9月に入りました。酷暑と新型コロナ禍再爆発で大変だった今夏も、まだ暑さは残るとはいえ少しは秋の訪れを感じさせる季節となりました。

岸田政権は、安倍前首相暗殺後の混乱に乗じ原発再稼働、さらには原発新規建設まで口に出し始めました。とんでもない話で、断固粉砕しなければなりません。

さて、本年より『NO NUKES voice』を改題、全面リニューアルし『季節』として再出発いたしました。今号で3号目となりますが、多くの皆様方にご支援いただき、まずまずの船出でした。ありがとうございました。

本誌は(2014年8月の旧『NO NUKES voice』)創刊から8年が経ちました。同時に2011年3・11から11年余りが経ちました。

創刊したのはいいとしても、以後1号たりとも黒字にならず赤字を重ね、鹿砦社の他の分野の書籍の利益を回すことで継続してきました。しかし、昨今の新型コロナ禍による打撃は想定以上に大きく、会社も急激な業績悪化で、昨年末には休刊の危機に追い込まれました。そうした情況下、小出裕章さん、樋口英明さん、井戸謙一さんはじめ多くの先生方、読者の皆様の物心両面にわたるご支援と叱咤激励は、私たちに勇気を与え奮起せざるをえない闘志を惹起させました。また、苦渋の想いで部数を減らしたり工夫に努め今号もお届けすることができました。次号以降も、多くの皆様方に支えられ必ず継続していくことを決意しお約束いたします。
 
改題・リニューアルした『季節』の前途は荒海です。しかし私たちは、被災された方々、故郷を追われた皆様方に寄り添い(皆様のご苦労に比べればなんのことはありません)、なにがなんでも寄稿者や読者の皆様方と共に乗り切ってまいります! あらためて、今後ともよろしくご支援お願い申し上げます。チラシを同封させていただきましたので、知人・友人の方へ本誌の販促、定期購読(新規、前倒し更新、複数年申し込み)、書籍や本誌バックナンバーなどの直販などをお勧めください。

末筆ながら、コロナ禍長期化と、急激な物価高など社会情勢の悪化の中、皆様方のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。

2022年9月
季節編集委員会代表兼編集長 小島 卓
株式会社鹿砦社 代表取締役 松岡利康

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2022年秋号(NO NUKES voice改題 通巻33号)

〈原発なき社会〉を求めて集う不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2022年秋号
NO NUKES voice 改題 通巻33号
紙の爆弾 2022年10月号増刊
2022年9月11日発行 
A5判/132ページ(巻頭グラビア4ページ+本文128ページ)
定価:770円(本体700円)

主要目次
[コラム]樋口英明(元裁判官)
株主代表訴訟東京地裁判決と国家賠償訴訟最高裁判決
小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]原発が原爆になる
[コラム]戦争に落ちていこうとするこの国
[講演]3・11福島原発事故から11年
脱炭素・原発再稼働・小型原発を問う
[講演]広瀬隆(作家)
二酸化炭素地球温暖化説は根拠のまったくないデマである〈中編〉
[講演]小山美砂(毎日新聞大阪社会部記者)
疑わしきは救済する──「黒い雨」訴訟と核被害への視座
[インタビュー]井戸謙一(311子ども甲状腺がん裁判弁護団長)
福島第一原発事故と甲状腺がんの因果関係を証明する
[報告]漆原牧久(「脱被ばく実現ネット」ボランティア)
311子ども甲状腺がん裁判を傍聴して
山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表、東電株主代表訴訟原告)
[報告①]東京地裁で東電元経営陣に一三兆円余の賠償金を命じる判決
原発を動かし続ける電力会社経営陣への警告
[報告②]電力逼迫を利用した原発推進政策の問題点
[報告]鈴木博喜(『民の声新聞』発行人)
そこに民主主義はない
福島第一原発「汚染水」海洋放出強行
[報告]森松明希子(東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)代表)
原発事故避難者に国連「指導原則」に則った人権保護を!
[報告]伊達信夫(原発事故広域避難者団体役員)
「原発事故避難者」はどこにいるのか?
[映画評]細谷修平(メディア研究者)
シュウくんの反核・反戦映画日誌〈2〉
原子爆弾と夢想の力──『太陽を盗んだ男』を観る
[報告]板坂 剛(作家/舞踊家)
何故、今さら重信房子なのか?
[報告]山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈17〉今日における日本人の原罪
[報告]三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
とめどなく出てくる統一教会汚染と国葬
[報告]佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
原爆・原発・統一教会~天網恢々、疎にして漏らさず!~
[書評]大今 歩(高校講師・農業)
福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか
『福島の甲状腺検査と過剰診断』(あけび書房)
[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
虚構の「電力逼迫」発表にまどわされない!
本命の原発再稼働に反対し、言論と大衆行動で闘う
《全国》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
「原発の過酷事故は我が国の存立を危うくする」=東電株主代表訴訟判決文
《六ヶ所村》山田清彦(核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団事務局長)
高レベル放射性廃液の冷却不能トラブル
《福島》けしば誠一(杉並区議会議員/反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
福島の実態を全国に配信し 原発を止める闘いを強めます
《東京電力》佐々木敏彦(東京電力本店前合同抗議実行委員会)
電力危機を煽る岸田政権・原発推進派に抗して、原発再稼働の動きを阻止しよう
《東海第二》志田文広(東海第二原発いらない!首都圏ネットワーク)
東海第二原発いらない!-茨城県知事へ要望書、日本原電へ申入書を提出
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
老朽原発・美浜3号機を廃炉に! 過酷事故が起こる前に 電気は足りている
《伊方原発》秦 左子(伊方から原発をなくす会)
私たちは「原発いらん!」と叫び続ける
伊方原発3号機再稼働絶対反対!
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
一二〇〇件のパブコメ反対意見を無視して海洋投棄認可、規制委緊急抗議行動
《読書案内》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク事務局)
日野行介『調査報道記者 ── 国策の闇を暴く仕事』
[反原発川柳]乱鬼龍

私たちは唯一の脱原発情報誌『季節』を応援しています!

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最近、地方の社会から世界の未来に関する報道まで、幅広く気になっている。

地方に関しては、たとえば地域の海士さんたちは乱獲にならぬようにルールを設定して漁をしているいっぽう、養殖魚を扱うところでは背骨などの曲がった魚を切り身にして売っているというような話を聞く。都会との2拠点生活をしている人の中には、養殖魚の問題を知っている人もいた。

わたしが引き継いだ田んぼ。昨年のはさがけの様子

『Business Journal』2021年4月28日には、

日本の漁業を歪めるドン、岸会長の全漁連“私物化”、不正が次々発覚……使途不明金も」と題し、「この状態を放置し続ければ、予算が膨張し続けるだけで一向に水産行政の改善が図られない。岸会長をはじめとした大幹部、そして全漁連を押さえつけられない国会議員には一刻も早くご退場願いたい」

と締める記事も掲載されていた。

印鑰智哉(いんやくともや)さんのFacebookをフォローしているが、2022年8月23日、

米国のある研究によると、核戦争が起きれば日本はほとんどの人が餓死する。使われた核兵器がもっとも少ないケース(100発)でも国際取引が止まれば2年以内に少なくとも7000万人以上(6割)が餓死」「食料自給率の高い国では、この条件では餓死者が出ない国も多く、日本だけで世界全体の餓死者の約3割を占めることになる

と記されている。

また、YouTubeにも、日本や世界の未来の危機を訴える動画は多いが、提示される解決策はさまざまだ。SDGsをうたう企業も増加し続けているが、結局はこれもまたSDGsをアピールすることで利益アップにつなげることを目論んでいるとしか考えにくい事例ばかりがあふれかえっている。

SDGsポスター(ひとつひとつがロゴ。『国際連合広報センター』サイトより)

◆フードロスをなくし、自給率もアップ!

わたしは、自給自足や脱資本主義を目指し、田畑での農作業、森林の再生・保全活動などに参加している。家をもらい、持続可能で自然を守るような生活に向け徐々に、そのスタイルを変化させてもいるところだ。

すると、たとえば手がけている畑では、やはり自然農に近い有機を選択し、農薬はもちろん、動物性の肥料も使わなくなる。また、珈琲や小麦粉ですら多く摂取すると体に合わないと感じるようになり、仲間や近所との物々交換が進んで自炊も増え、米や野菜、果物を多く摂取するようになった。

自らが食す分プラスアルファ程度の量の米や野菜を作る、もしくは採る(捕る・獲る)。ただし、都会や、地方に暮らしていても食べるものを作ったりすることができない人の分を、有機や自然農で作る。作れる人は皆、作る。乱獲はしない。そうすれば、餓死の未来は避けられ、水産資源の枯渇や海洋生物の絶命・減少もなくなるはずだ。

『となりのトトロ』(スタジオジブリ)のサツキ、『ドカベン』水島新司(秋田書店)のドカベンの弁当が多い、というよりも米が多い、ということが度々インターネット上で話題にのぼっている。これは、トトロは1950年代、ドカベンは70年代の弁当の反映であるとされる。70年代には徐々にまれな例になっていくのかもしれないが、たとえば現在70代で地方出身の知人の中には、米と具だくさんの汁が中心だったという人もいる。

農水省のサイトによれば、

増産によりお米の自給が達成された一方で、高度経済成長によって食生活が多様化したことで、お米の一人当たり年間消費量は、昭和37(1962)年度の118.3kgをピークに減少に転じていました。生産が需要を上回り大量の過剰在庫が発生するようになったため、昭和46(1961)年からは生産調整が本格実施されるようになり、1,200万トン前後だった生産量は、約50年で約800万トンにまで減少しました

一人当たり年間消費量も約50kgまで減りました。自給率の高いお米の消費が減ることで食料自給率(カロリーベース)は昭和40(1965)年度の73%から40%程度まで低下することとなったのです

という。

そして現在、米の値段は過去最低のレベルまで下がっている。『SankeiBiz』でも昨年、

米価下落から考えなくてはいけない『農業の本質』」と題し、「2021(令和3)年産の買い取り価格及び概算金額は、過去最低レベルまで落ち込んでしまい、多重な問題を抱えた状況となっている

と記す。

自給率を上げながらバランスを考慮しつつ、米をもっと食し、野菜や果物を摂れば、わたしたちが餓死することは確実に避けられる。すでに海外には、そのような国が存在するのだ。明治時代前期には、日本でも米を輸出していたそうだ。そして、「FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されています」「日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が捨てられており、これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量。日本人1人当たり、お茶碗1杯分のごはんの量が毎日捨てられている計算になります」(農水省サイト)というフードロスの問題も解決する必要がある。自炊が増えれば、自ずとフードロスも減るはずだ。コミュニティキッチン、コレクティブキッチンなどの共同炊事もいい。わたしも今後、実行しようと考えている。そのような複数の取り組みの中から、脱資本主義的なライフスタイルが実現できるはずだ。

◆未来から逆算し、日々を生きる

わたしが移住したエリアの人は、「あばらが1本ない」「あばらが3本ない」などといわれる。由来は諸説あるが、海幸・山幸・田畑の恵みがあることによる安心感で、のんきだとされたりするのだ。実際、現金収入が途絶えても、都会にいる頃のような焦りがあまり起きない。食べる物に困らないということは、至上の喜びだろう。

だが、特定の地域だけがどうにかなるようにするのでなく、現時点では作れない人などの分も専業農家さんなどを中心に確保し、それが労力にみあった適正価格で広まっていく必要もある。餓死者が出るような状況を現場から改善していきながら、他地域はもちろん、海外の人々とも連携できるよう、今できることを進めたい。

もちろん現在は、まだ資本主義下にあるため、賃労働は必要だし、現金収入を確保できなければ焦りもあるだろう。だが、100年後、200年後、300年後を想定し、今を生きることは可能だ。

わたしは原種に近いトルコのオリーブの栽培をお手伝いすることもしている。オリーブは樹齢500年とも、場所や種によっては1,000年とも3,000年ともいわれる。未来から逆算し、できることが確実にある。まずは、ご関心をおもちの方がいらっしゃれば、9月の稲刈りにご参加いただければ幸いだ(連絡先は下方のプロフィール Facebook参照)。

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)
1972年生まれ。フリーライター。『現代用語の基礎知識』、『週刊金曜日』、『紙の爆弾』、『NO NUKES voice(現・季節)』、『情況』、『現代の理論』、『都市問題』、『流砂』等、さまざまな社会派媒体に寄稿してきたが、現在、農的暮らしを実現すべく、田畑の作業、森林の再生・保全活動なども手がける。農作業体験は大歓迎! Facebook  https://www.facebook.com/hasumi.koba

党綱領を自ら否定した自民党は即時解散せよ 岸田内閣改造人事の真相 月刊『紙の爆弾』2022年10月号

9月号の鈴木エイト氏、横田一氏らのレポートに続き、10月号でも「政治と宗教」の問題にスポットを当てました。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題、とくにカルト規制については、識者といわれる人々の一部から「信教の自由」との兼ね合いで消極的な意見が聞かれます。別にそうした人々が旧統一教会におもねっているとは思いませんが、その種の心配は杞憂に過ぎず、そもそも「カルト規制」と「宗教規制」は違うということを、今月号では解説しています。

安倍晋三元首相の「国葬儀」に反対する声は高まる一方、抗議運動が各地で繰り広げられています。「国葬儀」は、国民の大多数から反対を受けているからこそ法的根拠を示さなければならないわけですが、根拠がない以上出せません。それでもゴリ押しする理由は何か。歴代最長政権を築きながら、路上で、しかも誰かの代わりに狙われて死亡した。その“最期”のイメージを上書きするのが狙いのひとつかもしれません。暗殺シーンはそのまま旧統一教会との関係を想起させ、それ以外にも“負の遺産”は山ほどあります。いずれにせよ「隠蔽」が目的とみて間違いないようです。

一方で、安倍首相暗殺事件そのものへもスポットを当てました。事件については一定の“公式見解”が出されましたが、致命傷に至ったとされる銃弾一発が発見されず、容疑者は4カ月間の鑑定留置。報道された「供述」において、あれほど明確に意図を語った容疑者を、なぜ精神鑑定する必要があるのか。事態を有耶無耶にするための時間稼ぎ目的としか思えず、これで真相が解明されるかは大いに疑問です。そこで今月号では、事件に関係する可能性のあるいくつかの事実についてレポートしています。一方で、8月25日には中村格警察庁長官が“引責辞任”。周知のとおり、ジャーナリストの伊藤詩織氏が性被害を受けた事件で、安倍氏べったりだった元TBS記者・山口敬之氏の逮捕中止を命じた人物です。

ともあれ、事件によって「政治と宗教」に注目が集まっています。多くの議員が選挙に勝つために旧統一教会から支援を受け、実際に当選してきたことは、過去に本誌でも指摘してきたとおり。この機会に、この国に本当に民主主義があったのかを見直さなければなりません。さらに、旧統一教会の影響もみられる自民党改憲案も見直させるべきでしょう。山口那津男・公明党代表は「宗教団体が価値観を政治過程に反映していくのは民主主義の望ましい姿」と述べました。選挙のたび、票を的確に自公の候補者に配分する創価学会の手腕に毎回感心してきましたが、それを「民主主義の望ましい姿」と呼ぶのはあまりに無理があります。

ついに原発新設まで言い出した岸田文雄首相。今のエネルギー問題(も本当か疑わしい)を理由に原発を新造する、という論理自体が理解できるものではありません。実行したとして、完成を首相として見届けることはないでしょうから、“負の遺産”となることは確実です。再稼働阻止に加え、新たなテーマが浮上したことになります。そもそも「脱炭素」とは何かから、問い直す必要があります。今月も独自の視点から、問題を深掘りするレポートをお届けします。全国書店にて発売中ですので、ご一読をよろしくお願いいたします。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2022年10月号

『紙の爆弾』2022年10月号
目次
維新、参政党にも直撃取材 自民党と旧統一教会 現在に続く“関係”
目的は“旧統一教会隠し”だけではない 岸田内閣改造人事の真相
「自由」「民主主義」の党綱領を自ら否定 自民党・公明党は即時解散せよ
日本が「カルト天国」である理由「政治と宗教」癒着の裏に2つの事件
既成宗教・宗教学者の“反発”は的外れ「反セクト法」とは何か
安倍国葬に法的根拠は絶対にない「国葬令」はなぜ廃止されたか
日米の「宗教右派」を分析する旧統一教会はいかにして政治力を持ったのか
防衛省が極秘調査していた「安倍暗殺」に残された謎を追う
事務所ぐるみの蜜月疑惑も 旧統一教会と芸能界
それは「安倍ゴルフ」から始まった 米下院議長「横田入国」の国辱を是正せよ!
平壌「よど号」メンバーから見たニッポン ウクライナ戦争と「第三次世界大戦」
アクリルに 跳ね返された 投げキッス 刑務所川柳の世界にようこそ
厚労省「使用罪」新設の裏側 大麻をめぐる「あるべき議論」
統一教会は《世界極右テロ組織連合》の中核機関である!
シリーズ 日本の冤罪30 東金女児殺害事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
広島拘置所より… 上田美由紀
元公安・現イスラム教徒 西道弘はこう考える
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵
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安倍晋三さんの国葬を早々と決めてしまった岸田文雄総理。その岸田総理の地元・広島市内からも、国葬反対の声が強くなっています。

◆広島3区市民連合が団体として取り組む決議

 

広島3区市民連合(代表・山田延廣弁護士)は8月28日、総会を開催。筆者も、れいわ新選組を代表してあいさつをさせていただきました。この総会で、故・安倍晋三さんの国葬に反対する署名運動(紙ベース)と、知事の湯崎英彦さんが国葬に出席しないように監査委員に必要な措置を求める住民監査請求に取り組むことを決議しました。

広島3区市民連合は、その中心メンバーが河井案里さんと夫の克行受刑者夫妻による買収事件の告発を行い、両名が逮捕・起訴・有罪に追い込まれるきっかけをつくりました。

今回、決議された、①ベースでの国葬反対の署名運動、②湯崎英彦知事が国葬に出席しないよう必要な措置を求める住民監査請求は、いわゆる執行部提案の議案にはありませんでした。しかしながら、会場に参加した一般会員からぜひ取り組んでほしい、との声が次々と上がりました。

 

「ネットでは、国葬反対の署名運動がたくさん起きている。しかし、これではお年寄りにはお願いしにくい」(安佐南区在住の60代男性)

「国葬は憲法の政教分離に反するのではないか?これをきっかけに、政教分離をきちんとすべきではないのか?」(安佐南区在住の70代男性)

「地域の知り合いからも国葬するなんてどうなっとるのじゃ?!という声が多くある。ぜひ、取り組んでほしい。」(安佐南区在住の60代女性)などの声が続出しました。

これを受けて、執行部は検討する、と答弁しましたが、「ここは総会で、最高決議機関なのだから、ここで決議しようではないか」という声が出て、国葬反対や監査請求に取り組むことが決議され、詳細は執行部に任せることになりました。

◆「大きい声で言えぬが安倍さんはやられて当然」案里さんの元支持者からも

筆者は地域の皆様に一軒一軒ご挨拶にうかがっています。その中で以下のような声もいただいています。

選挙のたびに河井案里さんに投票してきたという女性は、「大きい声では言えぬが、安倍さんはやられて当然。彼のせいでうちらの年金も減らされてきたのだし。案里さんは女性でがんばっているから入れてきたけど。国葬なんてとんでもない。」と小声でおっしゃいました。

また、ある男性は「安倍はやられて当然さ。それより、山上徹也被疑者を死刑にしないでほしい。あいつは気の毒だ。よくやったと思う。」と、山上徹也被疑者に同情される方もいらっしゃいました。

すでに、西日本大水害2018の時には、安倍晋三さんの危機管理のヌルさにいら立ったボランティアから「8.6に広島に来る総理を暗殺するやつがいたら面白いのに。」という冗談が休憩時間中に飛んで、一同大爆笑になったのを筆者はよく覚えています。

その方は、「総理が現場に視察に来るのは迷惑だけど、天皇陛下が来るのはありがたい。」という言い方をされていました。ですから、いわゆる反安倍の左翼ではありません。むしろ保守的な方でしょう。

広島の場合は、岸田さんを支持する人は多いのですが、安倍さんにたいしてはむしろ反感のようなものも強く感じます。安倍政権時代の2017年の衆院選でも県内の野党の比例票が与党を上回っていました。広島は超ウルトラ保守王国です。小選挙区で岸田さんを通すけれども、比例では野党、という人も多かった。安倍さんに拒絶を示している人はそもそも多かったのです。岸田さんに期待はするけど、安倍さんは嫌い、という層がどう動くか?今後が注目されます。

◆住民監査請求、全国各地で

報道で皆様もご存じと思いますが、知事が国葬に出席するための出張旅費の支出を差し止めるための住民監査請求は各地で起こされています。8月19日、北海道、大阪、京都、兵庫ではすでに起こされています。国葬は追悼を国民に強いるものだとして、憲法14条や19条に反するものだと訴えています。

国葬そのものを阻止できなくても、地域を代表する知事が出席しなければ、9月27日の国葬当日のその地域の雰囲気もだいぶ違うことになるでしょう。弔意を強要されるような雰囲気でもなくなるでしょう。

◆河井事件、水害時の危機管理の検証を妨げる国葬

筆者ももちろん、安倍晋三さんの国葬には反対です。国葬令が廃止された時点で法的な根拠もなくなっています。1967年に吉田茂を国葬にした際も、大きな反対運動が起きていますが当然です。

広島に関連していえば、河井案里さん側にわたった1.5億円は、当時の自民党総裁の安倍晋三さんが最高責任者です。国葬で、安倍さんを天皇と同格に持ち上げることは、真相の解明を妨げることになります。

また、西日本大水害2018における安倍内閣の危機管理は大きな課題を残しました。このことを検証し、将来の災害の際に人々の命を守れるようにするためにも、安倍晋三さんを過剰に持ち上げる国葬はマイナスです。

そして、旧・統一協会の問題も大きい。すでに、安倍さんは、旧・統一協会により、ソウルで大々的に追悼をしてもらっています。そのような男を国葬にするということは、日本という国家が誤解されることになる。いや、統一協会まみれという真相を世界に暴露するという意味はあるのかもしれませんが、やはり恥ずかしすぎることです。もちろん、弔問に来てくれる各国要人はそういうことは表に出しませんが、外国人も本音と建前は使い分けるということを忘れてはいけないのです。取り返しのつかない恥をかく前、国葬は中止、ないし、せめて故・中曽根康弘さんなどの先例に倣って内閣と自民党の合同葬にすべきでしょう。

すでに、各国の現役首脳も参加を見送る方向です。「弔問外交」という国葬賛成派の論拠も崩れつつあります。ここらへんで引き返したらいかがでしょうか? 岸田総理。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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党綱領を自ら否定した自民党は即時解散せよ 岸田内閣改造人事の真相 月刊『紙の爆弾』2022年10月号

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

興味をそそられるのは、安倍元総理殺害事件の「真相」である。山上徹也容疑者ではなく、ほかにスナイパーがいた! というのである。

殺害の黒幕は誰か? 殺害が組織的な犯行だとして、どのような勢力が背後にいるのか? 事件はケネディ暗殺事件なみの疑惑を生じさせている。

というのも、不可解な銃撃音(サイレンサー付き?)が入っている動画(YouTube)が、なぜか閲覧禁止になったからだ。もう読んでいて興奮、ドキドキワクワクである。このドキドキ感は本誌をめくって愉しんで欲しいが、キーワードをいくつか紹介しておこう。

◆二発の銃撃のあいだに「ピュッ」という音が!

事件の謎への糸口を教えてくれるのは、片岡亮の「防衛庁が極秘捜査していた安倍暗殺に残された謎を追う」である。

山上容疑者が海上自衛隊出身ということで、防衛庁は事件当初から捜査に乗り出していたようだ。片岡の記事によると、軍事ジャーナリストの事務所に在籍していたフリーライターの証言として、防衛庁の捜査に協力した詳細が明らかになっている。

またSNSで話題になった動画に、不可解な点があるという。二度目の発砲の前に、安倍元総理の襟が不自然になびいているというのだ。

そして山上容疑者が放った一発目と二発目のあいだに「ピュッ」という音が入っているという。ようするに、第三の銃弾が安倍を襲ったのではないか。安倍の遺体から弾丸が摘出されなかった(警察・執刀医発表)のは、マスコミ報道で明らかになっている。消えた銃弾はどこに行ったのだ? ※安倍の心臓壁をえぐり、外に出た説が有力。

さらに、なぜか8月になると、防衛庁は「これ以上の分析はしないことになった」と、フリーライターに通告してきたのだ。それも「なるべく憶測でモノを言わないでほしい」と釘を刺したという。

いっぽうで、現場近くのビル屋上に「黒人に見える」人影があり、白いテントが確認されたという(タレントのさかきゆい)。本当に散弾銃だったのか? と疑問を呈するのは、マッド・アマノ(世界を裏から見てみよう)である。

アマノはYouTubeやSNSで検証されている疑惑(仮説)について、想像画像付きで解説する。

その仮説では「別の二人の人物」が放った弾は、22ロングライフル銃から撃たれたものだという。問題は役30メートルから狙って、みごとに貫通させた(弾丸が見つかっていない)のである。そんな手腕の持主は、オリンピックのクレー射撃選手だった麻生太郎ではないか、とアマノはいう。したがって、麻生の見解をもとめる必要があると、アマノは主張するのだ。得心させられた(笑)。

◆安倍殺害に暗躍した組織とは?

それでは、どんな組織が安倍殺害に暗躍したのだろうか? 山上容疑者の狙撃を前提(予測=殺害計画の囮)にしながら、なおかつ銃弾が安倍の体内から発見されない犯行(完全犯罪)を可能にする組織とは──。

片岡亮は、安倍が7月30日に台湾を訪れる予定(李登輝総統の命日)があったことから、中国当局の関与を可能性に挙げているが、西本頑司「権力者たちのバトルロイヤル──誰が安倍晋三を殺したのか」は、そうではないという。

西本はまず、CIAの謀略で排除された中川一郎・中川昭一親子を例に挙げ、あまりにも出来過ぎた安倍殺害の背後関係を解説する。

安倍の死後、約一カ月で行なわれたトランプ元大統領への「国家機密漏洩」疑惑捜査が、なぞを解くカギであるという。そう、安倍とトランプがともに親プーチンであり、金正恩を水面下で工作できる存在であること。

大統領当選時、メディアのトランプバッシングに対して、端無くもトランプが発した言葉「クリミナル・ディープステート(DS)」こそが、それを言い当てているというのだ。したがって安倍元総理はDSによって、裏切り者として血祭りに上げられたことになる。安倍の弔問にヌーランド女史(影の参謀総長)が訪れたとき、岸田総理は震えあがったのではないかと、アマノさん。どうです、ドキドキしてきたでしょ。

◆統一教会問題と安倍国葬

統一教会問題の論点としては、「反セクト法」制定について、フランス在住の広岡裕児が、これにたいする宗教学者の反発を批判している。

「反セクト法」は、その対象が一般宗徒におよぶこと、信教の自由を侵害するのではないかとの批判がある。橋下徹が批判の論陣を張ったことでも知られるようになった。

フランス(アブー・ピカール法=反セクト法)でも刑事事犯への適用は少ないという。アメリカでも憲法修正第一条における「信教上の自由を侵してはならない」によって、カルト対策の州法が実現に至っていない。

フランス法の条文を読む限り、かなり危険な法律であることは間違いない。

①法的形態を問わず
②その活動に参加する人の心理または肉体的服従を創造したりすることを目的または効果とするあらゆる法人で
③法人そのものまたはその法的あるいは実質的指導者が以下の一つまたは複数の犯罪について、複数の確定有罪判決を受けた(以下には、刑法・医療・薬事法・不当虚偽広告規制など)。

つまり、③の構成要件(指導メンバーの犯罪)があれば「カルト」と規定し、規制できるというのだ。かぎりなく権力(政権および捜査当局)のデッチ上げを誘発しかねない条文だといえよう。

民事裁判手続きが必要とされているが、指定暴力団の規制が、当事者の抗弁権をほとんど認めていない(聴き取るが、ことごとく却下)現状では、権力の恣意性にまかされることになる。政治団体にたいする破壊活動防止法(新左翼党派の指導者・オウムにのみ適用)とほぼ同じ内容のものが、宗教団体に適用されることになるのだ。

むしろ大山友樹がレポート「政治と宗教・癒着の裏に2つの事件」で明らかにしているとおり、宗教団体への税務調査や宗教指導者への証人喚問(いずれも創価学会を震え上がらせ、公明党の与党参加の一因となった)など、政治と宗教の問題を国民的な議論として行くほうが効果的であろう。

宗教法人は事業収入こそ課税されているが、最大のメリットは寄付金と固定資産税の免税である。そこへの課税は政治議論としても行なわれて来なかったが、宗教法人としての許認可は、宗派としての死活問題である。この議論をやろうではないか。政治と宗教、宗教と国民生活というテーマは、まともになされて来なかったのだから。

末尾になったが、安倍国葬問題にも的確なレポートが掲載されていることを付加しておきたい。秋の訪れとともに、時代への視点を刮目させる、紙爆の購読をよろしく。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

党綱領を自ら否定した自民党は即時解散せよ 岸田内閣改造人事の真相 月刊『紙の爆弾』2022年10月号

優れた経営者として名を馳せてきた稲盛和夫氏が、8月24日に亡くなった。ウィキペディアによると、同氏の経歴は次の通りである。

 

稲盛和夫氏(出典:ウィキペディア)

稲盛 和夫(いなもり かずお、1932年〈昭和7年〉1月21日 – 2022年〈令和4年〉8月24日)は、日本の実業家。京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者。公益財団法人稲盛財団理事長。「盛和塾」塾長]。日本航空名誉会長。

京セラやKDDIの創業者。経営に関する著書も多い。ビジネスマンの間で評価が高く、松下幸之助と並んで、経営の神様としてもてはやされていきた。金策に富んだ経済人だった。しかし、日本航空のリストラに大鉈を振るったという批判も浴びた。

この人物の「名言」について書くとき、わたしには素朴な疑問がある。

◆電磁波という新世代の公害

2020年の夏、KDDIはわたしが住む埼玉県朝霞市の城山公園(市の所有地)に携帯電話の基地局を設置した。土地の賃料は、月額で約360円。無料同然の賃料を市に納金し、朝霞市でも電話ビジネスを拡大した。だが、基地局が放射するマイクロ波を1日24時間、365日にわたって被曝させられる近隣住民はたまったものではない。モルモット同然だ。立派な迷惑行為である。

KDDIの基地局設置現場。朝霞市の城山公園

わたしは基地局設置の工事に気づき、KDDIの子会社・KDDIエンジニアリングに工事の中止を求めた。欧米では、電磁波による人体影響を考慮して、基地局の設置には一定の制限を設けている。設置された基地局を撤去するように裁判所が判決を下した例もある。

KDDIエンジニアリングは、わたしの要請に応じて、一旦工事を中止した。そして現場から機材を搬出した。さらに現場を木の柵で囲って、立ち入り禁止にした。

その後、わたしは何度かKDDIエンジニアリングの担当者や朝霞市の職員と話し合った。しかし、KDDIエンジニアリングは、何の合意事項にも至らないまま、一方的に工事を再開して基地局を完成させたのである。朝霞市もそれを黙認した。住民よりも企業に手厚い便宜を図ったのである。

後日、わたしは富岡勝則市長に電磁波の人体影響に関する公開質問状を送ったが、電磁波問題そのものを分かっていない様子だった。

◆企業エゴイズムを露呈

東京都板橋区でも、KDDIが基地局の設置をめぐりトラブルを起こしている。密集した住宅街の中のマンションに基地局を設置したところ、住民たちが撤去を求めて声をあげた。基地局直近の民家の住民は、10数メートルの距離から電磁波の放射を受ける。3階の窓を開けると、目の前に基地局があるので、心理的にも圧迫される。

向かいのマンションの住民たちも、窓のすぐそばに巨大なアンテナがあるので気持ちが滅入ってしまうと話す。寝室を電磁波に直撃されないところへ変えた人もいる。「終の棲家が台無しになった」と嘆いている人もいた。

数年前には、やはりKDDIが川崎市宮前区犬蔵でトラブルを起こした。中層マンションの屋上に基地局を設置して、アンテナ直下の住民夫妻の怒りに火を着けた。夫妻のうち、妻はフィンランドの出身だった。

「自国では、民家の屋根や直近に基地局を設置することなど絶対にありえません」

欧米では電磁波による人体影響は、常識となっている。メディアも基地局問題を報じる。

KDDIは、過去に延岡市でもトラブルを起こしたことがある。3階建てアパートの屋上に基地局を設置して操業を始めたところ、近隣から苦情がでた。健康被害が広がり、2009年、30人の住民が操業の差し止めを求めて提訴した。

『朝日新聞』は、提訴前の2007年12月16日、住民らの健康被害について次のように伝えている。

延岡市大貫町5丁目にある携帯電話基地局のアンテナが原因として、住民が健康被害を訴えている問題で、市は14日、先月末に実施した健康相談の結果を公表した。45人が耳鳴りや頭痛を訴えており、大半は基地局が設置された昨年11月以降に自覚症状が出たという。

健康相談は11月29日から3日間、現地で行い60人が訪れた。耳鳴りが31人で最も多く、肩こりが16人、不眠が14人と続いた(複数回答)。胃腸不良や胸の痛みを訴える人もいた。

自覚症状を感じ始めた時期は、基地局が設置された昨年10~12月が22人で半数を占めた。市健康管理課は「結果的に時期が重なった人が多かったが、これが電磁波の影響かは分からない」としている。

判決は、住民側の敗訴だった。それに力を得て、KDDIはそのまま操業を持続した。住民感情よりも、自社の経済活動を優先してきたのである。

◆規制になっていない総務省の規制値

ちなみに総務省が定めたマイクロ波の規制値は、たとえば欧州評議会に比べて1万倍も緩い。実質的には規制になっていない。次に示すのが数値の比較である。

・日本:1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・平方センチメートル)
・ロシア:10μW/c㎡
・スイス:9.5μW/c㎡
・欧州評議会:0.1μW/c㎡、(勧告値)

◆「経営とは、人として正しい生き方を貫くことだ。」

KDDIが起こした基地局問題の現場へ足を運ぶたびに、わたしは住民らが共通したある疑問を口にするのを聞いてきた。それは、

「経営の神様、稲盛和夫は基地局問題をどう考えているのだろうか」

と、いう問いである。わたしも同じ疑問を抱いてきた。「名言」と実際にやっていることが、言行不一致になっている。

「常に明るさを失わず努力する人には、神はちゃんと未来を準備してくれます。」

「経営とは、人として正しい生き方を貫くことだ。」

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

稲盛氏は、自社のエゴイズムには、無頓着な人物だったのではないか。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』

◆観る側の退屈さ

過去に取り上げたムエタイ技がテーマのヒジ打ちに続く首相撲版となります。

この首相撲はキックボクシングやムエタイでの接近戦で、相手の首を掴み、ヒザ蹴り等に繋げる流れの中で、掴み技としての呼称となっています。

ムエタイ用語で首相撲をムエプラム(MuayPram)と言います。発音は“モエパン”に近く、「組み付く」という意味で、ムエプラムは一般的にレスリングの意味に取られてしまうこともあり、会話の趣旨で判断することになります。

そのムエタイの首相撲をテレビで観たことある人はなかなか退屈な攻防に映ったでしょう。クリンチに見える状態では多少のヒザ蹴り攻防があってもノックアウトには繋がり難く、これが5ラウンド終了まで続けば、観る側にとって早送りしたくなる状態です。

そんな視聴者を飽きさせない展開を造ったのが1990年代前半から始まった3回戦制と首相撲回避のK-1でしょう。

福田海斗がトゥカターペットに首相撲からのヒザ蹴りを浴びせる(2016年7月29日)

◆首相撲の極意

キックボクシング本来は、至近距離からのパンチと蹴りに加え、密着戦ではヒザ蹴りやヒジ打ちが加わる展開で、採点基準を除けば見た目には分かり易い競技です。

しかし、ムエタイでの首相撲は重要なテクニックであることは、この競技に関わる者は周知の事実でしょう。

一般人から退屈と見えるこのクリンチ状態の首相撲の攻防は、ただ抱き合っている訳でも休んでいる訳でもなく、首を掴んで下へ捻じ伏せ、ボディーや顔面にヒザ蹴りを入れる。またはそうさせない為の首の取り合いの地味な攻防が続き、首の取れないガップリ四つ相撲状態でも自分は楽に、相手には苦しい体勢へ体重を掛け合い、ヒザ蹴りの攻防や、隙あらばヒジ打ちを叩き込み、相手を転ばせば優位に立つ。または転ばされないように気を抜かない。簡単に言えばこんな展開が繰り広げられています。

パンチの打ち合いや蹴り合いは実力拮抗した同士では簡単には差が付かないもので、首相撲は立ち技競技の寝技的攻防からヒザ蹴り、ヒジ打ち、体勢を崩させ転ばし等の練習をしっかりやっている選手とやっていない選手とでは、劣勢な側は疲労しスタミナを失い、為す術が無くなってしまうような差が出ます。

また相手の首を掴みに行くより組み合って来る相手の腕を払い、相手に組ませない体勢、距離感を保つテクニックもあります。

[左]90年代の名選手、ナンポン・ノーンキーパフユットの首相撲の練習風景(1990年)/[右]グルーグチャイはヒザ蹴り得意で首相撲練習もみっちり長かった(1992年)

鈴木翔也vs健太の組み合った攻防(2021年9月19日)

◆対応策

ある国内チャンピオン経験者は「タイ選手との首相撲は敵わないので、組み合っても動きが止まればブレイクが掛かるので、レフェリーをチラッと見てブレイクを待ったりしましたね。組まれて対抗するとスタミナ消耗するので、何とか離れてパンチで勝負するしかなくなります」という首相撲逃れの手の内でしょう。

またあるムエタイ修行経験者はトレーナーから「首を掴まれたら頭突きを入れろ!」とか「頭突きを入れてから、相手の身体を押してヒジ打ち!」といった戦略を指導されたりもしたようです。

頭突きそのものは反則ながら、相手に引き込まれることの偶然を装って頭突きを入れる。そこは見極めが難しかったり、攻防の流れの中としてレフェリーが黙認する場合もあるという。グローブの内側にワセリン縫っておいて首相撲に来たら相手の目にグローブ内側押し付けてゴシゴシ嫌がらせする話も聞いたことありますが、あくまでもセコいテクニックの例です。

タイでは「首相撲練習は最低30分はやる」というジムは多いでしょう。実際、試合が近い選手には練習相手数人が入れ代わり立ち代わり組み付いて休ませない展開が見られます。現在、ラジャダムナン系バンタム級ランカーのヨーティン・F・Aグループは首相撲が強いと評判で、ガッチリ掴まえられたら外しようが無く、そのまま終了までキツイ状態が続くと言われます。

ムエタイをよく衛星中継観戦する関係者の意見では、「日本人同士では組み方にあまりレパートリーがなく同じ形一辺倒になりがちです。タイでは首相撲の組み方はとても多彩で、接近戦においても距離が変わり、そこにヒザ蹴りも多様な角度で入ってくるので、日本が追いつけないほど高度ではあることは確かです」と言い、その肥えた目線では、日本人選手の中で首相撲が上手いのは、タイでの活躍多い福田海斗で、首相撲を含めた接近戦からのヒジ打ちヒザ蹴りは見応えがあり、タイのギャンブラーからも評価が高いと言われます。

目をグローブで押さえヒジ打ちといった、えげつない展開もあり(2021年9月19日)

◆理解されない壁

日本では新世代のジュニアキック世代が急成長し、福田海斗をはじめ、吉成名高、奥脇竜哉がムエタイ殿堂王座を制覇するほど強く上手くなった時代ですが、結局は「こんな地味で退屈な首相撲」という観方が払拭されない限り、首相撲の攻防だけで盛り上がることなく、今後も日本での爆発的にムエタイ人気が上がることは考え難いところ、「パンチを打たず蹴らず、くっ付き合っている首相撲とは何が繰り広げられているのか」が少しでも理解されれば幸いなところです。

現在、タイでもイベント系ムエタイが流行りだし、3回戦制で首相撲になってもブレイクも早いようで、首相撲テクニックが重要視されるのは、やはり通常のスタジアムでの5回戦ムエタイで、いずれは原点回帰していくことでしょう。

経験豊富な選手から見れば突っ込みどころ満載の記事ではありますが、首相撲の展開について解説させて頂きました。

一航の首相撲を振り解こうとする馬渡亮太(2021年8月22日)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

2022年は、広島県内に大きな被害を与えた西日本大水害2018(県内の死者・不明者114人)から4年、そして、広島土砂災害2014(県内の死者77人)から8年となります。

追悼演説

二つの災害で、広島と言えば土砂災害、というイメージを持たれている方も多くなりました。実際、遠方から来られた観光客の方が、電車の窓から、山間部に広がる住宅地をご覧になり、不安そうに会話されているのをよく拝見しています。

筆者は、両方の災害で、復旧のためのボランティアとして現地に入っています。そして、2014年の広島土砂災害のときの教訓が十分生きていれば、2018年の西日本大水害での被害も抑えられたのではないか?という無念さを感じています。

また、両方の災害において、国葬を地元の岸田総理が強行決定した故・安倍晋三さんの危機管理のお粗末さが表れたことも特筆されます。安倍晋三さんに関しても、4年前の災害の教訓をまったくいかしていないと言わざるを得ません。

県政・市政でも、国政でも「教訓が活かされなかった」ことが教訓である。そのように考えます。そして今後、そのようなことが絶対に繰り返されないようにしたいと誓うものです。

筆者は広島土砂災害2014から8年を前にした8月19日、同災害の大きな被災地である広島市安佐南区山本や緑井で街頭演説。「災害に強い社会とはひとりひとりに優しい社会だ」などと訴えました。

また、緑井では続けて同じ場所で行われた広島3区市民連合の街宣にも参加。「二つの広島を襲った災害での危機管理がまずかった安倍晋三さんの国葬は、故人の神格化を通じて危機管理の検証を妨げることになる」などと力を込めました。そして、最大の被災地のど真ん中の梅林小学校の慰霊碑に参拝し、献花しました。

◆広島土砂災害2014契機に東京帰還を中止した筆者

慰霊碑献花

広島土砂災害2014は2014年8月19日深夜から翌20日の未明にかけて広島市北部の安佐南区・安佐北区のそれも狭い範囲で発生した線状降水帯による集中豪雨が引き起こしました。

筆者は、2014年の発災当時は、14年余り活動してきた広島を後にし、事実上の故郷である東京へ事実上、活動拠点を移していました。東京での就職も決まり、あとは、家の契約も決まっていました。これは、一つは、筆者の政治活動が頭打ち状態で、自身の仕事もなおかつ支持基盤となるような方が東京の方が多い、という判断もありました。筆者は、参院選広島再選挙の政見放送でも述べたように将来的には広島県選出の参院議員か広島県知事か広島市長かになり、「エコでフェアでピースな世界をこの広島からつくっていく」ということをずっと公言していますが、当時は、結婚を機にまず東京で再起を図るということを考えていました。

ところが、この災害がひとつの転機となります。おそらくこの災害がなければ筆者は、東京で国政選挙を目指したかもしれません。実際に、東京都内で街宣活動も始めていました。それがこの災害を契機に一変したのです。

「お世話になった広島、それも自分がお世話になっている安佐南区が大変なことになっている。」

状況の中で、筆者の選択は、広島へ戻る一択でした。

筆者は、就職が内定していた先の企業や入居が内定していた不動産屋さんに頭を下げ、キャンセル。

23日夜には広島市安芸区の妻の実家にいったん入りました。そして以下のメッセージをネットで発信しました。

【緊急に被災地入りへ】
被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。
わたくし、さとうしゅういちは、本日夜、広島市入りします。
今回、お世話になった地域が甚大な被害を受けました。そうした中で、天候や自分自身の日程も見ながら、最善のことをさせていただきたいと存じます。
東京移転後も、安佐南区内のさとうしゅういち事務所はまだ引きはらってはいません。明日以降は被災地に近接する安佐南区祇園のさとうしゅういち事務所を拠点に行動します。
また、今回の甚大な災害を受け、「東京に移転」としていた、わたくし・さとうしゅういちの今後の活動についても再度修正の可能性がございます。当面、被災地の広島県民の皆様の暮らしの復旧に力を尽くします。よろしくお願い申し上げます。2014年8月23日

◆一見平静な被災地の隣接地区 被災地から通う人も多く

24日には、広島市安佐南区古市橋駅近くの事務所兼自宅に入りました。ここは、被害が最もひどかった地域の南端にあたる緑井地区からも直線距離で2kmしかありません。この日は、雨が降り、ボランティア活動は中止でした。

事務所がある祇園・古市地区は、大雨の際、最大の商業施設のイオンモール祇園が浸水しましたが、大きな被害もなく、土曜日とあって、カープ観戦にユニフォームを着ていかれる親子連れも見られました。

しかし、行き付けの美容室の女性美容師さんは、可部地区在住です。床上浸水で、片付けに4日もかかったそうでした。この日、ようやく、母親の自宅と併設の美容室に出勤され、筆者が最初の客だったようです。ましてや、土石流に直撃された場所においておや。被害規模は想像以上です。そういう人でも生活のために仕事はしないといけない。そうした人がされている店を利用するなどもボランティアができない日の支援の方法だと思いました。

そして、翌日には以下のメッセージを筆者は発信しました。

【災害対応につき8月末までの関東での予定はすべてキャンセルです】

わたくし、さとうしゅういちが関東エリアで8月末までに入れていたスケジュールは、安佐南区の災害によりすべてキャンセルとさせていただきます。大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解・ご協力、よろしくお願いいたします。

この日もボランティアどころではなく、まず、広島で再スタートするための環境整備に時間を費やしました。

また、奮闘されている他党派の方にも激励のメッセージをさせていただくなどしました。

8月31日には、温かいみそ汁を被災者の方に提供するボランティアに参加

26日には、緑の党・ひろしま代表として、現地調査を行いました。 

そして、それを広島市議会各会派やマスコミ関係者などにもお送りしました。

28日には広島市議会の全員協議会があり、傍聴をさせていただきました。

また、当時は広島で唯一の野党所属の衆院議員だった中丸啓さんには、広島市の災害対策本部に我々の提言を提出していただきました。現在は自民党議員の秘書をされているそうですが、災害時は与野党ありません。とにかく市民のためにできることを精一杯させていただきました。

8月31日には、温かいみそ汁を被災者の方に提供するボランティアに参加しました。

翌9月1日から可部線がようやく、可部までの全区間、仮復旧しました。筆者は、9月4日には二回目の被災地の現地調査を行いました。

八木地区

さらに、5日に八木地区(写真)、7日に緑井地区で復旧作業に従事しました。大きな被害があったのは、本当にいま思えば、狭い範囲でした。

だが、4年後、まさか、同じ場所ではありませんが、県内の広い範囲で、これよりもすさまじい土砂災害が起きるとは、この当時は筆者も夢にも思っていませんでした。

同程度の被害範囲の災害を頭の中では想定はしていましたが、2018年のような広い範囲の災害は想定していませんでした。

残念ながら、被災地である安佐南区・安佐北区選出以外の市議や県議の中には支持者からの「先生、お忙しいのでは?」との見舞いの挨拶に対して「そんなことないよ。うちの区は被害がなかったし」という緊張感のない返答をされていた、と当該議員の支持者からうかがっています。

広島市民・県民の多くも被災者に対して同情し、支援しなければ、という気持ちにはなっても、「まさか、自分の地域にふりかかることはあるまい」という気持ちが潜在意識の中のどこかにあったのではないでしょうか?

◆もし、2014年の教訓を生かしていれば、避けられた2018での被害拡大

2014年の広島土砂災害の教訓はもちろん一定程度は生きました。具体的には被災地での砂防ダムの整備です。

写真のように、最大の被災地の梅林地区(住居表示では安佐南区緑井と八木にまたがる)では砂防ダムが多く建設されました。

 

広島の場合、平地が狭く、1970年代前後に山間部に危険性を顧みずどんどん開発を許可した経緯があります。いますぐ危険地帯からの撤収が難しい以上は、砂防ダムをつくって安全を守るしかありません。しかし、その砂防ダムも土砂がたまっていけば機能しなくなります。それどころか、むしろ、西日本大水害2018の時は危険要因にすらなってしまいました。

具体的な例を挙げれば、安芸区矢野では、枕崎台風の教訓から、砂防ダムを県が整備しました。しかし、浚渫が全く行われず、土砂がたまっていました。これは危ない、ということで地域の住民が県に陳情をしていました。広島土砂災害2014以降ももちろんです。ところが、県の対応は「けんもほろろ」だったのです。その矢先に、西日本大水害2018が発生しました。砂防ダムはぶっ壊れ、大量の土砂が矢野地区を直撃。20棟の住宅が全壊して犠牲者が出ました。ボランティアに伺った家の住民のうちの一人は、「開発を許可したのも県。砂防ダムを放置し、住民が陳情してもけんもほろろだったのも県。行政が抜けていた部分があった。」と悔しがっておられました。

現在、県内各地で砂防ダムの整備は一定程度進んでいます。2021年の大雨では、西区で土石流が発生しましたが、2014年や2018年の災害を教訓に砂防ダムを整備していたおかげで犠牲者を出さずに済んでいます。

ただ、今後、砂防ダムをつくるだけでなく、きちんと定期的に浚渫するなど手入れをする。そのための予算を増やす。こうした措置をとらなければ、西日本大水害2018において矢野地区で起きたようなことになりかねません。広島県や市政の首長、職員、そして議員全員は特に肝に銘じておかなければのではないでしょうか?

◆減らしすぎた地方の予算・人を拡充せよ

また、災害対策のためにも、ガツンと国に対して予算と人の確保を要求していくべきではないでしょうか?

この20~30年、あまりにも県も市町村も人を減らしすぎました。県は県で、当時の総務省いいなりで県の仕事を市町村に丸投げし、そのために市町村を全国でも二番目のペースの86→23に減少させました。その結果、すでに、広島土砂災害2014の時点では、担当の県庁職員は限界でした。あるとき、筆者がある会合で得意満面で政策を語っていたら突然、筆者の後輩の女性県庁職員が立ち上がり、「そんなことより足元の広島県内の災害でわたしたち県庁職員は大変なのです。」と筆者はお叱りをいただきました。そうした状態のまま西日本大水害2018,コロナ災害を迎え、県庁職員は「てんやわんや」の状態になっています。

◆災害に強い社会はひとりひとりに優しい社会だが

筆者は、広島土砂災害2014の時点で、災害に強い社会はひとりひとりに優しい社会だ、言い換えれば『平時から、一人一人に病気や怪我や加齢や育児や失業などで困ったことがおきても、安心して生きていける福祉社会こそ、災害にも強い社会』と痛感しました。

例えば、そもそも、普段から安全な場所に安くて追い出されない住宅を公共で整備していれば、危険な場所にマイホームを建てる、などということも起きなかった。
また、そもそも、社会全体として、怪我や病気、あるいは育児や介護で仕事を休みやすい仕組みになっていれば、災害時も、だいぶ楽ではありませんか?

この災害を教訓として社会が変わっていれば、西日本大水害2018のときはもちろん、コロナ災害のときだってだいぶ違ったでしょう。残念ながらその意味でも、広島土砂災害2014の教訓は活きませんでした。それどころか、ひどい方へひどい方へと向かっているように思えます。

◆安倍晋三さんの杜撰な危機管理は2014年から

最大の痛恨事は、その土砂災害の教訓を生かすどころか、ともすれば反対方向へ向かった時代のこの国の為政者が2014年、2018年、そしてコロナ災害発生時まで同一人物であったということです。

故・安倍晋三さんの西日本大水害2018における危機管理はお粗末極まりました。具体的には、「赤坂自民亭」に象徴されるように、災害時も宴会三昧だったこと。その後もカジノ法案に夢中だったこと。そして通常国会閉会後は夏中、ずっと国会も開かず、補正予算の審議もしなかったこと、などです。

安倍晋三さんは、2014年の広島土砂災害ですでに失態をしています。すなわち、8月20日朝、山梨県東部富士五湖地方の別荘におられた安倍晋三さんは、当時の茂木経済産業大臣らとゴルフに出てしまわれた。2時間弱で切り上げ、11時には官邸に入ったというが、その日のうちにまた、別荘になぜか戻ってしまった。そして、翌日夕方、また東京に向かうというちぐはぐな行動をされています。官邸に出勤した後、公邸で待機していればここまでバタバタすることはなかったはずです。一説では、旧友と別荘で会うのを優先したという。このような方が、しかし、その後も2014衆院選、2016参院選、2017衆院選と圧勝した結果、慢心し、西日本大水害でのお粗末な危機管理や一連のお友達優遇政治となったのではないでしょうか?

安倍晋三さんが暗殺されたことはお悔やみ申し上げます。しかし、国葬という天皇と同格で故人を持ち上げることは、故人が為政者だった時代における危機管理のまずさや人々の暮らしに対する冷たさをきちんと分析し、教訓を将来にいかすことを妨げるのではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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今、世界的な物価高騰が起きている。とりわけ、「ウクライナ事態」発生以降、ロシアに対して経済制裁する国々では、ロシアからの石油、ガスの供給が滞り、それによってガソリン価格や電気料金が高騰を続けており、まさに「返り血を浴びる」状況になっている。

こうした状況の中で、日本では、「サハリン2」の問題が起きている。

6月30日、プーチンは「サハリン2」の経営会社である「サハリン・エナジー社」の資産を新設するロシア企業に無償で引き渡すよう命令する大統領令に署名した。「サハリン2」は英石油メジャーのシェルが27%を出資して経営を握っており、日本も三井物産が12.5%、三菱商事が10%の出資をしていた。日本は、これを通じて全LNGガス輸入量の約10%、年間600万トンを得ていた。ロシアの措置は、それが得られなくなる可能性があるというので緊張が走った。

その後、ロシアは8月2日に新会社(会社名は「サハリンスカヤ・エネルギヤ」、本社所在地はサハリン州のユジノサハリンスク)を設立した。8月18日には、供給を受けている九州電力、東京ガス、西部ガスなどに以前と同じ価格や調達量で再契約を結ぶという通達を行った。これによって、日本の2商社も同様の条件になることが予想され、西村経産相は、「日本の権益を守りLNGの安定供給が図られるよう官民一体で対応したい」と述べ、9月4日の期限までに、2商社に株式保有をロシア側に通知するよう要請した。これを受けて、8月25日、三井物産、三菱商事は出資継続をロシア側に通知することを表明した。今後、数ヶ月間に渡って再契約の中身をつめる交渉が行われる見通しだ。

問題は米国である。米国はロシア制裁のために、シェルの撤退を歓迎し、日本にも同様の措置を採るように要請していた。そうした米国にとって、今回の日本の措置は不愉快なものであり、再契約の交渉過程でも「サハリン2」から撤退するように様々な圧力を掛けてくることが予想される。

今後、日本政府は、国益を守るのか、それとも米国の圧力に屈するのかの選択を迫られることになる。すでにマスコミは、「権益を守れるかどうかは不透明」などと米国を利するかのような論調を張るが、「サハリン2」からの撤退こそ国益放棄なのであり、日本は「撤退せず国益を守る」という立場で、ロシアとの交渉に臨めばよい話しである。

ロシアは、そうしたことを見越して、今回、穏やかに「以前通りの契約で」という措置をしたのであり、それは、日本に「あくまでも米国について行きますか、どうしますか」を問うものになっていると言える。その問いかけは、本質的に「日本はあくまでも米国に従い、米国覇権の下で生きていくのですか」という問いかけである。

そのことを知るためには、「サハリン2」とはどのようなものであったかを分かる必要がある。

「サハリン2」は、1994年に作られた。当時は、ソ連崩壊という大混乱の中で、市民生活が極度の貧困にさらされたロシアの試練の時代であった。そうした混乱の中で、作られたものが「サハリン2」である。こうして英国の石油メジャーであるシェルが27%を出資して、サハリンのガスを掌握した。シェルはロシアのガスを安く買い叩いたばかりでなく、100万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルに満たない額で買うというポート・フォリオ枠の特典を得て、これを40ドル前後のスポット価格で売るなどして暴利を貪ってきた。本社は、タックス・ヘイブン(税の優遇措置)で有名な英領バミューダ諸島に置かれており、ロシアは、これに課税することもできなかった。

まさに、「サハリン2」は、米国覇権秩序の下で欧米の大企業が他国の資源を収奪するという典型例であり、ロシアにとっては屈辱的なものであった。それを「ウクライナ事態」が発生し、ロシアへの制裁が発動される中、2月にシェルが自ら撤退を表明したのを機にロシアが取り戻したのであり、それは、誰もが文句を付けることのできないロシアの主権行為であり、屈辱の遺物を清算し、自国の資源をロシアに取り戻すための極めて正当な措置である。

そればかりではない。ロシアは、米覇権秩序に反対し、「平等で民主的な新しい世界秩序」の形成を主張しており、新会社設立の措置は、その象徴であり、そのための武器としてあるということである。

すなわち、こうして作られた新「サハリン2」は、日本に「米覇権の下で生きる」という生き方に対して、それをいつまでも続けるのか、それでいいのか、を問いかけるものになっているということなのだ。

日本は、ロシアの穏やかな問いかけに、冷静に、その答えを模索して行かなければならないだろう。

その基準は、国益であり、国民益でなければならない。どうすれば、国益、国民益を守り、国民の命と暮らしを守っていくのか、国家の使命とは、それに尽きるからである。

米国覇権の下で生きて行く、そのためにロシア制裁の先頭に立つということは、逆に「返り血」を浴び、それを国民に転化するだけではないのか。まさに、それが故に、多くの国が国益、国民益を第一にして、ロシア制裁に反対し、それを無視している。バイデンが多くの国際会合や会議で、ロシア制裁を呼びかけても、それに応じるのはG7の欧米日だけである。G20でも、ロシア制裁を行っているのは10カ国に過ぎない。

こうした動きについてエジプトの元外務次官のフセイン・ハリディ氏が「どちらにも、つかない」と題する朝日新聞への寄稿で要旨次のように言っている。「我々は欧米の言うようにウクライナの独立と民主主義を守る戦いだとは見ていない。そういう中でエジプトなど『第三世界』の国々は自らの立ち位置を決めなければならない。それは『非同盟』だ。非同盟はバンドン会議で始まり、インドのネール、中国の周恩来、エジプトのナセルなどが主導した。非同盟は自国の独立を守るための盾である」と。

バンドン会議は、1955年、東西冷戦が激化する中で、アジア、アフリカ諸国が、インドネシアのバンドンに会して、東西どちらにも付かず、各国の主権尊重を最高原則として互いに協力して平和と繁栄を追求していくことを合意した会議である。

その「主権尊重」の原則は、今日の自国第一主義にも通じる。それが、米国主導の「ロシア制裁」による「返り血」として国民生活を直撃する中で、制裁は正しいのか、そもそも「ウクライナ事態」を招いたのは米国によるウクライナへのNATO拡大、ウクライナのネオナチ化にあったのではないかという声の高まりとなり、米国ノー、米国覇権ノーとして、「主権尊重」「国民益第一」としての自国第一主義が支持を伸ばしている。

フランスでは4月に行われた大統領選で自国第一主義のマリーヌ・ルペンが前回の18%を42%に伸ばし、6月の総選挙では、マクロン与党が100議席を失う大敗北を喫する反面、ルペンの国民連合は8議席から89議席に躍進した。市民生活第一の左派連合「人民環境社会市民連合」も73から131に議席を伸ばした。ドイツでもシュルツ政権への不満が高まっており、他の諸国でも現政権への不満の声が高まっている。

戦争が終わったとしても、「ウクライナ事態」の基本構造、米国覇権とそれを打破しようとするロシアなどの諸国という基本構造は変わらないのであり、今後、数年間で欧米世界にも国益第一、自国第一の新しい政権が生まれ、世界は大きく変わるのではないか。

日本も変わらなければならない。これまでのように米国覇権の下で生きていけば良い、ではなくなっている。事実、米国覇権維持・強化のために、日本は対中国の最前線に立たされ、敵基地攻撃能力の保有や軍事費倍増や果ては、核の共同保有までが言われるようになっている。そればかりではない。エマニュエル駐日大使が就任承認を得るために開かれた米上院外交委員会で「日米の経済統合を目指す」と言ったように、日米経済の統合一体化も進んでおり、日本は、「国」としての体裁を失い、「米国51番目の州」にされようとしている。

反面、世界に目を転じれば、米国中心の覇権秩序に反対し脱覇権で主権尊重の「平等で民主的な新しい世界秩序」を作ろうとする動きは強まっている。日本は、あくまでも米国覇権の下で生きて行くことを続けるのか。それとも、こうした新しい動き、時代の流れに合流していくのか。新「サハリン2」は、それを問いかけている。

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魚本公博さん

ちなみに、日本はバンドン会議の正式参加国であり締結国である。当時の日本は、戦犯国として国連加盟もできず国際孤児の境遇に置かれており、悲願の国連加盟のために、アジア・アフリカの票を得ようとしての参加であったとされる。しかし、一方で、敗戦後の日本は、これから、どう生きて行くのかということが問われており、米国一辺倒ではなく、アジア・アフリカなどとも協力して生きて行こうという道も模索していたということである。この日本の隠された「レガシー」、それを今、受け継ぐこと、それが、新「サハリン2」が問いかけることへの答えにもなるということを付け加えたいと思う。

▼魚本公博(うおもと・きみひろ)さん
1948年、大分県別府市生まれ。1966年、関西大学入学。1968年にブントに属し学生運動に参加。ブント分裂後、赤軍派に属し、1970年よど号ハイジャック闘争で朝鮮に渡る。現在「アジアの内の日本の会」会員。

『一九七〇年 端境期の時代』

『抵抗と絶望の狭間~一九七一年から連合赤軍へ』

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《9月のことば》秋桜がきげんよく咲いている 幸せそうにゆれている(鹿砦社カレンダー2022より。龍一郎揮毫)

9月になりました。

ここ甲子園では高校野球が終わると、暑さの中にも涼風が吹き、一気に秋に向かいます。時の経つのは速いもので、今年も3分の2が過ぎたことになります。

一昨年からずっと新型コロナと、これによって惹き起こされた経営上の打撃に苦しみながら過ごしてきました。私たちだけではありません。皆様方のうち多くの方々もそうでしょう。知人の中には店を閉じた人もいます。

もう秋桜(コスモス)が咲く季節かあ、今年も残り3分の1、木枯しの吹く季節が来るまでに、しっかり身支度したい。──

(松岡利康)

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