)
VS
J-NETWORKウェルター級2位.カズ・ジャンジラ(ジャンジラ/1987.9.2東京都出身/66.05kg)
勝者:カズ・ジャンジラ / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:前田29-30. 川上28-30. 加賀見29-30
野津良太はしぶとさで下がらぬ展開ながら、カズ・ジャンジラが左ストレートの伸びがあり前進に繋げ僅差判定勝利。
野津良太は20戦11勝8敗1分。カズ・ジャンジラは39戦18勝(4KO)16敗5分。
◆第8試合 バンタム級3回戦
NKBバンタム級4位.佐藤勇士(拳心館/1991.8.12新潟県出身/53.3kg)
VS
森井翼(テツ/2000.5.31大阪府出身/53.45kg)
勝者:森井翼 / 判定0-3
主審:加賀見淳
副審:川上26-30. 前田24-30. 鈴木24-30
各ラウンド、森井翼がスタンディングを含むノックダウンを奪い、最後まで攻めが優って大差判定勝利。
佐藤勇士は15戦6勝(2KO)9敗。森井翼は6戦5勝1分。
◆第7試合 59.0kg契約3回戦
NKBフェザー級5位.鎌田政興(ケーアクティブ/1990.5.6香川県出身/58.7kg)
VS
KEIGO(BIG MOOSE/1984.4.10千葉県出身/58.85kg)
勝者:KEIGO / 判定0-2
主審:前田仁
副審:川上28-28. 鈴木28-29. 加賀見28-29
第2ラウンドにKEIGOがハイキックでノックダウンを奪うが、鎌田政興のダメージは軽く、初回からやや手数多かった流れだったが逆転には至らずKEIGOが判定勝利。
鎌田政興は15戦7勝(2KO)7敗1分。KEIGOは18戦7勝6敗5分。
◆第6試合 58.5kg契約3回戦
半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/58.5kg)
VS
中田ユウジ(STRUGGLE/1994.7.12東京都出身/58.2kg)
勝者:半澤信也 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:前田29-28. 加賀見30-29. 川上30-29
半田信也の勢いは少ないがジワジワと前進。距離を詰めてパンチの圧力で中田ユウジを下がらせ僅差の判定勝利。
半澤信也は23戦9勝(4KO)11敗3分。中田ユウジは10戦4勝(1KO)5敗1分
◆第5試合 63.0kg契約3回戦
洋介(渡辺/1980.9.26千葉県出身/62.55kg)
VS
マサ・オオヤ(八王子FSG/1974.6.19福島県出身/62.95kg)
勝者:洋介 / 判定3-0
主審:前田仁
副審:鈴木30-27. 川上30-28. 加賀見30-28
我武者羅な前進のマサ・オオヤに、洋介が蹴りで積極的に攻め、激しさを増すが的確さとパワーが弱く、スタミナのある限り手数を出す両者。前進と手数で優った洋介が判定勝利。有終の美を飾った。
洋介は17戦9勝(4KO)8敗。マサ・オオヤは21戦5勝13敗3分。
◆第4試合 フェザー級3回戦
山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/57.05kg)
VS
杉山茅尋(HEAT/2001.11.30静岡県出身/56.95kg)
勝者:山本太一 / TKO 2R 0:01 (1R終了)
主審:加賀見淳
山本太一のヒジ打ちで杉山茅尋は鼻骨骨折の様子、第2ラウンド開始時にドクターの勧告を受入れレフェリーストップ。
山本太一は12戦5勝(4KO)4敗3分。杉山茅尋は9戦3勝5敗1分。
◆第3試合 女子 53.0kg契約3回戦(2分制) デビュー戦同士
KARIN(=勝又香琳/HEAT/2007.2.15静岡県出身/52.4kg)
VS
Mickey(PIRIKA TP/1992.12.11福岡県出身/52.85kg)
勝者:Mickey / 判定0-3 (27-30. 28-30. 28-30)
◆第2試合 65.5kg契約3回戦
ゆうき(BIG MOOSE/1998.5.8千葉県出身/65.25kg)
VS
ちさとkiss Me!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/64.5kg)
勝者:ちさとkiss Me! / TKO 1R 2:17
ゆうきが蹴ると自らの脛の負傷でカウント中のレフェリーストップ
◆第1試合 ライト級3回戦 佐々木健はデビュー戦
木村郁翔(BIG MOOSE/2000.12.27千葉県出身/61.85kg)
VS
佐々木健(ナインパック/1991.10.24東京都出身/59.75kg)
勝者:木村郁翔 / 判定2-0 (28-28. 30-28. 29-28)
※ハリィ永田(Astra workout/50.6kg)EX秦文也(テツ)
ハリィ永田と対戦予定だった加藤洋介(チームドラゴン)欠場の為、エキシビジョンマッチ2回戦へ変更。
※58.0kg契約/勇志(テツ)vs川口惣次郎(ツクモ)は川口の体調不良による欠場で中止。
《取材戦記》
劇的逆転ノックアウトとなった海老原竜二。昨年12月11日に左ハイキック一発で龍太郎(真門)を倒して王座獲得し、今回は初回から谷津晴之の右ハイキックでノックダウンを喫してしまった。
もし軽いパンチでも3ノックダウンに至ったら、あっけない幕切れとなっていただろう。第1ラウンド、「ハイキックは見えなかった」と語った海老原。その後、食わなかったのはベテランの冷静さ経験値が上回った流れだった。最初から3回戦制だったら戦略も変わっていたでしょうが、5回戦制だから見られた劇的逆転ノックアウトとなりました。
ライト級の洋介が引退試合と銘打たれていました。2006年12月デビューで、王座挑戦までは敵いませんでしたが、しぶとく我慢強い選手でした。渡辺信久会長の昭和の頑固指導の下、過去にもしぶとい展開を見せる選手が多かった創設50年を超える名門ジムです。
日本キックボクシング連盟次回興行は6月18日(土)に後楽園ホールに於いて喝采シリーズvol.3が開催されます。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」