これが決定打か? 佐々木勝海の右ヒジ打ちが宗方の顔面を掠めた

新人から王座を見据える立場へ。

佐々木勝海はタイを含むヒジ打ち有効3回目の試合は、切られて打ち返して逆転TKO。

小林亜維二も成長著しく、的確なパンチと蹴りのヒットでKO勝利。

◎DUEL.28 / 9月10日(日)GENスポーツパレス18:00~20:37
主催:VALLELY / 認定:NJKF

◆第10試合 65.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級2位.宗方888(キング/64.95kg)11戦4勝(3KO)6敗1分
        VS
NJKFスーパーライト級5位.佐々木勝海(エス/65.1→65.0kg)9戦7勝(2KO)1敗1分
勝者:佐々木勝海 / TKO 2R 2:57 /
主審:北尻俊介

ヒジ打ちの攻防。打たれたら打ち返す。

昨年10月16日のDUEL.25で、ちさとkiss Me(安曇野キックの会)に攻め倦んだ判定勝利から、今年2月5日には宗方888と引分け、今回が再戦となった。

タイで試合して来たという佐々木勝海は慣れていなかったヒジ打ちの向上と、スピード増した素早い動きが印象的である。

宗方888と佐々木勝海の接近戦、一瞬のヒットが運命を分ける

逆転TKOに歓喜する佐々木勝海

開始からパンチと蹴りの攻防は互角ながら、宗方の圧力掛けた前進が目立ち、更に第2ラウンドに組み合った接近戦でのヒジ打ちが佐々木勝海の右眉尻をカット。更に接近戦が続くと逆に佐々木勝海がヒジ打ちで宗方の鼻を曲げてしまった。鼻血が激しく、ドクターの勧告を受け入れた北尻俊介レフェリーが試合をストップした。

佐々木勝海は「前回の宗方戦で結構殴られて負けに近かったですけど、対策はヒジやローキック、前蹴りを念入りに練習しました。最初はヒジで切られて、一か八かでやってみたヒジ打ちがヒットしました!」と言う。それも練習の成果。タイでの経験も活かされただろう。

また「更に上位の選手と戦いたいです!」という意欲的な発言は、ファンも楽しみなところでしょう。

敗れた宗方は「最初にヒジ打ちで切ったのが分かったので、このラウンドで決めようと雑に突っ込み過ぎたらカウンターでやられました!」と残念そう。

長身の徹平の右ミドルキックがヒット、主導権支配した展開が続いた

宗方の所属するキングジムの羅紗陀会長は「宗方の動きはキレがあって良かったんですけど、佐々木がヒジ打ち狙っていたのが分かったので、不用意に行くなと言ったけど、その声は届かなかったですね!」と語った。

◆第9試合 52.0kg契約3回戦

徹平(ZERO/51.65kg) 4戦2勝2敗
      VS
悠(VALLELY/51.9kg)7戦2勝4敗1分
勝者:徹平 / 判定3-0
主審:宮沢誠
副審:小林30-28. 北尻30-28. 中山30-27

徹平が長身を活かしたハイキック、首相撲からヒザ蹴りの見映えが良かった。ノックダウンには至らなかったが、主導権支配した流れを維持。

◆第8試合 ウェルター級3回戦

和弥(ZERO/65.75kg)2戦1勝(1KO)1敗
      VS
亜維二(新興ムエタイ/66.45kg)7戦4勝(2KO)2敗1分
勝者:亜維二 / KO 1R 1:18 / 3ノックダウン
主審:児島真人

2019年8月のWBCムエタイジュニアリーグU15の55kg級で優勝している小林亜維二。
パンチ連打と蹴りの連係技が速く鋭く上達したノックアウト勝利。

最初と2回目のノックダウンは左フック。3回目のノックダウンは右ハイキックヒットだった。

小林亜維二のパワーある左フックで和弥が倒れる

◆第7試合 58.0㎏契約3回戦

長友亮二(キング/57.7kg)2戦2勝
      VS
カルロス(新興ムエタイ/57.3kg)1戦1敗
勝者:長友亮二 / 判定3-0
主審:小林利典
副審:宮沢29-28. 北尻29-27. 児島29-28

4月23日がTITANS.32に於いてのデビュー戦で、中村哲生(伊原)に完封TKO勝利している長友亮二。リング上で、年齢は「3度目の成人式です!」と応えた長友亮二。なんと60歳である。アマチュア版「ナイスミドル」出場経験があって、テクニックとスタミナはある展開で相手の消耗もあったが、右ストレートでノックダウン奪って判定勝利。

60歳のラーメン店マスターがノックダウン奪って判定勝利

◆第6試合 女子(ミネルヴァ)54.0kg契約3回戦(2分制)

珠璃(闘神塾/53.4kg)3戦2勝(1KO)1分
      VS
RUI・JANJIRA(ジャンジラ/53.65kg)2戦2敗
勝者:珠璃 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

パンチと蹴りの圧力と組み合ってのヒザ蹴りが優った珠璃が順当な判定勝利。

珠璃のヒザ蹴りがRUIにヒット

最軽量級の戦いながら蹴りの攻防は激しく、愛の右ミドルキックが江口紗季にヒット

◆第5試合 女子(ミネルヴァ)42.0kg契約3回戦(2分制)

愛(STLIFE/41.75kg)4戦3勝1敗
     VS
江口紗季(笹羅/38.75kg)2戦1勝1敗
勝者:愛 / 判定3-0 (30-29. 30-29. 30-29)

最軽量級のほぼ互角の展開は愛が僅差で勝利。ウェイト差がやや攻勢を導いた。

◆女子(ミネルヴァ)52.5kg契約3回戦(2分制)

響子JSK(治政館)vs坂本瑠華戦は坂本瑠華の欠場で中止。

-エキシビジョンマッチ1R-
響子JSK(治政館)EX SAHO(闘神塾)

昨年11月13日にS-1バンタム級世界王座奪取したSAHOが緊急エキシビジョンマッチ出場。ちょっと遠慮がちながら好調さを見せた。

◆第4試合 ライト級3回戦

本多秀典(拳友会/61.0kg)5戦1勝4敗
      VS
須貝孔喜(VALLELY/60.95kg)3戦1勝2敗
勝者:須貝孔喜 / 判定0-3 (26-30. 26-30. 26-30)

◆第3試合 52.0kg契約3回戦

煌(KANALOA/51.8kg)2戦2敗
      VS
永井雷智(VALLELY/51.85kg)1戦1勝
勝者:永井雷智 / 判定0-3 (28-30. 28-30. 29-30)

◆第2試合 スーパーバンタム級3回戦

久住祐翔(白山/55.2kg)1戦1敗
      VS
遠山哲也(エス/55.05kg)2戦1勝1敗
勝者:遠山哲也 / 判定0-2 (28-29. 29-29. 29-30)

右眉尻を切りながらインタビューに応える佐々木勝海

◆第1試合 70.0kg契約3回戦 須藤雅人(OGUNI)欠場で大谷真弘代打出場

大谷真弘(BRAVE FIGHT CLUB/70.0kg)
       VS
TOM・JANJIRA(ジャンジラ/70.0kg)2戦2敗
勝者:大谷真弘 / KO 1R 2:58 /

代打出場だったが、重いパンチのヒットで3ノックダウンを奪った大谷真弘。

《取材戦記》

昨年、まだ新人的存在だった佐々木勝海は急成長した1年で、ヒジ打ちで顔面切られるピンチからの逆転は会場を盛り上げました。

小林亜維二もインパクトあるパンチとハイキック攻勢でノックアウトに繋げ、今後はタイトルに絡んで来そうな二人の存在である。

午前から夕方にかけて行われた第1部が、NJKFアマチュア部門の「EXPLOSION.38」。小学校高学年から中学生まで15階級の優勝者が誕生した模様。次のステップはWBCムエタイジュニアリーグになるでしょう。

ジャパンキックボクシング協会で「CHALLENGER興行」を打っていた武田幸三氏がここに登場。ベストファイトに送られる「武田幸三賞」も登場しました。

最近、各団体で人やジムの移動が見られますが、触れられるところがあればまた語りたいと思います。

「NJKF 2023.4th」は前回告知どおり、9月17日(日)に後楽園ホールで開催です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年10月号