◆イスラエル人母親がとっさについた嘘「I am from England」
5月末の広島の平和記念公園。筆者の友人は以下のような光景を目撃しました。
「Where are you from?」
白人とみられる家族連れに日本人が何気なく質問しました。ここまでは、平和公園ではよくある光景です。
すると、お母さんが、
「England」
と答えました。
ところが、小学生以下の年齢とみられる小さな娘さんは、
「Israe! Israel!」
とはしゃいでいたそうです。
当然、このご家族は、イスラエルから来られたのでしょう。しかし、お母さんは、旅行先の現地人である日本人にどこから来たか問われて、とっさにうそをついてしまったのです。
「イスラエル人である」と名乗ることが恥ずかしい。そのように、お母さんは思ってしまったのでしょう。
◆虐殺続行で旗色が悪くなるばかりのイスラエル
その原因は、何か?言わずもがなです。首相・ベンヤミン・ネタニヤフ被疑者によるガザでの大虐殺以外に考えられません。6月3日現在、停戦交渉が行われる一方で、相変わらずイスラエルは攻撃と言う名の虐殺を続けています。
むろん、5月7日には、原爆ドーム前で「STOP GENOCIDE」の横断幕を持って立っていた若者が、イスラエル支持と見られる外国人の年配女性に横断幕を強奪される、という事件も起きています。その時に比べても、イスラエルの「政治的な旗色」は悪くなっています。
イスラエル首相のネタニヤフ被疑者と国防相のガラント被疑者については、5月20日、ICC(国際刑事司法裁判所)が逮捕状を請求。このまま認められれば、例えばネタニヤフ被疑者が来日した場合はネタニヤフ被疑者を日本の警察は逮捕しなければいけません。実際に逮捕されることはないにせよ、ICC加盟国への外交ができなくなるという時点で、同被疑者は厳しい立場に追い込まれます。
また、国連機関でもある5月24日にはICJ(国際司法裁判所)がイスラエルに対してラファ攻撃を止めるよう命令しています。これについては、日本の上川外相でさえも履行をイスラエルに求めています。
また、スペインやノルウェー、アイルランドと言った西側諸国にもパレスチナ自治政府をパレスチナ国として承認する動きが広がっています。ネタニヤフ被疑者は追い詰められています。
◆ネタニヤフ被疑者への「天祐」?だった戦闘激化もさすがにヤバい状況に
ネタニヤフ被疑者は、2023年10月7日のガザを実効支配するハマス政権による軍事作戦※以降、「ハマスを相手にせず」という対応を取ってきました。これは、日中戦争で当時の大日本帝国の近衛文麿首相が「蒋介石を相手とせず」と、友好国ドイツによるトラウトマン工作などの和平仲介工作をも拒絶。結果として、日本を破滅させたのにも似た状況でした。
また、ネタニヤフ被疑者自身、実は、国内でも被疑者・被告人です。すなわち、同被疑者は、日本で言えば故・安倍晋三さんと似たようなことをしたとして、汚職の罪で起訴されています。妻のサラ・ネタニヤフ元被告人については、安倍昭恵さんと似たようなことをしたとして罰金刑が確定しています。
こうした中で、ネタニヤフ被疑者は、日本のような行政権力に忖度する司法に改悪する「改革」を強行しようとしていましたが、イスラエル民衆の激しい抵抗にあっていました。そうした中で、戦闘の激化はネタニヤフ被疑者にとっては「天祐」だったのかもしれません。しかし、ここへきて、急速に外交面で旗色が悪くなっています。さすがのネタニヤフ被疑者もまずい、と思っているのでしょう。
◆「大日本帝国軍部」化するイスラエル極右が自国民に恥をかかせる
ところが、停戦については、ネタニヤフ被疑者の与党になっている極右政党が反対しています。現時点では、内閣を離脱して政権を崩壊させる、とまで言って脅しています。戦前・戦中の大日本帝国において、軍部が「軍部大臣現役武官制」を盾に「海軍大臣を引き上げる」「陸軍大臣を引き上げる」などと脅して、倒閣運動をしていたことを思い起こさせます。
むろん、ネタニヤフ被疑者自身が、汚職事件で、自らが率いる与党の議席数が足りないので、極右勢力の協力が欠かせない状況になっています。現時点では虐殺が止まるかどうかは、極右勢力にかかっていると言えます。
極右勢力が増長すればするほど、停戦、否、虐殺停止は遅れます。その結果、ヒロシマを、日本を訪れるイスラエル人は肩身が狭くなる一方です。
「愛国心はならず者の最後の逃げ場」というサミュエル・ジョンソンの言葉は言い得て、妙です。
「自国民に肩身の狭い思いをさせて、何が右翼だ?!何が愛国だ?!」
筆者は、イスラエルの極右勢力の方々に対して強い憤りを感じます。
イスラエルの方々が、嘘をつかずに外国へ行けるようになる。そのためには、イスラエル国民がネタニヤフ被疑者を打倒することである。それによって行われる総選挙では、ぜひともネタニヤフ被疑者の政党(リクード)と極右を大敗させ、少なくとも、パレスチナ側との話し合いをする政府をつくることです。
ガザでの虐殺、そしてそれ以外のパレスチナでのイスラエルによる侵略が止まり、パレレスチナの人々に平穏な生活が戻ること。そして、イスラエル国民、世界中のユダヤ人の皆様も肩身の狭い思いをせずに生きていけることを心から希望します。
“Israeli people, You had better overthrow Netanyahu and ultra nationalist to protect your life and future”
イスラエルの皆様!ネタニヤフと極右を打倒し、あなたの命と未来をまもったほうがいいですよ。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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