1月18日、ある動画がYouTubeで公開され、話題を呼んだ。筆者も初めて見る映像だった。公開されたのは、ある刑事事件で「犯人隠避教唆」の疑いで逮捕され、有罪判決をうけた元弁護士・江口大和氏が、検察で取り調べられている映像だ。

江口氏は、逮捕時から一貫して容疑を否認、取り調べで黙秘した。しかし、横浜地検特別部の川村政史検事は、黙秘権を行使する江口氏に対して、延々と江口氏の人格を否定するような侮蔑的な発言を発し続けていた。動画は21日間約56時間に及んだ取り調べの映像を約13分に編集したものだ。

江口氏はその後、こうした取り調べは、憲法が保障する黙秘権を侵害する違法行為だとして、国に1100万円の国賠訴訟を提訴。動画は国側の証拠として開示されたものだ。

動画は、川村検事の後方から撮影しており、正面に江口氏が映っている。川村検事は机を叩く、怒鳴るなどはしないものの、「がきだよね、あなたって」「ぼくちゃん」「おこちゃま」「もともと嘘つきやすい体質なんだから」「詐欺師的な類型の人に片足突っ込んでる」などと江口氏をひたすら罵倒し続ける。江口氏が取り調べを中断しトイレに行き、席に戻った際には「取り調べ中段してすいませんでしたとか、いうんじゃねえの、普通」「あんた、被疑者なんだよ」などとイヤミをいう。

江口氏の弁護人・趙誠峰弁護士は公開前、ブログで「憲法が黙秘権を保障していることの意味は、権利を行使する人に対して、取り調べと称してこのような罵詈雑言を浴びせることは許されないということではないか」と書き、動画公開に踏み切った理由を「実際に行われている『取り調べ』が、いかなるものかを多くの人にみてもらう必要があると思ったからです。そのなかで、黙秘権を行使することの意味(黙秘権を行使しても、このような取り調べが20日以上も続く現状が、黙秘権侵害といえないのか)を考えてもらいたいと思ったからです」と述べた。


◎[参考動画]取り調べで「ガキ」「僕ちゃん」 検察官発言、法廷で再生 黙秘権巡る訴訟・東京地裁(時事通信映像センター 2024年1月18日公開)

2019年、業務上横領の容疑で逮捕、起訴され、2021年10月28日、裁判で無罪判決を勝ち取った東証一部上場企業プレサンスコーポレーション元社長の山岸忍氏が、国を相手に訴えた国賠訴訟で、同じく取り調べ動画の公開を請求した。

昨年9月19日、大阪地裁は、山岸氏の部下Kを取り調べた録画録音記録約70時間のうちの約18時間分の提出を国に命じた。そこには、検事がKに「あなたはプレサンスをおとしめた大罪人」などと迫った場面が含まれる。裁判では、山岸氏の有罪を立証するKの供述の信用性が問われ、山岸氏は無罪となった。

地裁判決は「違法な取り調べの立証には、検事の口調や動作といった要素も重要。映像は最も適切な証拠だ」として国に提出を求めたが、検察は控訴。1月22日、大阪高裁は、動画の重要部分を非公開とする決定を言い渡した。そこからは、検察官が机を叩いて一方的にKを怒鳴り続けたシーンが削られてしまっているという。山岸氏はこれを不服として、現在、最高裁に不服申し立てを行っている。

現在、筆者が取材を始めたこの事件は、2008年発覚した郵便不正・厚労省元局長事件(村木事件で、村木厚子さんを冤罪犠牲を強いた大阪地検特捜部が新たにつくった冤罪事件だ。学校法人明浄学園の運営する校地の売却代金21億円を、当時の理事長・大橋美枝子氏らが横領した事件で、山岸氏と部下のK氏、山岸氏が懇意にしていた不動産会社社長Y氏も共謀で逮捕、起訴された。

大阪地検特捜部は、K氏・Y 氏の虚偽供述に基づき山岸氏を逮捕した(Y氏はその後虚偽供述の撤回を検察に求めたが叶わなかった)。山岸氏は、個人資産18億円を貸し付けたのはあくまでも学校法人であり、大橋氏らの横領などに関わってないと一貫して無罪を主張した。

山岸氏の逮捕後、弁護団が客観的証拠などを検討してみると、じっさいには学校法人がお金を借り入れるという内容の文書やメールなどが多数存在していた。これはK氏の供述と完全に矛盾するものだった。

では、なぜK氏は世話になった山岸氏を罪人に落とし込めるような虚偽供述をしたのか? その後、弁護団が多くの証拠を開示させていくなかで、K、Y両氏の取り調べの録音録画の内容が明らかになってきた。記録は、K氏で21日間のうち20日計73時間半、Y氏も同じ日数で計69時間にも及んでいた。

接見にきた弁護士が山岸氏に「山岸さん、Kの取り調べで田淵大輔検事が怒鳴っているシーンがあったんだよ」「昨日観た場面では田淵検事がバンバン机をたたいてKを威嚇していたよ」と報告、その一部を書き起こして山岸氏に差し入れた。

田淵検事はKに対して、「ウソだろ。今のがウソじゃなかったら何がウソなんですか」「ウソついたよね」「なんでウソついたの?」「これ以外にもウソいっぱいついているだろ、わたしに。これ以外にもわたしにウソいっぱいついたでしょ。私はあなたの良心にすこしかけてみた。わたしは悪いあなたがでてきたら、今みたいな弁護をすると思いましたよ。でも、あなたがウソをついたことを悔い改めたら、頭をさげると思ってました。でも、あなたはそれどころか逆ギレじゃありませんか。しかも、そんな怖い顔をして。悪びれるどころか、ウソの上塗りをしてきたよ。なんでそんなことができるの?なんでそんなことをするんですか?ほかにもウソをついているだろ」、そして、「あなたは、プレサンス社の評判を貶めた大罪人だ。会社から10億、20億ではすまされないほどの多額の損害賠償請求をされるが、それを背負う覚悟はあるのか」などと脅し、山岸氏の関与を認める供述を強要させていた。山岸氏は、この書き起こしを読み、元々気の弱い部下のK氏がどうして自分を陥れるような嘘の供述をするのかがようやく理解できたという。

一方、Y氏を取り調べた末沢岳志検事について、「悪質さは(田淵と)同等かそれ以上ではないか」と山岸氏はいう。末沢検事はY氏に「何度もいうように、山岸さんの関与が本当にあるんやったら、それ言わへんかったら、今のこの立ち位置だけからしたら、大橋さんと同じくらいYさんすごくこの件に関与した、非常に情状的にはやっぱりかなり悪いところにいるよということ。もう、お金貸して戻すところまで全部わかっているんだから」と、Y氏が山岸氏の関与を否定する供述を続けるならば、主犯の大橋と同じくらいの罪になると恐怖心を煽っている。

 

山岸忍氏の著書『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』(文藝春秋社)

そのうえで、「山岸さんが主導する、プレサンス側の意向があったから、これはもうやらなアカンのやというような話で、今回の件の21億円回して返済するところまでやったんやというんやったら、それはおのずと責任の重い軽いというのは、それは変わってくるでしょ」と、山岸氏の関与を認める「自白」をしたならば、Y氏自身の罪が軽くなると騙している。更にY氏は部下にまで罪が及ぶと脅され、いったん山岸氏が大橋氏個人へ貸し付けたと認める調書の作成に応じた。

その後Y氏は調書を撤回してほしいと検察官に懇願したが、撤回されず、検事からは「そんだけ言うんやったら、法廷でひっくり返したらよろしいやん」などと捨て台詞を吐かれていた。Y氏は公判で、先の虚偽の供述を撤回したうえで、末沢検察官から「山岸さんの関与を認めないと、自分の責任が重くなる。部下も逮捕されるということを仄めかされて事実とは違う内容の供述調書に署名してしまった」とはっきりと証言した。

そこで山岸氏の国賠では、こうしたK氏やY氏への取り調べを録音録画した記録を証拠として提出させることが重要になった。しかし、大阪高裁は最も重要な部分を非公開にするとした。

実は山岸氏の弁護団は、膨大な量の録画録音記録の書き起こしを専門業者に依頼せず、自分たちで行った。書き起こしながら、その取り調べ時の検事の口調、動作などを少しでも知る ためだ。筆者も山岸氏の著書『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』(文藝春秋社)で、その内容の一部は読んでいた。しかし、そこに冒頭の取り調べのシーンのように、音と動作が入ったならば、一層その迫力が増すというものだ。ぜひ、山岸氏の国賠訴訟で、その場面を見てみたい。

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

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◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

『紙の爆弾』2024年3月号

電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
「首相は自分のことしか考えていない」岸田派解散の舞台裏
躍進するロバート・ケネディ・ジュニア アメリカ大統領選挙の実相
民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
東京五輪は東日本復興を遅らせた 能登半島地震でも維新「万博固執」の大愚
「司法の偏向」で形骸化する「三権分立」辺野古代執行訴訟が孕む三つの大問題
重信房子氏が語るパレスチナ・ハマース「決起」の理由
3回接種で特定のがんが多発 ワクチン問題研究会が明かす「メッセンジャーRNA」の真実
企業が学問・教育を崩壊させる第二の日本学術会議問題 国立大学法人法改正
権力による教育内容への管理統制強化 加速する「教育デジタル化」の陥穽
問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
高GABAトマト、マッスル・マダイ、ウイルス耐性ブタ……「ゲノム編集」は生態系も人類も損壊する
「松本人志」「旧ジャニーズ」で見えた変わらぬ大手メディアの忖度体質
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2023年の重大ニュースTop25
シリーズ 日本の冤罪47 鶴見事件

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医師や専門家を中心に昨年設立された「ワクチン問題研究会」が1月11日に開いた会見を取材しました。会見では明快かつ具体的に、いわゆるmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについて警鐘を鳴らしています。本誌レポートはさらに噛み砕いた解説を試みたものです。現在もコロナウイルスについて、“第10波”や新たな変異株「JN.1」は感染力が強い、といった報道がなされています。しかし会見で村上康文理事(東京理科大学名誉教授)は、「コロナはリスクが非常に低かったと私は思っています。亡くなった人にPCR検査をして、陽性であればコロナによる死としている」と指摘。また新規陽性者とワクチン接種に関する厚生労働省のデータでは、ほとんどの年齢層でワクチン接種者の方が陽性率が高かったという事実が示されています。

厚労省の予防接種健康被害救済制度に基づく申請受理数は1万90件で、認定件数は5965件、うち死者数は423件(1月26日)。約3000件は未審査のため、審査されたうち85%以上が認定されています。もちろんこれは氷山の一角であり、本誌で何度も指摘しているとおり、日本以外の世界中で追加接種はストップしています。感染を防げず危険だと厚労省が認めるワクチンの接種がなぜ続けられているのか。そしてコロナワクチンを「成功」であるとして、mRNAワクチンは、がんやインフルエンザへの応用が目指されています。もはや問題は「コロナワクチン」ではありません。その危険性を解説した本誌レポートは、すべての人々に読んでいただきたい内容です。

自民党裏金事件を契機として解散した安倍派について、本誌に寄稿した政治評論家の本澤二郎氏は「検察と官邸の国民を欺く策略」と指摘。本澤氏は1月8日に自宅が火災に見舞われた故・田中角栄元首相との関係を起点に“安倍・清和会”とは何かに迫ります。裏金事件では、その役割を果たさない検察組織にも、追及を向けるべきです。

能登半島で起きた地震被害に対する岸田政権の対応の遅さが、東日本大震災・熊本地震における発生直後の復旧スピードと比較され、「岸田政権は菅(直人)政権、安倍政権以下」との指摘がなされています。これに対し、地形の条件が加味されていないといった反論がなされているものの、そうであればこそ、愛媛県の伊方原発をはじめ「半島の原発」の巨大リスクが注目されるところです。ただし、「半島」を加味しても今回の対応は遅すぎるようです。

国の意向を大学運営に直接反映させる国立大学法人法改悪。「稼げる大学」というと、以前は企業に好都合な人材を輩出するイメージだったと思うのですが、すでに大学自体、それも国立大学が稼ぐことを考えるような事態です。大学教員・学生らが猛反発する中、日経新聞昨年12月18日付記事は「稼げる大学はだめなのか 科学研究に『楽園』なく」。高学歴層の多くがこの問題に無関心なのはいったいなぜなのか。自分たちが取り組んだ「学問」が国や企業に売られてしまうことになぜ危機感を持たないのかが疑問です。

その他今月号では、前号に続き「ゲノム編集食品」の危険性を専門家の意見をふまえレポート。1月の台湾総統選や、アメリカ大統領選についても、他メディアで報じられない事実をお伝えしています。全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

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電通・靖国・笹川財団・CIA 安倍派とは何か
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民進党勝利で改めて問う 米国仕込みの虚構の台湾有事
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問われる「こども家庭庁」委員の関与「ベビーライフ事件」と国際養子縁組の闇
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◆京都市長選 ── 自公+国民+立憲 VS 共産+リベラル

任期満了に伴う京都市長選挙が2月4日投開票され、自民、立憲、公明、国民が推薦する松井幸治が当選した。共産党が支援した福山和人は次点であった。

今回の京都市長選、投票に至るまでに野党の体たらくを明示する迷走が告示前に生じていた。各候補者の得票を眺めると興味深い。

松井孝治  17万7454票(37.92%)
福山和人  16万1203票(34.44%)
村山祥栄   7万2613票(15.52%)
二之湯真士  5万4430票(11.63%)
高家 悠    2316票(0.49%)

門川大作前市長は新聞紙上などに登場する際は着物を着用し、和風あるいは京都らしさを演出したかったのかもしれないが、端的に指摘すればオーバーツーリズムを招いた失政により京都市の財政を悪化させた。人口流出は止まらず、「このまま行けば京都市の財政破綻もあり得る」と報道されるほど京都市を滅茶苦茶にしてしまった。

だから門川は京都で評判が悪い。したがって門川の後継者を名乗るだけで候補者が不利であることは明確だったため、各候補者とも「門川市政の継続」を明言しなかった。

◆前橋市長選 ── 自公 VS 立憲+共産+国民+社民

さて、マスメディア的な論評はもういいだろう。同日に群馬県前橋市で市長選挙がおこなわれた。こちらは自民王国群馬県なのに、自民、公明が推す現職が敗れた。

小川 晶  6万0486票
山本 龍  4万6387票

小川は元群馬県議で立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の議員から支援を受け、山本は自民党と公明党が推薦し、4期目を目指していた。立憲や共産、ほかの野党が束になっても群馬県で自民・公明の現職市長を倒すなどは、想像できなかっただけに、快挙である。

◆京都の惨状 ── 「自民 VS 反自民」の構図をぶち壊した立憲民主

他方、京都の惨状はなんだ。

松井は元官僚であり、民主党の参議院議員を二期経験している。官僚出身の野党国会議員の8割以上はアウトな人間だと、わたしは勝手に基準を持っているが、松井もその8割に入る人物だ。今般の京都市長選に早々と自民・公明からの支持を取り付け、立憲もノコノコと乗った。

京都には西田昌司のような人間として最低な右翼政治家から、日和見主義者ランキングでは横綱クラスの前原誠司、前原の後輩にして、最近は野党の振りを演じるのがわりと上手にはなったが、前原同様、松下政経塾出身の福山哲郎がいる。そうそう立憲民主党の党首、泉健太も京都選挙区である。

そして忘れてはならないのが、亡き野中広務の後援会事務局長にして国家公安委員長まで務めた二之湯智の次男が二之湯真士であることだ。このような面々のうち二之湯以外が松井支持で固まったわけだ。

著名な与野党の政治家が高濃度で生息しているのが京都なのである。加えてかなり勢いが衰えたものの全国でも珍しいほどに、共産党への支持が厚い。

長年、京都市長選挙では主軸が自民対共産の闘いが続いてきた。そこに時代に応じて野党が自民に乗ったり、共産に近づいたりする。今回も自民対共産の構図は変わらないものの、あろうことか野党第一党の立憲民主が自民に相乗りしてしまった。これが悪因だ。

全国でも珍しい「自民・共産対決」あるいは「自民・反自民対決」の構図を作れば市民の興味も高まり、政治への関心も上がろうものを、立憲民主がぶち壊しにしてしまったのである。

断っておかなければならないが、わたしは絶対的な「反自民党」であるが、立憲民主、共産をはじめ一切支持政党はない。しかし、選挙なのだから「異なる主張のぶつかり合い」くらいは期待する。

◆「政治資金パーティー」をめぐるミスリード

自民党に対しては「不法な金のやり取り」について、国政でも地方選挙でも必ず争点にしてもらわなければ困る。何千万円から何億円にも上る「政治資金パーティー」(こんな名称のパーティー自体がいかがわしいじゃないか)を巡る政治資金報告書への不記載が問題だと報じられているが、あれはミスリードである。政治資金報告書への不記載は、れっきとした犯罪だ。

犯罪者集団が牛耳る政治は困る。許せない。

自民党は所属する議員に「アンケート調査」を行ったそうだが、犯人が犯人を取り調べて意味があるのか。「アンケート調査」くらいで野党は納得していていいのか。京都市長選挙のように気軽に自民と相乗りしたりしているから、いつまで経っても野党は伸びないのだ。

前原は、民主党から国民民主党では飽き足らず、これまで聞いたこともない「教育を無償化する」集団を立ち上げた。国民民主党は自民党の二軍のようなものだし、維新は「大阪ファシスト党」である。

たまには前橋市長選挙のように少しは興味のわく選挙を見てみたいものだ。

▼鹿野健一 (しかの・けんいち)
1965年兵庫県西宮市生まれ。複数の企業と大学に勤務の後、現在はフリーライター。国際情勢・政治・教育・冤罪・原発などに関心を持つ。反原発季刊誌『季節』副編集長。単著『大暗黒時代の大学』(鹿砦社)。共著『オイこら!学校』(教育資料出版会)、『1970年端境期の時代』、『抵抗と絶望の狭間/1971年から連合赤軍へ』(鹿砦社)など。

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◆再処理工場は稼働できない

再処理工場がいつか完成するとしても、今の状況では稼働することができない。それは、日本の国際公約「余剰プルトニウムを持たない」に抵触するからである。

日本のプルトニウム保有量は2022年末現在で45.1トン、そのうち英仏で再処理して分離したプルトニウムが35.9トンである。日本が保有できるプルトニウムは、現在の核燃料サイクルにおいてはMOX燃料として燃やすことが可能なプルトニウムに限られる。MOX燃料体に入れて原発で燃やすしか手段がないからだ。

MOX燃料の製造が可能なのは現時点ではフランスのオラノ社だけ。英国ではMOX加工ができない。日本も日本原燃がMOX燃料製造工場を建設中だが、こちらの審査もいつ終わるか見通しは立っていないし、仮に完工しても費用がフランスの数倍になる見通しで、経済性はないどころの話ではない。輸入MOX燃料でさえ今のウラン燃料体の10倍以上の価格になっているのに、その数倍の費用をかけて日本製MOX燃料体を作る意味がどこにあるというのだろうか。

今から10年先を見通しても、余剰プルトニウムを持たないとの公約を守るかぎりは再処理工場が完成してもプルトニウムを取り出すことはできない。まず英仏のプルトニウムをMOX燃料に加工して消費することが優先されるはずだ。

さらに問題なのは、2007年までに行われたアクティブ試験において発生した高レベル放射性廃棄物のガラス固化が終わっていないことである。346本のガラス固化体を製造した段階で止まり、211立方㍍の廃液は、審査が終わっていないためガラス固化できずそのまま。再処理工場が完工した場合、まずこれのガラス固化処理をしなければならない。

現状について国は「日本原燃から、再処理事業変更許可申請がなされ、現在、新規制基準に係る適合性審査を行っており、当該審査終了後に原子炉等規制法第46条の規定に基づく使用前検査を実施する段階において、高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉の性能を含めて、再処理施設の性能が技術上の基準に適合するものであること等を確認することとしている」としている(川田龍平参議院議員の質問主意書への回答より)。

しかし先行していた東海村の再処理工場でもガラス固化工程ではトラブル続きで、とうとう2系統あった設備がすべて止まってしまった。現在、2024年度末までに3系統目を建設することになっている。

同様に六ヶ所村再処理工場でも過去にガラス固化工程でトラブルが続いていた。構造はほとんど変わっていないので、再び止まる可能性は高いのである。

ガラス固化体の地層処分とは現在、再処理工場で作られる高レベル放射性廃棄物ガラス固化体をどこに埋め捨てするかが問題になっている。この「ガラス固化体」(ステンレス製容器で覆う構造)の埋め捨てのことを「地層処分」と呼んでいる。ガラス固化体は最初、最長50年間地上で管理する。現在その施設も六ヶ所村にあり、「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」という。これは廃棄物に含まれる放射性物質の崩壊熱と放射線量を減少させるためである。

英仏の再処理工場で再処理したガラス固化体の貯蔵は1995年から始まっているので、最初の固化体が50年を経過するのは2045年である。設備は鉄筋コンクリート造りで地下に設置されたシリンダー構造の容器が並ぶ。貯蔵が終わると深さ300㍍以深に埋め捨てる方針だが、計画では2~3キロ㍍四方の範囲にガラス固化体で4万本以上を埋めるとされる。

この処分地の調査・選定に約20年、建設作業と埋設に約70年、閉鎖するためには約10年かかるとされる。このガラス固化体の立地点では、人間の生活圏から10万年以上の時間、隔離できる条件を持っていなければならないとされる。

立地については、次の3段階で決める。第1段階が「文献調査」(机上調査)で、この調査に手を挙げただけで自治体には20億円の交付金が支給される。第2段階「概要調査」に進むには地域の意見を聞くとされているが、その方法は定められていないため、首長と議会の合意で進められる危険性が高い。

「概要調査」では地点を決めてボーリング調査を行う。4年ほどかかるとされ、交付金が70億円支給される。

第3段階は「精密調査」で地下施設での調査や試験を行い14年かかるとされる。この先の制度については未だ明確にはなっていない。いずれも地元の同意が必要だ。現在の状況は、文献調査に名乗りを上げたのが北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村のみ。交付金は調査対象の隣接自治体にも支払われることになっているが、寿都町の隣接自治体の内7500万円を受け取ったのは岩内(いわない)町のみ。他に蘭越(らんこし)村、黒松内(くろまつない)町、島牧(しままき)村があるが、いずれも核抜き条例を制定するなどして受け取りを拒否した。神恵内村の周辺自治体では、泊(とまり)原発が立地する協和(きょうわ)町と泊村、そして古平(ふるびら)町が7500万円を受け取っているが、積丹(しゃこたん)町は核抜き条例を有して拒否している。

長崎県対馬市は、議会がわずか1票差で文献調査受け入れ請願を採択したが、市長が拒絶している。(つづく)


◎[参考動画]文献調査は「見通し立たない」“核のごみ”最終処分場への調査開始から2年 北海道寿都町のいま(2022/10/10)


◎[参考動画]【速報】長崎・対馬市長が会見 “核のゴミ”処分場文献調査「受け入れない」表明(2023/09/27)

◎山崎久隆 核のごみを巡る重大問題 日本で「地層処分」は不可能だ
〈1〉震災後も核燃料サイクルが残った
〈2〉再処理工場は稼働できない
〈3〉科学的根拠に乏しい経産省「科学的特性マップ」の異常さ
〈4〉放射性廃棄物「地層処分」を白紙にし、本当の議論を

本稿は『季節』2023年冬号掲載(2023年12月11日発売号)掲載の「核のごみを巡る重大問題 日本で『地層処分』は不可能だ」を本通信用に再編集した全4回の連載記事です。

▼山崎久隆(やまざき・ひさたか)
たんぽぽ舎共同代表。脱原発東電株主運動、東電株主代表訴訟に参加。共著に『核時代の神話と虚像』(2015年、明石書店)ほか多数。

『季節』2023年冬号

〈原発なき社会〉を求めて集う
不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2023年冬号

通巻『NO NUKES voice』Vol.38
紙の爆弾2024年1月増刊
2023年12月11日発行 770円(本体700円)

2024年の大転換〈脱原発〉が実る社会へ

《グラビア》
「東海第二原発の再稼働を許さない」11・18首都圏大集会(編集部)
福島浪江「請戸川河口テントひろば」への道(石上健二)

《インタビュー》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
必要なことは資本主義的生産様式の廃止
エネルギー過剰消費社会を総点検する

《インタビュー》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
「子ども脱被ばく裁判」と「311子ども甲状腺がん裁判」
法廷で明らかにされた「被ばく強制」 山下俊一証言のウソ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
【検証】日本の原子力政策 何が間違っているのか〈1〉
無責任な「原発回帰」が孕む過酷事故の危険性

《報告》木原省治(「原発ごめんだ ヒロシマ市民の会」代表)
瀬戸内の海に「核のゴミ」はいらない
関電、中電が山口・上関町に長年仕掛けてきたまやかし

《報告》山崎隆敏(元越前市議)
関電「使用済燃料対策ロードマップ」の嘘八百 ── 自縄自縛の負の連鎖 

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
反原発を闘う水戸喜世子は、徹底した反権力、反差別の人であった
[手記]原発と人権侵害が息絶える日まで
       
《インタビュー》堀江みゆき(京都訴訟原告)
なぜ国と東電に賠償を求めるのか
原発事故避難者として、私が本人尋問に立つ理由

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
原発賠償関西訴訟 提訴から10年
本人調書を一部公開 ── 法廷で私は何を訴えたか?

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈前編〉

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
「核のゴミ」をめぐる根本問題 日本で「地層処分」は不可能だ

《報告》原田弘三(翻訳者)
「気候危機」論の起源を検証する

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
汚染水海洋放出に対する闘いとその展望

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
フクシマ放射能汚染水の海洋廃棄をめぐる2つの話題
映画になった仏アレバ社のテロリズムと『トリチウムの危険性探究』報告書

《報告》板坂 剛(作家・舞踊家)
再び ジャニーズよ永遠なれと叫ぶ!

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈22〉
甲山事件50年目を迎えるにあたり
誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈上〉

再稼働阻止全国ネットワーク
岸田原発推進に全国各地で反撃中!
沸騰水型の再稼働NO! 島根2号、女川2号、東海第二
《東海第二》小張佐恵子(福島応援プロジェクト茨城事務局長/とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
《福島》黒田節子(原発いらね!ふくしま女と仲間たち/「ひろば」共同代表)
《東京》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《浜岡原発》沖 基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(命のネットワーク)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
《中国電力》高島美登里(上関の自然を守る会共同代表)
《川内原発》向原祥隆(川内原発二〇年延長を問う県民投票の会事務局長)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

反原発川柳(乱鬼龍 選)

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広島県内の公立学校の先生が盗撮などの不祥事を起こすと、「不祥事のデパート」教育長の名前で懲戒免職される……。そんな「締まらない」状態も、2023年度いっぱいで終止符が打たれます。

広島県の湯崎英彦知事は2月1日、報道各社の取材に応える形で、2024年3月末で二期目の任期が切れる平川理恵・教育長の再任をしない方針を明らかにしました。

◆任期切れでお役御免! 知事の狡猾な責任逃れ 

「もともと2期6年のつもりだった」と湯崎知事は強弁しておられます。しかし、そんなことは、後付けでいくらでも言えます。人間、そう簡単に権力の座は手放したくないものです。再任しない、ということになればご本人も抵抗する可能性も高い。

平川教育長ご自身も一連の不祥事さえなければ、当然、次もやる気満々だったのではないでしょうか? 下手をすれば湯崎知事の後継の知事候補、ということも考えられます。しかし、県民の批判の前に、さすがの知事も庇いきれなかった。罷免はしなかったが、任期切れでお役御免、という形にした、というのが見え見えです。

通常、教育長というのは、その自治体によって違いますが、現場の教員上がりか、当該自治体出身の文部科学省の官僚かというのが「相場」です。それを敢えて打ち破り、リクルートご出身で横浜市の民間登用校長をされていたという平川氏を湯崎知事が一本釣りしてきた、という経過があります。

したがって、知事としては、任期途中で罷免すれば、自分の任命責任が余計問われます。任期切れでお役御免。知事としてはもっとも狡猾な「逃げ方」です。

◆「改革」という名の「身びいき」だった!

確かに広島県の社会は閉鎖的な面が強い、という声は特に広島県から他県や進学・就職された30代くらいの方からよく伺います。そうした、閉鎖性を平川教育長が打破してくれるのでは?2018年の就任当初、そのように、期待した県民も多いし、マスコミも平川教育長を天まで持ち上げました。

しかし、2期目の途中の2022年夏。事態は暗転します。「文春砲」で一連の不祥事が発覚します。

平川教育長ご出身の地・京都のNPO法人「パンゲア」にわざわざ仕事を県費でつくってあげたと解釈されても仕方のない官製談合問題。外部の弁護士の調査で、地方自治法違反、官製談合防止法違反が指摘されました。

ところが、その弁護士への費用も異様に高額なものでした。しかも県費からの支出です。さらに、県教委と取引のある大阪の企業の女性経営者を平川教育長が自宅に泊めていたということも発覚しました。

これとは別に学校図書館のリニューアル事業と称して、赤木かん子さんを顧問に招聘。赤木さんの著書が大量に学校図書館に送り込まれました。

平川氏は常々、「子どもたちのために」とおっしゃいます。しかし、やっていることは、どうみても、完全な身びいきです。官僚や教員上がりと言った既存タイプの人材よりも酷い腐敗を平川氏は招いてしまいました。

◆木に竹を接ぐ「高校入試」改革

また、平川氏は2023年の高校入試から「自己表現」を導入する改革を強行しました。そもそも、広島県の社会(広い意味での政治)は非常に権威主義的です。それなのに、中学生に「自己を表現しなさい」などと言っても、中学生も親も先生も混乱するだけですし、実際に混乱が見受けられました。

結局、この手の入試改革は、そういうことの対策にお金がかけられるお金持ちの家庭の子に有利になるだけです。以前の、学力テスト+部活も含めた内申点で決めるやり方の方が、お金持ちでない家庭の子にもチャンスがあったのではないでしょうか?

権威主義の広島の社会で、中学生にアメリカンな自己表現を課す。木に竹を接ぐとはこのことです。

◆叡智学園には巨費、非正規教師の正規化には後ろ向き

平川氏は、2019年、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島にグローバルエリート養成を目的とした中高一貫校「叡智学園」を開学しました。しかし、この学園開学早々いじめ問題が発生。なんと被害者が退学を余儀なくされるという「日本的」な結果に終わりました。

そんな叡智学園には巨額の県費をつぎ込む平川氏。しかし、既存の公立学校では1000人以上も非正規の先生がおられます。その先生方を正規化するよう、保守系の県議が議会で要望すると、「予算がない」と切り捨てたのです。

また、図書館の問題にしても、図書館司書が確保できていないことが問題なのに、図書館司書の確保はせずに、赤木かん子さんの著書を大量に入れて赤木さんを儲けさせただけでした。

◆これで幕引きは許されない

しかし、これで幕引きは許されません。平川氏は、違法に使った県費は返していただきたい。現在、平川氏を相手取って、違法に使用した県費の返還を求める住民訴訟が広島地裁に提起されています。結果が注目されます。

そして、平川氏を一本釣りしてきた湯崎英彦知事の任命責任も重大です。

県議会も県議会です。なぜ、ここまで、平川氏への辞職勧告決議案は出せなかったのか?

他の自治体では辞職勧告決議案を準備した結果、教育長は辞任、というケースも起きています。議会がやる気になればいつでも平川教育長は打倒できたのにしなかったのです。

◆じり貧を恐れて平川任命、ドカ貧を招いた湯崎知事、万辞に値する

たしかに、広島県は3年連続人口流出ワーストワンです。まさに、じり貧の状態にあります。そこで、真新しいことをやろうという知事の気持ちはわからないではありません。平川教育長を関東から一本釣りして教育長に任命したのもその現れかもしれません。

しかし、実際に平川氏が行ったのはさらに事態を悪化させるというドカ貧」を招いた独裁でした。湯崎知事は「万死」ならぬ「万辞に値する」と言わざるを得ません。湯崎知事から広島の政治・行政を県民の手に取りもどす「ヒロシマ庶民革命」。その必要性はいよいよ明らかです。

広島瀬戸内新聞と筆者は「あなたの手に広島を取り戻し広島とあなたを守るヒロシマ庶民革命」を呼び掛けています。「我こそは庶民派の政治家に!」(首長、地方議員、国会議員)、また庶民派の政治家とともに広島を取り戻したいというあなたからのご連絡をお待ちしております。

Tel. 090-3171-4437  メール hiroseto2004@yahoo.co.jp

また、ご寄付もお待ちしております(日本国籍の方に限る)。
・郵便振替口座 01330-0-49219 さとうしゅういちネット
・広島銀行 本店営業部 普通 3783741 さとうしゅういちネット

オンラインおしゃべり会さとうしゅういちと広島の政治にガツンと物申す 
毎週金曜 21時過ぎから
zoom meeting IDとパスコードは以下です。
ガツンとご意見をお待ちしております。
ミーティングID: 411 718 3285 パスコード: 5N6b38

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

1月21日に後楽園飯店でニュージャパンキックボクシング連盟2023年の年間表彰式が行われました。この表彰式はこの一つの団体で行なわれているイベントで、他団体は含みません。

・最優秀選手賞 大田拓真(元・WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン/新興ムエタイ)

・年間最高試合賞 NJKFスーパーライト級タイトルマッチ、畠山隼人(E.S.G)vs吉田凜汰朗(VERTEX)
・殊勲賞 NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX)
・敢闘賞 龍旺(NJKFスーパーフェザー級チャンピオン/Bombo Freely)
・技能賞 嵐(NJKFバンタム級3位/KING)
・努力賞 坂本直樹(道場373)
・新人賞(関東) 赤平大治(VERTEX)
・新人賞(関西) 髙木雅巳(誠至会)
・イーファイト賞、バウトレビュー賞 大田拓真(新興ムエタイ)
・女子優秀選手賞 Nao(ミネルヴァ・アトム級チャンピオン/AX)

受賞選手6名

武田幸三氏から高評価を得た大田拓真は最優秀選手賞

 

最優秀選手賞受賞した大田拓真

◆受賞者コメント

最優秀選手賞、バウトレビュー賞、イーファイト賞 大田拓真(新興ムエタイ)

「三つの賞に選んで頂き有難うございました。NJKFの会長さん方々には、お世話になっていますので、今年も僕は結果を出して、NJKFと自分の選手としての価値を上げて行くだけなので今年も勝ち続けていきたいと思います。宜しくお願い致します。」

 単独コメント
「武田幸三さんに、試合を生で見て貰ったのは前回(昨年11月12日)の試合が初めてだったのですが、『初めて見たけど凄くテクニックも有って全体的にバランスも良かった。』と言って頂いて評価は良かったです。序盤、相手(対ルークワン戦)はグローブを交えてやっぱり強いと思ったので、僕も戦いながら考えましたが倒して勝って、武田さんの現役時代をテレビで観ていた憧れの存在だったので、その武田さんに評価されたことは凄く嬉しかったです。」
と語ってくれました。

殊勲賞、年間最高試合賞 畠山隼人(E.S.G)vs吉田凛汰朗戦

吉田凜汰朗(VERTEX)
「まず2月11日、勝ちと内容をしっかりと、NJKFの中量級は自分しかいないなというのを魅せるので注目していてください。畠山隼人戦については、最初にダウン喫したのですけど、タイトルマッチ5ラウンドあるというところで、絶対逆転出来るという気持ちが第2ラウンドに活きました。今後は世界を獲る為に一戦一戦確実に仕留めていきます。自分の試合に来ればハズレは無いなと思って貰える様にやるべきことに集中して強くなって年間最高試合賞獲ります。最優秀選手賞も獲りたいと思います。応援宜しくお願い致します。」
  
 単独コメント
「今年はWBCムエタイ日本タイトルを獲りに行かないといけません。今年中にもう一回畠山隼人さんと、今度はノックダウン取られないように無難にノックアウトで勝ちたいです。次は2月の東西対決ですが、ここを制して次のタイトルですね。」と語ってくれました。

殊勲賞受賞した吉田凛汰朗

畠山隼人を倒してチャンピオンとなった吉田凛汰朗は殊勲賞

年間最高試合賞 畠山隼人(E.S.G)は欠席の為、NJKF発表の本人コメント 
「この度は名誉ある賞をありがとうございます。倒し倒されの熱い試合が出来たのも対戦相手の吉田凛汰朗選手の御陰です。選手を続ける以上は見ている方に面白いと思って貰える様な熱い試合を心掛けたいと思います。」

敢闘賞 龍旺(Bombo Freely)は欠席の為、NJKF発表の本人コメント 
「沢山の選手がいる中で選んで頂き嬉しいです。チャンピオンとしては勿論、NJKFを引っ張っていける選手になります。期待していて下さい。」

NJKFスーパーフェザー級チャンピオンとなった龍旺(左)は敢闘賞、右は大田拓真

技能賞 嵐(KING)  
「今回は技能賞に選んでくださり有難う御座います。今年のNJKFの主役は俺になると思うので応援宜しくお願いします。」

 単独コメント
──「今年はMVPを狙うとなれば、大田拓真を越えるような存在となりますか?」
嵐「その気で居ます。」
──「2月11日の甲斐元太郎(理心塾)との東西対決は、前回11月21日のセレモニーで両者エキサイトした発言となりましたが、この時の発言は本気でしたか?」
嵐「今もムカついているのでぶっ倒すつもりです。1ラウンドから倒しに行こうと思っています。」と自信満々の回答でした。

努力賞 坂本直樹(道場373) 
「この度努力賞に選んで頂き有難うございます。2024年も賞に選ばれるように頑張りたいと思います。毎試合皆の記憶に残る試合をするので応援よろしくお願いします。」

[左]努力賞受賞した坂本直樹/[右]技能賞受賞した嵐

新人賞(関東)赤平大治(VERTEX)
「このような新人賞を頂いてとても嬉しいです。更にやる気に満ち溢れてきたので今後も賞を頂けるように精一杯努力して、勝利はもちろんKOを量産出来るようにNJKFを盛り上げていきたいと思います。」

新人賞(関東)を受賞した赤平大治

 

女子の優秀選手賞受賞したNao

新人賞(関西) 髙木雅巳(誠至会)は欠席の為、NJKF発表の本人コメント 
「団体からこのような賞を頂いたことは素直に嬉しいです。今後の抱負として、NJKFのチャンピオンになります。」

女子(ミネルヴァ)優秀選手賞 Nao(AX)
「ミネルヴァ優秀選手賞に選んでくださり有難うございます。このような素敵な賞を受賞できて本当に嬉しいです。昨年4試合目でタイトルマッチを組んで頂いて、アトム級のチャンピオンに成ることが出来ました。今後は追われる立場になるのですけど、今後も一戦一戦挑戦するという気持ちを忘れず、チャンピオンベルトを守っていきたいと思いますので、今後も宜しくお願い致します。」

《取材戦記》

ニュージャパンキックボクシング連盟に限って見れば、大田拓真の活躍は想定出来た範疇で、今年も世界規模の期待が掛かるエース格です。

畠山隼人の牙城を崩した吉田凛太朗の王座奪取は予想外だった意見は多いようでした。今年は安泰と行くか、チャンピオンとしての真価が問われる年でしょう。嵐の喧嘩腰のアピールは賛否はあるものの、本気で最優秀選手賞とバンタム級王座狙っているチャンピオン候補です。

◆年間最優秀選手賞はパウンド・フォー・パウンド!?

複数階級あってもウェイト差関係無く評価した場合、最優秀選手賞はその年のパウンド・フォー・パウンド的最高峰と言えるでしょう。試合でまず判定でも勝つことが重要ながら、その勝利に多くの評価を得るには感動を与える名勝負を残すことが重要です。

プロボクシングでは1月16日に、日本ボクシングコミッション、日本プロボクシング協会、東京運動記者クラブ・ボクシング分科会による2023年の年間表彰候補者を発表された模様です。最優秀選手賞候補は井上尚弥(大橋)、寺地拳四朗(BMB)、井岡一翔(志成)、中谷潤人(M・T)。新鋭賞には那須川天心(帝拳)も候補に挙がっています。

受賞者は2月2日に発表される模様で、2月19日に例年どおりなら東京ドームホテルで年間表彰式が行われます。

やっぱり存在感の大きさを感じるのがこのプロボクシングの組織の在り方です。世界戦の前日計量と調印式や、年間表彰式は新聞社記者クラブの記者がドッと繰り出し、コロナ禍前の日本プロスポーツ協会が主催の年間表彰式も同様に記者がドッと繰り出していました。

先日1月20日の全日本キックボクシング協会設立記者会見は格闘技専門マスコミの記者が3名のみ。翌21日のニュージャパンキックボクシング連盟年間表彰式は記者1名のみ(いずれも私以外)。

そんなキックボクシングも選手層の薄い各団体枠でなく、業界全体を見渡せば厚い選手層となる中での年間表彰式から選出されれば、受賞はより遠い存在となってしまうにしても、より一層希少価値が上がり、選手はモチベーションも上がることでしょう。

今年も進化あるキックボクシングに期待して、次回の年間表彰式も多くの記者や関係者が賑やかに談笑していることに期待したいものです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

伝説のジャニーズ暴露本『光GENJIへ』のゴーストライター本橋信宏さんと鹿砦社松岡利康代表の対談が2月1日の「サイゾーウーマン」で公開されました。前編と後編の2本立て。ぜひご一読ください。(編集部)

◎[前編]ジャニーズ暴露本『光GENJIへ』から35年、ゴーストライター・本橋信宏と鹿砦社が見つめるジャニーズ問題
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463030_1.html

◎[後編]ジャニーが生きている間に、歯止めを利かせられていたら ── 暴露本の当事者が明かす胸中
  https://www.cyzowoman.com/2024/02/post_463040_1.html

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

ジャニーズ帝国60年の興亡
鹿砦社編集部=編 A5判、320ページ、カバー装  定価1980円(税込み)
少年愛の館、遂に崩壊! ジャニーズ問題追及28年の執念、遂に実る!

本年(2023年)3月7日、英公共放送BBCが、わが国だけでなく全世界に放映した故ジャニー喜多川による未成年性虐待のドキュメント映像が話題を呼び、これをきっかけに、ジャニーズ問題が報じられない日はない。

本書は28年に及ぶ対ジャニーズ問題取材と出版活動の〈集大成〉としてジャニーズ60年の詳細な歴史をあますところなく記述し、これ一冊でジャニーズの歴史がすべて解るようにした。今では貴重な資料も復刻・掲載、ジャニーズの60年の出来事を直近まで詳細に記載し、鹿砦社にしかできない、類書なき渾身の書!

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

1月30日午後3時すぎ、青木恵子さん(東住吉事件冤罪犠牲者)からLineが届く。

「ママ、名張事件が棄却されました。許せないです」。

1961年、三重県名張市の小さな村の公民館で行われた親睦会で、ぶどう酒を飲んだ女性5名が死亡、12名が重軽傷を負う事件が発生。村人の奥西勝さんが逮捕・起訴され、1972年、最高裁が上告を棄却、死刑判決が確定した。その後何度も闘われた再審請求。2015年、奥西さんが無念の獄死を遂げた(享年89歳)のち、妹の岡美代子さん(現在94歳)が請求人となり第十次再審請求を行ってきたが、最高裁は、1月29日付で再審開始を認めない決定を出した。

以前、青木さんとが岡さんと西山美香さん(湖東記念病院冤罪犠牲者)の3人で撮った写真を見せてもらったことがある。2人に囲まれた岡さんは久々に楽しく笑いあえたと、とてもにこやかな表情だった。青木さんは現在、西山さんと1日でも早く岡さんを励ましにいきたいと日程を調整中とのことだ。

◆奥西勝さんは犯人なのか?
 
事件発生から6日後、奥西勝さん(当時35歳)が逮捕された。亡くなった女性の中に、奥西さんの妻と愛人が含まれていたことから、三角関係を解消するために犯行に及んだとされた。奥西さんは厳しい取り調べに何度か「自白」に追い込まれたが、その後は一貫して否認している。

ぶどう酒は、当日会長が住民Aに買いに行かせ、Aは午後5時過ぎに瓶を会長宅に運んだと証言していた。その後まもなく奥西さんが会長宅を訪れ、ぶどう酒を公民館に運んでいたため、会長宅で毒物を混入する時間はなく、毒物を混入できるのは、公民館で奥西さんが1人になった10分しかないとされた。

物証や目撃証言が乏しいなか、警察は、わずか8戸の小さな集落で村人を集め「話し合い」を行い、消去法で奥西さんを犯人とした。しかし、村民の供述は、逮捕された奥西さんの「自白」後、不自然に変遷していた。とりわけAは、当初「午後2時に運んだ」としていたが、奥西さんの「自白」後、午後5時に変えていた。

1964年、こうしたカラクリを「検察官のなみなみならぬ努力の所作」と皮肉を込めて批判し、一審・津地裁は奥西さんに無罪判決を言い渡した。検察は判決を不服として控訴、1969年、名古屋高裁は、「ぶどう酒瓶の王冠に付いていた歯形が奥西さんの歯形と一致した」として、逆転死刑判決を言い渡し、1972年、最高裁で刑が確定した。

ぶどう酒瓶が会長宅に届けられたのは午後2時か、5時か?公民館で奥西さんが1人になった時間があったのか?蓋を開ける際、瓶はどのような状態だったか?供述調書や関連書類が隠されたまま、再審請求が求められた。

再審請求は第一次から第五次まで次々と棄却。その後、日弁連の弁護団が加わり、奥西さん無罪の新証拠を次々と開示させていった。2002年、名古屋高裁に請求した第七次再審請求では、死刑判決の根拠となったぶどう酒瓶の王冠に付いた歯形と奥西さんの歯形が一致したとする鑑定が不正であること、ぶどう酒瓶に混入された農薬と瓶から検出された農薬が別物だという新証拠が提出された。

2005年4月5日、名古屋高裁(刑事1部)は再審開始と死刑執行の停止を決定。検察官が異議を申し立て、2006年、名古屋高裁(刑事2部)は、再審開始の決定を取り消、死刑執行停止も取り消した。2010年、最高裁はその決定を再度取り消し、名古屋高裁に審理を差し戻すなどし、審理は更に続いた。

一方、奥西さんは、2015年10月4日、名古屋高裁に第九次再審請求中に、それまで患っていた肺炎を悪化させ、府中医療刑務所で獄死、享年89歳だった。

その後まもない11月6日、奥西さんの妹の岡美代子さんが請求人となり、名古屋高裁に第十次再審請求が申し立てられた。しかし、名古屋高裁(刑事1部)は、2年もの間、三者協議も開かずに、17年請求を棄却。異議審を審議する名古屋高裁(刑事2部)も三者協議を開かず、事件を放置するという不当な対応を続けた。

弁護団は3度に渡り、裁判官らの「忌避」を申し立てたが、そのさなか裁判長が突然依願退官することがあった。しかし、その後新たに鹿野伸二裁判長が就任するや、面談が実現するなど、裁判が慌ただしく動き出した。

◆名古屋高裁で何が争われていたか?

面談で弁護団は、①請求人が高齢であるから、早急な解決を望む、②ぶどう酒瓶に巻かれた「封かん紙」の裏側に付着する糊に再鑑定を許可して欲しいなどと要求した。さらに弁護団の証拠開示命令の申し立てで、新たに9通の住民の警察官調書が存在することがわかった。これに対して検察は「開示する必要はない」としたが、裁判所が開示を強く求め、事件から59年ぶりに新証拠が開示されることとなった。
それは親睦会に参加していた7名の住民の9通の警察官調書で、奥西さんが「自白」した前の、事件直後の住民の記憶が鮮明なときに作成されたものだった。奥西さんの「自白」では、ぶどう酒瓶に毒物を混入させるため、火鋏で外蓋を突き上げ外したが、その際、蓋の外側に巻かれた封かん紙も破れ、落ちたままだったということだった。つまり、親睦会が始まった際、住民が見たぶどう酒瓶は、内蓋が閉められただけの状態だったはずだ。

しかし、警察官に質問される形で、瓶がどういう状態だったかと聞かれた住民は、それぞれ「ブドウ酒の瓶は裸瓶でありましたが、封をしてるところに紙が巻いてあったと思います」「流しの前に立ててあるとき、王冠の蓋に封した紙を巻いてありました」などと答えている。つまり、親睦会が始まった際、住民が見たたぶどう酒瓶には封かん紙が巻かれていたということ、これは先の奥西さんの自白とは完全に矛盾するものだ。

しかもこの供述は、奥西さん無実のもう証拠ーー封かん紙の裏側に、製造過程で使った糊(CMC糊)とは別の、家庭で使う洗濯糊(PVA糊)の成分が検出されたとの、弁護団の新証拠と合致するものだ。

しかし、最高裁は2024年1月29日付で特別抗告を棄却した。長峰裁判長は「弁護団が主張する鑑定方法で『封かん紙』に付いた物質を特定すること自体、相当難しい。鑑定結果に、何者かが毒物を混入して再び糊付けした可能性を示す証拠としての価値はない」とした。

ただし、5人の裁判官のうちの一人、学者出身の宇賀克也裁判官は「封かん紙に異なる糊の成分が就いているとした鑑定結果は高い信用性があり、犯人性に合理的な疑いが生じる」として、再審を開始すべきだとの反対意見を述べた。長い裁判の中で、初めてのことだった。

岡美代子さんと弁護団は、第十一次再審請求を準備するという。名張毒ぶどう酒事件に今後も注目していこう!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

◎鹿砦社HP https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000733

《2月のことば》覚悟 信念を貫く(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

今年も2月1日がやって来ました。

人には誰も覚悟を決める時があります。

私にとって2月1日は、まさにその時でした(以下2・1)。

また、7月12日もそうです(以下7・12)。

2・1と7・12については、この通信をご覧になってきた方にはお分かりでしょう。

52年前の1972年2月1日、私(たち)は、ある大学のキャンパスの中心にある建物の屋上に拙い砦をこしらえ学費値上げに反対する意志表示として立て籠もり徹底抗戦しました。

強い覚悟を持って──。

これ以降の私の人生に於いて辛いことは幾度となくありましたが、その時には52年前の2・1の覚悟、あるいは19年近く前の7・12の逮捕のことを想起して乗り切ってきました。

もっと穏やかに平々凡々の人生を送る選択肢もあったのに、生来鈍愚な私は、逃げることなく常に愚直に突き進みました。何事も私なりに一所懸命に格闘してきました。編集者としては二流、出版社としても零細出版社にとどまりました。

そうして齢70を越え、気づいたら満身創痍── もっと過酷な人生を送った方々もおられるでしょうから、取り立てて威張れるものではありませんが、もうしばらく「覚悟」を持って、やり残している仕事を完遂させたいと考えています。

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年2月号

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