人はよく困った時には、苦しみから、その情況やその場所から逃げたいと考えます。
ある意味で致し方のないところです。
「隣の芝生やよく見える」と言いますが、老境に差し掛かった私の経験から言っても、実際には、そうでもありません。
「今いる場所」が、たとえ地獄であっても、逃げずに踏ん張り続けよう──そこに「希望の灯をともす」。
龍一郎が当社のイベントで揮毫した「誠」という字を道場のシンボルとされている、伝説の空手家・中村誠先生は、今年のカレンダーはひときわ素晴らしいとおっしゃっておられました。私も同感です。
揮毫した龍一郎は、このかん毎年、ご母堂、学生時代から苦労を共にしてきた妻、そして師と仰ぐ中村哲医師の死と、相次いで不幸に見舞われてきました。
そこを乗り越えてきた龍一郎だからこそ言える言葉が今年のカレンダーには表現されています。
今私(たち)は、長引くコロナ禍を主たる要因として苦境に喘いでいることを隠しませんが、逃げずに「今いる場所で希望の灯をともす」ように頑張っていきたい、と思う酷暑の日々です。
(松岡利康)