畠山隼人が真吾YAYATOに3タテを喰わした、豪快なKO勝利で上位王座獲得。

上位王座となるWBCムエタイ日本王座獲得した畠山隼人

SAHOはコロナ禍で再三の延期を経ての世界の称号王座獲得。

岩浪悠弥が引分けながらハイキックが決め手の優勢支持で上位王座獲得。

羅向が試合をコントロールし、KOで王座獲得。

ARINAがパンチ手数で攻勢を維持して王座獲得。

◎NJKF 2022.4th / 11月13日(日)後楽園ホール17:30~21:08
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ日本協会、NJKF、S-1

◆第8試合 第8代WBCムエタイ日本スーパーライト級王座決定戦 5回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.畠山隼人(E.S.G/ 62.95kg) 
      vs
NJKF同級暫定チャンピオン.真吾YAMATO(大和/ 63.25kg)
勝者:畠山隼人 / KO 1R 1:52
主審:多賀谷敏朗        

畠山隼人と真吾YAMATOは過去2018年6月24日と2020年2月16日の2度対戦し、いずれも畠山がKO勝ち。

開始後のわずかな様子見から畠山隼人のパンチ連打が当たり、左フックで最初のノックダウンを奪う。ダメージが大きい真悟へ右フックで2度目のノックダウンを奪い、最後は左フックで倒す3ノックダウンによる速攻の決着となり、メインイベンターとして豪快なKO勝ちで興行を締めたのは充分な役割を果たした言えるだろう。

畠山隼人は「最初のダウンでKOはいけると思いましたし、しなければいけないと思いました。」と率直に語った。

畠山隼人が豪快に右フックで2度目のノックダウンを奪って初回KOに繋げる

◆第7試合 S-1女子世界バンタム級王座決定戦 5回戦(2分制)

S-1世界王座獲得したSAHO。まだ上位がある今後の展開へ勝ち上がれるか

S-1女子日本バンタム級チャンピオン.☆SAHO☆(闘神塾/ 53.05kg) 
      vs
WPMF女子世界バンタム級チャンピオン.ルックナム・コー・コムクラム(タイ/ 52.85kg)  
勝者:☆SAHO☆ / 判定3-0
主審:宮本和俊
副審:君塚50-46. 中山49-47. 多賀谷49-48

初回、SAHOはパンチの連打からキックを入れるとルックナムはスリップダウン。ルックナムもローとミドルで返すが、SAHOにコーナーに追い込まれる。

ルックナムは得意であろう首相撲で打開を図ろうとするが、SAHOが互角以上に対応し、離れたらパンチをヒット、ルックナム選手も首相撲をやりながらボディにヒザ蹴りをヒットさせるがSAHOにダメージを与えるまでに至らず。

中盤以降もルックナムがヒザ蹴りからミドルとローキックもヒットさせていくが、SAHOはパンチで対抗し優勢に進める中、ルックナムに合わせるかのように首相撲からのヒザ蹴りで攻勢を維持して終了。

闘神塾会長は「相手がムエタイ選手ということもあり、相手のペースに乗らないことをアドバイスしました。ARINA(第4試合)もそうですが、自分のアドバイスを素直に聞いてくれて、それで二人とも王者になってうれしい限りです。相手の選手のミドルキックが的確に入ってきたのですが、SAHOは終始余裕があり、特に3~4ラウンドは素直に話を聞いてくれました。」と語り、終了のゴングが鳴った時は「判定が発表されるまで気が抜けなかったです。」と語った。
SAHOは最終ラウンドのゴングが鳴った時に「やり切ったという感じでした。動き自体も問題がなく、会長のアドバイスもよかったです。嬉しいです。」と笑みを浮かべながら語った。

セコンドと選手が一体感にならないと勝てる試合も勝てなくなるというのが分かるコメントでした。会長の嬉しそうな表情がとても印象的であった。

ロックナムは蹴り中心だったが、パンチで圧倒したSAHO。組み合っても負けなかった

※S-1ジャパンJr.ライト級王座決定戦&WBCムエタイ日本スーパーフェザー級タイトルマッチは山浦俊一(新興ムエタイ)がコロナ感染による影響で中止。対戦予定だったHIRO YAMATO(大和/ 58.85kg)はS-1世界へ挑戦権を獲得。この日は大田拓真(新興ムエタイ)とエキシビジョンマッチ1ラウンドを行なっている。

◆第6試合 第8代WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

3位.岩浪悠弥(橋本/ 55.25kg)vs 4位.日下滉大(OGUNI/ 55.25kg) 
引分け 三者三様
主審:中山宏美 / チェアマン:斎藤京二
副審:竹村48-49. 神谷49-49. 多賀谷49-48

序盤は互いの蹴り中心にした探り合いの展開が続く。

第3ラウンドに岩浪の右ハイキックが決まるが、ノックダウンには繋がらず。日下はパンチ中心で試合展開を作ろうとしている様子で、第4ラウンドには日下のパンチ主体の戦法が岩浪の顔面を捕らえはじめる。岩浪は首相撲やクリンチワークで日下の勢いを抑え込む流れでラウンドが終了。

第5ラウンドに岩浪のストレートが日下の顔面をヒットするも、日下はパンチの手数を倍以上にして、蹴りを加えて対抗。岩浪が鼻血でドクターチェックストップが入るも、すぐに再開。終盤は両者ともに動きを止めることなく攻め合う中で終了。引分けとなったが、チェアマン支持裁定で岩浪悠弥が王座獲得。
「第3ラウンドの岩浪のハイキックが勝負のポイントだった」という観ていた関係者の意見は多い。

日下滉大(左)と蹴りが交錯。互角の展開が進み、優勢支持を受ける展開を掴む岩浪悠弥は、引分けながら勝者扱いで王座獲得。再戦で決着戦が望まれる。

◆第5試合 NJKFライト級タイトルマッチ(WBCムエタイ日本同級挑戦者決定戦)5回戦

チャンピオンV1戦.岩橋伸太郎(エス/ 60.95kg)vs 同級1位.羅向(ZERO/ 61.15kg)
勝者:羅向 / TKO 5R 0:17
主審:君塚明

羅向が永澤サムエル聖光(ビクトリー)への挑戦権獲得。

初回から羅向のパンチがヒットするが、岩橋伸太郎は距離を置く展開が続く。

第2ラウンドも羅向のパンチが有効になってくる。岩橋はパンチに合わせてキックで返す形で距離を置く展開で終了。

第3ラウンド、羅向はキック中心に切り替え、左ヒザ蹴りをボディへヒット。岩橋もパンチやミドルキックで返すも単発で羅向選手にポイントを奪われる。

第4ラウンド、優勢に試合を進める羅向は岩橋の反撃をかわし、パンチの連打から左ストレートでノックダウンを奪う。

最終ラウンド開始早々、羅向はパンチの連打で、スタミナがほぼ無くなった岩橋のボディに左ストレートを決めるとレフェリーが試合ストップした。
試合前は岩橋伸太郎が「せっかく獲ったベルトなので、すぐに落としたくないですね。勝っても負けても終わりのゴングはありますが、勝って聞きたいものです」というコメントが聞けたが、

羅向は「倒しきることを考えていたのですが、相手が合わせるタイプではなかったことや、周囲のKO勝ちの期待が大きいのがよく分かったのでモヤモヤしていました。KOした時にゴングが鳴った時は、勝って良かったと安心しました。」と語った。試合前のパフォーマンスについては、「フザけてすみません」と謙遜していたが、「今の時代、盛り上げる為にあれぐらいは必要」という意見もあるようです。

終始、攻勢を維持した羅向が右フックをヒット。派手な羅向の言動だったが、有言実行で堂々たる王座奪取

◆第4試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級タイトルマッチ3回戦

チャンピオン.NA☆NA(エス/ 51.8kg)vs 同級3位.ARINA(闘神塾/ 51.65kg)
勝者:ARINA / 判定0-3
主審:多賀谷敏朗
副審:君塚28-30. 中山28-29. 宮本28-30

序盤からARINAがパンチ主体で攻撃。NANAはブロックしてパンチの数を増やし始める。第2ラウンド、打ち合いになるが、ARINAのパンチがヒットが目立って来る中、右のフックがクリーンヒットし、NANAが体勢を崩しかけた。

第3ラウンド、ARINAの左右のストレートが的確にヒットし、NANAも首相撲からのヒザ蹴りを的確にAEINAのボディにヒットしていく。終盤、NANAの右フックが入るが、ARINAは手数を増やし主導権を奪ったまま終了。

ARINAはチャンピオンになったことは素直に嬉しいと思った様子も、最終ラウンドのゴングを聞いた時に物足りなさとKOができなかったことについて反省の弁を述べていた。試合開始のゴングが鳴る前からテンションを高め、試合後もストイックな面を見せていた様子。「次回はKO勝ちを狙いたい」と語った。

激しい攻防からパンチヒットが目立って行ったARINA

KO出来なかった反省はありつつ、堂々たる王座奪取のARINA

◆第3試合 60.0kg契約3回戦

S-1スーパーフェザー級世界覇者.コンゲンチャイ・エスジム(タイ/ 59.5kg) 
       vs
琢磨(元・WBCムエタイ日本SFe級C/東京町田金子/ 59.9kg)
勝者:琢磨 / TKO 2R 1:50 / カウント中のレフェリーストップ

◆第2試合 65.0kg契約3回戦

亜維二(新興ムエタイ/ 64.85kg)vs 板谷航平(チームゼロス/ 64.85kg)
勝者:亜維二 / 判定3-0 (30-26. 30-27. 30-27)

◆第1試合 スーパーフェザー級3回戦

颯也(新興ムエタイ/ 58.85kg)vs 池田航太(拳粋会宮越道場/ 58.25kg)
勝者:池田航太 / 判定0-3 (28-30. 27-30. 28-29)

《取材戦記》

今回の年内最終興行とあって、当初六つのタイトルマッチが組まれました。二つが王座入れ替わり、三つが王座決定戦での王座獲得で新チャンピオン誕生。あともう一つ、“不戦勝”で二つの王座獲得したHIRO YAMATOの存在がありました。

リング上のHIROは、「皆さん、意味が分かっていないと思うんですけど、僕もこの状況を理解しておりません。ベルトを3つ持つことになった訳です。」と語ったとおり、これは本来のタイトルの在り方ではないとはもう昔から言っているとおりです。S-1世界挑戦権獲得は順当なところ、「WBCムエタイまで?」という違和感は残ります。

HIROが「でも、大切なのはベルトの数ではなく、他のところにあって、ベルトに恥じない試合をやっていくことだと思います。」と語ったのはまだ救われるコメントでした。

今回、記事をフォローしてくれる記者を同行した取材となりました。

最近は記事・撮影とも一人でこなす他社記者を見かけます。それはどちらも両立させている様子で大変な労力と思います。

私の場合は撮影に重点を置くことが殆どで、記事の為、わずかなメモ書きと記憶、関係者の言葉を軽く拾うのみでは心許無い取材内容でした。最近は20年程昔の媒体で組んでいた記者がやっていたように、主催者や選手にコメントを貰おうとICレコーダー持ってインタビューすると、ICの自分の支離滅裂な焦りの声に唖然とするばかり。ちょっとしたコメントを頂ければいいだけが、武田幸三氏には逆に質問されてしまうパニックの私。「これはイカン」と、記者が必要と思っていたところに今回、ある人物の手をお借りすることになりました。

今後も媒体の問題、取材先の問題、年齢的健康状態等で継続できるかは分かりませんが、なるべく協力して頂きたいと考えております。

その記者の今回の取材感想は、「壮年期以上の人は若い選手をみて反省し、彼らを支えていくべきですね。選手たちが純粋で輝いている感じでした。彼らに話が聞けたことは自分がエネルギーを逆に貰い、彼らの姿勢をみて、驕っている面を反省しなくてはいけないと思いました。試合前であっても失礼がなく、質問すれば話をしてくれますし、彼らもできる限り発信をしたいと思っているなあと、特に羅向選手から感じました。」と語ってくれました。継続できる体制が出来ましたら紹介したいと思います。

来年最初のニュージャパンキックボクシング連盟興行「NJKF 2023.1st 」は後楽園ホールに於いて2月26日(日)に予定されています。その次が4月16日(日)、他、関西での興行「NJKF west」も日程はまだ未定ながら数回開催見込みです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2022年12月号