この夏の後半から秋にかけて、広島の政治・行政の膿が噴出しています。

◆噴出する膿1 総理腹心の石橋議員ら、旧統一協会と深い関係

まず、旧統一協会問題です。この間、岸田文雄総理自身の地元の腹心ともいえる衆院議員が旧統一協会と関係が深いことが明らかになりました。

岸田総理腹心の石橋林太郎衆院議員の政治活動用ポスター。広島3区で筆者撮影

石橋林太郎衆院議員は、広島県議会議員を経て河井克行受刑者の自民党離党に伴う、広島3区の自民党広島県連の公募に応募。過去に日本維新の会の衆院議員だった方、あるいは候補者だった方を押さえて、自民党の公認候補に選ばれました。ただ、この広島3区は、自民党の不祥事で議席が失われるということで、連立与党の公明党から候補を出すことが自公の本部間で決定。比例ブロック衆院議員だった斉藤国交大臣が3区の公認候補に選ばれました。そして、衆院選2021では、石橋さんが自民党の比例中国1位で当選。斉藤国交大臣も不利という当初の下馬評を覆して3区で当選しました。

その石橋林太郎衆院議員は実はお父さんの良三さん(県議)時代から統一協会と親密でいらっしゃいました。お父さんも広島の日韓トンネル推進組織のリーダーをされていたことが、一連の「文春砲」であきらかになりました。さらに、石橋議員の腹心ともいえる読売新聞記者出身の市議も統一協会との関係が明らかになりました。ただ、これらのことは、そもそも、地元では有名だったのですが、地元のマスコミがほとんど取り上げてこなかった。それだけのことです。

◆噴出する膿2 知事の湯崎さん腹心の教育長の不祥事

そして、もう一つの膿は、筆者の元職場・広島県庁内の不祥事です。すなわち、湯崎さんが肝いりで連れてきた平川教育長による官製談合疑惑です。
(※https://www.rokusaisha.com/wp/?p=43780

平川教育長がご自分の地元・京都のNPO法人「パンゲア」を事業への公募で優遇した、というよりも「文春砲」が正しければ「教育長がお友達に県費で仕事をつくってあげた」疑惑というほうが相応しい展開になっています。

教育長ご自身は、疑惑発覚の直後には「問題ない」と木で鼻を括ったようなことを記者会見でおっしゃっていました。

しかし、追加の文春砲が出てくるにつれて、教育長は追い込まれます。そして、ついに9月中旬、「外部の専門家による調査をさせる」と約束せざるを得なくなりました。最初に「問題ない」と断言してしまってこの展開は、一番まずい展開です。

◆アンチ河井系の与党回帰で自民党が盤石に……安倍暗殺直前の広島情勢1

さて、いわゆる河井事件発覚の前、河井案里さん、そして夫の克行受刑者は、自民党広島県連主流派からは孤立しており、自民党・公明党推薦の広島県知事の湯崎さん、市長の松井さんとも関係が悪いことで有名でした。

そのため、自民党の県議や市議でも、国政選挙の時は、極端な場合「わしは河井が大嫌いじゃけん、野党候補を応援する」と半ば公言している地方議員もいらっしゃいました。その反映で広島3区を中心に、「地方選挙は自民だけど、国政は野党」という有権者の方が多かったのが広島の特徴でした。

ところが、案里さん・克行被告の失脚、そして地元の岸田総理の誕生によりそういう議員も、斉藤国交大臣支持で固まりました。かつて、日本維新の会で活動されていたような元候補者も自民党の公募に応募するような状況も起きたのです。これが、2022年7月8日の「安倍暗殺」直前の広島の情勢の特徴でした。

◆アンチ知事・市長系の議員の失脚で知事・市長の「安倍化」加速……安倍暗殺直前の広島政治情勢2

また、一方で、河井案里さんを参院選2019で応援し、なおかつお金を河井夫妻からもらっていた自民系議員には、知事の湯崎英彦さん、市長の松井一実さんに批判的な方が比較的多かったのです。

皮肉なことですが、河井疑惑の追及で、知事も市長も大助かりになった。

このお二人、とくに知事の湯崎さんは、8.6の平和記念式典のあいさつは毎年それなりに素晴らしいことでは有名です。一方で、県政の中身では問題山積です。一言でいえば「安倍化」しているのです。

筆者の家の前の高速道路5号線二葉山トンネル問題では木で鼻を括ったような対応が続いています。説明しないで逃げるというのはまさに、故・安倍晋三さんうりふたつです。

産廃処分場問題では全国でも、大甘の姿勢が目立ちます。実はいわゆる産廃税は導入していますが、立地を規制するような条例がないために、効果は限定的なのです。(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/zei/1177301663057.html

その結果、安佐南区で産廃処分場を外資が購入して大幅拡張したり、三原市では水源地のど真ん中に平気で処分場が許可されたり、ということが起きています。外資など企業のやりたい放題に大甘。まさに安倍晋三さんそのものです。

◆「河井にはそれなりに厳しく、知事・市長に甘い」広島のマスコミ・野党第1党は反省を

しかし、なぜ、こんなことになってしまったのか?

政策論議不在の広島の政治の構造については、筆者はこの12年間、ずっと街頭などで訴えてきました。政策論議が不在だから、「河井夫妻のようなお金か」、「総理、知事、市長のような組織か」の政治になってしまうのです。

そして、その構造の責任の一端は、広島のマスコミにもある、と筆者はみています。

すなわち、以前から、広島県内各社の姿勢は、自民党広島反主流派であった河井案里さん克行受刑者に対してはそれなり厳しいけれども、岸田総理や知事の湯崎さん、市長の松井さんに批判的な報道はほとんど見られません。

なお、安倍晋三さんに対しては、その政治姿勢や2度の水害時の危機管理に対してそれなりに批判的な姿勢もあったように記憶しています。

確かに、露骨に金をばらまいた河井夫妻=広島自民反主流派は最悪の金権政治家ではある。しかし、一方で、河井批判の陰で旧統一協会を含む組織がちがちの政治をやってきた総理、知事、市長ら自民系主流派の問題点の追及がおろそかになったのではないでしょうか?

野党も広島の場合、野党第1党は事実上、労働者のほんの一部でしかない重厚長大大手企業の労働組合のための党であり、知事や市長の議案に反対することはほとんどありません。したがって、知事や市長の問題点を街頭などで訴えるのも日本共産党さんと筆者くらいです。最近では、社民党さんもそれなりに街宣をがんばっておられるようですが。マスコミや野党第1党の知事や市長に対して腰が引けた対応という要因が解消されないと、今後もまた、膿がたまっていくことでしょう。

◆とにかく総理、知事、市長にガツンとモノ申し続けよう!

こうした中、筆者は、9月16日朝、広島市安佐南区中筋駅で街宣(文末写真左)。

「多くの方を苦しめた旧統一協会の広告塔になった安倍さんの国葬はおかしい。国もせっかく、旧統一協会問題電話相談をしているのに、安倍さんを国葬で持ち上げたら統一協会の宣伝になってしまい、逆効果だ。」

「安倍さんは河井事件では、1.5億円の最終責任者なのに最後まで何も語らないで亡くなってしまわれた。亡くなられたことはお悔やみするが、何も説明責任を果たさなかったのは許しがい。2014の大水害ではゴルフ、2018の大水害では宴会やカジノ法案優先という、まずい危機管理で広島県民に迷惑をかけた方だ。」
と指摘しました。

広島県知事の湯崎英彦さんに対しても、「湯崎さんがそういう人の国葬とやらに参加するのも納得できない。いま、県議会開会中なのだし、それこそ、統一協会で苦しんでいる特に2世、3世などの方を救う追加の補正予算とか検討されてはどうか?」と水を向けました。

生前、不祥事も多く、さらに広島を襲った水害時の危機管理がまずかった安倍さんの国葬強行で、いままで「岸田さんにそれなりに期待しておられた方」でも岸田さんへの失望が広がっていくのが感じられます。こうした皆様の思いにもこたえていきたいものです。

筆者は、2023年統一地方選挙・広島県議選を前に、特に元上司でもある知事の湯崎さんに対してガツンとモノ申し、海の大掃除をしていく先頭に立っていく覚悟です。具体的には、毎週日曜日に安佐南区イオンモール広島祇園前、そしてフジグラン緑井前で街宣をおこなっています(文末写真右)。当面は知事の湯崎さんの「安倍化」をただしていくとともに、国葬参加に反対、旧統一協会被害者も含む「何があっても心配しないで良い広島」を訴えていきます。

◎筆者の今後の街宣の予定

9月25日(日)10時 イオンモール広島祇園前
10月2日(日)10時 緑井フジグラン前
※以降、毎週交互にイオンモール広島祇園前と緑井フジグラン前で街宣
11月6日(日)午後 安佐南区内 勉強会 食料問題と広島 外部講師

[写真左]9月16日朝、広島市安佐南区中筋駅で街宣。[写真右]毎週日曜日に安佐南区イオンモール広島祇園前

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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