広島市議会は2月14日から2月定例会がスタートしました。会期は3月26日まであります。
会期の前半では、2023年度分に関する議案(請願や当局提出の財産取得議案)などが審議され、2月27日に採決に掛けられました。
◆ようやく「イスラエル・パレスチナにおける武力紛争の終結を求める決議案」
広島市は、世界で最初に核攻撃を受けた都市であり国際平和文化都市を名乗っています。ところが、ガザにおける大量虐殺については、これまで市議会も松井一實市長も沈黙を保っていました。「あの」保守的な広島県議会ですら、停戦決議を求めています。
こうした中、10月以降、原爆ドーム前で「STOP GENOCIDE」のスタンディングを続けている広島市立大学院生でユダヤ系米国人のレベッカさんらが、広島市と広島市議会が行動を起こすように公開質問状を2月13日に提出。
さらに、オンライン署名を2月29日期限として呼びかけました。署名数が2月27日時点で15000を突破、28日には2万を超えるという情勢の中、広島市議会定例会は、27日の議案採択の中で、「イスラエル・パレスチナにおける武力紛争の終結を求める決議案」を全会一致で可決しました。
ICJ=国際司法裁判所は南アフリカによる提訴を受けて1月26日、イスラエルに対して・集団虐殺(ジェノサイド)の防止・虐殺を扇動する行為の防止やその処分・虐殺が疑われる行為の証拠保全・ガザの人道状況を改善するための方策の導入について、1カ月以内の対策を指示しています。そのことに決議案は触れていません。こうした不十分さはあります。もちろん、全会一致での採択を目指したということで、こういう文言になったという事情はあります。それでも、遅まきながら広島市も決議を出したということです。
問題は、広島市の執行部=松井一實市長がノーコメントということです。引き続き、市長を動かすためにも広島には「さらなる」行動が求められます。
◆市長の迷走「エールエールA館買い取り」可決
一方で、松井一實市長の「暴走・迷走」の象徴である中央図書館の「エールエールA館」移転。ついに、広島市が広島駅南口開発㈱=広島市出資の第三セクター=から、土地と建物を買い取ることが可決されてしまいました。この広島駅南口開発(株)=広島市出資の第三セクター=は、広島市が7割近くを出資し(残りは政策投資銀行と金融機関など)、広島市の元局長クラスの方が幹部をされています。
中区選出の門田佳子市議(無所属)のSNSは以下のように報告しています。
【市民に説明できない第三セクター救済(中央図書館等移転)】
本日の広島市議会本会議、第140号議案、中央図書館等移転のための財産取得について。土地の一部買入れ約3.1億、建物の一部買入れ約65.9億。今までも広島市と金融団は広島駅南口開発が資金ショートする度に融資を繰り返してきました。今回も名目を変えた救済です。これでは市民に説明できないとして、反対討論を行いました。
結果は残念なことに、賛成多数で可決されました。中古ビルのフロア、土地を高額で取得。目的は赤字体質の第三セクター救済。そのうえ、翌年度予算にも残りの不動産取得や取得できないフロア賃料、共益費、修繕費等を払う見込みが示されています。これでいいのでしょうか、広島市。
中央図書館については、広島市中区の中央公園にある現在の図書館を本体は広島駅前のエールエールA館に移転、浅野文庫と広島文学についての図書は広島市長公舎跡地に新築するということです。しかし、そもそもバラバラにするより、一体にした方が便利なのは明らかです。なんでこんなことをするのか?やはり、市役所の先輩が多数「天下り」されている「広島駅南口開発㈱」の救済ありきではないのでしょうか?
◆湯崎知事暴走=平和公園へのサミット記念コーナー施設建設強行に反対の請願は否決 「修学旅行生の休憩は狭い場所で!」
「G7広島サミット記念コーナー(仮称)を設置しないことについて」という請願は否決されてしまいました。
これは、本来は、サミット県民会議=湯崎英彦広島県知事=の主導で行われる事業ではあります。しかし、平和記念公園を管理するのは広島市である以上、広島市が許可しなければできません。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/552710.pdf
この事業は、当初からサミット県民会議の予算に組み込まれていた5000万円を使って、7年間限定で記念館を設置するというものです。建設予定場所は、資料館北側、被爆樹木アオギリの西側、峠三吉詩碑の南側という地点です。資料館から出てこられた方が一休みしたり、修学旅行生や校外学習の児童生徒が集合したり、お弁当を食べたり、そういった場所を潰してしまうことになります。
「この請願を出された方以外からも、平和公園でボランティアガイドをしてくださっている様々な市民の方から、同じようなご意見を頂戴しています。」(前出・門田市議)
こうした疑問に対して、「集合場所等々でしてですね、活用できる場所については、今記念コーナーを設置する場所、と例えば公衆トイレの間ですとか被爆アオギリ、被爆遺構展示館の間の土地等のスペースがございますのでそちらを活用いただけるのではないかと考えております。以上です。」と、要約すれば「修学旅行生らは狭い場所で休憩しなさい」と言わんばかりの答弁を当局はしました。
湯崎英彦・広島県知事の暴走を市議会は止めることなく、修学旅行生らに狭い場所を強いることを選んだのです。もちろん、G7広島サミットの「広島ビジョン」は西側の核保有は肯定するような内容です。そんなサミットを平和公園を使って持ち上げるのはいかがなものか?と筆者は思います。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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