2月25日、広島瀬戸内新聞取材班は県内でも人口減少が激しく、製鉄所の撤退などのニュースも続く呉市を取材しました。自治会連合会長の城健康様からお話を伺いました。以下は会長のお話しの概要です。

◆人口流出への歯止め、「都会だったころ」の発想では厳しい

 

自治会連合会長の城健康様

人口流出はここまではある程度仕方がなかった。しかし、今後は歯止めをかけていかないといけない。昔は、呉は海軍の軍港として人口が一時は40万人に達するほどまで栄え、戦後の高度成長期は国の直轄事業で栄えた。しかし、そういうお金がもうないのだから衰退は当然だ。

呉市は(広島市や東広島市と比べても)立地は悪く、企業誘致は現実には難しい。遊ぶところも広島市と比べれば少ない。昔、呉市が都会だったころの発想では難しい。現実を前提としないといけない。

当面の経済活性化策としては、(地元最大の企業である)自衛隊への呉の地元企業からの納入率を上げていくことだろう。呉の企業ができるものを調べ、(県外大企業中心だった)流れを変えていく。これは商工会議所が中心となってやってもらうしかないだろう。

◆公約破りのオンパレード、市民の意見を聴こうとしない現市長

そうした(厳しい状況の)中で、いかに呉に住んでもらうか?が大事だ。市民の意見を聴いて議論していくしかない。しかし、現市長はその市民の意見を聴くことをしようとしない。

市長は初当選時、「退職金は自分の働きぶりを市民が評価して決めてもらう」と公約したが、コロナを言い訳に反故にした。

安芸灘大橋も無料化すると新原市長は言っていたが反故になっている。

市議会議員も、十分に仕事をしているとは言えない。ただ、市長を変えれば、議員も動き方は変わってくると思う。

リーダーを変えていくしかない。2025年11月の呉市長選挙でのリーダー交代が必要だ。

◇      ◇      ◇       ◇

◆呉のことは官僚ではなく市民が決めよう

2021年11月の前回の呉市長選挙では、新原芳明市長は現職であるにもかかわらず新人に2000票差まで肉薄されています。普通、現職首長は広島県知事でも市長でも二期目を目指す選挙は圧勝する場合が多いので、新原市長への呉市民の不満が高いことはよくわかります。

新原市長は、2017年の初当選前は、市役所の新築に反対し、駅前そごう跡への移転を推進する人たちに推されていたそうです。当選されたらもちろん、新築された市役所で執務されています。

また、小村前市長のときに決まっていた駅前の整備を、前市長への対抗意識からか、いったん凍結してしまいました。その結果、2027年度をめどに完成、という状況になってしまいました。受け継ぐべきものは受け継げばいいのに、そうはしない。

城会長が、「現市長はあくまで、財務省から送り込まれた官僚。地元のことは全然わかっていない。」「市民も目覚めて、呉のことは官僚に決めてもらうのではなく市民自身が議論して決めていかないといけない。」と強調されていたことが、印象に残ります。

◆観光ボランティアガイドの皆様に呉市の過去を学び、未来を考える 

取材班は、この日の午後は、呉市の過去を学び、未来を考えるため、観光ボランティアガイドの皆様にお話を伺い、また「呉湾おさんぽクルーズ」に乗船しました。

H様、O様からお話を伺いました。H様(写真)はIHI退職者。5歳の時、呉大空襲(市街地が標的となった7月1日分)の経験者。空襲が終わってから外へ出ようとすると防空壕の地表に近い側でたくさんの方がなくなられていたのが印象に残っているそうです。

軍港呉の歴史にお詳しいO様は、「呉湾おさんぽクルーズ」 で我々をご案内いただきました。呉に海軍鎮守府が設置されてから軍港として栄えた歴史と、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、そして満州事変、日中戦争、第二次世界大戦の歴史について熱く語ってくださいました。大陸に「防衛」を大義名分に出兵を続けた敗戦までの日本の歴史を教訓に「防衛と言ってもエンドレスだ」と指摘。現在の岸田政権による軍拡に懸念を表明されました。クルーズから帰還後も、呉市と日本の将来について、意見交換をさせていただきました。「東京への一極集中政策を止めさせないといけない。」で一致しました。

[左写真]H様 [右写真]O様

※この取材のあと、3月4日に防衛省が呉製鉄所跡地を買い取り、拠点を整備する案を広島県と呉市に提案しています。要は、製鉄所を明治から敗戦まで海軍工廠だった時代に逆戻りさせるということです。

広島瀬戸内新聞では、呉市の課題について、呉市民の皆様、またそれ以外の皆様からもご意見をお待ちしております。

090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp または、
オンラインおしゃべり会「さとうしゅういちと広島の政治にガツンと物申す」にお寄せ下さい。

毎週金曜 21時15分から zoom meeting ID とパスコードは以下です。

ミーティング ID: 411 718 3285 パスコード: 5N6b38 
(顔出し、声出しされなくても結構です。チャット欄でもご意見お待ちしております。)

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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3月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年4月号

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自民党派閥解散の茶番 所得税法から見た裏金「脱税」事件
欧州農民デモの訴え EUのエコロジー政策が農業を潰す
鈴木宣弘東大大学院教授が警告 残留農薬・人工肉・農業基本法改悪で「日本の農と食」が崩壊する
浮かび上がる“巨大地震”の実態 なぜ能登半島地震の名称は「大震災」でないのか
政権交代に向け本格始動 泉房穂前明石市長の「救民内閣」構想
どの道を行っても「解散」か「総辞職」岸田“低空飛行”内閣の八方塞がり政局
アメリカの日本支配機関「日米合同委員会」廃止デモ
日テレドラマ「セクシー田中さん」問題 漫画原作者自殺事件を生んだテレビ界の権力構造
マスコミが報じない朝鮮半島情勢 核ミサイル開発よりも危うい「白頭山大噴火」の現実味
BBCジャニーズ報道から一年 相次ぐ「性加害」報道に垣間見える危うさ
東京五輪汚職と酷似「異次元の無法地帯」と化した横浜市の電通癒着
「入管法」不備を放置する日本政府の問題だ 川口市「クルド人問題」の本質
大逆心中?夢洲万引博打
戦争報道・対米報道・対日報道 中国は世界をどう報じているか
シリーズ 日本の冤罪48 仙台筋弛緩剤事件

連載
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拙著『日本の冤罪』が出版されてから数か月、この本がご縁で素晴らしい方々と出会うことができた。

昨年12月24日、出版記念の集まりではないですが、Swing MASAさん(サックス奏者)と冤罪関連の集まりをもった。MASAさんらの演奏、井戸謙一弁護士の貴重な講演、そして4組の冤罪犠牲者の家族、関係者のお話など非常に貴重な時間を過ごせた。終了後の親睦会で「国賠ネットワーク」の方から、2月24日東京での集まりに来てお話してとお誘いを受けた。

2月24日『日本の冤罪』の編集をお手伝い頂いた鹿野健一さんと約1時間対談をさせて頂いた。終了後の親睦会で会員の土屋さんが「3月3日大阪に行くので店に寄ります」と言われた。3月3日は金聖雄監督の新作「アリランラプソディー」の大阪試写会に招待されていたので、店はやってませんとお断りさせていただいた(この映画については、またきちんと書きます)。

だが、その際、数日前ピースクラブのかじさんが話していたことを思い出した。

「3日は大事なパーティーがあるのよ。甲山事件の支援をされていた方々の……」

私はその男性に「もしかして3日来られるのは大国町ピースクラブですか?」

「えっ、なぜ知っているの。だったら、そこへ来れば」と言われた。

が、私は多分あいまいな返事をしていた。

3日日曜日、試写会会場の「いくのパーク」にカオリンズと向かった、ていうか、連れてって貰った。会場は体育館でフラットなので、背の低い私は前の席に座った。入口から金洪仙(キムホンソン)さんがさっそうと入ってきて、隣に座る。

そして、「昨日は4つも行きたいイベントがあったけどどこにも行けなかった」みたいな話をして「今日はこのあとピースクラブに行くの」というので、「えっ?」とどんな集まりなのか説明してもらう。

長く続いている、濃いつながりの仲間の寄りあいのようだ。私はホンソンさんに「東京でお会いした冤罪関係の方に『来れば』と言われてけど」と話し、たぶん辞めておくわと言ったと思う。

私は「アリランラプソディー」を見たあと、どうしてもキムチが食べたくて、鶴橋に寄ったら必ず寄る韓国料理の店で味噌チゲを食べ、「アリランラプソディー」のパンフを見ながらまったりビールを飲んでいた。

するとパーティーの準備などで早めにピースクラブに行っていたホンソンさんから「参加者名簿に『尾﨑美代子』とあるよ」と連絡がきた。「えっ? どうしよう」。

しばらく思案したのち、家に帰れば、東京にもっていった『日本の冤罪』20冊の残り6冊があるはず……急いで帰れば間に合うか。本を売りたい、いや、紹介したいと思ってしまい、急いで帰ってピースクラブに行く。いや、行った目的は本を売りたいためだけではないですが。その日の様子は金洪仙さんのFacebookの投稿を読んでください。

結果、素晴らしい人たちと出会うことが出来た。更に早めに帰るつもりが23時までいてしまった。私が余り知らなかった甲山事件について、甲山事件の弁護人の一人であり、私が大尊敬していた故・片見冨士夫弁護士のお話をたくさんお聞きすることができた。

なお、この寄りあいでは、もうひとつ、驚くような出会いというか、再会場面があったが、それはまた別の日に……。

連絡をくれ、繋げてくれた金洪仙さんに大感謝です!!

写真[左]石橋義之さんが長年作ってきた「ばじとうふう」に執筆してきた仲間の皆さんの寄り合いに参加することが出来た/[中央]3月3日の素晴らしい寄り合いに誘って下さった「国賠ネットワーク」の土屋翼(つちやたすく)さん/[右]3月3日午後から生野区「いくのパーク」で開催された「アリランラプソディ」試写会後あいさつする金聖雄(キムソンウン)監督

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

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自民党裏金事件をめぐり逮捕・起訴に至った議員は池田佳隆・大野泰正・谷川弥一の3氏のみ、安倍派幹部7人は「嫌疑なし」として不起訴。「なぜ?」の声が上がるのは当然で、そこに政治資金規正法の“大穴”があると指摘するのは元検事の郷原信郎弁護士。今月号では郷原弁護士が法の“大穴”とともに、東京地検特捜部の捜査の“大穴”についても、わかりやすく説明しています。さらにいえば、検察リークを主体とする大手メディアの問題も、そこに絡んできます。記事では「マスコミは検察の従軍記者」と喝破する郷原弁護士が、裏金議員を正しく追及する方法を解説します。

岸田内閣の支持率が擁護メディアですら危険水域を超えて下落を続け、退場へのカウントダウンが始まっています。しかし、この期に及んでも、政権交代より“ポスト岸田”が先行。自民党は不滅というのがマスコミの一貫した姿勢です。そのポスト岸田の面々に、まだ“派閥”の影響がみてとれます。そうなれば、派閥は「旧××派」となるのか、何か別の言葉に言い換えられるのか。言い換えといえば、「防犯カメラ」になった「監視カメラ」、「マイナンバー」になった「国民総背番号制」。後者はよく見ると、「政府が国民に割り当てる番号」が、いつのまにか「私の番号」となっていることに気づきます。

今月号では「食」と「農業」に関する話題についても重点的に採り上げました。その際に焦点が当たるのが「世界経済フォーラム年次総会」(ダボス会議)の存在です。今年1月の会議では、農薬世界最王手の独バイエルCEOが温室効果ガスの原因として、「水田稲作」によるメタン発生を槍玉に挙げたことが話題になりました。そこには、稲作の乾田化によって除草対策が必要になり、同社の除草剤「グリホサート(ラウンドアップ。人体に有害)」の需要を高める目論見もあるようです。またメタン発生では、長らく「牛のゲップ」が大きな要因であると批判されてきました。ドイツをはじめヨーロッパ各地で起きている農民デモの訴えに、日本の多くのマスコミはほとんど言及しませんが、農業を「悪」として、生産への規制や補助金停止の政策を進める各国政府への反発が、その背景にあります。

本誌では、グリホサートの危険性とともに、パンの残留農薬についても採り上げています。加えて、国産・輸入小麦にかかわらず、日本のパンの安全性についてしばしば注目されるのが、添加物の「臭素酸カリウム」。パンの膨らみや食感を良くするとされるものの、EUや中国では使用禁止、日本では完成品に残留が検出されなければ(検出限界以下なら)使用可、とされています。日本の食品基準の緩さはここにもあります。前号などでレポートした「ゲノム食品」もそうですが、問題は使用される成分だけでなく「表示義務」にもあります。安全性を求めるには、自ら信頼できる情報を探すしかありません。巻頭ページでデータを参照した「農民連食品分析センター」の活動は重要です。

その他、日テレ「セクシー田中さん」事件に表れたテレビドラマ制作現場の実情、そして「漫画原作ドラマが増える理由」。朝鮮半島情勢では、韓国・北朝鮮のファーストレディに同時勃発した「ディオール・スキャンダル」。東京五輪汚職と酷似する「2027年横浜花博」の電通癒着など、今月号も濃度の高いレポートをお届けします。全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

3月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年4月号

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政権交代に向け本格始動 泉房穂前明石市長の「救民内閣」構想
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日テレドラマ「セクシー田中さん」問題 漫画原作者自殺事件を生んだテレビ界の権力構造
マスコミが報じない朝鮮半島情勢 核ミサイル開発よりも危うい「白頭山大噴火」の現実味
BBCジャニーズ報道から一年 相次ぐ「性加害」報道に垣間見える危うさ
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「入管法」不備を放置する日本政府の問題だ 川口市「クルド人問題」の本質
大逆心中〜夢洲万引博打
戦争報道・対米報道・対日報道 中国は世界をどう報じているか
シリーズ 日本の冤罪48 仙台筋弛緩剤事件

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あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
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これまで貴通信には日米統合一体化が進んでいることに警鐘をならす投稿をさせて頂いた。今回は、その流れの中で、今株価が上昇し、バブル歓迎論が出ていることに焦点を合わせ、それが誰により、何を狙ったものなのかを考えていきたい。

◆米国外資による「日本買い」

年初から高騰していた株価は、2月22日には、バブル期最高値である1989年12月29日の3万8915円を超える3万9098円を記録した。

株高はすでに、昨年の1月に始まっている。その時、マスコミは、「日本経済復興のチャンス」を謳い、国際投資アナリストなる大原浩氏などは「30年ぶりに日本の黄金時代がやってくる」(現代ビジネス)と手放しの歓迎ぶりであった。

そして今回もマスコミは「日本反転の契機に」「真の経済再生の好機」などと株高、バブルを歓迎する報道を行っている。

株高の要因はマスコミなども指摘するように「外国勢の『日本買い』」であり、その主役は米国外資である。そして米国は、それを煽っている。昨年春には、世界3大投資家の一人で「投資の神様」と言われる、ウォーレン・バフェットが来日し、「これからは、日本株」と持ち上げて見せた。

最高値に迫った2月15日、内閣府は昨年末にGDPでドイツに抜かれて、4位に転落したと発表したが日本経済の衰退は著しい。それなのに米国外資は「日本買い」に走っている。そうであれば、米国の意図は何かである。

それは米国の新冷戦戦略を考えてこそ理解出来る。今、米国は米中新冷戦を掲げ、西側を結集することで衰退著しい米国覇権を回復させようとしており、そのために日本の軍事、政治、経済などあらゆる領域で日米統合を進めている。

米国外資による日本株の上昇、バブル化は経済領域での日米統合のためのものだ。米国外資による「日本買い」自体がそのことを物語るが、こうした中で、日本株を買った米国外資が日本の企業を直接、管理支配する動きを強めている。

昨年1月から「日本買い」を始めた米国外資は、5月に集中した株主総会で「もの言う株主」として現経営陣の退陣と社外取締役の採用など「企業統治の改善」を要求してきた。

「企業統治の改善」、会社は公器、会社員のためのものであるという「日本型経営」を解体し、会社は株主のものだとして、株主である米国外資が経営権を握れるようにせよということである。米国の投資助言会社が日本的な企業防衛策である「持ち株会社」を問題視するのも、そのためだ。

すでに日本は、デジタル時代にあって「生命線」と言われるデータも米国企業に握られている。デジタル庁のプラットフォームはアマゾンであり、データを集積管理する「クラウド」もGAFAMなど米国の巨大IT企業が握っている。また、熊本のTSMCなど各地で進む、米国IT企業やその傘下企業を中心にした半導体生産基地建設など経済の日米統合一体化が進んでいる。そうした中で、米国外資による日本企業の直接管理支配までが進められているということだ。

経済アナリストの中には、今後の株高推移は、「企業統治の改善がカギになる」と言う人もおり、今年の株主総会では、米国外資による日本企業支配の要求が一層強まるだろう。

日本の企業を米国外資が支配すれば、米国の下での日本経済の統合は決定的に進む。経済がそうなれば、日本という国自体が米国の一部のようになってしまう。

◆岸田政権がそれを積極的に後押ししている

それをあろうことか日本の政府である岸田政権が積極的に後押ししている。

岸田政権が掲げる「資産運用」政策がそれである。昨年1月の「施政方針演説」で、「資産所得倍増プラン」を、7月の骨太方針では「資産運用立国」を打ち出し、12月には「資産運用立国実行プラン」を発表した。

岸田政権の「資産運用」は、2000兆円もの個人金融資産運用が目玉になっている。

今年の施政方針演説でも強調したのは「稼ぐ力」。それが米国外資による株価高騰に国民の個人金融資産を注ぎ込むものであることは言うまでもない。

「資産運用立国実行プラン」は、日本のメガバンクや大手証券会社などの金融機関グループに「資産運用力向上」と「企業統治改善」を求めることを求める内容になっている。

「企業統治改善」は、先に述べたように、米国外資による日本企業の管理支配を意味する。

「資産運用力向上」は、米系資産運用会社に資産運用を任せるということである。

米国資産運用会社は、リーマンショックを引き起こして問題視された「金融商品」の開発など資産運用に長けている。政府は、この「金融商品」を「資産投資商品」と名を変えながら、2000兆円もの国民の金融資産を「金融商品」に使えと言っているのだ。

岸田首相は、昨年9月にニューヨークで米国金融人200人を前に「資産運用特区」創設を表明し、そこでは「英語だけで手続できるようにする」などの優遇策や投資促進策であるNISA(小額投資減税策)の実施などを述べながら、日本の株式市場への投資を要請した。このことは岸田政権の「資産運用」政策が米国の要求に応じ、日本の企業や国民の金融資産を米国外資に委ね売るものであることを如実に示している。

岸田首相は4月10日に国賓待遇で訪米することが予定されている。昨年の訪米では、防衛費を倍増し敵基地攻撃能力保持することなどが約束されたが、その下で、今年の訪米では「資産運用」政策の貫徹、更なる拡大が約束されるのではないだろうか。

◆バブルは必ず破裂する

2月10日に株価が高騰した時に読売新聞の「編集手記」は、万有引力の法則を発見したニュートンが株式投資に失敗したことを挙げて、「今の株価が経済を適切に映さぬ『泡』でないことを願うばかりである。『はじける』が法則でないことも。」と結んでいた。

しかし、今の株価は経済の実態を反映していない「泡」であり、「はじける」のは法則なのである。マスコミは、国民に、そうした事実、真実を知らせることこそ自身の使命ではないのか。それにも拘らず、そうならないことを「願うばかりである」と誤魔化すのは許されないことだ。

そして今、「日本反転の契機に」「真の経済再生の好機」などと欺瞞的な言葉を並べ立て、「貯蓄から投資へ」「投資マインドの向上」などと、株式投資を煽っている。

しかし投資とは投機でありトバクである。トバクは胴元が勝つのが相場である。投機失敗の悲劇はすでに起きているが、私が危惧するのは、社会のトバク化、社会の犯罪化である。今後、経済犯罪もデジタル技術を使い高度化し、様々な犯罪が多発するのではないだろうか。

その犯罪の最たるものは、胴元・米国外資の「売り逃げ」だ。なけなしの2000兆円もの国民資産を食い潰した後の「売り逃げ」。そうなれば「日本再生」など消し飛び、最早、日本という国自体の存在を危うくする。

その上で指摘したいのは、「バブルの効用」である。このバブルは日米一体化の中で意図的に作られており、バブル景気は、日米一体化を正当化するものになるということである。

今、岸田政権の冷たい政治への批判が渦巻いている。しかし、バブルになれば、そうした批判も緩むのではないか。今、冷たい政治を終わらせ「救民内閣」の樹立を訴える泉房穂さんへの期待が高まっているが、バブル景気はこれに冷や水を浴びせることにもなるだろう。

バブルは必ず「はじける」。そして、そのボタンは米国が握っている。30年前のバブル破裂も米国外資の「売り逃げ」で始まった。そして、それを契機に、「日米構造協議」が開始され、その「規制緩和」で日本の強みが解体され、「失われた30年」となったが、次のバブル破裂では、日本という国自体が失われる。

 

魚本公博さん

米国の言いなりになって日本を米国に売り、日本が失われるような対米追随政治を何としても止めなければならない。

米国覇権が崩壊の兆しを強めている中、世界の流れは脱覇権になっている。それなのに何故、日本だけが対米追随を続けなければならないのか。日本は今こそ、世界の流れに合流しなければならないと思う。

ことは日本全体の問題である。日本の主権者である日本国民が主体となり、日米一体化で企業の経営権まで奪われようとしている経済人、経済界まで含めた「オール日本」を形成し、その力で、日米統合一体化、戦争策動に立ち向かい、日本のため、日本国民のための「救国、救民」の政権を一日も早く作らなければならないと切に思う。

◎ピョンヤンから感じる時代の風 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=105

▼魚本公博(うおもと・きみひろ)さん
1948年、大分県別府市生まれ。1966年、関西大学入学。1968年にブントに属し学生運動に参加。ブント分裂後、赤軍派に属し、1970年よど号ハイジャック闘争で朝鮮に渡る。現在「アジアの内の日本の会」会員。HP「ようこそ、よど号日本人村」で情報発信中。

『抵抗と絶望の狭間 一九七一年から連合赤軍へ』(紙の爆弾 2021年12月号増刊)

『一九七〇年 端境期の時代』

杉山空と谷津晴之は2021年10月16日に対戦し引分け。2年4ヶ月ぶりの再戦となった。その後、両者ともそれぞれの団体で王座挑戦があり、杉山空は昨年2月18日に王座決定戦で龍太郎(真門)に判定勝利してNKBフライ級王座獲得。

谷津晴之は2021年12月5日にNJKFフライ級チャンピオン、優心(京都野口)に挑戦も判定負け。昨年9月17日に2度目の挑戦も引分けで王座奪取は敵わず。今回、杉山空にとってはチャンピオンとして負けられない立場となっての再戦となった。

◎冠鷲シリーズvol.1 / 2月17日(土)後楽園ホール 17:30~20:35
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第11試合 52.0kg契約 5回戦

NKBフライ級チャンピオン.杉山空(HEAT/2005.1.19静岡県出身/51.45kg)
8戦5勝1敗2分
        VS
NJKFフライ級1位.谷津晴之(新興ムエタイ/2003.5.7神奈川県出身/51.8kg)
11戦5勝(1KO)4敗2分
勝者:杉山空 / 判定2-0
主審:前田仁
副審:加賀見50-47. 鈴木49-49. 笹谷50-48

ローキック中心に蹴りで距離感を掴みながらパンチの交錯の後、すぐ組み合ってから縺れ合い、ヒザ蹴りなどスピーディーな展開が続く。崩し転ばすのは杉山がやや上手。

好戦的に戦う両者にとっては最も苦しいであろう第4ラウンドも主導権を奪おうとする勢い衰えず、最終第5ラウンドには杉山空がバックハンドブローがヒットするインパクトを与え、ヒジ打ちで谷津晴之の左眉尻をカットし、谷津晴之は序盤から時折飛びヒザ蹴りを見せたが、杉山空の勢いに優ることは出来なかった。

杉山空のバックハンドブローが炸裂

全体ではパンチと首相撲からの崩しは杉山空が支配したか。ジャッジ三者が揃って10対9を採点するラウンドは無いほど差が付き難い展開ながら、幅がある分かれ方で杉山空が判定勝利した。

杉山空は「1年ぶりの試合で不安な要素もいっぱい有って、凄くパンチを練習していたんですけど、その成果が少し出せて、遠い所(静岡県裾野市)から応援団が沢山来てくれて、その人達の応援の力の御陰で最後まで粘って戦うことが出来ました。」

対戦相手の谷津晴之については、
「谷津選手のミドルキックを警戒していたんですけど、やっぱりそのミドルキックが強くて何とか凌いで攻めを上回ることが出来ました。次戦はまだ決まっていませんが、防衛戦になると思います。防衛戦に向けてパンチを強化して倒せる選手になりたいと思います。」
と語った。

杉山空が試合終了間際に主導権を奪って終えたと言える左フックがヒット

◆第10試合 バンタム級3回戦

キッシンチャイ(=森貴慎/AKSドミネーター/1992.1.13静岡県出身/53.5kg)
15戦12勝(7KO)3敗
        VS
雄希(テツ/2002.9.3大阪府出身/53.25kg)5戦4勝(2KO)1敗
勝者:キッシンチャイ / 判定3-0
主審:高谷秀幸
副審:鈴木30-29. 加賀見30-29. 前田30-29

元・JNETWORKバンタム級チャンピオン森貴慎がキッシンチャイとリングネームを変更し、5年ぶりの再起戦。雄希は202年12月デビューで4戦無敗の新鋭ながら、現在の両者の実力拮抗を量るマッチメイクとなった。

パンチとローキックの攻防は互角の展開。第2ラウンドにはキッシンチャイの左ストレートヒットと首相撲からの崩しでやや優勢を維持したか。大きな差は無いままラウンドが進んだが、第2ラウンドをリードしたキッシンチャイが辛くも判定勝利した。

雄希側陣営は試合内容、展開について「蹴りを上手くはやらせて貰えんかったですね。」と言っている間に、近くで聞いていた雄希本人が悔しそうに「動きは悪かったです。出直します!」と反省を述べていた。

[左]タイミングはズレたが、キッシンチャイの組み合った中でのヒザ蹴りで圧力掛けた/[右]5年ぶりの復帰戦を勝利で飾ったキッシンチャイ

◆第9試合 61.0kg契約3回戦

角谷祐介(NEXT LEVEL渋谷/1989.8.14富山県出身/60.7kg)23戦12勝8敗3分
       VS
山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/60.9kg)15戦5勝(4KO)7敗3分
勝者:角谷祐介 / 判定2-1
主審:笹谷淳
副審:鈴木30-28. 高谷30-29. 前田29-30

開始早々、山本太一は猛ダッシュで角谷祐介に飛びヒザ蹴りを浴びせる。ヒットはしなかったが、角谷祐介は焦ることなく冷静に試合を進め、蹴りからパンチの互角の攻防から徐々にヒットを増やしたが、山本太一のアグレッシブなパンチと蹴りの前進には評価は分かれる展開で、スプリットデジションとなる判定勝利となった。

試合開始早々に山本太一が突進しての飛びヒザ蹴りはヒットせず

角谷祐介の前蹴りが山本太一にヒット

◆第8試合 65.0kg契約3回戦

大月慎也(元・JKAライト級4位/TEAM Artemis/1986.6.19埼玉県出身/65.0kg)
22戦9勝(4KO)9敗4分
       VS
ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/64.6kg)39戦7勝(3KO)29敗3分
勝者:大月慎也 / TKO 3ラウンド1分25秒
主審:加賀見淳

蹴りの攻防から接近戦に持ち込みたいちさとに、離れた距離での蹴りでは徐々に大月慎也のヒットが増えていく。

第2ラウンドには左ハイキックでノックダウンを奪い、度々ハイキックがちさとを襲う。大月のローキックもヒットが増え、第3ラウンドにもガードが低いちさとに左ハイキックを後頭部ヒットで倒すと、立ち上がる様子はあったが、レフェリーがほぼノーカウントで試合を止めた。

大月慎也の左ハイキックがちさとを襲う、辛うじてブロックしたちさと

大月慎也の左ハイがちさとの後頭部にヒット、今度はブロック出来ず、大月慎也がTKO勝利に繋げた

◆第7試合 58.5kg契約3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/58.5kg)
30戦11勝(4KO)15敗4分
       VS
利根川仁(Realiser STUDIO/2003.1.24東京都出身/58.3kg)4戦4勝(4KO)
勝者:利根川仁 / TKO 2ラウンド1分25秒
主審:鈴木義和

パンチと蹴りの攻防は第1ラウンドから利根川仁が右ストレートのタイミングを探っていたか、第2ラウンドには追い詰めていく中でカウンターでヒットさせるとノックダウンとなってカウント中のレフェリーストップとなった。

利根川仁の右ストレートが半澤信也にヒット若い力がベテランを制した

◆第6試合 ライト級3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/60.85kg) 3戦2勝(2KO)1敗
      VS
龍一(拳心館/1995.11.17新潟県出身/61.2kg)8戦7敗1分
勝者:猪ノ川海(赤コーナー) / TKO 1ラウンド2分52秒
主審:笹谷淳

開始から猪ノ川海の距離感で蹴りとパンチが優り、組んでのヒザ蹴りも効果的に攻める。龍一のパンチをやや喰らっても、すぐにパンチ、ヒジ打ちで巻き返し、左ハイキックから右ハイキック、更にパンチ連打から右フックで倒し切ると、レフェリーストップとなる圧勝となった。

◆第5試合 ライト級3回戦

魔裟屋(SLACK/1991.2.4岩手県出身/60.05kg) 3戦3敗
      VS
中山航輔(テツ/2002.10.13香川県出身/61.0kg)2戦2勝
勝者:中山航輔(青コーナー) / 判定0-2 (29-30. 30-30. 28-30)

◆第4試合 62.0kg契約3回戦

森野允鶴(渡邉/2001.1.17東京都出身/61.75kg)2戦2勝
      VS
鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/61.6kg)9戦6勝(4KO)2敗1分
勝者:森野允鶴(赤コーナー) / 判定2-0 (30-28. 29-29. 30-28)

◆第3試合 56.0kg契約3回戦

ATSUSHI(NK/2001.11.21大阪府出身/54.95kg)2戦2勝(1KO)
      VS
荒谷壮太(アント/2006.2.3千葉県出身/54.85kg)3戦2敗1分
勝者:ATSUSHI(赤コーナー) / 判定2-1 (30-29. 30-29. 29-30)

◆第2試合 51.0kg契約3回戦

TAKUMI(Bushi-Doo/1989.12.8新潟県出身/50.9kg)6戦6敗
      VS
緒方愁次(ケーアクティブ/2004.1.6東京都出身/50.65kg)1戦1勝
勝者:緒方愁次(青コーナー) / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)

◆第1試合 バンタム級3回戦

九龍悠誠(誠真/1999.12.1神奈川県出身/53.45kg)2戦1勝1敗
      VS
涌井大嵩(アルン/1997.3.2新潟県出身/53.2kg)2戦2勝(1KO)
勝者:涌井大嵩(青コーナー) / 判定0-3 (27-30. 27-30. 27-30)

 

北側応援団に向かって感謝を述べる杉山空

《取材戦記》

今年のシリーズ名、冠鷲のように杉山空は狙った獲物は逃さない、今年のエース格に上り詰められるか。

2022年10月29日より始まった、NKBに於ける12年ぶりのフライ級王座戦となった4名参加の王座争奪トーナメントで、翌年2月18日には杉山空が龍太郎(真門)との王座決定戦で判定勝利し王座獲得となった。そこから1年、試合が空いてしまうのは成長期に勿体無い事態だったが、今回の判定勝利で「次は防衛戦になると思います。」と言うように「防衛してこそ真のチャンピオン」をこのNKBでも実践して欲しいものである。

現在は興行運営一歩退いた感のある渡邊信久連盟代表理事は、NKB実行委員会代表としてもリングサイドに陣取り、大御所としての存在感は健在です。血気盛んに興行を担っていたお手製のチケットだった頃は、1枚1枚席番を押印する手作業をやっていたり、更なる昔は手書きの時代もあり、そんな昭和の時代は“切符”と呼んでいました。現在も“入場券”という言い方は残っていますが、若い世代の大方は“チケット” と呼んでいるでしょう。

長きに渡って続けられて来た“切符販売”は大変な苦労ですが、渡邊ジム設立以来54年続けられて来た販売の技と、日本キックボクシング連盟設立40周年の地道な継続の力での次回の冠鷲シリーズvol.2は4月20日(土)に後楽園ホールに於いて開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

広島市議会は2月14日から2月定例会がスタートしました。会期は3月26日まであります。

会期の前半では、2023年度分に関する議案(請願や当局提出の財産取得議案)などが審議され、2月27日に採決に掛けられました。

◆ようやく「イスラエル・パレスチナにおける武力紛争の終結を求める決議案」

広島市は、世界で最初に核攻撃を受けた都市であり国際平和文化都市を名乗っています。ところが、ガザにおける大量虐殺については、これまで市議会も松井一實市長も沈黙を保っていました。「あの」保守的な広島県議会ですら、停戦決議を求めています。

こうした中、10月以降、原爆ドーム前で「STOP GENOCIDE」のスタンディングを続けている広島市立大学院生でユダヤ系米国人のレベッカさんらが、広島市と広島市議会が行動を起こすように公開質問状を2月13日に提出。

さらに、オンライン署名を2月29日期限として呼びかけました。署名数が2月27日時点で15000を突破、28日には2万を超えるという情勢の中、広島市議会定例会は、27日の議案採択の中で、「イスラエル・パレスチナにおける武力紛争の終結を求める決議案」を全会一致で可決しました。

ICJ=国際司法裁判所は南アフリカによる提訴を受けて1月26日、イスラエルに対して・集団虐殺(ジェノサイド)の防止・虐殺を扇動する行為の防止やその処分・虐殺が疑われる行為の証拠保全・ガザの人道状況を改善するための方策の導入について、1カ月以内の対策を指示しています。そのことに決議案は触れていません。こうした不十分さはあります。もちろん、全会一致での採択を目指したということで、こういう文言になったという事情はあります。それでも、遅まきながら広島市も決議を出したということです。

問題は、広島市の執行部=松井一實市長がノーコメントということです。引き続き、市長を動かすためにも広島には「さらなる」行動が求められます。

◆市長の迷走「エールエールA館買い取り」可決

一方で、松井一實市長の「暴走・迷走」の象徴である中央図書館の「エールエールA館」移転。ついに、広島市が広島駅南口開発㈱=広島市出資の第三セクター=から、土地と建物を買い取ることが可決されてしまいました。この広島駅南口開発(株)=広島市出資の第三セクター=は、広島市が7割近くを出資し(残りは政策投資銀行と金融機関など)、広島市の元局長クラスの方が幹部をされています

中区選出の門田佳子市議(無所属)のSNSは以下のように報告しています。

【市民に説明できない第三セクター救済(中央図書館等移転)】

本日の広島市議会本会議、第140号議案、中央図書館等移転のための財産取得について。土地の一部買入れ約3.1億、建物の一部買入れ約65.9億。今までも広島市と金融団は広島駅南口開発が資金ショートする度に融資を繰り返してきました。今回も名目を変えた救済です。これでは市民に説明できないとして、反対討論を行いました。

結果は残念なことに、賛成多数で可決されました。中古ビルのフロア、土地を高額で取得。目的は赤字体質の第三セクター救済。そのうえ、翌年度予算にも残りの不動産取得や取得できないフロア賃料、共益費、修繕費等を払う見込みが示されています。これでいいのでしょうか、広島市。

中央図書館については、広島市中区の中央公園にある現在の図書館を本体は広島駅前のエールエールA館に移転、浅野文庫と広島文学についての図書は広島市長公舎跡地に新築するということです。しかし、そもそもバラバラにするより、一体にした方が便利なのは明らかです。なんでこんなことをするのか?やはり、市役所の先輩が多数「天下り」されている「広島駅南口開発㈱」の救済ありきではないのでしょうか?

◆湯崎知事暴走=平和公園へのサミット記念コーナー施設建設強行に反対の請願は否決 「修学旅行生の休憩は狭い場所で!」

「G7広島サミット記念コーナー(仮称)を設置しないことについて」という請願は否決されてしまいました。

これは、本来は、サミット県民会議=湯崎英彦広島県知事=の主導で行われる事業ではあります。しかし、平和記念公園を管理するのは広島市である以上、広島市が許可しなければできません。

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/552710.pdf

この事業は、当初からサミット県民会議の予算に組み込まれていた5000万円を使って、7年間限定で記念館を設置するというものです。建設予定場所は、資料館北側、被爆樹木アオギリの西側、峠三吉詩碑の南側という地点です。資料館から出てこられた方が一休みしたり、修学旅行生や校外学習の児童生徒が集合したり、お弁当を食べたり、そういった場所を潰してしまうことになります。

「この請願を出された方以外からも、平和公園でボランティアガイドをしてくださっている様々な市民の方から、同じようなご意見を頂戴しています。」(前出・門田市議)

こうした疑問に対して、「集合場所等々でしてですね、活用できる場所については、今記念コーナーを設置する場所、と例えば公衆トイレの間ですとか被爆アオギリ、被爆遺構展示館の間の土地等のスペースがございますのでそちらを活用いただけるのではないかと考えております。以上です。」と、要約すれば「修学旅行生らは狭い場所で休憩しなさい」と言わんばかりの答弁を当局はしました。

湯崎英彦・広島県知事の暴走を市議会は止めることなく、修学旅行生らに狭い場所を強いることを選んだのです。もちろん、G7広島サミットの「広島ビジョン」は西側の核保有は肯定するような内容です。そんなサミットを平和公園を使って持ち上げるのはいかがなものか?と筆者は思います。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

《3月のことば》望郷 あの津波から十三年……(鹿砦社カレンダー2024より。龍一郎揮毫)

3月になりました ── 。

「1月は去(い)ぬ、2月は逃げる、3月は去る」と言いますが、1月、2月はあっというまに過ぎてしまいました。

年度末3月、慌しい日々が予期されますが、一日一日を精一杯過ごしたいものです。

今年も3・11がやって来ようとしています。

意に反し故郷を離れざるをえなくなった方々、きょうも故郷に想いを馳せておられるのでしょうか。胸が痛みます。

東日本大震災以降も本年正月の能登半島地震まで幾度か大きな地震がありました。

たとえば熊本地震。しかし熊本は今、時々メディアでも報じられているように未曾有の好景気に沸いています。

先日帰郷しましたが、街は活気に満ちています。

一方フクシマはどうでしょうか ── 残念ながら帰郷できない方も多く、故郷は(一部を除き)総じて廃れているようです。

やはり原発事故による放射能汚染があるのとないのとでは復旧・復興の度合いが決定的に違うのでしょうか。

あまり知られていませんが、ここ兵庫県西宮市は、29年前の阪神大震災で1126人の方が亡くなるほどの打撃を受けました(被害は神戸ばかりではありません。西宮、芦屋を忘れないで!)。それでも、「そんなことがあったのか」と思うほどの復旧・復興いたしました。原発事故があれば、そうはいかなかったのではないでしょうか。

能登半島は幸いに原発事故はありませんでした。おそらく復旧・復興は順当に進むのではないかと思っています。

豊かな自然と資源、海産物にも恵まれています。原発が爆発し放射能汚染が発生したならば、それも台無しです。フクシマも豊かな自然に恵まれていましたが、それも原発事故が台無しにしました。

一日も早いフクシマの復旧・復興を願わずにおれませんが、未曾有の原発事故故に困難な道のりの13年でした。被災された皆様、意に反し故郷を離れておられる方々の、この13年のご苦労を想起すると涙が出てきます。

3・11に発行される反(脱)原発雑誌『季節』も、私たちがフクシマの惨状に想いをいたし、私たちなりに決意を込めて創刊して、やがて10年が経とうとしています。1号も黒字にはなっていませんが、発行停止は考えていません。

今や老境に入った私が生きている間にどれほど復旧・復興するのか、同じ国に住む者としてあたたかい眼差しで見続けていきたいと思っています。

(松岡利康)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年3月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2023年冬号

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