第26回参院選が7月10日執行されました。今回の選挙はひとびとの暮らしがコロナの前から厳しく、コロナが追い打ちをかけ、さらにロシアのウクライナ侵略による輸入物価上昇に苦しめられる中で行われました。また、ロシアのウクライナ侵略に乗じて、自民党が防衛費倍増を打ち出し、安倍晋三さん(故人)や維新などが改憲や核共有を叫ぶ中で行われました。
さとうしゅういちは、憲法は変えずに財政出動で25条を主にいかす立場、新自由主義をやめて公共サービスを充実させる立場、そして核兵器禁止条約を進める立場、原発ゼロでの気候変動対策を進める立場で、比例代表ではれいわ新選組の躍進に取り組みました。
◎[参考動画]【参院選2022】消費税の73%が法人税減税に/教育・防災のプロ #れいわ新選組 #大島九州男を三度国会へ さとうしゅういちIN広島・五日市
◎[参考動画]参院選 さとうしゅういちIN横川駅前「れいわの頭脳・ダブルケアの当事者 #長谷川ういこ を国会へ」「原発ゼロのグリーンニューディールを」
広島県選挙区では島根原発再稼働反対、憲法改悪反対などがはっきりしている中村たかえ候補を応援しました。当初は筆者自身も選挙区での立候補準備を進めていましたが、広島の2議席を自民高級官僚と補完勢力に推薦されたタレントで独占させないとの観点から中村候補の応援に回りました。
わたし自身も党是の財政出動により人々の暮らしを底上げすることを軸に、憲法問題については緊急事態条項改憲ではなく、具体的な感染対策・防災対策の充実を、ということ、ロシアのウクライナ侵略という今こそ核兵器禁止条約と緊張緩和の外交こそ必要だということなどを訴えました。
また、介護福祉士としての経験や、介護医療担当の県庁マン時代の経験から、これまで軽視されてきたケア労働の給料抜本改善や、公務員バッシングは止めて地方に十分な人と財源を保障することを力説しました。また、今こそ原発禁止と再エネ、スマートグリッドなどへの大胆な投資をするべきことを街頭やネットで訴え抜きました。
この選挙の結果、れいわ新選組は選挙区で代表の山本太郎が1議席、比例区で2議席を確保しました。
広島市内では総理の地元の超保守王国であるにもかかわらず比例代表で15,002.548票(衆院選2021では14240票ですので支持を伸ばしています。) をいただきました。ご支援に感謝申し上げます(ネットでのお礼は合法ですがプリントアウトすると違法なのでご注意ください) 。
他方で、自民党が定数1の選挙区では青森、山形、長野、沖縄以外を獲得するなど、改選議席の過半数を単独で確保し、大勝してしまいました。憲法を変えることに前向きな勢力が引き続き3分の2以上を確保することになってしまいました。
なお、女性当選者は125人中35人で28%。過去最多割合となりました。女性議員が減ってしまった衆院選2021とは一転して女性議員が過去最多割合となりました。この点は遅々としながらも歴史の進歩は感じます。
広島県選挙区では自民党の官僚出身の現職が有効投票の過半数を獲得し、2位で当選した国民民主党などが推薦するタレントに二倍以上の差をつけました。中村候補は58461票の4位で及びませんでした。
《参院選広島2022開票結果》
宮沢洋一【当選】 530,375 自民現職公明党推薦 元大蔵官僚、世襲
三上えり【当選】 259,363 無所属新人 タレント 芳野連合、国民民主党、立憲民主党など推薦
森川ひさし 114442 維新新人 京都市議会で辞職勧告決議。
中村たかえ 58461 共産党新人 筆者が応援。
浅井ちはる 52969 参政党新人
渡辺としみつ 11087 NHK新人
玉田のりたか 7335 無所属新人
野村まさてる 7149 幸福新人
うぶはらとしふみ 6717 無所属新人
猪飼のりゆき 5846 NHK新人
今回の参院選の特徴は以下です。
・2016年以降のいわゆる野党共闘が崩壊、多党化が進んだこと。
・立憲民主党が労働貴族化し、衰退が決定的になったこと。
です。
なお、選挙運動期間終盤の7月8日に安倍晋三さんが応援演説中に、統一教会に恨みを持つと報道されている被疑者の凶弾に倒れるという凶事(総理経験者の暗殺は2.26事件の高橋是清以来86年ぶり)がありました。ただ、開票結果を拝見すると、今回の選挙に限って言えば大きな影響があったようには思えません。自民党が着実に地盤を固める一方で立憲民主党が後記の事情で自滅したことによるある意味で順当な結果というのが、筆者の見方です。
◆「反安倍野党共闘2016」賞味期限切れと多党化
2016年、当時の安倍晋三さん(故人)の暴走を止める目的で、野党共闘が始まりました。広島県内でも翌2017年に市民連合が広島3区で県内はじめて発足しました。
安倍晋三さんという「共通の敵」が総理だった時代には野党共闘は一定の役割を果たし、とくに2016参院選、2019参院選で一定の一人区で野党側が議席を確保する原動力になりました。
しかし、2020年、安倍晋三さんが退陣し、後継の菅義偉さんも1年で退陣して岸田内閣にかわるころから、野党共闘に求心力の低下がみられました。そこへ、連合の芳野友子会長が立憲民主党と日本共産党の選挙協力にネガティブな発言を繰り返したこともあり、2021衆院選では立憲民主党も日本共産党も議席を減らす結果になりました。
一つは、安倍晋三さんという強烈な個性を持った共闘の「標的」の消滅です。野党共闘は安倍晋三さんを標的に求心力を高めたのは間違いありません。それだけ、安倍晋三さんの政治がひどかったということなのですが。
もう一つは、地域にもよりますが「政策軽視での候補者一本化」の副作用が顕在化してきたことです。
一本化においては、日本共産党さんが一方的に候補者を下ろすパターンが多かったのですが、政策の大きく違う候補を推すことで内部的なご苦労もあったと推察されます。同党の比例票も野党共闘を開始したころから減りはじめたことの背景となったとも思われます。
さらに泉代表にかわった立憲民主党が衆院選の議席減少の原因を共産党との共闘のせいにしてしまいました。
それにもかかわらず、共産党は立憲との共闘を追求したことで、立憲の衰退に巻き込まれる形になって今回の参院選では票を減らした面もあると思われます。
一方で、ガツンとモノを言うように見える参政党が初めて比例区で議席を獲得しました。参政党の選挙区候補が広島でもいきなり落下傘で5万票以上取ったのは衝撃でした。NHK党も前回に続いて議席を確保しました。
すでに衆院選2021では、広島県内の小選挙区、特に広島市関連の1-4区では野党は「一本化しても惨敗」でした。
◆市民連合は、当面は「一本化」よりも「政策・政治姿勢本位の政治」に力を
現時点では野党はこれ以上、政策不在での一本化を無理にするよりは、各党がとくに参院選複数区や、地方選挙で積極的に候補を出し、切磋琢磨し、次期衆院選までには「共闘すれば勝ちが見える」状況までもっていく必要があります。
もちろん、憲法改悪反対、核兵器禁止条約推進など個々の政策課題では協力は大事です。しかし、現時点では参院選複数区や県議選、市議選などで候補者の「一本化」工作は難しいし、効果も疑問符です。
そこで、市民連合さんにおかれても、無理な一本化よりも、市民が各政党や候補者の政策を吟味する機会をもっと設けて、野党の切磋琢磨を促すことをお勧めします。市民が「政策・政治姿勢」を重視するようになれば、広島の政治もかわってきます。
そうした意味では7月2日に市民連合さんが主催された「投票に行こう 参院選2022 候補者や政党の政策チェック市民集会」は素晴らしい取り組みでした。立憲、共産、社民、れいわ(筆者)が政党からは参加し、市民の質問に答えさせていただきました。
◆「労働貴族」化した立憲民主党の衰退
もう一つの特徴は立憲民主党が労働貴族化し、衰退していることです。
広島県内では、主に、高級官僚・経団連中心の自民党と、大手企業正社員中心の労組中心の勢力で国政や地方議会の議席を分け合ってきました。
しかし、そうした構造の中で、多くの労働者・市民の実態や思いがおきざりにされてきたのではないでしょうか?
筆者自身も元県庁マン、介護福祉士として、そのことを強く感じます。
「自民党も、野党第一党も公務における非正規労働をふやす方向の政策を進めてきた。」
「自民党も、野党第一党も介護現場の労働者の抜本的待遇改善に後ろ向きだった。」
という思いが強くあります。
そして、今春、立憲民主党は公務員労組の推薦を受けながら、公務員ボーナスカットに賛成してしまいました。また、広島県選挙区で連合や国民民主党とともに立憲民主党も推薦するタレント女性候補は、7月2日のイベントでの市民連合の政策質問の最低賃金1500円の賛否を問う質問に対して「分からない」と答えておられました。
コロナの前から厳しくコロナが追い打ちをかけ、さらにロシアのウクライナ侵略を背景にした輸入物価上昇が拍車をかけている庶民の生活苦。そうした中で、立憲民主党やその推薦候補の態度はあまりに生ぬるかったと言わざるを得ません。敢えてたとえれば、武士というより公家・貴族のような対応である。「労働貴族化している」といわざるをえません。
このような態度が参院選での立憲民主党の衰退を招いたのではないでしょうか?また、原発ゼロ・島根原発再稼働の是非についても曖昧な態度を、広島県選挙区の上記タレント女性候補もとっています。立憲民主党はこうした労働貴族体質を打破できないと再起は難しい。しかし、今回の参院選でも、比例区では辻元清美さんを除けば連合の組織内候補ばかりが当選する形になりました。こうなると、余計に同党の衰退に拍車がかかるのではないかと心配です。すなわち、「労働組合組織内議員比率上昇」→「立憲民主党の労働貴族化」→「労働貴族以外の支持者が逃散」→「労働組合組織内議員比率上昇」の悪循環が止まらなくなる恐れが出てきました。
◆市民にねざした新しい政治勢力を広島でも確立
れいわ新選組はこうしたなか、2019年の結党以来、財政出動で消費税廃止などを軸にあなたの暮らしを底上げすることを一貫して訴えてきました。
原発国有化により雇用を保証しつつの廃炉と再生可能エネルギー・蓄電池・スマートグリッドなどへの200兆円の投資、食料安保への財政出動、ケア労働の抜本的待遇改善などグリーンニューディール政策を提案しています。組織のえらい人ではなく「あなた」、すなわち、ひとりひとりの労働者・市民のための政策がれいわ新選組の政策だと思います。
自民党が大手企業(経団連)・高級官僚党なら、旧民主党政権も残念ながら労働貴族党でした。それが旧民主党政権の失敗の背景にありました。そもそも根っこが同じである以上、同じような花しか咲かない。だから、市民に根ざした政治の新しい花を広島でも全国でも咲かせたい。
こうした思いで新しい政治勢力を広島県内でも確立していく先頭に、筆者はれいわ新選組のみなさまとともに立ってまいります。
2023年には統一地方選が行われます。現状のれいわ新選組は広島市議も県議もいません。国政で決まった政策も多くは地方自治体で実施されます。自治体現場での政治活動を展開しないと、今後は苦しいものがあります。筆者自身もふくめて、広島県議や市議をつくっていく先頭に立ってまいります。
当面は、そのことを通じ、被爆地広島から核のない平和な世界、そしてひとりひとりが大事される社会を皆様と一緒につくっていくための不断の努力を続ける所存です。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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