3月になりました ── 。
「1月は去(い)ぬ、2月は逃げる、3月は去る」と言いますが、1月、2月はあっというまに過ぎてしまいました。
年度末3月、慌しい日々が予期されますが、一日一日を精一杯過ごしたいものです。
今年も3・11がやって来ようとしています。
意に反し故郷を離れざるをえなくなった方々、きょうも故郷に想いを馳せておられるのでしょうか。胸が痛みます。
東日本大震災以降も本年正月の能登半島地震まで幾度か大きな地震がありました。
たとえば熊本地震。しかし熊本は今、時々メディアでも報じられているように未曾有の好景気に沸いています。
先日帰郷しましたが、街は活気に満ちています。
一方フクシマはどうでしょうか ── 残念ながら帰郷できない方も多く、故郷は(一部を除き)総じて廃れているようです。
やはり原発事故による放射能汚染があるのとないのとでは復旧・復興の度合いが決定的に違うのでしょうか。
あまり知られていませんが、ここ兵庫県西宮市は、29年前の阪神大震災で1126人の方が亡くなるほどの打撃を受けました(被害は神戸ばかりではありません。西宮、芦屋を忘れないで!)。それでも、「そんなことがあったのか」と思うほどの復旧・復興いたしました。原発事故があれば、そうはいかなかったのではないでしょうか。
能登半島は幸いに原発事故はありませんでした。おそらく復旧・復興は順当に進むのではないかと思っています。
豊かな自然と資源、海産物にも恵まれています。原発が爆発し放射能汚染が発生したならば、それも台無しです。フクシマも豊かな自然に恵まれていましたが、それも原発事故が台無しにしました。
一日も早いフクシマの復旧・復興を願わずにおれませんが、未曾有の原発事故故に困難な道のりの13年でした。被災された皆様、意に反し故郷を離れておられる方々の、この13年のご苦労を想起すると涙が出てきます。
3・11に発行される反(脱)原発雑誌『季節』も、私たちがフクシマの惨状に想いをいたし、私たちなりに決意を込めて創刊して、やがて10年が経とうとしています。1号も黒字にはなっていませんが、発行停止は考えていません。
今や老境に入った私が生きている間にどれほど復旧・復興するのか、同じ国に住む者としてあたたかい眼差しで見続けていきたいと思っています。
(松岡利康)