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◆送電線と人脈でつながる「原発とリニア」 リニア新幹線の目的は原発の復活だ!
 ◎広瀬 隆(作家)

 

 

「リニア新幹線の超危険プロジェクト」と銘打った作家・広瀬隆氏の全6回のユーチューブ動画から、今月号では、リニアと原発の一体性を明かした「⑥電力消費激増と原発再稼働(最終回)」を編集し、紹介する。本誌6月号では⑤の電磁波問題を採り上げたが、そこでも広瀬氏が強調していたとおり、最も重要なことは、「リニアが開業延期されても、JR東海の失敗と断念を待っていてはいけない。今すぐ工事をやめさせ、自然破壊を止める」ということだ。動画にはより詳細なデータが満載なので、あわせてご覧いただきたい。(構成・文責/編集部)

 3・11直後の火事場泥棒

リニアをめぐる不条理に枚挙の暇はありません。まず、そもそも計画の進め方が不条理でした。リニア中央新幹線計画の公式の最終答申が出されたのは2011年4月21日です。この日の1カ月ほど前、3月11日に東日本大震災が起こり、東京電力福島第一原発の原子炉が次々と爆発しました。日本破局の大惨事の最中です。
 
そのどさくさに紛れて計画を審議する国土交通省交通政策審議会の中央新幹線小委員会(委員長=家田均東京大学教授)は最終答申案をまとめ、「南アルプスルート」「超電導リニア方式」でのリニア中央新幹線の建設を明記・公表したのです。

もちろん、リニアのプロジェクトは以前からあって、宮崎県では実験線を敷設しています。その際、JR東海は何と言ってこれを進めてきたか?「東海道新幹線の東京―大阪間の輸送能力が限界に近い。バイパス(迂回路)としてリニア中央新幹線を敷設する必要がある」と表明したのです。

自動車ならばバイパス道路は必要ですが、鉄道のバイパスなど、全世界でも例がありません。JR東海はそんな非常識なことを公言したのです。しかもJR東海は御用学者の東大教授たちを連れてきて答申案をまとめながら、国交省鉄道局によるパブリックコメント、いわゆる世論の意見公募を求めました。その結果が2011年5月12日に報告されたのですが、当時は東日本大震災から2カ月後で、「JR東海が言うように中央新幹線を早期に整備すべきだ」を支持した人はわずか106人。対して「リニアに反対、または計画を中止、または再検討とすべき」という人は648人と、パブコメの97%がリニア建設に反対しました。ところが5月26日には整備計画が決定され、営業および建設主体にJR東海が指名されました。

続いて6月7日にはJR東海が中間駅の候補地案を公表して、勝手に話を進めていきます。震災と原発事故の大惨事で日本中があたふたしているその間にJR東海はリニア建設を決定した。まさに火事場泥棒です。

JR東海と行政が住民に初めて説明会を開いたのは計画発表から2年が経った2013年5月。住民にとっては寝耳に水でした。
 
そもそも国交省が環境アセスメント(環境影響評価)なしに計画を決めること自体が、国の法律に違反しています。なぜこんな無理が通るかというと、JR東海が裏で地元の利権者を懐柔したからです。なにしろ巨大なトンネル工事ですから、事業者や建設業者は儲かります。

でも、本当に地元に多大な利益があるのか? 中間駅の建設費5900億円は地元負担が前提です。しかも、リニアの多くの乗客は東京と名古屋の大都市間を迅速に往復するのが多数派ですから、中間駅で降りる客などほとんどいない。つまり中間駅にはほとんど利益をもたらしません。

リニア新幹線は時速500キロという高速走行が売りです。だから、可能な限りまっすぐトンネルを掘るという工事です。しかし、これは自然界から見れば無謀です。しかも、路線の8割がトンネルで外の景色はほとんど見えない。誰がそんな不愉快な鉄道に乗りたいですか? 電磁波まで浴びせられる列車にまともな人は乗りません。

このままではまずいということで、リニア建設に反対する人たちは2016年5月に「ストップ・リニア!訴訟団」を結成しました。そして、「国交省の認可は行政庁の裁量権の範囲を超えている。住民無視の国法違反だ」として行政訴訟を起こしています。

ちなみに2010年12月、中国の新幹線走行実験では、日本の川崎重工業製の従来の新幹線車両をベースにした「和諧号」が、486キロという驚異的な時速を記録しました。リニアの最高時速は500キロの予定ですが、日本企業がつくった「和諧号」が時速486キロを出した時点で、高速鉄道がリニアでなければならない理由・動機はとうの昔に吹き飛びました。

 岐阜県では東濃ウラン鉱山の悪夢再び

岐阜県では、寝ていた子が叩き起こされるような事件が起こっています。

同県内の停車予定駅である中津川には東濃(とうのう)ウラン鉱山(閉山措置中)があります。2003年4月、この近くの可児市の東海環状自動車道トンネル掘削土の処分場から流れ出た酸性汚染水によって、木曽川水系の一級河川である久々利川の水系で、マスやアマゴといった魚が約1000匹も死ぬという事件が起こりました。

この一帯は瑞浪市と御嵩町と土岐市にまたがって東濃ウラン鉱床が分布しています。東濃のウランは岡山県の人形峠と並んで原子力産業にとって最も重要な鉱床です。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n71fc4fb5a95f

◆ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか
 取材・文◎青柳貞一郎(医師・軍事ジャーナリスト)

 

 

 ウクライナ代理戦争の総力戦

軍事や戦術はリアリズムに基づいており、大手メディアが作り上げた物語(ナラティブ)に沿って、ウクライナ戦争やイスラエルのガザ侵攻を一方的な善悪の物語で論ずると、ロシアの優勢やイスラエルの失敗が「悪の勝利」でしか語られなくなってしまいます。

本来紛争には双方に言い分(正義)があり、武力を伴う戦争は外交の一手段にすぎません。客観的な事実の積み上げで双方が譲歩できる終結(off ramp strategy=出口戦略)を探ることが、国際政治の基本なのです。

これから論じる内容を理解するうえで、共有したい前提があります。それは約60年前のベトナム戦争が、米欧西側陣営と当時のソ連を中心とする社会主義陣営の代理戦争であったのと同様、今回のウクライナ戦争は同じ資本主義を標榜する米欧を中心とする「グローバリズム陣営」と、ロシア・中国・BRICS諸国など「グローバルサウス」と呼ばれる「多極主義陣営」の代理戦争であるという認識です。

両者の線引きは、ウクライナ戦争が開始された時にロシアに対する経済制裁に加わった国とそうでない国で分けられるとみて差し支えないでしょう。そして、戦争自体は西側諸国全体の経済と、ロシア及びロシアに協力する国々全体の経済をバックにした総力戦(対称戦争)となっています。

NATO(北大西洋条約機構)諸国は東西冷戦終了後、主な戦力を自分たちの兵力・経済力よりも弱い国や武装勢力(テロ組織)に向け(いわゆる「非対称戦」)、軍の態様もそれに適合するよう変化させてきました。ロシア軍も実はアフガン戦争、チェチェン紛争、シリア内戦への介入を経て大規模な総力戦から非対称戦に改めてきたといえます。

しかしウクライナでは、それとは勝手が異なる結果になりました。

 激変した戦術・用兵思想

2022年2月24日、ウクライナからの独立を主張するドネツク・ルガンスク両共和国の保全、ウクライナの非軍事化・非ナチ化を目標とした、ロシアが「特別軍事作戦(SMO)」と呼ぶ侵攻が開始されました。

しばらくの間は、ウクライナとロシア両軍の戦闘団単位の大きな戦闘が行なわれることはなく、戦術としてはロシアが大兵力を用い、ウクライナは小規模兵力単位でゲリラ戦的な戦いを挑む非対称戦であったといえます。

ロシアの犠牲が最も大きかった時期はこの緒戦であり、ウクライナに供与された西側諸国の精巧な武器でロシアの戦闘車両が次々と破壊されました。

双方の犠牲が多大になり、核を用いた大戦争への発展も危惧された開戦1カ月後の3月末、トルコやイスラエルの仲介で休戦合意がまとめられてロシア・ウクライナ双方が合意に達します。しかし、当時のウクライナ軍の善戦に加え、今後の経済制裁などの総合効果で「勝利」を期待した米欧諸国は、一度成立した和平合意を潰しました。

しかも、ロシアが首都キエフ近郊から撤退した後に発見された多数の市民の遺体を「ロシアによる虐殺」として「ロシア悪玉説」を叫び、徹底抗戦が主導されます。

ロシアは一度撤退した後、東部・南部戦線を構築しなおし、9月には予備役の部分動員をかけて兵力増強を図ります。この時期からロシアは戦時経済体制に移行し、非対称戦から総力戦として、経済も24時間体制で砲弾や軍備生産に切り替え、戦術も変更されていきます。

以下に、この2年間で変化・確認された戦術・用兵思想の例を挙げます。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n301e7bc5aa8d

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年7月号

『紙の爆弾』2024年 7月号

植草一秀が暴くニッポン戦争経済体制
大企業優遇と庶民搾取の先に待つもの
「食料・農業・農村基本法」改悪「食料自給率」を捨てた農水省の愚 高野孟
感染症対策を口実にした「新型インフル対策行動計画」という新たな言論統制 高橋清隆
ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか 青柳貞一郎
国会答弁もアメリカ製AI利用に マイクロソフトに乗っ取られた日本政府のAI構想 浜田和幸
送電線と人脈でつながる「原発とリニア」 リニア新幹線の目的は原発の復活だ! 広瀬隆
静岡県知事選で「リニア問題」は本当に問われたのか 横田一
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“憲法軽視”は政府与党だけではない 憲法違反の法律がつくられる理由 足立昌勝
本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化 浅野健一
米国覇権の終わりに日米同盟を考える「いまトラ」と岸田自公政権の大罪 小西隆裕
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The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
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