兵庫県では、2024年3月、当時の県民局長が兵庫県知事の斎藤元彦さんのパワハラやおねだりなどの「ご乱行」疑惑を文書で県議やマスコミに告発。これに対して、知事は「噓八百」と決めつけた上、元局長の退職を取り消し、さらには、停職処分を課すという、江戸時代で言えば〈座敷牢〉のような状態に置きました。

これに対して、県民の怒りが爆発。無所属市民派の丸尾牧議員や、自民党の一部の議員も先頭に、百条委員会の設置の動きが強まり、6月定例会で51年ぶりの百条委員会設置が決まりました。

しかし、この間にも、疑惑に関与したとされる課長が自死とみられる死亡。そしてついに、7月8日、元県民局長が百条委員会での証人喚問を前に亡くなられました(自死と報道されていますが、断定は現時点で避けます)。斎藤知事がいなければ、死なずに済んだ職員が二人もいる。都道府県は違いますが元県庁職員として許せず、そして、斎藤知事の同じ大学・同じ学部の先輩として恥ずかしい思いです。

そこで、以下のお手紙を、兵庫県知事の斎藤元彦後輩のXアカウントにお送りしました。

わたしは、昨年末(到着は2024年1月)には獄中の同じ大学の法学部出身で麻布学園の5年先輩でもある柿沢未途先輩に辞職勧告のお手紙を送っています。

柿沢先輩は衆院議員を潔くお辞めになりました。兵庫県知事の斎藤後輩はいかが対応されるでしょうか?

※         ※         ※

拝啓 斎藤元彦 様

突然、お手紙を差し上げるご無礼をお許しください。私は、1999年、貴方と同じ大学の同じ学部を卒業した佐藤周一と申します。貴方は、私から見れば後輩にあたります。卒業後は広島県庁に入庁。労働や介護・医療・福祉などの行政に携わらせていただき、今は介護福祉士として民間で働きながら広島を県民の手に取りもどす「ヒロシマ庶民革命」に取り組んでおります。

本日は、先輩として、また、元県庁職員として斎藤君、あなたに兵庫県知事を引退されることをお勧めするために筆を執りました。

斎藤君。あなたは、本年3月、県民局長だった渡瀬さんが、あなたの様々な疑惑についての文書を、県議やマスコミに送ったことについて記者会見で「嘘八百」「公務員失格」と罵倒されましたね。

斎藤君。あなたは、その後、渡瀬さんの退職を取り消し、いわば、江戸時代で言えば座敷牢のような状態に彼を置くという、とんでもない手段に出られた。そして、阪神とオリックスの優勝パレードの資金調達における県補助金キックバック疑惑の関連先として名前が挙がっていた金融機関の利害関係人の弁護士に「内部調査」を依頼した。そんな客観性のない調査をベースにあなたは「核心的な部分が事実ではない」として渡瀬さんに停職処分を下しました。

斎藤君。そんなあなたの対応に兵庫県民の怒りは爆発し、結局あなたを最初の選挙の時に本部が推薦した自民党の県議も含めて百条委員会設置を決めたのです。

そうこうする間にも、阪神タイガースとオリックスバッファローズの優勝パレードに関する疑惑に関与したとされる課長が自死されたそうではありませんか?

そして、このたび、渡瀬さんも19日の百条委員会を前に自死されたというではありませんか?

斎藤君。あなたは、職員に対して百条委員会に協力するよう命じています。だが、あなたが知事と言う上司である限り、職員はあなたと県民の板挟みになってしまいます。

「証言そのもので、知事に処分されることはなくても、別件にかこつけて嫌がらせをされるのではないか?」
と職員たちを追い詰めるだけのことをあなたはしてきたのではありませんか?

20m歩かされただけで職員を怒鳴りつける?!あなたはわたしよりも若いスポーツマンですよ。何をおっしゃっているのですか?

そして、母親たちが使うべき授乳室を使っていたという話には失笑を禁じえません。

スーパーの幟にあなたの顔を使わせるとか?! 恥ずかしいと思わないのですか?

斎藤君。君は、渡瀬さんに対して「今は感謝の気持ちが強い」などとおっしゃっています。どの口が言うのですか?それならまずは、処分を撤回してから言うべきです。

斎藤君。君があまりにも独裁的だから、渡瀬さんも、内部通報ではなく、外部に文書を送らざるを得なかったのではないですか? 斉藤君。君はそのことを恥じるべきです。

斎藤君。私は、これ以上、同じ大学の同じ学部の後輩が恥をさらすのを見ていられません。また、都道府県は違いますが、元県庁職員として、君が職員を苦しめ続けるのを許せません。

斎藤君。君は今すぐ知事を辞めるべきです。君が辞めないなら、他県ではありますが、兵庫県民や議会、職員労働組合の皆様の君を打倒する動きを全力で応援します。

斎藤元彦君。悪いことは申し上げません。今すぐ、知事をお辞めなさい。

それでは、盛夏の候、お体に気を付けてお過ごしください。

2024年7月 佐藤周一
敬具

※         ※         ※


◎[参考動画]【元幹部が自殺か】知事の“パワハラ”疑惑 内部告発した元県民局長が死亡 「心理的負担あったと推察」と斎藤知事 知事を批判する「告発文」配布し懲戒(カンテレNEWS 552024/07/08)

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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神奈川県青葉警察署が、6月19日付けで日本禁煙学会の作田学理事長を名誉毀損の疑いで横浜地検へ書類送検したことが、告訴人本人への取材で分かった。

横浜副流煙裁判「反訴」(原告・藤井敦子他)の証人尋問の席で、作田理事長が特定の人物を指して、「うさんくさい患者さんでした」「当然、会計にも行っていないと思います」と証言したことが告訴の根拠である。横浜地裁の傍聴席はほぼ満席で、その中に「うさんくさい患者」と名指しにされた酒井久男氏もいた。

発端は、2017年11月に提訴された横浜副流煙裁判にさかのぼる。メディア黒書で報じてきたように、この裁判は煙草の副流煙で「受動喫煙症」を発症したとして、ミュージシャンの藤井将登氏(藤井敦子氏の夫)が、隣人から約4500万円の金銭を請求された事件である。

第一審も第二審も、将登氏の勝訴だった。煙草が化学物質過敏症に起因したとする根拠がないというのが棄却理由である。ちなみに「受動喫煙症」という病名は、作田理事長が命名したもので、公式には存在しない。類似した病気としては、化学物質過敏症がある。

藤井夫妻は、横浜副流煙裁判の勝訴が確定した後、この裁判を起こした隣人3人に対して、約1000万円の支払を求める「反訴」を提起した。前訴の提起そのものが訴権の濫用(広義のスラップ)に該当するというのがその理由である。

作田理事長の酒井氏に対する暴言めいた証言は、この「反訴」の証人尋問の中で発せられた。作田医師と酒井氏の関係は、横浜副流煙裁判が進行していた2019年7月17日までさかのぼる。

この日、酒井氏は、藤井敦子氏を伴って日本赤十字医療センター(東京都渋谷区)の作田医師の外来を受診した。作田医師が、横浜副流煙裁判の原告3人に対して、受動喫煙症の病名を付した診断書を交付した経緯があったことに加えて、過去にもこの病名を付した診断書を頻繁に交付してきた事実があったので、どのようなプロセスを経て診断を下しているのかを実地に調査することが目的だった。この計画は、敦子氏の発案だった。

たまたま酒井氏には、衣類の繊維に対するアレルギーがあったので、作田外来を受診する根拠もあった。「はたして自分は、受動喫煙症と診断されるか」という事に好奇心を刺激された。予測したように作田医師は、酒井氏を受動喫煙症と診断した。

この外来診察の際の酒井氏のふるまいについて、作田医師は「反訴」の証人尋問の中で、「うさんくさい患者さんでした」「当然、会計にも行っていないと思います」などと証言のである。敦子氏への怒りを酒井氏へ向けたのかも知れない。

しかし、酒井氏は会計を済ませてから、日本赤十字医療センターを立ち去っていた。会計課を通ったことを示す領収書も残っていた。そこで酒井氏は、作田医師に対して内容証明を送付し、法廷での暴言に至った事情を問うた。しかし、作田医師は回答しなかった。そこで酒井氏は、民事訴訟を起こすと同時に、刑事告訴にも踏み切ったのである。

青葉警察署は、酒井氏の告訴を受理して事件を捜査し、書類送検するに至ったのである。

◎告訴状全文 http://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2024/06/240621.pdf

本稿は『メディア黒書』(2024年06月21日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。


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▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
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黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』(鹿砦社)

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東京都知事選挙は7月7日執行され、現職で都民ファースト、自民党、公明党、国民民主党が支援する小池百合子さんが三選されました。ただし、得票数は291万8,015票にとどまり、300万票を切りました。得票率も42.8%と5割を大きく下回りました。

現職が圧倒的に強いのは過去の都知事選挙の結果からもわかりきっていたことでした。特に、東京は新自由主義政治による一極集中を原資に小池知事が、子育て世帯に特に全国でも異常なレベルで支援を行い、とくに勝ち組共働き世帯女性の間では小池さんの支持は圧倒的なものがありました。

ただ、その陰で、大手不動産会社と癒着しての開発や、スクールカウンセラー雇止めなど、現場労働者の使い捨てなどの問題が噴出していました。都庁の下の食料配布には、幅広い層が並んでいます。

小池知事は、得票率が5割を大きく切ったことを真摯に受け止めるべきです。小池知事は小池都政そのものの是非を問う都民投票には「判定負け」した、という見方もできます。とくに、小池さんが「公平」を盾に開き直っていたスクールカウンセラー雇止めはNOを突き付けられたのです。これをただちに撤回すべきです。

◆石丸さんはなぜ、蓮舫さんを「差し切った」のか?

こうした中で小池都政への不満の受け皿となったトップ、すなわち新人で二番目に得票したのは石丸伸二さんで165万8,363票(24.3%)でした。石丸さんは立憲、共産などが応援する前参院議員の蓮舫さんの128万3,262票(18.8%)を上回りました。

東京に全く地盤がなかった石丸さん。しかし、大手コーヒーショップのドトールの支援を受けるなど、資金力も充実。そして、10~20代の若者では小池さんを上回る投票を得ました。

正直、この結果は、筆者は一定程度予測していました。

○蓮舫さんの政策の方が具体的に若者労働者支援は充実している。しかし、SNS等で圧倒的に若者に知られているのは石丸さん。

○蓮舫さんを推していた立憲、共産両党が若者には敷居が高い政党になっていること。(楾大樹先生のはしごを外したり、支持者や地方議員が筆者に無礼を働いたりした立憲。ちょっと田村智子委員長や志位和夫議長に逆らったらすぐ除名や除籍になる体質の共産。)

○石丸さんが有力視された3候補で唯一の男性であったこと。近年の選挙では女性が有利な傾向はあったが、女性二人が有力候補とされたことで、逆に男性の石丸さんが有利な面があった。

などが根拠です。また、

○東京の若者は広島など地方から進学や就職で来た人も多い。そういう人たちは、「地方の古臭さ」にげんなりしている面もある。それで、「老害議員をぶっ叩いている」イメージを醸し出している石丸さんを見てスカッとするのではないか?

ということも要素として考慮しました。

蓮舫さんの敗因を上げるとすれば、結果論ですが、以下です。

現場労働者の待遇改善を打ち出したのは良かったものの、「若者」に限定したイメージが伝わってしまった。それこそスクールカウンセラー雇止めの被害者には就職氷河期世代も多くいる。保育や介護の現場にも、最近では、低年金で働かざるを得ない高齢者労働者も多い。特に単身女性はその傾向が強い。

小池さんも石丸さんも弱いとみられる氷河期世代以上の庶民男性や子育て支援の恩恵がない単身女性などにも幅を広げてアプローチをしていれば例えば、もうちょっと違った展開もあったのではないか? 若者を狙って、若者は石丸さんに取られ、取るべき票を取っていなかったのですから三位と言う結果もやむなしです。

また、蓮舫さん自体がもともとは小池さん、石丸さんと変わらない新自由主義グローバリストでした。そのことの記憶がある世代には、急に庶民に優しいことを蓮舫さんが言いだした、という受け止めもあったでしょう。

筆者も都民なら蓮舫さんに一票は入れていたでしょうけれども、積極的に選挙運動にはかかわりたくなかったかもしれません。

◆地元・広島では評判は散々

しかし、そんな石丸さんも、地元・広島では評判は散々です。

石丸さんの出身高校近くでも、

「安芸高田市もまとめられないで東京に行くなんてどうなのだ?」(60代男性)

「もうちょっと、年配者にゴマをすってでも、やりたい政策をやってから東京へ行けばよかったのに。」(40代女性)

「石丸さんは頭が良すぎるのではないか? もう少し市民の目線に合わせるべきだった」(60代女性)

など辛口の評価が多くなっています。石丸さんを支持しているという70代の男性も「とんがりすぎているところがあるからもう少し丸くなってほしい」と注文を付けます。

◆安芸高田市長選挙で「石丸後継」候補が大敗

都知事選と同日で、石丸伸二さんの辞職に伴う安芸高田市長選挙が執行されました。

そして、石丸さんの市政を修正していくスタンスの51歳の元郵便局長の藤本えつしさんが当選しました。

安芸高田市長選挙に立候補された皆様と市議補選に立候補された皆様(安芸高田市八千代町で筆者撮影)

有権者数  21,995人(前回より -1,701人)
藤本えつし  6746 非石丸元郵便局長
くまたか昌三 4541 親石丸市議
あかつ誠一郎 1216 親石丸
森谷まさあき  106

元郵便局長、51歳の藤本さんが、石丸前市長に近い市議だった熊高さんらを破り、初当選。事実上の政権交代となりました。

今回は熊高 vs 藤本=2:3
前回は石丸 vs 元副市長=3:2

安芸高田市長選挙 – 2020年08月09日投票
有権者   23,696人
石丸伸二   8076
竹本みねあき 5344

4年前に石丸さんに期待しながら、4年間の「石丸市政にはNO」という有権者が大量におられたのです。石丸さんは、やはりご自身の再選が危うい自覚があって東京に行かれたのではないでしょうか?

たしかに、今回、藤本さんを自民、公明、立憲が推したのは確かです。しかし、それは前回もほぼ構図は一緒です。石丸さんが評判を落とし、支持を失った自滅。それだけのことです。ネット上で石丸支持者の方がおっしゃる「組織票にやられた」というのは失当です。前回は組織票なしで石丸さんが圧勝していたのですから。


◎[参考動画]都知事選2位で躍進も…“地元”安芸高田市では“反石丸”市長が当選 地元「東京の人には魅力的に見えたかも」

安芸高田市に限らず、いわゆる地方の自治体では、年配の有力者が過去の成功体験から、なかなか変化を嫌う一方で、石丸さんや、広島県の平川教育長のような意識高い系の新自由主義グローバリストの若手や女性が好き勝手をする傾向もあります。

両者の狭間で割を食ってきたのは「地道に地元で頑張っている若手、中堅の特に女性」というあたりだと、筆者は痛感しています。藤本さんが、そうした層の力をうまく引き出すことができれば、安芸高田市の将来は捨てたものではないと思っていますし、一つのモデルにもなるでしょう。

◆ポスター代を踏み倒し、最高裁でも敗訴

そして、それに追い打ちをかけるように、7月8日、石丸伸二さんが、2020年の市長選挙でのポスター代72万円余りを踏み倒したとして、石丸さんの妹さんが勤務されていた会社から訴えられ、広島地裁、高裁に続き、最高裁でも敗訴したことが決定したと報道されました(決定は5日付)。

この裁判は、公費との差額を請求した会社側に対して、石丸さんが支払いを拒否したことから会社側がおこしたものです。普通、親族の会社に頼んでおいて、こういうことをする人は、常識的には存在しません。72万円と言っても、市長の給料で何とか払える金額でしょう。分割にしてもらうとか、貸し付けをしてもらった形にするとか、いろいろ話し合えば裁判になるはずもありません。


◎[参考動画]安芸高田市・石丸市長の控訴棄却 市長未払いの選挙ポスター製作費 支払いを命じる 広島高裁(2023/12/13 広島ニュースTSS)

◆名誉棄損裁判で市議に高裁でも敗訴

石丸さんはまた、就任直後に、市議らに恫喝されたとしてSNSに拡散。しかし、山根温子市議が「恫喝はしておらず、石丸市長に名誉を棄損された」として、石丸さんを訴えました。そして途中から、被告として安芸高田市も原告側は加えました。これは、職務としてSNSに投稿したので市にも責任があるという趣旨です。

広島高裁は3日、安芸高田市長の公務として石丸さんが山根市議の名誉を傷つけたとして、安芸高田市に損害賠償を命じました。山根市議は上告せず、あとは、安芸高田市の新市長が石丸さんに対して求償することを求めています。

この山根市議も、石丸さんが新市長になられた時はどちらかといえば期待をされていた方です。https://yamaneatsuko.net/kouenkaitougisiryou/

2020年の山根議員の後援会討議資料

そういう方を裁判になるまで怒らせてしまう石丸さんって東京都知事として大丈夫なのか? 広島県民、安芸高田市民の多くはそう思ったのですが、東京の有権者にはその事実はほとんど伝わっていなかったようです。


◎[参考動画]石丸市長の「市議から恫喝」発言訴訟で市長側敗訴 安芸高田市に名誉棄損で33万円の賠償命令 広島地裁(2023/12/28 広島ニュースTSS)

◆筆者はうわべだけの「意識高い系」ではなく、地域で地道に頑張る「若手・中堅」重視

石丸市長には実は悪いお手本が広島県内にあります。広島県知事の湯崎英彦さんです。湯崎知事は、平川理恵・前教育長が引き起こした諸問題について「法令違反は改革の副作用」と開き直っておられました。そんな知事を見ていたら、「俺だってこれくらいしても良いだろう」と石丸さんが思ったとしても不思議ではありません。

筆者は今後とも、旧来の成功体験からの卒業を県民の皆様に呼びかける一方で、湯崎英彦知事や石丸伸二さんや平川前教育長のような、アメリカンな意識高い系よりも、地元で地道に頑張っておられる中堅・若手の力で【MAKE HIROSHIMA GREAT AGAIN】を訴えていきます。また、権力への監視をきちんとしていくこと、湯崎知事ら権力が暴走する今は、湯崎知事から県民の手に広島を取り戻す「ヒロシマ庶民革命」を県民の皆様とともに進めていきます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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◆学歴詐称・事前運動疑惑・裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体
 取材・文◎横田一(ゲリラジャーナリスト)

 

 

東京都知事選(7月7日投開票)が6月20日に告示され、三選を目指す小池百合子知事と蓮舫前参院議員の実質的な一騎打ちとなったが、戦う姿勢は対照的。「反自民党・非小池都政」を掲げて神宮外苑再開発を争点とする“攻め”の蓮舫氏に対して、小池氏は出馬会見も開かずに第一声の街頭演説さえ行なわない“逃げ”に徹した。

19日、翌日(告示日)の小池氏の予定が明らかになると、報道関係者に驚きが広がった。10時半に新宿区の選挙事務所で出発式をするだけで、街頭演説はなし。「現職知事として公務に取り組みながらの活動になります」とも強調していた。現職の第一声を有権者が聞くことができないという前代未聞のスタートとなったのだ。

一方、挑戦者の蓮舫氏は11時過ぎから中野駅前で第一声。応援弁士には立憲民主党の枝野幸男前代表、辻元清美代表代行、長妻昭政調会長がそろい踏みする通常のスタイルで臨んだ。初日から有力2候補の違いが際立った。

小池氏の出馬表明も前代未聞だった。蓮舫氏の電撃的出馬表明(5月27日)で後れを取った小池氏が6月12日、都議会本会議で三選出馬表明をした後、囲み取材に応じたが、学歴詐称関連質問がテレビ朝日の島田直樹記者に遮られて質疑応答が打ち切られるという異例の事態となった。

誰もが蓮舫氏と同様、「小池氏も出馬会見を開いて質疑応答をするに違いない」と思っていたのに、代表質問だけの短時間の囲み取材で終わらせてしまったのだ。

歴史に残る珍問答が行なわれたのは12日14時半すぎ。本会議終了後に都議会各派への挨拶を終えた小池知事が本庁舎との連絡通路に現れると、囲み取材に入る前に小池氏は立ち並ぶテレビカメラを指差して「いまリアル(生中継)でやっているのはどこ?」と聞いてカメラ目線をまず確認。

続いて幹事社(代表質問役)の島田記者が政策発表の時期などについて連続質問した後、フリーの佐藤章氏が「昨日、お世話になられた朝堂院大覚(ちょうどういんだいかく)さんが……」と学歴詐称問題について質問し始めたとたん、再び島田記者が「すいません、代表(質問)で。知事、まずお願いします」と割り込んで佐藤氏の質問権を奪取。そして「いつも勝負服のカラーで緑色の服を着られるが、本日はそういった服を着られていませんが、何か服に対する思いは?」と聞いたのだ。

すると、小池知事は笑顔を浮かべながら「今は公務をしっかりしておりますので、それはそれでメリハリをつけた対応をしていきたいと思っています」と答えて突然、囲み取材を打ち切り、立ち去り始めたのである。すぐに記者団から抗議の声が上がる中、追いかけながら私は「カイロ大卒と書くのか。自民党の支援を受けるのか。確認団体(方式での支援)、萩生田(光一都連会長)さんと相談したのですか」などと声を張り上げたが、小池氏は一瞬視線を向けただけで、無言のまま立ち去った。

この後、現場では質問を遮った島田記者に抗議が殺到。「口裏を合わせて代表(質問をする記者)だけ質問させようとしていたのではないか」「もう一回、囲み取材をやり直して下さい。テレ朝で質問を独占したのだから」などと問い質し、再度の囲み取材開催を迫った。これに対して島田記者は「私ももっと質問できるものだと思っていた。幹事社と相談する」と回答。

そこで「今すぐ知事と交渉して、ここに連れて来てください。滅茶苦茶な会見をした責任をとってください」と囲み取材の再設定を要望したが、実現することはなかった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nc52321500d83

◆WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会
 取材・文◎高橋清隆(反ジャーナリスト)

 

 

世界保健機関(WHO)総会で「パンデミック条約」と国際保健規則(IHR)改定案の採決を目前に控えた5月31日、両案などに反対する「WHOから命をまもる国民運動大決起集会」が東京の日比谷公園で開かれ、2万人が気勢を上げた。野外音楽堂では近代史研究家の林千勝氏ら8人が基調講演した後、池田利恵日野市議の音頭で出陣。「WHOの公衆衛生全体主義を許すな」などとシュプレヒコールを上げながら、銀座までデモ行進した。

しかし、IHR改定案は詐欺的手法で採択され、パンデミック条約は交渉期限が延長された。これが目指すのは〝世界統一政府〞である。覚醒した国民がどれだけ増えるかが問われている。

 林・柳澤両氏ら識者が不服従を誓う

集会の主催は「WHOから命をまもる国民運動」と「一般社団法人ワールドカウンシルフォーヘルスジャパン」(WCHJ)。デモ行進の起点は厚生労働省前、終点近くにはレプリコンワクチン(mRNAワクチン)の製造元となるMeiji Seikaファルマがある。

はじめに「WHOから命をまもる国民運動」共同代表でもある林氏が開会宣言。「われわれは全体主義を排除する。自由と勇気を胸に、世界の人々と手をつなぎ、日本を取り戻す。5月31日を新たな日本の独立記念日としようではありませんか」と呼び掛けた。
 
WCHJ代表で医師の柳澤厚生氏は、「WHOが何をしたかといえば、日本政府を操ってワクチンを打ち、多くの被害者を作ってきた。皆がだまされた。国の言うことに間違いはないと思った」と指摘。新型コロナワクチンの副反応による死亡者が、従来のインフルエンザワクチン死亡者の100倍以上であることを挙げ、「今、僕はこのワクチンを医者として打つことはできない」と訴えた。

「国民運動」共同代表でノンフィクション作家の河添恵子氏は開口一番、「政府、WHO、厚労省全て悪魔だと考えてください」と問い掛けた。「私たちは不服従を貫きます」と宣言すると、大きな拍手を浴びた。「今、生きるか死ぬかの闘い。ユースレスイーター(無駄飯食い)はワクチンで死んでもらうというのが、彼らの考え。その手足となっているのが日本政府。絶対許してはなりません」と続けた。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nbfb6eaa264cd

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年8・9月合併号

『紙の爆弾』2024年 8・9月合併号

科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害 広瀬隆
植草一秀解説 米国債を売れば50兆円利益と円安是正 米官業「日本政府支配」
災害や感染症を利用し地方自治を破壊 地方自治法“戦前回帰”の大改悪 足立昌勝
WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会 高橋清隆
本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論 神山徹
学歴詐称・事前運動疑惑、裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体 横田一
フィリピン元大統領報道次官が訴える日比米安全保障の罠と日本との連帯 木村三浩
モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主・インドの実相 浜田和幸
日本もパレスチナ国家承認を拒否 ガザ停戦を阻む米欧大国と日本の「論理」 広岡裕児
重信房子さんに聞く世界と日本の学生運動が証明するパレスチナ抵抗の正当性 浅野健一
政権交代に向け見極めるべきもの いま日本政治の転換を迫る負と正の力 小西隆裕
「岸田続投だけはありえない」「裏金国会」がもたらした自民党内の暗闘 山田厚俊
「社会貢献活動」法人設立の目的 ジュリー前社長が離さないジャニーズ最大利権
被害額は昨年から倍増 オンライン詐欺の実態と“野放し”の理由 片岡亮
世界史の終わりとハードボールド・ワンダラランド 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 特別編 西成女医変死事件 尾﨑美代子

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
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NKBフライ級タイトルマッチは杉山空が則武知宏を退けて初防衛。
NIIZUMAXは引退試合ながらアクシデントによる負傷判定引分け。

◎冠鷲シリーズVol.3 / 6月29日(土)後楽園ホール17:30~20:48
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第12試合 NKBフライ級タイトルマッチ5回戦

選手権者・杉山空(HEAT/2003.1.19静岡県出身/ 50.6kg)
9戦6勝1敗2分
        VS
挑戦者NKBフライ級1位.則武知宏(テツ/1994.12.5岡山県出身/ 50.65kg)
21戦8勝(4KO)9敗4分
勝者:杉山空 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:加賀見50-48. 前田50-48. 笹谷50-48

初回から様子見の手数と技、両者のローキックからミドルキック中心の牽制から接近戦の首相撲もあったが、距離は蹴り合う距離の小気味いい展開。どちらも主導権支配には至らない中、第3ラウンドから杉山空が蹴り技に圧力を増した印象。

終盤から勢いが増して行き、長丁場を活かした展開。勢い有る接近はバッティングの危険性もあり、ラストラウンドにはそのバッティングが起こるも大事には至らず。

杉山空の右ハイキック、ガードの上からでも強く蹴り込む

アグレッシブに攻めた両者、杉山空の圧力が優った

タイトルを守った杉山はリング上のインタビューで、「もっと上を目指して、今日は弟も出たんですけど勝利して兄弟揃って盛り上げて行くので皆さん宜しくお願いします。」と会場と毎度の静岡からやって来た応援団に対しコメントしていた。

則武知宏は「杉山空は強かったです。悔しいです!」と簡潔なコメントだったが、杉山空のハイキックで左眼を負傷した様子で病院へ直行した。

勝利の杉山空陣営、左端は杉山海瑠

◆第11試合 ライト級3回戦

NKBライト級5位.山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/ 61.05kg)
17戦6勝(4KO)7敗4分
          VS
NIIZUMAX!(クロスポイント吉祥寺/1980.9.20東京都出身/ 60.75kg)
33戦15勝15敗3分
負傷判定引分け 0-0 / テクニカルデジション3ラウンド45秒
主審:笹谷淳
副審:加賀見30-30. 前田30-30. 鈴木30-30

山本太一の派手な技とNIIZUMAXの変則的な戦法で正攻法な展開とはならず。NIIZUMAXが後頭部にヒジを打ち落とす反則も起こし、山本太一は相手を踏み付けたりプロレス技も繰り出すキックボクシングらしくない荒っぽさを見せた。

NIIZUMAXの後ろ蹴り、多彩に変則技を繰り出した

第3ラウンドには浴びせ倒しの中でNIIZUMAXが後頭部をマットに打ち付け、脳震盪を起こし試合続行不可能となった。倒れ行く中、山本が足を掛けていたかが問題となったが、映像では一旦、足が掛かった流れも倒れ行く際は足は掛かっていなかった。裁定も反則とは取らず偶発的アクシデントとして負傷判定となったが差の付かない引分けとなった。

問題の崩しの倒れるシーン、足は外れ、掛かっていないまま倒れた

◆第10試合 60.0kg契約3回戦

NKBフェザー級4位.鎌田政興(ケーアクティブ/1990.5.6香川県出身/ 59.65kg)
20戦9勝(3KO)9敗2分
        VS
鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/ 59.8kg)
10戦6勝(4KO)3敗1分
勝者:鎌田政興 / 判定3-0
主審:加賀見淳
副審:鈴木30-27. 前田30-28. 笹谷30-28

鎌田政興のパンチの前進、パワーが上回る。鈴木は圧されても打ち返す。鎌田は圧倒するに至らずやや攻め倦む様子も大差判定勝利を掴んだ。

鎌田政興がパンチ主体で攻めた

◆第9試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.1kg)
31戦11勝(4KO)15敗5分
        VS
KATSUHIKO(KAGAYAKI/1975.11.13新潟県出身/ 57.0kg)
7戦2勝(2KO)3敗2分
引分け 0-0
主審:鈴木義和
副審:笹谷30-30. 前田29-29. 加賀見30-30

序盤、攻防は互角ながら半澤信也の前進がやや目立ったが、第3ラウンドにはKATSUHIKOのヒジ打ちで半澤の左頬を切った。差は付かなかったが、半澤が優勢気味だった印象。

◆第8試合 ウェルター級3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 66.25kg)
40戦7勝(3KO)30敗3分
        VS
マナチャイ・エイムハイ(TEAM Aimhigh/1995.9.14群馬県出身/ 66.4kg)
9戦2勝7敗
勝者:マナチャイ / 判定0-2
主審:笹谷淳
副審:加賀見29-30. 前田29-30. 鈴木30-30

強いヒットは無いが両者の手数は多く互角の展開が続いたが、第3ラウンドのマナチャイの飛び気味のヒザ蹴りからがインパクトを与えたか僅差ながらマナチャイが勝利。

ちさとは試合後「ポイントを取り切れない攻め切れない感じになってしまうのが良くない点で、そこが課題です。」と振り返ってくれた。

◆第7試合 ライト級3回戦

辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/1984.3.13/東京都出身/ 61.15kg)5戦2勝(1KO)1敗2分
        VS
森野允鶴(渡邉/2001.1.17東京都出身/ 61.05kg)3戦3勝
勝者:森野允鶴 / TKO 3ラウンド1分39秒 /
主審:加賀見淳

パンチと蹴りの互角の攻防から第3ラウンドには森野允鶴のロー(カーフ)キックで辻健太郎がノックダウン。更にローキックでノックダウンし、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

TKO勝利の一人、森野允鶴がカーフキックで仕留めた

◆第6試合 ライト級3回戦

中山航輔(テツ/2002.10.13香川県出身/ 61.05kg)3戦3勝
       VS
津田宗弥(クロスポイント吉祥寺/1980.1.8神奈川県出身/ 60.8kg)4戦1勝(1KO)3敗
勝者:中山航輔 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:鈴木30-28. 前田30-28. 加賀見30-28

◆第5試合 バンタム級3回戦

杉山海瑠(HEAT/2009.6.5静岡県出身/ 52.65kg)2戦2勝(1KO)
        VS
田嶋真虎(Realiser STUDIO/2002.6.28埼玉県出身/ 53.35kg)11戦9敗2分
勝者:杉山海瑠 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:加賀見30-27. 前田30-27. 笹谷30-29

杉山海瑠が終始手数と圧力で優った展開で内容的にも大差判定勝利。アグレッシブにバックハンドブローを見せるなど、兄の杉山空に似た試合運びでもあった。

兄と同様にアグレッシブな展開を見せた杉山海瑠

◆第4試合 65.0kg契約3回戦

魔娑屋(SLACK/1991.2.4岩手県出身/ 64.75kg)4戦1勝(1KO)3敗
       VS
前田京太郎(渡邉/2005.10.15東京都出身/ 63.95kg)1戦1敗
勝者:魔娑屋 / TKO 2ラウンド1分23秒 /
主審:笹谷淳       

初回に魔娑屋のパンチ連打で前田京太郎がノックダウン。第2ラウンドにはヒザ蹴りでノックダウンし、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

TKO勝利の一人、魔裟屋がヒザ蹴りで勝利を導く

◆第3試合 バンタム級3回戦

早川曜平(ケーアクティブ/1994.1.13千葉県出身/ 52.7kg)1戦1敗
       VS
荒谷壮太(アント/2006.2.3千葉県出身/ 53.3kg)5戦2勝2敗1分
勝者:荒谷壮太 / 判定0-3
主審:加賀見淳
副審:鈴木28-30. 前田28-30. 笹谷27-30

◆第2試合 フェザー級3回戦

橋本悠正(KATANA/1997.4.21福島県出身/ 56.9kg)4戦1勝(1KO)2敗1分
        VS
祥太(Realiser STUDIO/1992.7.5宮崎県出身/ 56.3kg)2戦2敗
勝者:橋本悠正 / TKO 1ラウンド1分49秒 /
主審:笹谷淳

橋本悠正がパンチで攻勢を維持し、コーナーに詰めて連打でノックダウンを奪った後、左フックで倒すとノーカウントのレフェリーストップとなった。

TKO勝利の一人、橋本悠正が左フックで倒した

◆第1試合 フライ級3回戦

緒方愁次(ケーアクティブ/2004.1.6東京都出身/ 50.55kg)2戦2勝
      VS
Lil-悠(PIT/2003.6.28千葉県出身/ 50.15kg)2戦2敗
勝者:緒方愁次 / 判定3-0
主審:前田仁
副審:鈴木30-29. 加賀見30-29. 笹谷30-29

《取材戦記》

興行の注目は杉山兄弟の成長。兄の杉山空は2022年10月29日に王座争奪4人トーナメント初戦で則武知宏と対戦し、偶然のバッティングで右目上のカットと頬骨辺りの骨折の疑いで試合続行不可能となったが負傷判定勝利し、翌年の決勝王座決定戦で龍太郎(真門)に判定勝利し、第8代チャンピオンと成った。今回が初防衛戦で則武知宏との再戦。

弟の杉山海瑠は4月のデビュー戦はKO勝利で、今回は判定ではあったがアグレッシブな勝利。

杉山空の5回戦は様子見から後半勝負に持ち込む長丁場の戦いが見られた。序盤の手数が少ない展開も「何となくいいねえ!」と昔の観衆のオヤジ(正確に言うと町田さん)がヤジ飛ばす掛け声を思い出したが、そんなワクワク感が漂った。

常連出場では中堅クラスではあるが、山本太一、鎌田政興、半澤信也、ちさとの存在感があり、ガツンとインパクト与える技は無いが、常連出場していれば誰が抜きん出て来るかが注目。メジャー級ではない興行の弱さはあるが、毎度の工夫は見られる日本キックボクシング連盟です。

山本太一 vs NIIZUMAXは山本の足がNIIZUMAXの足を掛けて倒したか、掛かっていなかったかが論点だったが、興行終了後に放送したツイキャスの映像を振り返った結果、足は掛かっていなかったと判明。アクシデントが起きた時点では人間の錯覚、思い込みが影響することが語られていた。では足が掛かった、掛かっていないに関わらず、裁定の違いでは結果はTKOか負傷判定か失格かという問題も浮上する。考えるとより難しくなるキックボクシングの在り方でした。

次回興行は7月28日(日)に大阪府豊中市176BOXに於いて、冠鷲シリーズ vol.4を第一部(昼)NKジム、第二部(夕刻)テツジム主催にて開催予定です。

第一部メインイベンターは第15代NKBフェザー級チャンピオン、髙橋聖人(TRIANGLE)が、去年12月に王座戴冠となったJAPAN KICK INNOVATIONライト級チャンピオン、紀州のマルちゃん(武勇会)と対戦。

第二部はメインイベントに、兵庫志門(テツ)とNJKFバンタム級7位、清志(KTF)が対戦。NKB関西 vs NJKF西日本 3対3団体対抗戦として行われます。

8月10日(土)には新潟県の万代島多目的広場大かまに於いて、冠鷲シリーズ vol.5を拳心館主催にて(開場16:30 開始17:30)開催予定です。Hiromi(田村大海)は第6代NKBミドル級チャンピオンの田村聖の実弟で、初のメインイベンター、初のタイ選手との対戦となる今回、兄に追い付き追い越すには負ける訳にはいかない注目の戦いとなります。

日本キックボクシング連盟本興行、冠鷲シリーズ vol.6は10月19日(土)に後楽園ホールに於いて開催予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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今月号で特集した「二酸化炭素温暖化犯人説の嘘」。これ自体は、ほとんどの科学者が「嘘」だと認識しており、関連書籍もすでに多数出ています。なかでも広瀬隆氏の本誌解説は、裏付けとなる歴史的・科学的証拠とともに、私たちが考えるうえで必要な要素を、短い紙幅でまとめたものですが、最も重要なポイントのひとつが、「それでもなぜ、多くの人がいまだ嘘を信じているのか」です。

その点において本誌記事で注目すべきは、広瀬氏の解説が、環境破壊や公害を止めるための訴えだということです。さらに、この嘘は、日本を支えてきた中小企業の優秀な労働者を追い詰めていることも指摘しています。

※本誌記事でも一部を引用した広瀬氏の講演資料パンフレット(オールカラー・六四頁)が「地球温暖化は嘘」が一部500円(送料無料)で入手可能です。郵便振替で口座名「広瀬隆文庫」口座番号00160-8-588281。注文部数と住所、氏名等を明記。

グレタさんの活躍で、「脱炭素」において、岸田首相やグローバル企業と“リベラル”で、言っていることが同じになりました。それはリベラルの勝利なのか。ここにもSDGsの罠があります。

また、こちらも今月号で特集したインドでは、生体認証・国民監視IDシステム「アドハー」は、日本のNECの技術を基盤にしているそうで、各国の注目と称賛を集めています。そのわりに日本のマイナンバーはあの体たらくなのは、あえてのことかと疑問視しています。記事では浜田和幸氏が、インドの内情とともに、BRICSの現状、報じられない世界勢力図についても解説しています。

前号の《後編》として、政治経済学者の植草一秀氏が、自民党・民主党に限らず、日本のほとんどの歴代政権が米国の支配をあえて受け入れてきた歴史を明らかにしました。それは戦争だけでなく、消費税増税・法人税減税にもはっきりとつながっています。今の日本を考えるうえで、大前提となる情報です。

前出・広瀬氏も「第一歩を間違えれば、その後は全てが誤り」と述べています。まさに「必読」です。なお、「日本のウクライナ化」ということは、各所で言及されていますが、これは日本が「巻き込まれる」のではなく、「自ら突っ込んで行っている」ということを、認識する必要があります。すでに10年以上前から、その動きが始まっていることも、植草氏は指摘しています。

MV「コロンブス」の炎上騒動。文化的な生活を営む類人猿の家にズカズカと乗り込み、満足すると崩壊したバベルの塔(「猿の惑星」の自由の女神像)に“気づかず”去っていく、というのが大まかな流れで、歌詞とあわせて意図した表現だったのだろうし、言いたいことはわからなくもありません。

それより気になるのは、本人たちがほとんど説明もせず映像を取り下げたこと。表現を読みとってもらえない絶望よりも、炎上は織り込み済みで、「やっぱり何も見ていないじゃないか」という嘲笑のように、私には見えます。もっとも、そこにはバックのコカ・コーラ社の存在もあると思われ、炎上させた側も含めて、一連の経緯に今の時代の軽薄さを感じます。

今月号では、いわゆるポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)を利用したコンサルティング・ビジネスについても解説。あわせてお読みください。

ほか、「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会レポートとパンデ条約の現況、ウィルスの「存在」と「不存在」を問う科学界の議論、パレスチナ国家承認をめぐる各国の立場と、日本でも勃興しつつある反戦学生運動、さらに小池百合子・東京都知事の分析は、都知事選を終えても記憶すべき保存版です。

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『紙の爆弾』編集長 中川志大

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WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会 高橋清隆
本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論 神山徹
学歴詐称・事前運動疑惑、裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体 横田一
フィリピン元大統領報道次官が訴える日比米安全保障の罠と日本との連帯 木村三浩
モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主・インドの実相 浜田和幸
日本もパレスチナ国家承認を拒否 ガザ停戦を阻む米欧大国と日本の「論理」 広岡裕児
重信房子さんに聞く世界と日本の学生運動が証明するパレスチナ抵抗の正当性 浅野健一
政権交代に向け見極めるべきもの いま日本政治の転換を迫る負と正の力 小西隆裕
「岸田続投だけはありえない」「裏金国会」がもたらした自民党内の暗闘 山田厚俊
「社会貢献活動」法人設立の目的 ジュリー前社長が離さないジャニーズ最大利権
被害額は昨年から倍増 オンライン詐欺の実態と“野放し”の理由 片岡亮
世界史の終わりとハードボールド・ワンダラランド 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 特別編 西成女医変死事件 尾﨑美代子

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雨が降ったり止んだりの金沢市・いしかわ四高記念公園に約1100人が集まった。集会では、志賀原発訴訟弁護団長・岩瀬正明さん、ルポライター・鎌田聡さんほか、各地で反原発を闘う皆さんが次々と発言され、非常に充実した内容であった。

◆北野さんと塚本さん

話はちょっとそれるが、私が何より嬉しかったのは、5月の連休に珠洲原発の予定地を案内して頂いたり、なぜ原発建設を凍結に追い込んだのかのお話をお聞きした北野進さん(元石川県議、珠洲市議)の嬉しそうなお顔が見れたことだ。集会前も、会場のあちこちを走り回り、知った方々に挨拶してまわる北野さん。私は思わず1枚写真を撮らせてもらう。

「北野さん、何か嬉しそうですね」

「そりゃ嬉しいですよ。こんなにたくさんの人が、全国から集まって……」といいながら、またあちこち回ってらした。

北野進さんと北野さんの著書『珠洲原発・阻止へのあゆみ』の一節

もうひとつ感動したのは、伝説の人にお逢いできたことだ。最初はわからなかった。「能登からの発言」である男性がマイクの前に立った時、会場から「まことさん」などと声がかかっていた。「誰やろう?」とタイムテーブルを見ると「塚本真如(珠洲市高屋町円龍寺住職)」とある。

私が金沢に来る電車内でも読んでいた北野さんの著書『珠洲原発・阻止へのあゆみ』(七つ森書館)に書いてあった人だ!。ちょうど雨が酷くなり、取材用のICレコーダーが濡れては困るので、私は、ステージ脇のテントに入らせて貰っていた。私が「あっ、この方か?」と思った瞬間、近くにいた北野さんが「そう! その人ですよ」というような顔をされた。

珠洲市高屋町天龍寺住職の塚本真如さんと6.30金沢集会のスケジュール

◆珠洲の人たちは「原発はいらない」と思っていた

あれは、1989年の珠洲市長選に、前年に珠洲に来たばかりの29歳の北野さんが出馬することになった。それまでのいきさつはまた何かで書かせて貰うが、結果、現職当選となったものの、北野さんともう一人の反現職派候補の得票数を合わせると現職の得票数を440票上回っていた。それほど珠洲の人たちは「原発はいらない」と思っていたということだ。

それまでは多くの住民が、「地域で世話になった」「お父さんがあの人に投票してというから」などの理由で投票してきた。しかし、原発建設を止めるには誰に投票したら良いか、自分で考え決めなくてはならない。「これまでAさんに投票してきたが、Aさんは原発に賛成なのか?反対なのか?」と皆が考えだした。

市長選で、珠洲市民はの多くは原発はいらないと示したのに、その後、関電が建設予定地の調査に始めた。「何やってるんだ、関電!」。住民たちは身体を張って闘い調査を止めさせた。つまり市長選で市長にはなれなかったが、北野さんの出馬は、住民に大きな変化をもたらせたということだ。

それから2年後の1991年、石川県議選があった。詳細は省くが、北野さんらの仲間はまた悩んだ。市長と県議では立場が違う。県議選を闘うか、闘うなら誰を擁立するかの会議が続く。北野さんを推す人もいるのだが……。なかなか決まらない。

そんな時、高屋町(寺家地区と並び珠洲原発の建設が予定されていた地域)のお寺のご住職で、反原発運動の中心的人物だった塚本真如(まこと)さんが、会議中の部屋から北野さんを外に連れ出し、こう言った。

「おれはあんたにもう一回市長選をやってもらいたいと思っているから県議の候補者には推してこなかった。あんたはどう思う?」

北野さんはこう答えた。

「僕もこれまでのいきさつからして、もう一回はなんかの選挙に出なきゃならんと思ってます。ここで県議選を闘わなかったら3年後の市長選もないですよ。3年後はもっといい人を探すとして、県議選でやりましょう」。

北野さんは出馬し、革新系で初めての県議となった。もちろん塚本さん始め、北野さんの仲間の皆さんの力がなくては無理なのだが、何というか、北野さんのこの政治的決断力、判断力には驚かされるばかりだ。

北野進さん

◆次に止めるのは志賀原発だ!

北野進さんおっかけ記事みたいになって申し訳ないが、30日の集会全体に「珠洲原発建設を止めてくれてありがとう」みたいな感じが溢れてて感動した。もちろん、それで終わってはいけない。次に止めるのは志賀原発だ!

「志賀原発訴訟弁護団長」の岩淵正明弁護士が明らかにしていたように、元旦の能登半島地震では志賀原発の3つの欠陥が明らかになった。

1つ目は、地震に対する完全確保が全くされてなかったということ。地震で150キロにおよぶ長大な活断層などが一瞬のうちに連動して動いたが、北陸電力も規制委員会もこれを全く予測できていなかった。

2つ目は、地震による隆起に対する対策がとられていなかったこと。4メートルもの隆起が能登半島の北部で発生した。明治以来最大規模といわれている。今後予想される志賀原発沖合の活断層が連動して動けば、志賀原発そのものが隆起して傾くことが予想される。しかし、北陸電力も規制委員会も全く対策をとっていない。

3つ目は、原発事故が起ったら住民は逃げられないということがわかったことだ。能登半島には11路線の主要な幹線道路があるが、うち7路線が地崩れ、陥没、隆起して通行できなくなった。原発事故がおこった場合5キロ圏内の人はただちに避難しろといわれているが、どうやって避難できるのか。30キロ圏内の人は、屋内待機となっているが、退避する家屋が倒壊してしまった。

さらに30キロ圏内だけに限っても、8か所もの集落が孤立したことがあきらかになった。外に連絡もとれず、逃げ出せず、長いところで1週間も続いた。避難計画など絵に描いた餅だ。

この3つの欠陥が明らかになった今、志賀原発はもう廃炉しかない!そのことを確認した6・30の全国集会だった!
 

「のとじょ」(原発いらない 能登の女たち)の方々の発言に感動。泣いてしまいました(写真=二木洋子さんのFacebookから)

最後に北野進さんの呼びかけ!

「6.30 さよなら!志賀原発全国集会」で皆さんは金沢まで来られたが、次に来るときにはぜひ能登半島に来てください。原発の建設予定地の海底がものすごく隆起している。私はそれをこの目で確認した。ここに原発が建っていたら……。その恐ろしさ、こんなところに原発を建てようという人間の愚かさを、その目でしっかり見て下さい!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

3月11日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年春号 能登大震災と13年後の福島 地震列島に原発は不適切

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◆元「ワーキングマザー」入所者の「小池批判」

まず、東京の若い女性の方は、お気を悪くしてもかまわないので読んでいただきたい。

筆者の勤務先の高齢者施設でニュースの時間。都知事選のニュースで小池百合子候補が無痛分娩や保育完全無料化、私立高校無償化などの子育て支援の実績や公約を訴える様子が映された。

すると、利用者の女性が、「なにをぜいたくな。うちらのころはそんなのありゃせんかったで。それでも、わたしはずっと働いてきたんよ。」とおっしゃった。

まあ、進歩を否定したら身もふたもない、というのも正論です。しかし、これも「女性の声」なのです。

他方で、やたらに高齢者を叩いて溜飲を下げるという言説がマスコミにもあふれています。これは、わたしも違和感を覚えています。

◆時代の転換点

筆者は、2011年~2013年、広島市で男女共同参画審議会の委員もさせていただきました。また、全国各地で女性候補者の応援にかけつけてきました。ジェンダー解消という観点からです。旧態依然とした、広島の地元政治に最も異議を申してきた人間であると自負もしています。

しかし、東京都知事選挙2024を巡る情勢を拝見し、男女共同参画行政なり、ジェンダー解消を求める市民活動も一つの転換点に来ている、と感じます。東京の一定年齢以下のエリート女性から、地方、庶民に比重を移していくべきではないか?という感覚です。

◆小池氏を圧倒的に支持する30代のエリート女性

マスコミの世論調査では、小池氏は女性で支持が厚く、特に30代女性では鉄板どころか、劣化ウラン装甲並みです。

例えば、東京の勝ち組の子育て世代は、いまや、8年間の小池百合子政権で非常に優遇されているのも事実です。人物像としては、東大、京大、早慶などをご卒業され、大手企業や外資などに勤務され、夫婦共働きと言う女性です。

「選挙巧者」の小池知事。選挙対策でこの層を大事にしてきたというべきでしょう。まさに、現代東京の政治家を代表する「横綱」です。

一方で、この層には極論すれば自民党に対しては「田舎のセクハラオヤジ・パワハラオヤジ」のイメージがあり、大変自民党のイメージはよろしくない傾向がある。次期衆院選ではむしろこの層は立憲民主党に投票する人が多いでしょう。それは同時に実施された国選選挙に関する世論調査でも見て取れます。

しかし、都知事選では小池氏が自民党に支援されていることで、この層が小池氏から逃げるかと思いきや、むしろ小池氏を支持している状況がある。それは、裏金自民のマイナスイメージを打ち消すくらい「利益誘導」をやってきたからでしょう。
例えば、高校無償化。名門私立と言われる「開成」や「麻布」、「桜蔭」や「渋渋」も都民は安く行ける。そりゃあ、喜びます。

いまや、成田悠輔さん、高松ななさん、ら若手論客を中心にマスコミでは、「日本は子育て支援は手薄で、高齢者は優遇されている」論が強い。これは本当でしょうか?

少なくとも「小池百合子政権の元での東京」ではその構図は崩れています。

◆疲弊する教育・子育て現場労働者、加速する小池都政

一方で、学校現場では、先生方は長時間労働に疲弊している。スクールカウンセラーなど非正規公務員は低賃金で切り捨てられています。

子育て支援を叫び、実際に実施をしながら、勤務先の校長先生にも生徒にも人気のスクールカウンセラーを切り捨てる。

これが小池都政です。現場労働者の犠牲の上に、勝ち組子育て世代がサービスを享受しているのです。

◆スクールカウンセラーに冷たい小池都政──組合側のアンケート結果より

都内公立学校のスクールカウンセラーが4年で大量に雇止めになった事件。これについて、組合側が都知事選各候補者にアンケートを送り、2日20時現在、小池百合子、蓮舫、清水国明、田母神俊雄候補から回答がありました。

◎心理職ユニオン東京都知事選立候補者に東京都スクールカウンセラーの問題について聞いてみた

東京公務公共一般労働組合心理職一般支部(心理職ユニオン)は雇止め被害者の復職や、制度の改善について要望。現在回答を寄せた候補のうち、小池候補は、組合側の四項目の要望にことごとく賛同できないないし後ろ向きな検討中、としています。

組合側の要望・質問は以下です。
1.雇止め撤回
2,5年を超えて雇用継続を
3,スクールカウンセラーは勤務実績を考慮した採用をすべき
4,残業代を払うべき
これに対して各候補は以下のように回答しています。
小池百合子候補=1、3に「賛同できない」
2,検討中。(公募はしている、というが、実際には、評判の良い人も落とされているのに逃げている。)
4,既に支払われているという認識
(実際は十分払われていないから問題なのですが?!)

蓮舫候補=1~4すべてに賛同。
清水候補=1~3に賛同。4も肯定的な検討中。
田母神俊雄候補=1、3、4に賛同。2は検討中(段階的制度設計)。

◆東京一極集中と地方へのゴミの押し付けに依存した東京の「豊かさ」

また、小泉・竹中政権以来、どんどん、東京に広島を含む地方の富は移転されていきました。

他方で、昔から、東京を含む関東の産業廃棄物はバンバン広島などに来ているわけです。もちろん、湯崎英彦広島県知事や石丸伸二・安芸高田市長(当時)が日本一緩い広島の産廃規制を放置してきた問題はあります。それにしてもです。

原発にしても、そもそもは東京など大都市の電力不足を補うためのものでした。いま、福島の放射性廃棄物を含むゴミが三原本郷産廃処分場にも来るのではないか、と言う話にもなっています。

東京のインテリの間には「田舎のために東京のお金が吸い取られている」という論調も強くありました。しかし、大手企業の地方工場の利益は東京本社が吸い上げています。そして、上記のような地方への東京による負担の押し付け。このことを無視して地方や地方の年配者を見下すような、東京のエリートの発言を拝見すると一人の東京出身者としてげんなりします。

◆70代以上単身女性が半数以上働いている国ニッポン

そもそも、日本の高齢者は70代でも半分以上働いています。
これは諸外国でも異常なことです。特に単身女性の方にその傾向は強くあります。
コンビニ。工場。土木現場。介護職員。ありとあらゆる現場には、外国人とともに高齢女性の方が多くおられます。というか、最近は円安を背景に外国人が伸び悩んで、日本人の高齢女性が目立つ感じもします。

夫がいることを前提に、女性が賃金を抑えられていた時代があった。それで、単身女性の賃金収入は低く、老後も年金が低い状態にあるわけです。そして直近では男性高齢者も最近は孫育て、アルバイトに忙しい方が増えています。

そして、今後、就職氷河期世代においては、男性も非正規雇用が多いため、現在の単身女性高齢者の惨状が男性にもこの小池政権的な政治が続けば広がるのは間違いありません。

もちろん、例えば、中央省庁→地方自治体の幹部という出世をされる方も30代、40代の女性に結構おられます。あるいは、畝本新検事総長も含めて、要職に女性が多くなっていること。これ自体は、大変結構なことです。長期的にはジェンダー解消につながっていく効果はある。

しかし、同時に、それは多くの先輩方の努力の上で現在があるということでもある。ただ、どうも、若手の女性の方の間には「虎に翼」を最近見るまでそうした歴史をご存じなかった、という方も多かったようです。

そして、いまなお、保育や介護、非正規公務員など女性の割合が大きい現場労働者の大きな犠牲があります。

そして、ご紹介したように、東京に富を集中させ、核を含む東京のゴミを地方に押し付けてきたことで、豊かさが成り立っている。

残念ながら、東大、京大、早稲田、慶応等を優秀な成績でご卒業され、仕事をバリバリされ、お子様を名門校に送っている昨今の女性の方でも、こういうことはわかっていただけていないことはよくわかります。その層に、特に小池氏はウケています。

一方で、「パワハラオヤジ」イメージの強い自民のステルスな組織の支援もガッチリ得ている。ということでしょう。

◆地方の男女共同参画行政も「地元重視」へ転機

地方自治体でも最近は女性の副知事や副市長を任命するのは当たり前になってはいます。これも良いことです。とくに副知事だと中央省庁の東大卒の女性を持ってくる、が定番です。

女性副知事は良いことなのですが、では、東京のエリート女性を持ってきて、それで、地方の庶民の女性の状況が改善するか、といえば、なかなか難しいでしょう。
島根県の丸山知事は高卒の県庁たたき上げの女性を副知事に今年度から任命されました。高卒から60歳まで農業から教育まで、あらゆる県内の部署を回られた方です。これこそが、これから必要な「男女平等施策」の一つではないでしょうか?

東大に女性を増やすという案もあるけど、それだと間に合わないし、今の東大の教育を受けても、これまでの男性エリート同様に地方なり現場なりを見下すような女性が増えるばかりではないかと危惧します。

地方においては、学歴関係なく、地元で地道に頑張って来られた優秀な女性がたくさんおられます。

そういう方をきちんと光を当ててポストにつけた方がいいと思う。上野千鶴子先生のご講演を聞くのも悪くはないけど、むしろ、地道に地方で頑張って来られた方が意思決定過程に参画するようにするのが良いと思う。

地方の庶民の女性は、東京から落下傘的にやってきたエリートと、地元の「年配男性中心」の狭間で、意思決定過程への参加が疎外されてきたからです。

◎関連記事「地元で地味に頑張る若手・中堅世代の女性」を大事にし、「メイク ヒロシマ グレート アゲイン」 筆者が県東部女性議員ら前に講演 

広島では特に、湯崎英彦知事が「東京(関東)の女性」を重視しています。平川前教育長は女性民間校長を神奈川から一本釣り。副知事には、東大・経産省の後輩の女性。医療行政担当に局長には厚労省から若手女性。

しかし、平川教育長が暴走し、医療行政では、厚労省出身の若手女性の局長の元、1300~1400億円をかけた巨大病院計画が暴走しています。

◆東京でもエリート重視から庶民・現場に比重を

他方で、東京においても、先ほどご紹介したように、女性でも高齢単身女性、また非正規公務員など大変である。男性でも特に就職氷河期世代以降、大変なことになる。都庁の真下では、いわゆる典型的なホームレス以外の方が次々と食糧支援に並んでいる。

小池氏、蓮舫氏とも、東京のインテリ女性の代表としてやってこられた政治家です。女性が意思決定過程に少なかった時代にはこのタイプの政治家は絶対に必要だった。

ただ、東京の一定年代以下のエリート女性に関しては、小池知事の今回の公約である「無痛分娩」「保育無料化」が実施されれば、一定程度、欧米などにも追いついたという判断ができると思います。

これからは、東京でも地方でもこれまで使い捨てにされてきた現場労働者、そして地方の庶民、こちらに光を当てていく段階ではないでしょうか?

◆「庶民の蓮舫」と「地方の石丸」

蓮舫氏が今回、非正規公務員の待遇改善や中小企業対策として公契約条例を提起したのは、庶民に光を当てる、と言う意味でこの部分について応援しています。ただ、かつて、立憲民主党にせよ、蓮舫氏にせよ、新自由主義的だったのが響いて、なかなか、本来票を得るべきところに伸びきれていない感はある。

筆者自身もくどいようですが、立憲民主党は好きになれません。それでも、路線転換は支持したい。今後、蓮舫氏の路線転換が立憲全体に広がるか?注視していきたい。野党で最も地方に優しい経済政策なのはれいわ新選組ですが、今回の都知事選では山本太郎が「静観」しているのも理解はできます。

※ただし、小池と石丸はありえない、という街頭演説をして結果として蓮舫に援護射撃。この線で今回は良いと思います。

今回、石丸氏は「地方」に光を当てたという「功績」はある。石丸氏の「地方がつぶれたら東京もダメになる」という持論に対して全く異論はありません。こんなことは、筆者がもう何十年も前から申し上げてきたことではあります。

石丸氏が本気であるなら、安芸高田市長時代に例えば、産廃規制を強化するとかすべきだったとは思います。今後は石丸氏が本気であるなら、安芸高田市長時代の「老害叩き」パフォーマンスに頼るのではなく、地方と都会の格差是正を軸としてぶれない姿勢で行くべきです。従来の彼の姿勢のままだと、橋下徹さん的な方向に行きかねないと危惧しています。

なお、田母神閣下こと、田母神俊雄候補は、スクールカウンセラー問題では、労働者寄りの見解を示しています。さしずめ、フランス総選挙で躍進した国民連合に近いと思います。今後、若手で田母神候補の後を継ぐような人が出た場合、国民連合みたいな感じでバカ受けする可能性はあると思います。

◆国政野党が対抗軸をはっきりさせよ

蓮舫、石丸のどちらかが当選となればこれは大事件だ。事件だけれども、「勝ち組子育て世代」と「既得権自民」をがっちり抑えた小池に勝つのはフランスみたいに決選投票制度でもないと難しいでしょう。

難しいけれども、最後まで「小池打倒!」をあきらめるわけにはいかない。「庶民」軸で蓮舫、「地方」軸で石丸が伸び、蓮舫一位、石丸二位、小池三位に持っていければ万々歳。4月の衆院15区補選では小池系候補がマスコミ予想を下回る惨敗もしています。ふたを開けてみないとわからないでしょう。

また、日本全体を変えるには、国政です。国政で野党勢力が東京中心から舵を切り、地方と東京の格差是正を重視するような方向に行くのが望ましいと考えます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは7月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化 
 取材・文◎浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 

 

安倍晋三元首相より危険な対米隷従の軍国主義者・岸田文雄首相は今年4月1日の関係閣僚会議で、有事の際の自衛隊や海上保安庁による使用に備えて整備する「特定利用空港・港湾」に、北海道や沖縄など7道県の計16カ所を選び、今年度に整備を始めると決めた。国民保護や戦闘機の離着陸訓練の拠点とするため滑走路延長や港の岸壁整備を促進する。初年度は予算計370億円を充てる。

国家安全保障戦略など軍事三文書(2022年12月16日閣議決定)に記した「公共インフラ整備・機能強化」に基づくもので、文書には「有事の際の展開などを目的とした円滑な利用・配備」という記述がある。整備費は2023年度から5年間で総額約43兆円を投じる軍事費とは別枠で、24年度以降、国交省予算に計上する。

政府は「自衛隊・海上保安庁とインフラ管理者は、国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合又は航空機や艦船の安全を確保する上で緊急性が高い場合(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除く)であって、当該施設を利用する合理的な必要があると認められるときには、民生利用に配慮しつつ、緊密に連携しながら、自衛隊・海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める」と説明している。

しかし実態は、対中侵略戦争と第二次朝鮮戦争を企む米国の「拡大抑止」戦略に沿って、自衛隊などが有事に使用することを前提に国が改修や整備をする「国家総動員体制」作りの一環だ。指定されたのは那覇空港・宮崎空港・長崎空港・福江空港(五島つばき空港)・北九州空港の5空港と、石垣港・博多港・高知港・須崎港・宿毛(すくも)湾港・高松港・室蘭港・釧路港・留萌(るもい)港・苫小牧港・石狩湾新港の11の港。

南西諸島防衛を想定して九州・沖縄が半数近い7カ所に上った。自衛隊部隊が多数配置されている北海道では5港が選ばれた。これまで目立った軍事要塞化がなかった四国でも4港が指定され、物資補給に活用される見通しだ。

林芳正官房長官は4月1日の記者会見で、「抑止力や対処力を高め、日本への攻撃の可能性を低下させ、国民の安全につながる」と述べた。

 県民に知らされなかった高松港の軍事利用指定

私は香川県高松市生まれで、高校を卒業するまで暮らした。高松港は1988年に瀬戸大橋が完成するまで宇高連絡船が就航していた四国の海の玄関口で、本州や離島との海上交通の要衝として経済・物流の中心を担ってきた。

なぜ高松港が軍事拠点に選ばれたのか不思議だった。5月14・15日、高松で県の担当部局・県議・市民団体を取材した。

香川県民が高松港の軍事拠点指定の動きを知ったのは昨年11月だった。四国新聞(岸田派・三代目世襲の平井卓也衆院議員一族が所有)が同20日、県管理の高松港が「特定重要拠点空港・港湾」(昨年12月18日の関係閣僚会議で「特定利用空港・港湾」と言い換え)の候補地になっていると報道した。

国土交通省出身の池田豊人香川県知事は県民や県議会の意見も聞かず、11月20日の定例記者会見で「制度の内容を確認し、できる協力はしていきたい」と表明。池田知事はこの会見で、10月23日、内閣府・国交省・防衛省の担当者が香川県を訪問し、指定候補とするという説明があったと明らかにした。知事部局は国から打診があったことを4週間も隠していたのだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n6fd38a7e22b8

◆日本の冤罪〈51〉大川原化工機事件 経済安保法成立とともに起きた公安警察の暴走
 取材・文◎山村勇気(フリーライター)

 

 

「無罪」と「無実」は似て異なる

「逮捕したことは国賠法上、違法である」──。軍事転用が可能な機器を国に無許可で輸出したとして、警視庁公安部が2020年3月11日に大川原化工機(横浜市)の社長ら3人を逮捕した事件について、東京地裁は昨年12月27日、逮捕は違法だったとの判決を下した。

この裁判は、無実の罪を晴らすために大川原化工機が国と東京都を相手取って起こした国賠訴訟だ。起訴についても判決は「必要な捜査を尽くすことなく行われた」と指弾し、約1億6200万円の損害賠償の支払いを国と都に命じた。ところが、今年1月、国と都はこの判決を不服として控訴した。恥の上塗りというほかない。

「無罪」と「無実」は、似ているが異なるものだ。「無罪」とは、法的には罪に問えないということ。たとえ真犯人であっても、それを証明することができなければ「無罪」となる。一方、「無実」とは、そもそも犯人ではないということ。したがって必然的に罪には問えない。

事件の取材をしていると、ときどき無罪判決の裁判に出会う。そんなとき、現場の捜査員が「無罪だけど無実じゃないんだ」と言って悔しがる姿も目にしてきた。しかし「大川原化工機事件」は、無実の市民を捜査機関が意図的に犯罪者に仕立て上げた冤罪事件だった。

同社社長ら3人は、外為法違反の罪で逮捕・起訴されたが、実は、その後に刑事裁判は行なわれなかった。裁判が始まる前に検察が起訴を取り消したためだ。そもそも無実の人を起訴してしまったことに気づいたのだ(被疑者死亡などにより、やむを得ず公訴棄却になることはあるが、起訴の「取り消し」は極めて珍しい)。

しかし、取り消せば済む問題ではない。「ごめん」で許される話ではないのだが、警察も検察も起訴を取り消したことで謝罪すらしていない。

だからこそ大川原正明社長は「せめて謝ってほしい」との思いで、国と都を提訴し、国賠訴訟として裁判で争ってきた。そして今般、判決で捜査の違法性を認められたのだから、警察と検察は速やかに謝罪し、再発防止に努めるべきなのだ。

今回の国賠訴訟の判決をもう少し詳しく見てみると、特に警察について、必要な捜査を尽くさなかったのみならず、「偽計を用いた取り調べ」をし、「原告を欺罔(ぎもう)して供述調書に署名指印させた」(判決文)ことも認定している。

ここまでくると、もはや警察による犯罪行為である。そこで大川原化工機は、国賠訴訟とは別に、取り調べを担当した捜査員2人を警視庁捜査二課に虚偽有印公文書作成・同行使の罪で刑事告発もしている。

判決でここまで踏み込まれているのだから、国と都が控訴したことはどう考えても悪手である。今後、判決が確定するまで(高裁まで争うのか、最高裁まで争うのかわからないがいずれの場合も年単位で時間を費やす)、警視庁と東京地検を批判する報道は出続けるだろう。そのたびに警視庁と東京地検のレピュテーション(信用)は棄損され続ける。これまた恥の上塗りだ。真面目に働くほかの多くの捜査員にとって迷惑極まりない。

繰り返すが、警察と検察がとるべき最善の策は、今回の判決を真摯に受け止め謝罪し、再発防止策を打ち出すことだ。過ちを認めなければ真の再発防止策も打てないではないか。この期に及んでも警察と検察は、捜査に携わった者の名誉や立場を守ろうとしているとしか思えない。いかにして警視庁が冤罪事件を作り上げていったか、本稿でそれを振り返る。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nc6cff37b407f

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数年前、鹿砦社の松岡代表に勧められ、同社の『紙の爆弾』の「日本の冤罪」シリーズを始めるということで執筆させてもらうことになり、多くの冤罪事件を取材し、記事にまとめてきた。その18本の記事を、昨年11月一冊の本『日本の冤罪』にまとめて頂いた。本を読まれたいろんな方から手紙やメールなどを頂いていたが、先日鹿砦社に届いた読者カードを見せてもらい、ふと思った。私の書いた文章は誰かの心に響いているのだろうか……。

私自身にもたくさんの心響かせてもらった文章がある。小説、論文もあれば、Twitter(現在のⅩ)のわずか140字の文章もある。道に迷って前に進めずにいるとき、ふと取り出してそれを読み直す。そこから何か力をもらい前に進めるような気がしてくるのだ。同じように、私の書いた文章が誰かの心に響き、その人を前に動かせるようになったら、とても嬉しいと思っている。

そう願いながら、鹿砦社のタブーなき月刊誌『紙の爆弾』、書店販売雑誌としては国内唯一の反原発誌『季節』、「デジタル鹿砦社通信」などで原稿を書いている。私にはもっともっと書きたい題材がある。反原発問題では、声を大きく上げられない人たちの訴えを今後取り上げていきたいと考えている。

例えば、がん治療中のため本人への取材が困難だが、3・11後関東から大阪に移住し、現在、大阪市から住居の追い出し攻撃にあっている女性がいる。日々の生活が困難ななか、一度だけ知人の車に乗せてもらい、私の店にきてくれた。わずか数分だけだったが、彼女と話すことができた。その裁判も7月に結審を迎える。早急に記事をかき、多くの人に知ってもらいたい。

西成労働福祉センター周辺からの野宿者強制排除問題についてもぜひ、多くの方に知ってもらいたい。20数年前、この町に来た時にはバリバリ働いていた労働者の半分はもうなくなっただろう。

残っている人は高齢化し、町も変貌を遂げている。しかし、かつてと変わらないものがあるのではないか。それはガチの「釜ヶ崎人情」。装った釜ヶ崎らしさ、労働者の町らしさではなく、あるいはそれらしさから掠め取った上澄みではなく、ガチの「釜ヶ崎人情」、それを私は書き残していきたい。

そして取材して記事にしたい冤罪事件がまだ山ほどある。だから、ぜひ鹿砦社を存続させてほしい。どこにも誰にも忖度せずに 真実を追求できる表現の場はそうそうないのではないか? その証拠に鹿砦社は、関西で起きたM君リンチ事件に関して裁判の支援のみならず、関連本を6冊も出版してきた。

裁判には私も支援して関わってきたが、当初驚いたのは、関西で反差別、反権力を闘う人たちがほとんどいなかったことだ。考えたら当然かもしれない。M君にリンチを加えた人たち及び彼らを擁護してきた人たちは、それまでカウンターと称した反差別、反権力の闘いを果敢に闘ってきた人たちだからだ。そういう人たちは、反差別、反権力を訴え、闘う人たちが絶対に差別的なことをしないとでもいうのだろうか。皆さん、それほど立派な方々なのだろうか? 誰にでも間違いはある。問題はそれを自覚し、自らを糺していくことだ。

間違ったこと、非難されるべきことは、自身で自覚できることもあるが、他人から指摘され自覚できることもある。なぜ、それが叶わないのか?「忖度」という言葉しか思いつかない。確かにともに闘ってきた仲間を批判するのは、その後の関係性などを考えると面倒だ。できれば「スルー」したい。でも松岡さんが常々いうように、私も「私に悪いこと、間違ったことがあったら、ぜひ指摘してほしい」と思う。批判することイコール決別ではないのだ。私は、死ぬ間際まで「尾﨑さん、それ間違ってますよ」と指摘して頂きたい。

ここ数年、M君リンチ事件とその関連裁判が続くなか、常日頃、いろんな問題を討議しあう仲間とも、このリンチ事件はほとんど討議することはなかった。たまに話題になっても「ああ、なんか聞いたことあるわ。でももう済んだことでしょう」と言われたり「仲間うちのいざこざだろう」といわれたこともあった。

そんなこともあり、とにかく私もこの件で一回文章を書かなければと思っていた。それはリンチ関連本に掲載されている。読まれてない方もぜひ手に取って読んで頂きたい。様々な文章を書かせてもらったが、そのなかで、自分の好きな文章を選ぶとしたら、これは3本の指に入ります。

そんな記事が書けたのも、一切忖度なしの鹿砦社の表現の場があったからだ。

出版界はただでさえ構造不況業種だが、新型コロナ襲来以来、書店、取次会社(卸店)、そして多くの出版社が苦しんでいる。残念ながら鹿砦社もこれに巻き込まれ苦闘している。多くの方々が鹿砦社の支援に動いておられる。最寄りの書店で発売中の『紙の爆弾』を買い求め、その巻末に記載されている支援方法で、みなさんのできる範囲で支援いただきたい。この鹿砦社の存続のために、ぜひご協力をお願いしたい。

※               ※               ※

■『紙の爆弾』次号は、8月・9月合併号として7月6日発売となっております。ご購読お願いいたします。なお、8月発売号は諸事情でお休みさせていただくことになりました。

また、『季節』創刊10周年記念号(夏・秋合併号)は8月5日発売で、目下急ピッチで編集作業が進行中です。こちらもご予約お願いいたします。(松岡)

※               ※               ※

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

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尾﨑美代子著『日本の冤罪』

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