勝次の今後の活躍は他団体、他、イベント興行で発揮の予定。
新日本キックとNJKFのフェザー級チャンピオン対決は瀬戸口勝也がワンパンチで圧勝。
期待の木下竜輔は逆転負け。
江幡塁が大病からリング復帰の御挨拶。
◎TITANS NEOS.33 / 10月15日(日)後楽園ホール17:40~20:50
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会
◆第12試合 ライト級ノンタイトル3回戦
WKBA世界スーパーライト級チャンピオン. 勝次(藤本/61.2kg)
VS
岩橋伸太郎(元・NJKFライト級Champ/エス/60.65kg)
勝者:勝次 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:中山30-28. 宮沢30-29. 桜井30-29
初回、勝次はローキックからジャブ、パンチ連打で先手を打って出て行く。顔面前蹴りもヒット、調子は良さそう。ここまでは。
守勢となった岩橋伸太郎は左ミドルキック中心に強く蹴って巻き返し、勝次は変化を付け、前蹴り、ヒザ蹴り、更にパンチ連打から飛びヒザ蹴りと圧力掛けて完全な主導権支配しようにも岩橋は左ミドルキックやローキックで返し後退しない。
第3ラウンド、ミドルキックの蹴り合いからパンチを叩き込む勝次。岩橋は一旦守勢になってもしぶとく反撃に出るが、勝次は打ち合いの見せ場を作って試合終了。
勝次は「1ラウンド目はめっちゃ調子良くてパンチも出せて、でも技が入って見てしまうのが駄目で、パンチは貰ってないですけど、左ミドルキックあんなに貰っちゃ駄目だなと思います。」と反省の念。
リング上マイクアピールでは「今回でこの新日本キックボクシング協会を離れることになりました。藤本会長が亡くなられてから伊原代表に面倒見て頂いて、今迄僕を育てて頂き、チャンスを与えて頂いて有難うございました。今後、僕の成功は伊原代表の成功に繋がると思っているので他団体に行っても一生懸命頑張ります!」と勝利して語るつもりだったという言葉を残した。
岩橋伸太郎は「今回、勝次選手と試合出来て、伝説の人だったので、僕の中では対戦出来て良かったですね。手応えはミドルキック当たってたんですけど、勝次さんは最後盛り返して来て、ボディーは結構いいパンチ貰ったりしたので、結果はしょうがないかな。決め手を作らないといけないなと前から思っているんですけど、ちょっと盛り上げられることが出来て良かったと思います。」と応えた。
◆第11試合 フェザー級ノンタイトル3回戦
日本フェザー級チャンピオン.瀬戸口勝也(横須賀太賀/56.95kg)
VS
NJKFフェザー級チャンピオン.前田浩喜(CORE56.95kg)
勝者:瀬戸口勝也 / KO 1R 2:52 /
主審:少白竜
ミドルキックなど、蹴りで距離を保つ前田浩喜。ローキックから距離を詰める瀬戸口勝也は圧力が増していく。パンチの距離になるとヒザ蹴りで返す前田。
ロープ際に詰めたところで前田の蹴り終わりを狙った瀬戸口の右フックが前田のアゴにヒットすると前田はガクンと倒れ込む衝撃のノックダウンだが意識はある為、レフェリーのカウントは続くが足が動かない前田。立ち上がることは出来ず、カウントアウトされた。
◆第10試合 フェザー級3回戦
木下竜輔(伊原/56.7kg)vs NJKFフェザー級8位.坂本直樹(道場373/56.85kg)
勝者:坂本直樹 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名27-28. 少白竜27-28. 桜井27-28
両者、ローキック、ミドルキックで様子見の攻防から坂本直樹が先にパンチでプレッシャーをかけて出る。幾らか蹴り合いの後、木下竜輔がパンチ連打で坂本をグラつかせ攻勢に立ち、ロープ際に詰めて連打してスタンディングダウンを奪った。更に右ストレートで追うが、1ラウンド終了。
第2ラウンド、まだ効いていそうな坂本に木下の右ストレートが時折繰り出されるが、仕留めきれない。次第に回復してくる坂本が右ストレートで木下から逆転のノックダウンを奪う。立ち上がる木下は更に坂本の連打に圧されて第2ラウンド終了。
第3ラウンド、坂本がピッチを上げ、木下をコーナーに詰めてのヒザ蹴りやパンチ。木下を追い詰める。木下の焦った右ストレートはヒットせず、狙いが定まらない。少ない残り時間、逆転に懸けた木下だったが敵わず終了。
◆第9試合 78.0kg契約3回戦
マルコ(伊原/77.6kg)vsジェット・ペットマニーイーグル(タイ/77.75kg)
勝者:ジェット・ペットマニーイーグル / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名28-29. 少白竜28-30. 中山28-29
ジェットのムエタイリズムで流れを導き、首相撲からのヒザ蹴りでマルコを苦しめ判定勝利。
◆第8試合 60.0kg契約3回戦
ジョニー・オリベイラ(トーエル/59.9kg)
VS
河崎鎧輝(RKA無差別級覇者/真樹ジムオキナワ/59.65kg)
勝者:河崎鎧輝 / 判定0-3
主審:桜井一秀
副審:少白竜29-30. 宮沢28-30. 中山29-30
蹴り合いからの主導権支配の展開も自分のペースに持ち込めない両者。蹴りから組み合って崩す戦法で優った河崎の判定勝利。
◆第7試合 57.0kg契約3回戦
アダン・フローレス(アルゼンチン/伊原/56.8kg)
VS
一航(=大田一航/前・WBCムエタイ日本バンタム級Champ/新興ムエタイ/57.0kg)
勝者:一航 / TKO 3R 1:41 /
主審:椎名利一
初回、一航はローキックからパンチでの様子見からアダンがパンチ中心に出て来る様子を覗った後、左フックでノックダウン奪った一航。そのままノックアウトに繋げるかと思われたが、下がりながらも耐えたアダン。
第2ラウンドも一航の距離で主導権支配した展開。パンチの的確さ、組んでのヒザ蹴りも優っていく上手さを見せ、アダンのしぶとさが目立ったが、自軍のコーナーに帰ってもアダンはもう険しい表情。
第3ラウンドもよりピッチを上げた一航。アダンは右目尻にコブを作り、そこコブから出血も見られ、一航のヒザ蹴りでボディーも効いた様子を見せたアダン。一航が更にパンチ連打で追って赤コーナーに追い詰めたところで、アダンのセコンドがタオルを投げるそぶりを見たレフェリーが棄権を認め、試合ストップした。
◆第6試合 58.5kg契約2回戦
吴嘉浩(伊原/時間内無計量/減点2)vs Ryu(クローバー/58.0kg)
勝者:Ryu / TKO 2R 0:49 / ハイキック、ノーカウントのレフェリーストップ
主審:少白竜
初回はRyuがローキックでやや攻勢を掴んだ流れから、第2ラウンドにも左ローキックで吴嘉浩の右脚を攻めた直後、左ハイキックでアゴを打ち抜くと、後ろ向きに倒れた吴嘉浩。マットで後頭部を打ってノーカウントのレフェリーストップ。暫く動かずも意識は回復したが立ち上がることは出来ず、担架で運ばれた。
◆第5試合 アマチュア女子37.0kg契約2回戦(2分制)
西田永愛(Qeen’s Fight全国トーナメント初代35kg級覇者/伊原越谷/34.7kg)
VS
瀬川柚子心(TEAMBADASS/34.3kg)
勝者:瀬川柚子心 / 判定0-3 (19-20. 19-20. 19-20)
◆第4試合 女子(ミネルヴァ)49.0kg契約3回戦(2分制)
ナディア・ブロン・バルビス(アルゼンチン/伊原/48.2kg)
VS
ミネルヴァ・ライトフライ級2位.佐藤”魔王”応紀(PCK連闘会/48.4kg)
引分け 1-0 (29-29. 30-28. 29-29)
◆第3試合 アマチュア女子49.0kg契約2回戦(2分制)
堀田優月(闘神塾/48.85kg)vs Queen Bee夏美(=小澤夏美/拳神/48.7kg)
勝者:堀田優月 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)
◆第2試合 アマチュア45.0kg契約2回戦(2分制)
西田蓮斗(伊原越谷/44.1kg)vs奈良遥真(VALLELY KICKBOXING TEAM/44.5kg)
勝者:西田蓮斗 / 判定3-0 (20-18. 20-18. 20-18)
◆第1試合 アマチュア44.0kg契約2回戦(2分制)
原龍之介(伊原越谷/43.6kg)vs佐伯蓮(MIYABI/42.0kg)
勝者:原龍之介 / TKO 1R 1:19 / ノーカウントのレフェリーストップ
《取材戦記》
勝次はすでに新日本キックボクシング協会を離れる発表をしており、ノックアウト勝利で有終の美を飾りたかった試合だっただろう。判定でも勝つには勝ったが、大差を付けられなかった無念さはリング上でも表れていた。今後、他団体で現役生活最終章を完全燃焼する為の戦いに挑む。
WKBA世界スーパーバンタム級チャンピオン、江幡塁は久々のリング登壇。復活の御挨拶を行なった。
「最近、試合見かけないなあなんて思われている方も多いかと思いますが、僕は今年2月末に左後頭部に脳腫瘍を患いました。4センチほどの大きな腫瘍で手術前の検査では、『恐らく悪性で手術しても全てが取り除ける状態ではない』という深刻な状況の中、すぐに緊急入院して、3月初めに手術を行なったんですけども、先生からは『無事、手術が終わりました』とお話を頂きまして、摘出した腫瘍は、運が良く血管が全部大変なところを避けていたので、全部摘出することが出来ました。その結果、腫瘍は良性である可能性が高いことが判明しました。本当に大変な病気でしたが、後遺症も無く戻って来ることが出来ました。2ヶ月間、懸命なリハビリを重ねまして、今はトレーニングを再開出来るまで回復しました。この病気をして、皆さんも江幡塁は『引退かな』と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、皆さんの前で、応援してくださる新日本キックボクシング協会のファンの前でしっかり発表したいことがあります。僕はまだ選手を諦めていません。もう一度、このリングに立って、皆さんの前で戦いたいと思っています。そんな挑戦をしていきたいと思っています。」と語る復活宣言と、
「僕の挑戦は先生と伊原代表と相談しながら慎重になって挑戦を続けて行きたいと思います。僕は今後、新日本キックボクシング協会代表のもとで、僕は選手育成を行なっていきたいと思っています。僕はデビューしたての頃、伊原会長に『お前は絶対チャンピオンに成れる。だから沢山学びなさい。チャンピオンに成る人間は立派な人間でなければならない!』と会長からそう教えられて、キックボクシングを続けて来ました。こんな僕が会長からキックボクシングを通して生き方を教えて貰ったと思っているので、僕は後進にその生き方を学びとして教えていきたいと思っています。そして新日本キックボクシング協会から世界を獲れるような強さ、そして自覚を持った選手を輩出していけるように力を尽くしていきます。(一部省略)」
長い長い7分に渡るメモ無しの頭脳明晰な語り口だった。4月のNKBでの笹谷淳の引退御挨拶もメモ無しトークだったが、それより長かった。
まだ現役を続けるならば江幡塁はメインイベンターとしてまだまだ頑張るだろう。兄の江幡睦は昨年9月、キックボクシングパーソナルフィットネスジム「LIGHT HOUSE TOKYO」を設立し、インストラクターをしていると言い、江幡ツインズとしても活動の場は広がるだろう。何はともあれ大病の最悪の事態から逃れ、復活されたことはファンを安心させ、トークでは結婚し、お子さんが誕生したことも語られた。お目出度続きを心から祝福したいものである。
次回、新日本キックボクシング協会興行は来春となりますが、新たな展開が予感出来る2024年でしょう。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」